要旨

最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 12改/免疫2
アレルギー性鼻炎 (改訂第2版)


第1章 概念・定義と疫学
概 論

奥田  稔    日本医科大学 名誉教授

要旨
 アレルギー性鼻炎(AR)の概論として,AR の定義,分類,病名を国内外の AR 診療ガイドラインまたはガイドライン類書から考察し,妥当と思われる定義,分類,病名を紹介した.次いで,AR の臨床,臨床免疫学の歴史を,1533 年のバラ熱から現在に至るまで,主なもののみ概観した.我が国における歴史も付記した.特に,AR の診療の進歩,問題点,治療薬開発の推移,免疫療法の現状を述べた.

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第1章 概念・定義と疫学
疫 学

馬場 廣太郎  獨協医科大学 名誉教授
          一般社団法人関記念会(獨協メディカル倶楽部)理事長

要旨
 1998 年と 2008 年の2度にわたって,アレルギー性鼻炎の日本全国疫学調査を行った.耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした簡易法ではあるが,15,000 人以上が対象となり,この 10 年間の比較は可能であると考える.また,アンケート法で問題となる診断の不確実性は,専門家を対象としたことで解消できたものと思われた.スギ花粉症の著しい増加がみられたのが印象的で,通年性アレルギー性鼻炎を上回る結果となったことも,全国調査では初めてのことであった.
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第2章 病理・病態生理
鼻腔の構造・機能と鼻過敏症状

花澤 豊行   千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 准教授

要旨
 鼻腔は,肺胞での円滑なガス交換を行うために,複雑な構造と血管豊富な粘膜を有することで,呼吸道として温度と湿度調節・異物濾過を行っている.このことは,外界からの刺激より下気道を防御するという重要な役割を担う.しかし,アレルギー性鼻炎患者にみられる鼻過敏症状は,化学伝達物質による過剰な刺激に対する鼻粘膜の防御反応が,鼻アレルギーに特有な鼻粘膜過敏性によってさらに増幅され,強く発現したものであることが分かる.

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第2章 病理・病態生理
感作のメカニズム

岡野 光博    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学 准教授

要旨
 アレルギー性鼻炎における感作とは,アレルゲンに対する2型ヘルパーT細胞(Th2)型の免疫応答が成立し,特異的免疫グロブリンE(IgE)が産生され肥満細胞表面の Fcε受容体に結合することを示す.本プロセスには,遺伝的素因に代表される宿主内因子と,環境因子および抗原の感作活性など,宿主外因子がかかわる.さらに最近では,全身感作を伴わない局所感作も観察される.アレルギー性鼻炎の自然経過を制御するには,1次予防,すなわち感作の予防が重要な課題となる.

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第2章 病理・病態生理
過敏症状発現のメカニズム

白崎 英明  札幌医科大学耳鼻咽喉科 准教授

要旨
 アレルギー性鼻炎には,多くの化学伝達物質が重要な役割を演じていると考えられている.ヒスタミンは最も重要なメディエーターであるが,主にくしゃみと鼻汁に関与する.ロイコトリエンなどの脂質メディエーターは鼻閉に関与し,その特異的拮抗薬はすでに臨床応用されている.アレルギー性鼻炎では,これらの化学伝達物質が相互に作用して,アレルギー性炎症の鼻過敏症状の増悪に関与していると推定される.

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第2章 病理・病態生理
アレルギー性炎症とサイトカイン・ケモカイン

堀口 茂俊   千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 講師

要旨
 これまで,ほとんどの炎症応答は互いに排他的に調節し合う1型/2型ヘルパーT細胞(Th1/Th2)サイトカインのアンバランスで説明され,ことにアレルギー性炎症は Th2 サイトカイン有意な炎症と比較的単純なモデルで理解してきた経緯があるが,サイトカイン研究が進み,その枠組みではアレルギー性炎症をすべて説明できなくなってきている.あるサイトカインを「アレルギーにとって悪玉か善玉か」と単純に分けてアレルギー性炎症全体を単純に俯瞰することが困難になってきている.
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第3章 類縁疾患の病態と鑑別診断
鼻過敏症の鑑別診断と好酸球増多性鼻炎,血管運動性鼻炎の病態

