要旨


最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 35/消化器5
大腸腺腫・大腸癌



第1章 概念・定義と疫学
概念・定義

上野 秀樹   防衛医科大学校外科学第一講座 講師
望月 英隆   防衛医科大学校外科学第一講座 教授
橋口陽二郎  防衛医科大学校外科学第一講座 講師
石黒めぐみ   防衛医科大学校外科学第一講座

要旨
 大腸腺腫・大腸癌の定義に関しては,粘膜癌の規定をめぐって欧米と日本で格差がある.この診断格差の是正を意図して国際コンセンサス分類 Vienna classification が作成された.一方,国内においても大腸腺腫・大腸癌の分類に変更を求める声があり,改訂作業が進んでいる新『大腸癌取り扱い規約』において,それぞれ旧版と異なった分類が規定されている.大腸腺腫・大腸癌の概念と定義について,新しく改訂される領域を含めて概説した.

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第1章 概念・定義と疫学
疫 学

押谷 伸英  大阪市立大学医学部消化器器官制御内科学 助教授
荒川 哲男  大阪市立大学医学部消化器器官制御内科学 教授

要旨
 消化器癌の死亡率に関しては欧米では胃癌の減少傾向と大腸癌の増加傾向があり,我が国も食生活の欧米化に伴い欧米に追従している.我が国における消化器癌の疾病構造に関して疫学的検討を加え,その状況に関して検討する.

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第2章 病因・病理・病態生理
大腸の解剖と発生

岡  敦子   日本医科大学生物学教室 教授

要旨
 原腸形成後に管状化する中腸と後腸は,発生に伴って伸長し,頭尾軸に沿って大腸の諸器官を形成していく.大腸の各部位では腸管の放射軸に沿って組織が構築され,組織間相互作用のもとに,内胚葉は細胞再生系を持つ陰窩上皮へと分化を遂げる.幹細胞を中心とした上皮の細胞再生系は,成人においても生涯維持される.大腸の形成や維持の分子機構はまだ充分には解明されていないが,それにかかわる因子の一部がようやく明らかになりつつある.



第2章 病因・病理・病態生理
腺腫から早期癌−大腸癌の組織発生と発育進展−

味岡 洋一  新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野 教授
西倉  健   新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・病態病理学分野 助教授
渡辺  玄   新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野

要旨
 腺腫と早期癌との関連を軸に,大腸癌の組織発生と発育進展についての諸説を概説した.自験例の検討から得られた結果からは,腺腫には癌化のポテンシャルがあり,粘膜内癌の多くは腺腫が癌化したものであるが,進行癌へ至る粘膜内癌の主体はde novo癌と考えられた.また,進行癌へ至る発育進展(肉眼形態変化)の起点としては,表面型de novo癌が重要と考えられた.

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第2章 病因・病理・病態生理
大腸陥凹型早期癌と拡大内視鏡

鎮西  亮   昭和大学横浜市北部病院消化器センター
工藤 進英  昭和大学横浜市北部病院消化器センター 教授

要旨
 大腸早期癌や腺腫の生物学的悪性度は,形態により大きく異なることが知られている.Uc(陥凹型病変)は発生過程で腺腫を介さず正常粘膜から直接発生するというde novo癌であり,極めて小さいうちからsm浸潤し,進展が早いものと考えられている.このような病変を早期発見し,拡大観察を含む正確な術前診断により的確に治療することが重要である.



第2章 病因・病理・病態生理
大腸癌の広がり方と病期分類

大倉 康男  杏林大学医学部病理学 助教授

要旨
 大腸癌の病期分類は,癌の広がりの程度を分類し,患者の治療方針を決定する際の指標となるものである.古くからDukes分類が用いられてきたが,TNM分類がそれに代わるものとして現在では世界的に使われている.一方,日本では『大腸癌取り扱い規約』の病期分類が用いられている.それらの病期分類の時代変遷,相違について概説した.また,改訂予定の『大腸癌取り扱い規約』の病期分類を示した.



