要旨

最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 39/神経4
パーキンソン病



第1章 概念・定義と疫学
●概念・定義

望月 秀樹    順天堂大学医学部脳神経内科学教室 助教授

要旨
 パーキンソン病は安静時振戦,筋固縮,無動,姿勢反射障害という4大症候を呈する錐体外路系の進行性変性疾患で,その正確な発症機構はいまだ明らかにはなっていない.治療法は1960年後半からドパミン補充療法としてL-dopaが使用されて以来,パーキンソン病患者の症状は著明に改善し,現在もL-dopaがパーキンソン病の治療法の主体となり,そのほかにドパミン作動薬など治療法の開発も進んでいる.しかしながら,治療が長期に及ぶと薬効の減弱,日内変動,L-dopa誘発性ジスキネジアなどの問題点も現れている.そのため,世界中でパーキンソン病の進展予防を目指した薬物研究が進められている.

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第1章 概念・定義と疫学
●疫 学


竹島多賀夫  鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科 助教授
今村 恵子   鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科
楠見 公義   鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科 講師
中島 健二   鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科 教授

要旨
 パーキンソン病は社会の高齢化に伴い患者数が増加しており,本邦の有病率は人口10万人あたり約120〜150人である.発症15年までの生存率は一般人口と変わらず,17年以降低下する.併存症はうつと認知症が特に重要である.発症の危険因子として農薬・殺虫剤の暴露,金属(鉛,銅,鉄,マンガン)の職業的暴露や食事からの摂取が挙げられる.防御因子は喫煙,コーヒー,食事中の不飽和脂肪酸などが注目されている.

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第2章 病因・病理と病態生理
●病因・発症機序

服部 信孝   順天堂大学医学部脳神経内科学教室 教授
西岡 健弥   順天堂大学医学部脳神経内科学教室
佐藤 栄人   順天堂大学医学部脳神経内科学教室

要旨
 透析患者の血糖管理の指標として,ヘモグロビンA1C(HbA1C)は貧血やエリスロポエチン製剤などの影響を受け低値を示すため,糖化アルブミンの測定が勧められる.
 高齢化社会に向けてパーキンソン病の罹患率は今後さらに増えることが予想される.ドパミンの補充療法以来,生命予後は劇的に改善しているものの,一生涯薬物療法から解放されることのない生活を強いられている.さらに,長期服用に伴う合併症の問題もクローズアップされており,満足のいく治療とは言い難いのが現状である.進行阻止ができれば生活レベルも高いままで維持できることから,本質的な原因究明が望まれている.遺伝性パーキンソン病の研究が大きな手掛かりとなるものと考える.



第2章 病因・病理と病態生理
●病 理


齊藤 祐子  東京都老人医療センター剖検病理
             財団法人東京都老人総合研究所高齢者脳ゲノム・高齢者ブレインバンク
仙石 錬平  財団法人東京都老人総合研究所高齢者脳ゲノム・高齢者ブレインバンク
池村 雅子  財団法人東京都老人総合研究所高齢者脳ゲノム・高齢者ブレインバンク

要旨
 パーキンソン病の病理の中核は,パーキンソン症状と,抗パーキンソン病薬が有効であることの形態基盤としての,黒質ドパミン作動性ニューロンの脱落である.孤発性の場合これに加え,レヴィー小体の存在が必須とされる.レヴィー小体の主要構成成分は a-シヌクレインであり,抗体を用いた免疫組織化学的手法により,嗅覚系,末梢自律神経系の病理が特異的にとらえられ,疾患理解・診断手法の発達・治療への展望が開かれつつある.