今野 昭義    (財)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院 アレルギー・頭頸部センター 所長
            千葉大学 名誉教授

要旨
 『鼻アレルギー診療ガイドライン』では発作性反復性くしゃみ,水様性鼻汁,鼻閉を主徴とする鼻過敏症は,T型アレルギーの関与の有無,好酸球性炎症の関与の有無によって,アレルギー性鼻炎,好酸球増多性鼻炎(NARES),血管運動性鼻炎に分類されている.一方,ARIA では,アレルギー性鼻炎以外の病態不明の鼻過敏症症例を本態性鼻炎として一括している.これらの症例の病態の解明のためには,診断基準を明確にしたうえで,症例を集積し,解析を続ける必要がある.
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第3章 類縁疾患の病態と鑑別診断
アスピリン過敏症

荻野  敏    大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻看護実践開発科学 教授

要旨
 アスピリン過敏症は大きくアスピリン喘息(AIA)とアスピリン蕁麻疹に分類でき,アレルギー性鼻炎との鑑別が重要なのが AIA である.喘息,アスピリン過敏,鼻茸を trias とし,アスピリンなどの服用後,鼻炎や喘息の大発作を起す.鼻茸,嗅覚障害を高率に合併し,血中,鼻汁中,鼻茸中での好酸球の著明な増加を特徴とする.誘発物質の回避を基本に治療を行うが,鼻茸は難治性である.正確な診断が最も重要であり,さらなる知識の普及が望まれる.

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第3章 類縁疾患の病態と鑑別診断
アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎

松脇 由典  東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科 講師

要旨
 アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(AFRS)は真菌に対するアレルギー反応により生じる鼻副鼻腔炎で,1つの確立した病態として取扱われ,治療法はもとより,臨床的・基礎的研究もほかの副鼻腔炎と分けて考える必要がある.AFRS を正確に診断するためには,手術時に鼻茸や副鼻腔粘膜の病理検査だけでなく,副鼻腔内容物も病理検査に提出し,細胞診検査あるいは病理検査にて診断する必要がある.正確な診断を行うことにより,その病態にあった術後治療が可能となり,難治性あるいは易再発性と考えられている AFRS の再発率を抑えることが可能となる.

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第3章 類縁疾患の病態と鑑別診断
好酸球性副鼻腔炎

石戸谷 淳一    横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科 教授

要旨
 好酸球性副鼻腔炎は,マクロライド療法に抵抗する鼻茸中に著明な好酸球浸潤を示す慢性副鼻腔炎である.従来型の慢性副鼻腔炎と比較すると症状や臨床所見に特徴がある.術後の鼻茸の易再発性は特徴の1つであるが,経口ステロイド薬が著効する.治療方法も従来型の慢性副鼻腔炎とは異なり,術後の維持療法が重要である.好酸球性副鼻腔炎は,アレルギー性鼻炎や喘息を単に合併しただけの慢性副鼻腔炎とは区別されるべき疾患である.
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第4章 管理・治療
患者指導・教育

今野 昭義   (財)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院 アレルギー・頭頸部センター 所長
           千葉大学 名誉教授

要旨
 現在,アレルギー性鼻炎,花粉症の治療のために多彩な治療法,特に薬剤が開発されており,患者の症状に応じて選択ができる状況にある.しかし,患者側からみた治療満足度は決して高くない.治療満足度向上のためには,医師−患者のコミュニケーション,特に医師による病態・長期経過・治療法に関する説明が必要であり,効果が不十分または副作用がみられた場合には,次の治療選択肢について患者と医師が自由に話し合える雰囲気が最も大切である.

