要旨


最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 26/免疫4
食物アレルギー



第1章 食物アレルギーの概念と疫学
食物アレルギーの定義と概念

海老澤元宏  独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター
          アレルギー性疾患研究部 部長

要旨
 食物アレルギーとは食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な反応を来す現象を言い,症状として皮膚/粘膜症状・消化器症状・呼吸器症状・アナフィラキシーが起りうる.免疫学的機序の多くは IgE 抗体によるものが多いが,IgE 抗体に依存しない未解明な機序も考えられている.近年食物アレルギーは先進国において小児を中心に成人でも増加傾向にあり,我が国も例外ではなく増加傾向にあると考えられている.

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第1章 食物アレルギーの概念と疫学
食物アレルギーの疫学

今井 孝成 独立行政法人国立病院機構相模原病院小児科

要旨
 食物アレルギーが近年増加している.しかし,つい最近まで我が国では大規模な食物アレルギー疫学調査が行われたことはなかった.食物アレルギーが社会問題化する中,我が国における初めての食物アレルギー疫学調査が厚生労働省食物アレルギー疫学研究班によって平成 10・11,13・14 年度に行われた.厚生労働省はその結果をもとに平成 14 年度から食品衛生法を改正し,アレルギー物質を含む食品の表示法が施行された.

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第2章 食物アレルギーの病態
腸管粘膜免疫システムと経口免疫寛容

八村 敏志 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻 助教授

要旨
 腸管は食物を消化吸収する器官であると同時に,外界と接する粘膜組織であるため,ここには最大級の免疫組織が存在する。病原体に対する免疫グロブリンA(IgA)抗体産生を始めとする免疫応答が誘導される一方で、食物タンパク質に対しては、過剰な免疫応答を抑制する機構「経口免疫寛容」が働いている。



第2章 食物アレルギーの病態
食物アレルギーの発症メカニズム

下条 直樹 千葉大学大学院医学研究院小児病態学 講師
小島 博之 医療法人社団桐和会篠崎駅前クリニック 院長

要旨
 食物抗原に対するタイプ1あるいは調節性T細胞の誘導機構の異常が食物アレルギーの発症につながる.病態としては液性および細胞性免疫の両者が関与しているが,近年,傷害臓器の決定におけるT細胞上のケモカイン受容体・ホーミング受容体発現の解析が進んできている.今後は,胎児の免疫反応性を規定する胎内因子の同定に基づく発症予防ならびに遊走T細胞に対する傷害臓器血管内皮細胞上のアドレシン発現調節機構の解明が重要な研究課題である.

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第2章 食物アレルギーの病態
食物アレルギーの遺伝

近藤 直美 岐阜大学大学院医学研究科小児病態学 教授
桑原 愛美 岐阜大学大学院医学研究科小児病態学

要旨
 食物アレルギーはアレルギー疾患群の中の重要な一つの疾患である.食物が原因で,アレルギー反応が起き,症状が出現する.食物アレルギーを来す遺伝的背景は,全身的なアレルギーの遺伝的背景と,それに加えて消化管機能の問題もあると考える.後者の遺伝については,まだ検討がほとんどなされていない.したがって,アレルギーの遺伝的背景を中心に概説した.特に食物抗原認識,IgE 産生亢進に関する遺伝的背景,遺伝子につき述べた.



第2章 食物アレルギーの病態
食物アレルゲン

穐山  浩  国立医薬品食品衛生研究所食品部 第三室長
吉岡 靖雄 国立医薬品食品衛生研究所食品部
松田りえ子 国立医薬品食品衛生研究所食品部 第四室長
米谷 民雄 国立医薬品食品衛生研究所食品部 部長

要旨
  我が国で表示が義務づけられた特定原材料5品目である,卵,牛乳,小麦,そば,落花生の主要アレルゲンの種類や性質について解説した.卵はオボアルブミンおよびオボムコイドなど,牛乳はカゼインおよび b-ラクトグロブリンなど,小麦はグリアジンなど,そばは 24kD タンパク質など,落花生は Arah1,Arah2 などが主要アレルゲンである.