第2章 病因・病理・病態生理
潰瘍性大腸炎に合併する大腸腫瘍

藤井 茂彦   獨協医科大学病理学(人体・分子)
武川賢一郎   獨協医科大学病理学(人体・分子)
吉竹 直人    獨協医科大学病理学(人体・分子)
千葉  勉    京都大学大学院医学研究科消化器病態学 教授
藤盛 孝博   獨協医科大学病理学教室(人体・分子)教授

要旨
 潰瘍性大腸炎に合併する大腸腫瘍の発生はdysplasia-carcinoma sequenceに基づくと考えられており,前癌病変であるdysplasiaの診断が重要である.しかし,その肉眼像は平坦型が,また組織像も細胞異型の乏しい病変が多く,診断に苦慮することが多い.そのため,分子生物学的手法を用いた補助的診断も必要である.



第2章 病因・病理・病態生理
ポリポーシス症候群

久部 高司   福岡大学筑紫病院消化器科
松井 敏幸   福岡大学筑紫病院消化器科 教授

要旨
 消化管ポリポーシスとは,一般に100個以上のポリープを認めたもので,さまざまな随伴症状を伴う全身性疾患であり,癌のハイリスクと見なされているものも多い.ポリポーシスは組織学的に上皮性と非上皮性あるいは遺伝性と非遺伝性に大別され,さらに腺腫性,過誤腫性,過形成性などに分類される.肉眼的,組織学的に多彩な形態を示し,表現型と遺伝子学的検討から新たな疾患概念や大腸癌の発生機序に関する研究など,さまざまな病態を解明する手掛かりとなっている.



第2章 病因・病理・病態生理
大腸癌関連遺伝子

妹尾  浩   京都大学大学院医学研究科消化器病態学
千葉  勉   京都大学大学院医学研究科消化器病態学 教授

要旨
 大腸癌は,その進展過程における遺伝子異常の解析が比較的進んでいる癌の1つである.散発性大腸癌ではAPC,K-Ras,p53など複数の遺伝子が重層的に変異を来すことに よって発癌に至る.遺伝性非ポリポーシス性大腸癌(HNPCC)ではミスマッチ修復酵素の異常により,マイクロサテライト配列を持つ遺伝子が機能を失い,癌を生じる.複雑多岐にわたる大腸癌の遺伝子異常について,代表的なものを概観する.



第2章 病因・病理・病態生理
大腸非腫瘍性ポリープの病理

西上 隆之    兵庫医科大学病理学第2講座 教育教授
小野寺正征    兵庫医科大学病理学第2講座
佐藤 鮎子     兵庫医科大学病理学第2講座
辻村  亨      兵庫医科大学病理学第2講座 教授
要旨
 大腸に発生する非腫瘍性ポリープの中で,Peutz-Jeghers polyp,Cronkhite-Canada症候群,若年性ポリープ,過形成ポリープ,Cowden病,cap polyposis,炎症性線維性ポリープ,良性リンパ濾胞性ポリープ,炎症性ポリープ,粘膜ひも,粘膜脱症候群,colonic muco-submucosal elongated polyp,膿原性肉芽腫,腸管D胞状気腫症,子宮内膜症,クラミジア腸炎について概説した.



第2章 病因・病理・病態生理
実験病理から見たACFから大腸癌

高山  哲治   札幌医科大学医学部内科学第四講座 講師
林   毅     札幌医科大学医学部内科学第四講座
新津洋司郎   札幌医科大学医学部内科学第四講座 教授
  
要旨
 Aberrant crypt foci(ACF)は,大腸発癌物質を投与したマウスやラットの大腸に,実体顕微鏡下に観察されるメチレンブルーに濃染する微小病変として報告された.ACFは,K-ras やβ-catenin などの遺伝子異常ならびに細胞増殖活性の亢進が認められ,前癌病変と考えられている.一方,ヒトのACFに関する研究も蓄積されつつある.ヒトACFは,K-rasなどの遺伝子異常を有することが報告され,APCやその他の遺伝子異常が蓄積して腺腫,ひいては癌に進展すると考えられる.