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第4章 管理・治療
抗原回避・除去の実際

本田 耕平  秋田大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科 准教授

要旨
 アレルギー性鼻炎が近年増加傾向にあり,特に花粉症の増加は大きな社会問題となっている.アレルギー性鼻炎のコントロールは,従来医療機関で行われる治療が中心であったが,最近は抗ヒスタミン薬のスイッチ OTC 薬化とともに,セルフケアによるアセスメントが重要な位置を占めるようになりつつある.抗原回避は一般には広く推奨されているものの,ダニアレルギーでは,単一抗原回避の方法のみでは,症状の改善を得たとするエビデンスは非常に少ない.抗原回避も含めた総合的なアセスメントが有用と考えられた.しかし,暴露期間が限定的で屋外で暴露されるスギに関しては,抗原回避により感作,発症予防が期待でき,抗原回避が有用と考えられる.


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第4章 管理・治療
薬物療法 1.アレルギー性鼻炎用薬の特徴と治療選択

黒野 祐一   鹿児島大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 教授

要旨
 アレルギー性鼻炎治療薬は,ケミカルメディエーター遊離抑制薬,ケミカルメディエーター受容体拮抗薬,2型ヘルパーT細胞(Th2)サイトカイン阻害薬,ステロイド薬に分類される.これらの薬剤は作用する細胞や臓器が異なり,そのため臨床効果および効果発現に要する時間にそれぞれ特徴がある.したがって,アレルギー性鼻炎を通年性と季節性とに区別し,さらにくしゃみ・鼻漏型と鼻閉型の病型を診断し,その重症度に応じた適切な薬剤を選択する.
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第4章 管理・治療
薬物療法 2.幼小児アレルギー性鼻炎の治療

太田 伸男   山形大学医学部情報統御学講座耳鼻咽喉科頭頸部外科学分野 講師

要旨
 小児アレルギー性鼻炎の症状や病態は成人と大きく異なる.就学後の児童の症状は成人と同様であるが,就学前児童や乳幼児では,症状も男女比も成人とは大きく異なる.低年齢児のアレルギー性鼻炎は男児に多く,成人に近づくほど女児が増加する.成人ではくしゃみ・鼻水・鼻閉が主症状であるが,就学前の幼少児では鼻の掻痒感が最も多く,かゆみに伴う顔面のサインや,一見癖のようなしぐさが生じている.また,小児はアレルギー性鼻炎に伴う少量の鼻汁でも鼻閉が生じやすく,睡眠時の呼吸に影響が生じる.小児アレルギー性鼻炎の症状は多彩であることを念頭に置き問診を進め,的確に診断し,速やかに治療することが重要である.小児の治療にあたっては,合併症に伴う併用薬の問題があり,薬物相互作用や副作用にも十分留意することが肝要である.
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第4章 管理・治療
妊婦のアレルギー性鼻炎と妊娠性鼻炎に対する治療上の注意点

寺田 修久    大島耳鼻咽喉科サージセンター東京 院長
           E.N.T.アライアンス 代表

要旨
妊娠したアレルギー性鼻炎患者,あるいは妊娠2〜5ヵ月より鼻過敏症状の増悪がみられる妊娠性鼻炎患者に対する治療は,時に迷うことがある.特に,花粉症患者が多数受診する時期には診療が中断してしまう.したがって,あらかじめ治療原則を決めておくことが肝要である.  アレルギー性鼻炎治療薬のうち,オキサトミド(セルテクトR),トラニラスト(リザベンR),ペミロラスト(アレギサールR)は妊婦に対しては禁忌である.添付文書にも明記されているため,妊娠のステージにかかわらず処方してはならない.原則として点鼻薬を処方する.クロモグリク酸ナトリウム,ケトチフェンが推奨される.内服薬ではセチリジン,クロルフェニラミンが推奨される.新規薬剤や発売して年が浅い薬剤は使用しない.例えば,最近発売された新規点鼻ステロイド薬は従来の薬剤よりも体内への吸収は少ないが,使用症例が少ないことから使用しない.また,ジェネリックは催奇性などの安全性試験が十分に行われていないので使用しない.