第2章 食物アレルギーの病態
食品添加物

鈴木 修一 千葉大学大学院医学研究院小児病態学

要旨
 アレルギー疾患の有症率は近年増加しており,食環境の変化との関連から食品添加物が注目されてきている.しかし,加工食品の微量構成成分である食品添加物のアレルギー症状への関与の機序は,微量のタンパク質に対する即時型反応以外は不明の点が多く,特に化学的合成品の関与についての評価方法は確立していないのが現状である.今後,食品添加物がアレルギー症状の増悪因子や発症因子となる可能性についての研究の蓄積が望まれる.



第2章 食物アレルギーの病態
特殊な食物アレルギー:食物依存性運動誘発 アナフィラキシー・口腔アレルギー症候群

相原 雄幸 横浜市立大学市民総合医療センター小児科 助教授

要旨
 食物アレルギーの特殊な病態である二つの疾患について概説する.食物依存性運動誘発アナフィラキシーは,食物摂取後の運動負荷によりアナフィラキシー症状が誘発される.ただし,食物摂取単独,あるいは運動単独では症状の発現はない.一方,口腔アレルギー症候群は,スギ花粉症など花粉抗原との交差抗原性のために新鮮な果物や野菜を摂取した際に口腔内刺激感や咽喉頭閉塞感を呈する疾患で,近年増加傾向にある.



第3章 食物アレルギーの臨床像
食物アレルギーの臨床症状

小倉 英郎 独立行政法人国立病院機構高知病院 副院長

要旨
 食物アレルギーの臨床症状は,食物摂取後2時間以内に症状を発現する即時型の場合は因果関係の確認が比較的容易であるが,非即時型の場合は,因果関係を明らかにすることが必ずしも容易ではない.最も正確な診断方法は,覆面型食物アレルギーの概念に基づいた経口誘発試験を実施することであるが,国際的にみても必ずしも普及しているとは言い難い状況にある.そこで,若干,方法に差異があるものの,経口誘発試験を実施している文献を中心に引用し,各疾患における食物アレルギーの関与の程度から3群に分けて解説した.  大部分の症例に関与する疾患として,口腔アレルギー症候群,食物依存性運動誘発アナフィラキシー,即時型消化管アレルギー,食物過敏性腸炎症候群,食物過敏性大腸炎が挙げられることは,疾患の定義上,異論のないところであるが,アトピー性皮膚炎が文献上,このグループに入った.相当数の症例に関与する疾患としては,蕁麻疹,気管支喘息,片頭痛,アナフィラキシーなどが挙げられた.ごく一部の症例に関与する疾患は,食物アレルギーの関与がまれであるため,その文献の多くは症例報告であった.  これらの疾患における食物アレルギーの関与の程度は必ずしも一定ではないが,個々の症例において,食物アレルギーの関与を明らかにすることは,病因究明と治療上重要であることは言うまでもない.



第3章 食物アレルギーの臨床像
食物アレルギーの診断

有田 昌彦 ありた小児科・アレルギー科クリニック 院長

要旨
 食物アレルギーは,原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象と定義されるが,すべての免疫機序を証明できる検査法はない.そこで現時点では,十分な問診と皮膚テストや特異 IgE 抗体など簡便に行える免疫学的検査により感作を確認し,最終的には食物除去試験,食物負荷試験などによって総合的に診断を進めることになるが,一定の経験やアレルギー学の知識も必要である.



第3章 食物アレルギーの臨床像
食物負荷試験

柴田瑠美子 国立病院機構福岡病院小児科 医長
  
要旨
 食物経口負荷試験は,食物アレルギーの最も確実な診断法である.アレルゲン食品の確認,個々の食物過敏性をより正確に判断し除去食療法を進めるために行われ,食物アレルギーの耐性化確認にも必須の検査法である.食物アレルギーではアナフィラキシーからアトピー性皮膚炎まで,食品とのかかわりは個々の症例で異なるため,適切な検査時期と負荷試験法を選択して,誘発症状に対応できる体制で行う必要がある.