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第2章 病因・病理と病態生理
●病態生理


橋本  隆男   相澤病院神経疾患研究センター センター長

要旨
 パーキンソン病の主症状である無動・寡動,振戦,筋固縮,平衡障害,歩行障害は,黒質ドパミンニューロンの変性脱落によって引き起される大脳基底核運動回路の機能異常によって生じる.現在考えられている寡動の機序は,基底核の出力部の活動亢進があり,そこから抑制性投射を受ける視床-前頭葉投射の活動が低下する.一方,運動回路内で周期性発火,バースト発火,同期性発火が増加し,正常な運動遂行を阻害する.無動・寡動は基底核からの量的・質的な制御異常によって前頭葉の機能が障害され,円滑で素早い動作が困難となる.振戦は,基底核内に発した周期性ニューロン活動が小脳系と相互作用して一次運動野から振戦の出力を下行させることによる.筋固縮は,長潜時反射の亢進や脊髄反射回路異常が機序として挙げられる.パーキンソン病の歩行障害は,ヒト二足歩行の高次機構に含まれる補足運動野の機能障害が関与している可能性がある



第2章 病因・病理と病態生理
●運動症状


久野 貞子   国立精神・神経センター武蔵病院 副院長

要旨
 パーキンソン病(パ病)は大脳基底核のドパミン(DA)産生神経細胞の細胞死を伴う神経変性疾患である.この疾患の発症初期には身体の一部に限局した軽微なふるえの症状が見られ,極めて緩慢に運動障害が進行するが,究極的には姿勢の維持が困難になり,寡動・無動の症状を示す例が多い.大多数においてパ病は孤発的に発症するが,遺伝性の要因も存在し,近年,α-synuclein などのパ病の責任遺伝子の変異が同定されている.また,新たな治療法の1つとして,視床下核の電気的刺激あるいは切除によってパ病の症状改善が報告されている.



第2章 病因・病理と病態生理
●パーキンソン病の非運動症状

山本 光利   香川県立中央病院神経内科 主任部長

要旨
 パーキンソン病では運動症状のみならず,非運動症状がQOLの観点からと病態,病因の理解という面から近年ようやく注目を浴びている.非運動症状は精神症状,認知障害,自律神経症状,感覚障害があるが,これらへの対応は現状では困難な点も多いが対処可能な症状もある.非運動症状に対する知識,認識と適切な対処がパーキンソン病の長期管理上重要であることを指摘した.



第3章 診断
●診断・診断基準


内藤  寛   三重大学医学部神経内科 講師

要旨
 パーキンソン病診断の基本は詳細な病歴聴取と身体診察で,パーキンソニズムの確認と除外診断を行う.診断の要点は,@主要症状の安静時振戦,筋強剛,無動,姿勢反射障害のうち少なくとも2つが存在,A神経症候の左右差,B頭部CTまたはMRI所見に異常を認めない,C他の変性疾患,感染,薬物や中毒などによるパーキンソン症候群を除外できる,DL-dopaまたはドパミン作動薬にて症状の改善を認めること,である.



第3章 診断
●検査所見


織茂 智之   関東中央病院神経内科 部長

要旨
 パーキンソン病の検査について解説した(頭部の画像は除く).心血管系自律神経検査の体位変換試験は,起立性低血圧の有無を確認するために必須の検査である.メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィーはパーキンソン病やレヴィー小体型認知症のバイオマーカーとして,鑑別診断上有用な検査である.嗅覚検査,ポリソモノグラフィーを用いたレム睡眠行動異常症の確認は早期診断の可能性があり,今後の研究の成果が期待される.



第3章 診断
●画像所見(頭部)

篠遠  仁    旭神経内科リハビリテーション病院 副院長
要旨
 頭部MRIはパーキンソン病(PD)と,多系統萎縮症(MSA),進行性核上性麻痺(PSP)などのパーキンソン症候群との鑑別に有用である.MRI拡散強調画像は,PD,MSAの診断に有用である.脳血流単光子放出型コンピューター断層撮影(SPECT)は,PDでは後頭皮質において,MSAでは小脳において,PSPでは前頭皮質において血流低下を呈することが多く,これらの疾患の鑑別に有用である.陽電子放出型断層撮影(PET),SPECTによるドパミンニューロン終末機能の測定は,PDおよびパーキンソン症候群と本態性振戦との鑑別に有用である.