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第4章 管理・治療
免疫療法

後藤  穣   日本医科大学耳鼻咽喉科 講師

要旨
 鼻アレルギーに代表されるT型アレルギー疾患の治療は,薬物治療よりも根治療法であるアレルゲン免疫療法を行うことが理想的である.注射法による免疫療法は経験的なデータの蓄積によって発展してきたが,今後はより科学的な効果判定,作用メカニズムの解明が必要になってくる.これからのアレルギー治療は,免疫療法の位置付けを確立し,より根治的な方法を確立することが重要である.
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第4章 管理・治療
手術療法

久保 伸夫   大阪歯科大学耳鼻咽喉科学 准教授

要旨
 花粉症を含むアレルギー性鼻炎は,極めて高い抗原陽性率と罹患率と低い受診率が特徴である.レーザーなどの手術療法は,日常の服薬や清掃,定期的な通院が必要なく,多忙な患者や医療機関を受診したがらない若年者にもコンプライアンスが守りやすい治療である.花粉症には炭酸ガス(CO2)レーザーによる下鼻甲介粘膜蒸散術,鼻閉症状には粘膜下下鼻甲介切除術や上皮下下鼻甲介切除術,くしゃみにはカプサイシンによる化学的知覚機能低下術,鼻汁には vidian 神経,後鼻神経切断術,ボトックス■ による化学的神経切断術などが行われている.

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第4章 管理・治療
スギ花粉症,通年性アレルギー性鼻炎(ダニ)の自然寛解

米倉 修二   千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学
山本陛三朗  千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学
岡本 美孝   千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 教授

要旨
 アレルギー性鼻炎の自然寛解は小児ではほとんどなく,その多くが症状の改善なく成人へ移行する.中高年以降では自然寛解も認められるが,特にスギ花粉症ではその割合は低い.アレルギー性鼻炎の長期観察研究からは,特異的免疫グロブリンE(IgE)値がより低値であるほうが自然寛解しやすいとされているが,症状が寛解した症例において必ずしも感作まで陰性化するわけでなく,症状の寛解には,IgE 以外の因子も関与していると考えられる.
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第4章 管理・治療
新しい治療 1.舌下免疫療法

大久保 公裕    日本医科大学耳鼻咽喉科 教授

要旨
 T型アレルギー疾患に対する抗原特異的免疫療法(SCIT)は,1911 年の Noon L. の皮下注射による報告以来 100 年の治療経験がある.幾つかの欠点があり,残念ながら日本では標準治療にはなっていない.これを改善するために,舌下免疫療法(SLIT)が現状で最も安全で最も実用化が近い方法である.我々はスギ花粉症への SLIT の臨床試験を行ってきた.局所の違和感以外の副作用はなく,有効性としても症状スコアを減少させ,薬物使用量を減少させ,QOL の悪化を軽減する治療法であることが確かめられている.

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第4章 管理・治療
新しい治療 2.ペプチド免疫療法,DNA 免疫療法

藤枝 重治   福井大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科学 教授

要旨
 これまで 100 年にわたり減感作療法(抗原特異的免疫療法)が行われてきた.その効果は広く認められているが,約3分の1の患者が効果がないこと,またアナフィラキシーショックなどの副反応が大きな問題となってきた.そこで,用いられるアレルゲンワクチンから免疫グロブリンE(IgE)と結合するB細胞エピトープを削除し,T細胞エピトープからだけで成るペプチドが合成され,新しい免疫療法として臨床試験が行われた.しかし,理想的なペプチドは作成されておらず,臨床応用までは残念ながら進展していない.
 一方,アレルギー性鼻炎の遺伝子治療としては,Toll 様受容体9(TLR9)を利用した CpG−DNA 治療が注目を浴び,臨床試験も行われた.しかし,残念ながらこちらも十分な効果が得られず,現在のところ頓挫している状態である.ほかの型の CpG−DNA を用いたり,ナノテクノロジーを併用したりした新しい遺伝子ワクチンが開発中である.遺伝子特異的に発現を抑えることのできる small pieces of RNA(siRNA)も注目されている.まだ臨床試験は始まっていないが,多くの動物実験では良い結果が得られている.