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第3章 診断
大腸癌検診

日下 利広  京都桂病院消化器センター 内科 副部長
鳥居 惠雄  京都桂病院消化器センター 内科 部長
山川 雅史  京都桂病院消化器センター 内科
武田 康宏  京都桂病院消化器センター 内科
浜田 暁彦  京都桂病院消化器センター 内科

要旨
 我が国における大腸癌の罹患率および死亡率は,高齢化や食事の欧米化などにより年々増加している.大腸癌死亡の抑制には,早期発見・早期治療による2次予防が重要であり,我が国でも,老人保健法下での大腸癌検診が推奨された結果,全国的に便潜血検査による検診が広まった.しかし,その感度・特異度の問題のため,内視鏡やVirtual Colonoscopyによる検診,糞便の遺伝子異常解析を組み合わせた検診などが考案されている.本稿では,大腸癌検診および大腸癌スクリーニングの現状と問題点および展望について概説する.

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第3章 診断
大腸癌検査法:(1)内視鏡,注腸

井上  崇   神戸海星病院内科 医長
三戸岡英樹  神戸海星病院内科 副院長

要旨
 近年大腸癌は比較的早期に発見される機会が多くなっている.大腸検査法の現在に至るまでの歴史を紹介し,現在の注腸X線検査・内視鏡双方の基本的な手技と診断法を解説する.どちらの検査も大腸癌診断に欠かせない検査法であり,最適な治療を選択するために病理診断により近い臨床診断が行われなければならない.

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第3章 診断
大腸癌検査法:(2)EUS,CT,MRI

起塚 裕美   先端医療センターPET診療部
杉村 和朗   神戸大学大学院放射線科 教授

要旨
 大腸癌の診断においては,腫瘍の検出とともに検出された腫瘍の病期診断が重要である.病期診断を行うにあたっては@深達度,Aリンパ節転移,B遠隔転移の有無の評価が必要となる.現在,超音波内視鏡(EUS),CT,MRI,PET/PET-CTにより診断が行われている.本稿ではそれぞれの検査の特性と検査所見について解説した.

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第3章 診断
大腸腫瘍内視鏡図譜

田村  智   高知大学医学部附属病院光学医療診療部 助教授

要旨
 現在,日本消化器内視鏡学会において一般的に用いられている,大腸腫瘍性病変の肉眼形態について,症例を用いて解説した.LSTという名称は,大腸癌取り扱い規約に記載されていないが,本邦においては一般的に用いられているため,亜分類を含めて提示した.また,腺腫が多い形態と,癌が多い形態があるため,両者を混在させて提示した.pit patternも日常診療において非常に有用であるため,簡単な解説を加えた.

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第4章 管理・治療
大腸癌と食事

藤瀬 剛弘   佐賀大学医学部内科
藤本 一眞   佐賀大学医学部内科 教授

要旨
 近年我が国における食生活の欧米化に伴い,大腸癌の罹患率,死亡率は顕著な増加を認めている.肥満,脂肪摂取,食物繊維,ビタミン・ミネラルなどさまざまな因子が大腸癌の発生や進展に関与しているとされている.しかし,疫学的研究において一定の見解がないものや,動物実験などでの結果と乖離するなどの問題もある.大腸癌の発生において環境因子は非常に重要な役割を果たしており,今後さらなる検討が必要である.

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第4章 管理・治療
内視鏡的治療:(1)ポリペクトミー,EMR

田中 信治  広島大学病院光学医療診療部 部長
岡  志郎   広島大学病院光学医療診療部

要旨
 安全かつ標準的なポリペクトミー,内視鏡的粘膜切除術(EMR)による一括切除の限界は,スネアサイズによって規定され,一般に径20mm程度までの病変である.出血に対しては,クリップや止血鉗子が有用であるが,有茎性ポリープには留置スネアによる予防法が可能である.一括切除不能な大腸腫瘍はその病変の特性によって治療法が異なってくるが,大きな大腸腫瘍のうち,特にいわゆる結節集簇病変は腺腫主体のものが多く,詳細な術前精密診断のもと計画的分割切除が容認される.