第3章 診断
●鑑別診断


水田 英二  独立行政法人国立病院機構宇多野病院神経内科
要旨
 主要症状がそろいL-dopaが著効を示すパーキンソン病の診断は容易である.症状がそろわず薬剤効果が不明確な場合,診断に苦慮することもある.治療可能性の高い薬剤性パーキンソニズム・正常圧水頭症などは確実に鑑別する必要がある.神経変性疾患では治療法が確立していない疾患が多く,安易に確定診断をつけず,わずかでも抗パーキンソン病薬が有効な場合は患者の利益を考えて,パーキンソン病として治療をするべきである.

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第4章 管理・治療
●L-dopaの効果と安全性に関するエビデンス


高橋 裕秀  東海大学医学部神経内科 講師

要旨
 L-dopaはさまざまな抗パーキンソン病薬の中で最も強力な症状改善作用を示す薬剤であり,パーキンソン病の薬物療法の中核をなす.しかし,必要以上に高用量のL-dopaを投与すると,ジスキネジアなどの運動合併症が後に出現する可能性が高くなり,それは患者のQOL低下につながる.実際の診療では,このようなL-dopaの功罪を考慮しながら,患者がL-dopaを必要とする状態に到達した時期には速やかにL-dopaを適量投与すべきである.

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第4章 管理・治療
●ドパミン作動薬の効果と安全性に関するエビデンス


村田 美穂   国立精神・神経センター武蔵病院神経内科 部長

要旨
 motor fluctuationについてはドパミン作動薬はL-dopa単独で治療するよりも明らかに出現頻度,出現までの期間が長いというエビデンスがある.しかし,臨床的な神経保護作用については明らかなエビデンスはまだない.また,多数あるドパミン作動薬のうち,ある薬剤が他剤に比べて明らかに有用であるというエビデンスもない.眠気はどの作動薬でも起りえるが,心弁膜症は麦角剤に多いと考えられる.


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第4章 管理・治療
●MAO-B阻害薬,COMT阻害薬の効果と安全性に関するエビデンス


西川 典子   愛媛大学医学部臨床薬理講座
野元 正弘   愛媛大学医学部臨床薬理講座 教授

要旨
 モノアミン酸化酵素(MAO)-B阻害薬,カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)阻害薬はドパ脱炭酸酵素阻害薬とともに,L-dopa,ドパミン代謝の主な代謝酵素を阻害することで,脳内のドパミン減少を補充することができる.これらによりパーキンソン病の運動症状の改善やwearing off現象の改善を認め,早期ないし進行期パーキンソン病に対する有効性が示されている.MAO-B阻害薬,COMT阻害薬について本邦未承認の薬剤も含めて概説する.

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第4章 管理・治療
●塩酸アマンタジン,抗コリン薬の効果と安全性に関するエビデンス


久保紳一郎  順天堂大学医学部脳神経内科学教室 講師

要旨
 塩酸アマンタジンはパーキンソン病の運動症状改善に有効であるが,振戦に対する効果はやや弱い.進行期パーキンソン病にみられるジスキネジアを減少させる.安全性は比較的高い.塩酸トリヘキシフェニジルはパーキンソン病の運動症状改善に塩酸アマンタジンとほぼ同等に有効である.振戦に対する効果は L-dopaと比較し同等あるいはそれ以下であり,特に抗コリン薬に特徴的な効果ではない.投与に際しては知的機能障害に注意が必要である.

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第4章 管理・治療
●ドロキシドパ,ゾニサミドの効果と安全性に関するエビデンス