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第4章 管理・治療
アレルギー性鼻炎の医療経済

榎本 雅夫     NPO日本健康増進支援機構 理事長
            鳥取大学医学部 客員教授

要旨
 筆者が前回本誌に「アレルギー性鼻炎の医療経済」を著したのは 2003 年であったが,現在までの 10 年間にアレルギー性鼻炎患者を取り巻く外部環境は大きく変化した.通年性アレルギー性鼻炎や花粉症の有病率は,10 年間で 20% から 50% も増加し,それに伴い,医療用医薬品の売上高も,約 20% の増加を示している.一般用医薬品(OTC 薬),間接経費,生産性への影響などの無形費用などを含めると,非常に膨大な額になる.増加する医療費に対して薬事法の改正などの抑制策が講じられているが,アレルギー性鼻炎に関しては,その医療費用を抑制する施策だけでなく,患者の治療満足度を高める効果が高く,低コストの治療法の開発が強く望まれる.

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第5章 関連疾患の病態と治療
アレルギー性結膜疾患

高村 悦子   東京女子医科大学医学部眼科 准教授

要旨
 アレルギー性結膜炎は眼掻痒感,充血,眼脂,流涙を主症状とし,その病態はT型アレルギーの即時相が主体である.スギ花粉症に代表される季節性アレルギー性結膜炎では,抗アレルギー点眼薬を第1選択とし,症状が治まらなければステロイド点眼薬を併用する.抗アレルギー点眼薬による初期療法も花粉飛散期の症状を軽減する.また,ゴーグルや眼鏡による花粉の回避や,人工涙液による洗眼などのセルフケアも有用である.

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第5章 関連疾患の病態と治療
口腔アレルギー症候群

朝倉 光司   市立室蘭総合病院耳鼻咽喉科 部長

要旨
 花粉症患者において,花粉抗原の交叉抗原を有する食物による食物アレルギーを発症することがある.口腔咽頭症状の頻度が高いことから,口腔アレルギー症候群(OAS)と称する.シラカバ花粉症ではバラ科果物による OAS が特徴的である.交叉抗原は,シラカバ花粉症では Bet v 1 および Bet v 2,その他の花粉症ではプロフィリンが重要である.重症例では,エピペン■ の携帯を考慮する.

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第5章 関連疾患の病態と治療
慢性咳嗽

内藤 健晴   藤田保健衛生大学医学部耳鼻咽喉科 教授

要旨
 慢性咳嗽の原因はアトピー素因の有無で大きく2つに分類される.アトピー素因があるものは喉頭アレルギー,アトピー咳嗽,咳喘息,アレルギー性鼻炎の後鼻漏などで,アトピー素因のないものが慢性副鼻腔炎による後鼻漏,胃食道逆流症などである.耳鼻咽喉科では喉頭アレルギーが代表格であるが,鑑別診断のため,喉頭アレルギー診断基準(2005 年案)がある.現在,的確性,使用しやすさなどの点から見直し作業が図られている.

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第6章 ガイドライン
アレルギー性鼻炎治療のガイドライン

岡本 美孝   千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 教授

要旨
 国内で広く用いられている『鼻アレルギー診療ガイドライン』について,海外で広く用いられる ARIA とも比較しながら有用性,問題点をまとめた.スギ花粉症は,海外の花粉症と比較しても特有なアレルギー性鼻炎であり,感作率,発症率を考えると,診療に際しては独立した疾患として対応を考えるべきであろう.一方,薬物の併用療法や初期治療については,今後の科学的な検討が望まれる.

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