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第3章 食物アレルギーの臨床像
皮膚テストとin vitro検査によるアレルゲンの同定

冨板美奈子 千葉大学医学部附属病院小児科

要旨
 食物アレルギーの原因アレルゲンの同定のための皮膚テストとして,即時型アレルギーの検査にはプリックテスト,遅延型アレルギーの検査としてはパッチテストが最もよく行われる.In vitro 検査ではアレルゲン特異 IgE 抗体の測定が頻用されるが,ヒスタミン遊離試験も参考になる.これらの検査を順序立てて行い,食物負荷試験と組み合わせることで,原因アレルゲンの特定が可能となる.また,食品側の微量アレルゲン混入の検査にも便利なキットが開発されている.

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第3章 食物アレルギーの臨床像
食物アレルギーとアレルギーマーチ

山口 公一 同愛記念病院小児科 医長

要旨
 アトピー性皮膚炎や気管支喘息,アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患が,原因と発症臓器を異にして同一個体に次から次へと一つの流れのように発症する現象をアレルギーマーチ(Allergy March)と言う.乳児期など比較的早期に発症する食物アレルギーはそのアレルギーマーチをスタートさせる重要な因子の一つとして位置づけられており,また,気管支喘息などでは難治化・重症化させる因子の一つとして指摘されている.

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第4章 食物アレルギーの治療と予後
食物アレルギーの治療と生活管理

眞弓 光文  福井大学医学部小児科学 教授

要旨
 食物アレルギーの治療にあたっては,原因食物の同定を含め,正確な診断が何よりも重要である.治療は出現した症状の軽減・消失と再出現防止のために行われ,薬物療法と原因食物除去が主体となる.薬物治療は個々の薬剤の作用を理解したうえで適切な薬剤を選択し,実施する.食物除去は,その功罪の理解に基づいて必要性を適切に判定するとともに,実施上の注意事項をよく理解して,実施する.食物アレルギーを早期に治癒に導く治療法や,さらに進んで,食物アレルギーの獲得を予防する治療法はいまだ不明で,今後の研究の進歩を待たなければならない.

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第4章 食物アレルギーの治療と予後
食物アレルギ−に対する薬物治療・選択基準

岩田  力 東京大学大学院医学系研究科生殖発達加齢医学専攻
        小児医学講座発達発育学分野 助教授

要旨
 食物アレルギーに対する薬物療法は,対症療法と予防療法とに分けられる.対症療法は全身症状に対するものと局所症状に対するものに分けて考えられる.いずれも即時型の反応の場合は速やかな抗ヒスタミン薬の使用が必要である.予防にはクロモグリク酸ナトリウムの食前内服を行う.2歳未満では1回 50mg,2歳以上では1回 100mg を内服する.効果は 60% 以下であり,除去食に換えうるものではない.

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第4章 食物アレルギーの治療と予後
アナフィラキシーショックなどへの救急対応

勝沼 俊雄 東京慈恵会医科大学小児科学 講師
赤司 賢一 東京慈恵会医科大学小児科学
柴田  淳  東京慈恵会医科大学小児科学
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学小児科学 教授

要旨
 食物アレルギーの症状は多彩であり,軽症から重症までの病型を示す.アナフィラキシー時には,迅速な診断に基づく早急な治療開始が重要である.エピネフリン投与を中心とした治療の迅速性が致死リスクを緩和する.特殊な病型に食物依存性運動誘発性アナフィラキシーがある.食物アレルギーの基本治療は原因食物除去であり,患者教育が重要である.同時に食品成分表示の潮流がさらに広がることを期待したい.