堀内惠美子   国立病院機構相模原病院神経内科
長谷川一子   国立病院機構相模原病院神経内科 医長

要旨
 ドロキシドパは進行期パーキンソン病(PD)患者のL-dopa抵抗性の症状,例えばすくみ足や無動,姿勢調節障害などがノルアドレナリン代謝低下によって引き起されるとする仮説に則り,ノルアドレナリンの前駆物質として開発された薬物である.一方,ゾニサミド(ZNS)は日本で開発された抗てんかん薬であり,村田らにより抗パーキンソン病効果(抗PD効果)が発見された薬物である.それぞれの薬剤の特徴や使用方法,投与の問題点などを述べるとともにevidence-based medicine(EBM)の観点から,2002年に発表された日本神経学会の『パーキンソン病治療ガイドライン』での位置付けについても触れた.両者とも進行期にみられるパーキンソニズムに対して一定の抗 PD 効果を示す.ドロキシドパは,PDにおいて起立性低血圧の治療薬としても用いられる.また,ZNSは我が国で新規に抗PD効果のあることが発見され,現在治験が終了した段階にある.ZNSの臨床効果,これまでに明らかにされている抗PD作用の基礎的な機序,さらに2004年に施行された全国多施設共同試験の結果の一部についても記載した.ZNSの臨床試験の解析結果については現在投稿中である.今後我が国で開発された抗PD薬としての位置付けが得られることを期待する.

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第4章 管理・治療
●Wearing off,on-off,no-on/delayed on,freezing の対策


大熊 泰之  順天堂大学静岡病院脳神経内科 助教授

要旨
 パーキンソン病は神経変性疾患の中では最も治療が進歩しており,治療薬も多い病気である.しかし,進行期になるとL-dopaを始めとする抗パーキンソン病薬の薬効の減弱やすくみ足などの症状が現れ,治療に難渋することも多い.本稿ではこれらの問題症状に対する対策を,日本神経学会の治療ガイドラインをもとに概説する.

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第4章 管理・治療
●Drug-induced dyskinesiaの予防と治療


柏原 健一   財団法人操風会 岡山旭東病院神経内科 主任医長

要旨
 パーキンソン病患者へのL-dopa投与はwearing offやジスキネジアなどの運動合併症を生じ,治療を困難にする.若年齢,L-dopa投与量・期間が主たる危険因子であり,可塑性に富む若い脳のドパミン(DA)受容体が非生理強度で間欠的に刺激されることが発現を促す.予防にはL-dopa開始を遅らせ,少量にとどめ,効果の不足をほかの抗パ薬で補う.半減期の長いDAアゴニストからの治療開始,初期からの少量L-dopaとの併用はこの目的で意義がある.いったん生じたジスキネジアの治療にはL-dopa投与量を減じ,アゴニストを追加,増量する.アマンタジンや定位脳手術,特に視床下核の深部電極刺激に効果が期待できる.

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第4章 管理・治療
●Drug-induced psychosisの予防と治療


三輪 英人   公立大学法人和歌山県立医科大学神経内科 助教授

要旨
 パーキンソン病患者における精神症状の把握と対策は,治療上の最重要課題である.薬剤性精神症状の中で最も頻度の高いものが幻覚で,特に幻視が特徴的である.幻覚は,病期の進行とともに悪化する.幻覚・妄想状態が出現した際には段階的に薬剤を整理し処方を単純化する必要があるが,非定型的精神病薬も用いられることがある.過剰なドパミン補充療法と関連して生じる種々の異常行動の出現にも注目する必要がある.

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第4章 管理・治療
●パーキンソン病の知的機能障害とその治療


森  秀生   順天堂大学医学部脳神経内科学教室 助教授

要旨
 認知症を伴うパーキンソン病(PDD)ではレヴィー小体型認知症(DLB)と類似して,病理では大脳皮質に広範にレヴィー小体が分布するびまん性レヴィー小体病,ないし移行型レヴィー小体病である場合が多い.そのような例ではアルツハイマー型病変の合併や,マイネルト基底核の神経細胞脱落もしばしばみられる.アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の効果が期待できるが,我が国ではPDDやDLBには適応になっていない.

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第4章 管理・治療
●パーキンソン病のうつ状態とその治療


武田  篤   東北大学病院神経内科 講師

要旨
 パーキンソン病におけるうつは頻度の高い非運動症状であり,大うつ病とは区別される独自の症候である.意欲低下や自発性低下が主体で,罪業感や自責念慮はまれである.セロトニン系とともにカテコラミン系の広範な低下が関与している.適切な評価法のみならず治療法もいまだ確立していない.セロトニン取込み阻害薬が比較的多く用いられているが,ドパミン作動薬やモノアミン酸化酵素(MAO)-B阻害薬などの運動症状治療薬にも一定の抗うつ効果が示唆されている.