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第4章 管理・治療
内視鏡的治療:(2)ESD

島岡 俊治   虎の門病院消化器科
矢作 直久   虎の門病院消化器科 部長

要旨
 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の出現によって消化管の内視鏡的切除の適応拡大の可能性が期待されている.大腸のUcなどの陥凹型病変や偽陥凹型,結節混合型の側方発育型腫瘍(LST)は粘膜下浸潤の可能性もあり一括切除による詳細な病理組織学的検索を行う必要があるため,ESDの良い適応と考えられる.また,瘢痕を伴う病変や屈曲部にあり従来法では切除困難な病変などに対しても有用性が高い.しかしながら,難易度が高く,偶発症の危険性があることを認識する必要がある.

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第4章 管理・治療
大腸sm癌のリンパ節転移危険因子

喜多嶋和晃   大分大学医学部第三内科
藤盛 孝博    獨協医科大学病理学教室(人体・分子)教授

要旨
 大腸癌研究会sm癌取扱いプロジェクト委員会では,大規模なアンケート調査を行い,大腸sm癌の臨床病理学的因子とリンパ節転移の関係について検討した.sm浸潤度については,有茎型病変と非有茎型病変に分類し,それぞれ基準線を設定して浸潤距離の測定を行った.その結果,非有茎型病変ではsm浸潤距離 1,000mm未満,有茎型病変では,リンパ管侵襲陰性である頭部限局(head invasion)症例と,3,000mm未満の茎部浸潤(stalk invasion)症例にはリンパ節転移を認めなかった.

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第4章 管理・治療
外科療法:(1)Stage0〜V

小川 真平   東京女子医科大学第二外科学教室 准講師
亀岡 信悟   東京女子医科大学第二外科学教室 主任教授

要旨
 『大腸癌治療ガイドライン』の治療指針と現行の『大腸癌取扱い規約』に基づいて,現時点でのStage0〜V大腸癌に対する外科療法について解説した.治療法は画一的ではなくそれぞれの症例によってさまざまであり,術前評価をできるだけ正確に行い過不足のない最も至適な治療法を選択することが重要である.また,診断法および治療法は日々進歩しており,今後も随時改訂が行われるものと思われるが,それらを熟知し最良の医療が提供できるよう研鑽を積むことが必要である.

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第4章 管理・治療
外科療法:(2)StageW

緒方  裕    久留米大学医学部外科学講座 助教授
白水 和雄   久留米大学医学部外科学講座 主任教授

要旨
 遠隔転移を伴う大腸癌の外科治療戦略について述べる.肝転移と肺転移は積極的な切除により良好な予後が期待できる.また,再々発に対しても切除可能であれば再切除が勧められる.従来切除不能と考えられた肝転移に対しては,マイクロ波熱凝固療法(MCT)やラジオ波熱凝固療法(RFA)などの熱凝固療法を併用し切除を可能にすることで生存率の向上を期待したい.腹膜播腫や遠隔リンパ節転移に対する切除の有効性は確認されていないが,外科治療を臨機応変に適応し,他の局所療法や全身化学療法を含めた集学的治療の一環と位置付けて治療成績の向上に努めることが肝要である.

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第4章 管理・治療
大腸癌外科療法後の管理・治療

渡邉 聡明   東京大学大学院医学系研究科臓器病態外科学講座腫瘍外科学 助教授
名川 弘一   東京大学大学院医学系研究科臓器病態外科学講座腫瘍外科学 教授

要旨
 大腸癌外科療法後の管理・治療としては,再発の早期発見を目指したサーベイランスおよび治癒切除後の再発ハイリスク症例に対する補助化学療法が重要である.サーベイランス対象および方法に関しては,大腸癌治療ガイドラインで指針が示されている.補助化学療法としては5-FU/LV療法が標準治療であるが,最近は,経口抗がん剤の効果が注目され,経口抗がん剤であるUFT/LV療法の有用性が示されている.