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第4章 食物アレルギーの治療と予後
除去食療法の実際と代替食品

小倉由紀子  独立行政法人国立病院機構高知病院臨床研究部・アレルギー研究室 室長

要旨
 除去食療法は,原因となっている食物アレルゲンを取り除くことにより,症状発現を予防することのできる根治療法である.覆面型食物アレルギーが主体を占めるアトピー性皮膚炎では,偶然食べて強い反応の見られたものや,放射性アレルゲン吸着試験(RAST)が強陽性の食物のみを除去しても,アレルギー症状は完治せず,経口負荷試験に基づいた正しい食物アレルゲンの診断とアレルギー用代替食品をうまく用いた除去食療法が必要である.

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第4章 食物アレルギーの治療と予後
食物アレルギーへの免疫療法

宇理須厚雄 藤田保健衛生大学坂文種報徳曾病院小児科 教授

要旨
  無修飾の食物抗原による免疫療法がヒトでも行われているが,過敏症状を惹起することがあり,安全性に問題がある.安全性と有効性を確保するために,修飾食物抗原による免疫療法が試みられている.筆者らは低アレルゲン化加熱脱オボムコイド卵白による経口免疫療法を実施し,約5割の鶏卵アレルギー患者で寛解誘導に成功している.IgE エピトープを破壊したリコンビナントアレルゲンによる免疫療法も動物モデルで試みられている.

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第4章 食物アレルギーの治療と予後
食物アレルギーの予知と予防

山出 晶子 千葉県こども病院アレルギー科
河野 陽一 千葉大学大学院医学研究院小児病態学 教授

要旨
 食物アレルギー発症の予知因子として,アレルギーの家族歴,臍帯血 IgE 値の特異度は高いが感度が低い.妊娠後期から授乳期にかけての母親および児に対する食物除去は,乳児期までの食物アレルギーの発症率を低下させることができるが,幼児期以降の発症率に差は認められず,長期的な予防効果は期待できない.食物除去を行う際には,期待できる効果を正しく理解し,その必要性を判断すべきである.

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第4章 食物アレルギーの治療と予後
食品除去の解除と予後

伊藤 節子 同志社女子大学生活科学部食物栄養科学科 教授
要旨
 
食品除去の解除は,食物アレルギーの治療開始の時点で始まっており,「食べること」を目的とした最小限度の食品除去と児の成長に伴い積極的に解除を図ることが大切である.食物アレルゲンによる感作の成立とその後の経過の鍵を握る critical period は乳児期にあり,離乳食の進め方の工夫と早期よりの住環境整備の開始が重要である.1歳以降は,即時型反応を惹起しないように注意しながら徐々に除去の解除を進めていく.

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第4章 食物アレルギーの治療と予後
成人期の食物アレルギー

池澤 善郎 横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学 教授

要旨
 成人期の食物アレルギーは,概して小児期の食物アレルギーに比べると少ないが,最近は,口腔アレルギー症候群(OAS)やアナフィラキシーなどの即時型食物アレルギーが増える傾向にあるように思われる.OAS は,従来の食物アレルギーと異なり,多くは花粉症やラテックスアレルギーの患者に見られるもので,花粉やラテックスの吸入感作(経気道感作)や接触感作(経皮感作)によって交差反応性の果物や野菜などによる食物アレルギーが生じることが特徴的である.このように感作抗原と誘発抗原が同一でなく,交差反応によって生じる食物アレルギーによる OAS は,感作抗原と誘発抗原が同一である従来のクラスT食物アレルギーから区別してクラスU食物アレルギーに分類されている.本稿では,食物アレルギーをこのクラスTとクラスUに分け,成人期の食物アレルギーの診断と治療について解説した.

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第5章 食物アレルギーと社会的対応
食物アレルギーへの社会的対応の必要性と現状

今井 孝成  独立行政法人国立病院機構相模原病院小児科
海老澤元宏 
独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター

要旨
 食物アレルギー患者が増えてきている.これまで大規模な有病率調査が行われたことがないために,実数値としてその増加を示すことはできないが,日常臨床の中で,食物アレルギー患者が増えてきていることには間違いない.こうした患者数の増加に伴い,食物アレルギーは社会問題化し,その注目度や認知度も変化してきている.今回は食品衛生法の改正の紹介を中心に,現時点における食物アレルギーの社会的対応の現状とその問題点を論じて行く.