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第4章 管理・治療
●パーキンソン病の睡眠覚醒障害とその治療


野村 哲志   国立病院機構米子医療センター神経内科

要旨
 パーキンソン病(PD)は最近非運動症状が一般臨床で注目されており,その1つに睡眠障害がある.これにはPDの運動症状に関与するもの,薬剤に関与するもの,その他の睡眠障害の合併によるものに分けられる.それぞれに病態を理解したうえでの対処が必要である.最近日中の過眠とレム睡眠行動異常症(RBD)が注目されている.特に,RBDに関してはPDの神経変性過程にオーバラップする可能性が指摘されている.

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第4章 管理・治療
●パーキンソン病の自律神経障害とその治療


家田 俊明   市立四日市病院神経内科 部長

要旨
 パーキンソン病の自律神経障害として代表的な,起立性低血圧,排尿障害,性機能障害,消化管運動障害,イレウス,発汗障害について,『パーキンソン病治療ガイドライン 2002』に沿って概説した.いずれの治療においても薬剤の影響は無視できないので,その治療はまずパーキンソン病治療の再検討から始め,次に非薬物療法,自律神経障害に対する薬物療法の順に行う.主治医は患者全体の日常生活活動度(ADL)や生活の質(QOL)に配慮した治療計画を立てなければならない.

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第4章 管理・治療
●パーキンソン病の外科治療


沖山 亮一   東京都立神経病院脳神経内科 医長

要旨
 パーキンソン病の外科治療には,現在最も盛んに行われている脳深部電気刺激(DBS)のほか,温熱凝固・ガンマナイフを用いた破壊術,胎児脳などの移植術,硬膜外大脳皮質運動野刺激,グリア細胞由来神経栄養因子の被殻への持続注入,遺伝子治療などがある.本項では,効果・安全性が立証されているDBSについて詳説し,他の治療法についても若干触れる.

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第4章 管理・治療
●パーキンソン病の非薬物非外科療法


服部 優子   本町クリニック服部神経内科 副院長
服部 達哉   本町クリニック服部神経内科 院長

要旨
 パーキンソン病に対するリハビリテーションとして理学療法,作業療法,言語療法などはいずれも有効であるが,これらを組み合わせて行うのが良いとされる.音楽療法はこの点で新しい療法の1つとなるかも知れない.磁気刺激療法は効果が期待されるが,まだ有効性には議論が残る.患者への教育,指導,社会支援もまた大切である.パーキンソン病における非薬物非外科療法は,患者のQOLを高める可能性があると考えられている.

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第4章 管理・治療
●パーキンソン病の経過と予後


佐藤 健一   順天堂大学練馬病院脳神経内科 講師

要旨
 パーキンソン病の予後はL-dopa治療導入後に大きく改善している.性別,発症年齢,初発症状,開始薬が予後に影響を与える因子である.治療の進歩に伴い運動障害合併症がみられるようになり,患者の日常生活活動度(ADL)を阻害している.また,パーキンソン病の経過中に痴呆を伴った場合はびまん性レヴィー小体病の可能性があり,一般的なパーキンソン病に比べ予後が悪いことが予測される.

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第5章 ガイドライン
●パーキンソン病の治療ガイドライン


近藤 智善   公立大学法人和歌山県立医科大学神経内科 教授

要旨
 日本神経学会から『パーキンソン病治療ガイドライン 2002』(ガイドライン)が発表されている.薬物治療以外に,ガイドラインに示されている患者への適切な教育や情報提供は,患者の病気の受容や患者自身の病状把握にも役立ち,患者の生活の質向上と治療レベルの向上に役立つ.医師の臨床経験の多寡にかかわらず治療に関する知識が共有され,知識の多寡によって患者が被るかも知れない不利益の減少が期待される.

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