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第4章 管理・治療
化学療法と放射線療法

津田南都子   国立がんセンター 中央病院消化器内科
濱口 哲弥    国立がんセンター 中央病院消化器内科

要旨
 大腸癌の化学療法は,手術不能進行例,再発例に対して,生存期間の延長や症状緩和の目的で施行される.近年 5-フルオロウラシル(5-FU)に加えてイリノテカン,オキサリプラチンが開発され,化学療法の成績は飛躍的に進歩し,これら3剤の効果的な使用が生存期間の延長に貢献することが明らかとなった.また本邦では未承認ではあるが,分子標的治療薬の使用により生存期間はさらなる延長が期待される.現在までに発表されている臨床試験結果を中心に,大腸癌の化学療法について概説する.

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第4章 管理・治療
末期大腸癌患者の管理・治療

西崎  朗   兵庫県立成人病センター消化器内科

要旨
 末期大腸癌患者は,疼痛・全身倦怠感・食欲不振などの症状を呈し,消化管通過障害・黄疸などを合併してくる.化学療法に妥当性はなく対症療法が中心となるが,薬剤・ベッドサイド手技・内視鏡的治療・外科的治療を駆使することで,症状緩和を図ることが可能である.また,精神的なサポートにより,患者は不安に立ち向かうことができる.末期大腸癌患者が,より人間的な人生の終焉を迎えられるよう,十分なサポートをしてゆきたい.

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第4章 管理・治療
医療経済と科学的根拠に基づいた大腸ポリープ内視鏡切除後のサーベイランス

佐野  寧    国立がんセンター東病院内視鏡部 医長
藤井 隆広    藤井隆広クリニック内科 院長
吉田 茂昭    国立がんセンター東病院内視鏡部 院長

要旨
 我が国において大腸癌は死亡率,罹患率共に年々漸増しており,大腸癌死亡率の抑制のためにはスクリーニングのコンプライアンスを高める対策とともに,増加する全大腸内視鏡施行後の経過観察のプログラムの確立が急務である.本稿では,大規模臨床試験から得られた大腸ポリープ内視鏡切除後のサーベイランスについて概説した.現時点での大腸ポリープ内視鏡切除後の経過観察期間は@3〜5年後が適切,A分割切除など遺残再発の危険が高い場合はより短期間(例えば6ヵ月)での経過観察が必要,とまとめられた.

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第5章 ガイドライン
大腸癌治療ガイドライン−評価委員の立場から−

澤田 俊夫   群馬県立がんセンター消化器外科 院長

要旨
 一般臨床医が大腸癌治療法の選択に迷った場合に,意志決定の判断材料となるべく構成されている.特に内視鏡的摘除 sm 癌追加切除の適応,血行性転移の治療法,術後サーベイランス法など,大腸癌研究会のデータに基づいた治療方針が提示されているので,具体的でかつ分かりやすい.今後,データのエビデンスレベルを高め,個々のデータのエビデンスレベルを表示し,エビデンスレベルの高い成績で構成されたガイドラインに改訂していく必要がある.

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第5章 ガイドライン
大腸癌治療ガイドライン−作成委員の立場から−

固武健二郎   栃木県立がんセンター外科 手術部長
杉原 健一    東京医科歯科大学大学院腫瘍外科学 教授

要旨
 大腸癌の治療指針を示すことで大腸癌の医療水準を底上げし,治療成績の向上に資することを第一義的な目的として,大腸癌研究会は『大腸癌治療ガイドライン(医師用)』の初版を2005年に発行した.癌の進行度に応じた治療方針と具体的な治療法が,内視鏡治療,手術治療,化学療法,放射線療法,緩和医療に分けて記載されている.今後は,ガイドライン策定の効果を検証しながら,大腸癌治療の進歩に合わせて改訂を重ねてゆく必要がある.

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