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第5章 食物アレルギーと社会的対応
食物アレルギー児と家族のQOL

赤澤  晃 国立成育医療センター総合診療部小児期診療科 医長

要旨
 食物アレルギー患者の生活の質(QOL)を正確に測定する調査用紙は,まだ世界的にない.対象患者の年齢が小さいことから,本人と家族の両面から評価していく必要がある.食物アレルギーは,除去食以外積極的な治療法がないので,除去食を本人と家族が容易に実施できる社会の理解とサポート体制を整備していくことが QOL の向上につながる.

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第5章 食物アレルギーと社会的対応
食物アレルギー児と養育者への心のケア

大矢 幸弘 国立成育医療センター第1専門診療部アレルギー科 医長

要旨
 
食物アレルギー児を抱える養育者は,事故による不安だけでなく,周囲の理解が得られにくいことへのストレスを感じていることが多い.子供自身は意外に平気なことが多いが,養育者の心理的負担は大きい.食物アレルギーは個別のケースに合わせたケアが必要となることが多く,適切な種類の行動療法(認知行動療法)を選択することが大切である.また,個別の対応だけでは養育者の不安を解消するには不十分で,食物アレルギーに対する社会的な理解が深まるよう啓蒙活動を行っていく必要がある.

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第5章 食物アレルギーと社会的対応
食品表示の現状と問題点

今村 知明 東京大学医学部附属病院企画情報運営部 助教授

要旨
 
平成 14 年から食品衛生法においてアレルギー物質を含む食品の表示が義務化された.具体的に表示を義務化したものは,卵,乳,小麦,そば,落花生の5項目で,表示を推奨したものが,えび,くるみ,さば,大豆などの 19 項目,これにバナナが新たに加わることとなった.制度の創設は実態調査などの結果を踏まえたものであったが,食物アレル ギーの誘発閾値の問題など制度として成熟していない面も多くあり,今後の課題が残されている.

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第6章 食物アレルギー治療ガイドライン
食物アレルギー診断と治療ガイドライン

向山 徳子 同愛記念病院小児科 部長

要旨
 近年,食物アレルギーの増加に伴い,食物アレルギーの小児に対する治療として,特に適切な除去食の指導が求められている.しかし,我が国においては,これまで食物アレルギーの定義,診断,治療などが十分に検討されてこなかった状況がある.このようなところから,2000 年4月に日本小児アレルギー学会において,食物アレルギー委員会が立ち上げられ,食物アレルギーの定義,診断,治療などにつき討議を重ねてきた.その概要と今後の課題につき述べる.

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第7章 食物アレルギーの治療への展望
低アレルゲン化食品と抗アレルギー食品

戸塚  護 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻 客員助教授

要旨
 食物アレルギー患者の十分な栄養摂取,食生活の QOL 向上には低アレルゲン化食品の開発が必要である.牛乳,米,小麦および大豆についてはアレルゲンの酵素分解,育種学的手法などにより低アレルゲン化食品が開発され,すでに市販されている.また,抗アレルギー作用をもつ食品成分が見いだされ,アレルゲン特異的なアレルギー抑制についても研究が進められている.これらの有効利用によるアレルギーの予防や治療が今後期待される.

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第7章 食物アレルギーの治療への展望
プロバイオティクスと食物アレルギー

松本 健治 国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部アレルギー研究室 室長

要旨
 プロバイオティクスとは,1998 年 Salminen らによって「宿主に保健効果を示す生きた微生物を含む食品」と再定義された食品を指す.乳幼児の食物アレルギー患者に対するプロバイオティクスの投与は臨床症状の改善をもたらす可能性が報告されている.しかし,その作用機序に関しては不明な点が多く残されており,今後の研究の進展が望まれる.

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