要旨

最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 46/血液5
潜伏感染ウイルスによる血液疾患


第1章 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)とHTLV-1
ATLの発見とその後の展開

内山  卓   京都大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学 教授
菱澤 方勝   京都大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学

要旨
 1977年に独立した疾患概念として提唱された成人T細胞白血病(ATL)は,ヒトT細胞白血病ウイルス1(HTLV-1)の感染により発症することが判明し,ウイルス学,分子生物学,免疫学,疫学そして臨床診断学,治療学にわたるさまざまな分野から研究が展開された.本稿では,ATL発見の経緯およびこれまでの研究から得られた知見につき概説する.

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第1章 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)とHTLV-1
ATL発がんの分子機構

松岡 雅雄  京都大学ウイルス研究所附属エイズ研究施設 教授

要旨
 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は,感染者のうち約5%に成人T細胞白血病(ATL)を惹起する.HTLV-1のコードする調節遺伝子tax遺伝子が中心的な役割を担うと考えられてきた.しかし,ATLではしばしばtax遺伝子の発現が認められない.我々はプロウイルスのマイナス鎖によってコードされるHTLV-1 bZIP factor(HBZ)遺伝子が,すべての ATL 細胞で発現し増殖にかかわることを見いだした.HTLV-1による発がん機構解明に向けた新たな展開が期待される.

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第1章 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)とHTLV-1
HTLV-1感染予防対策とその効果

森内 昌子   長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系
森内 浩幸   長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系 教授

要旨
 ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)-1は主に母乳を介して母子感染,精液を介して性行為感染,そして血液を介して輸血感染を起す.輸血感染の危険性がほとんどなくなった今,成人T細胞白血病(ATL)の発症は母子感染によるキャリアに限られるため,HTLV-1感染予防対策は主に経母乳感染をいかに防ぐかという点に主軸が置かれる.完全人工栄養,短期母乳哺育,母乳凍結などのオプションについて検討するとともに,長崎県で長年実施されている感染予防事業について概説する.

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第1章 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)とHTLV-1
ATLLの治療法:(1)造血幹細胞移植

鵜池 直邦  独立行政法人国立病院機構九州がんセンター血液内科 部長
岡村  純   独立行政法人国立病院機構九州がんセンター臨床研究部 部長

要旨
 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)は極めて難治性で,通常の化学療法で治癒は望めない.同種造血幹細胞移植の有効性が後方視的研究として報告されているが,最近我々は前方視的臨床第T相試験として,骨髄非破壊的同種移植(RIST)の安全性と抗ウイルス療法としての側面を確認した.ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)排除機構も一部明らかとなりつつあり,RISTが他の難治性ウイルス疾患に応用できる可能性も秘めている.

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第1章 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)とHTLV-1
ATLLの治療法:(2)ATLにおける腫瘍免疫

神奈木真理  東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科免疫治療学分野 教授

要旨
 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)特異的T細胞は生体内のHTLV-1感染細胞の増殖を制御する能力を持つが,T細胞応答の強さは個体ごとに大きく異なる.また,造血幹細胞移植後の成人T細胞白血病(ATL)寛解例では,移植前には不応答であったTax特異的細胞傷害性T細胞(CTL)が活性化することがある.幾つかの実験結果から,HTLV-1に対するT細胞の低応答性は感染細胞の増殖を許す危険因子であり,Taxを標的としたT細胞免疫賦活が,ATLに対する発症予防的および治療的な意義を持つ可能性が示唆された.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルス感染とリンパ球増殖症

河  敬世   大阪府立母子保健総合医療センター病院長

要旨
 エプスタイン・バーウイルス(EBV)は世界中に蔓延するウイルスで,ほとんどの成人が既感染者である.多くは唾液を介して水平感染するが,EBVはまずB細胞に感染し,B細胞を活性化・不死化させる.増殖したB細胞は細胞傷害性T細胞(CTL)やナチュラルキラー(NK)細胞により駆逐されるが,一部のB細胞にEBVは潜伏し終生宿主と共存することになる.しかし,EBVの感染病理は当初考えられていたほど単純ではない.呼称や診断基準などに不統一性がみられるが,EBVの急性,慢性感染症をリンパ球増殖症の観点から整理すると理解しやすい.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとT/NK細胞増殖症(1)慢性活動性EBウイルス感染症とT細胞増殖症

菊田 英明  医療法人社団常松会東栄病院 副院長

要旨
 慢性活動性EBV感染症は,免疫不全などの基礎疾患がないにもかかわらず,EBVが主にT細胞に感染し,そのEBV感染T細胞が単クローン性の増殖を示す疾患である.潜伏感染関連遺伝子の発現はT型,U型,0型など多様であり,その発現は制限されている.EBNA のプロモーターであるCp領域が高度にメチル化されているにもかかわらず,Cpが使用されている.臨床症状は多彩で,予後は不良で骨髄移植の必要なことが多い.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとT/NK細胞増殖症(2)慢性活動性EBウイルス感染症とNK細胞増殖症

河  敬世   大阪府立母子保健総合医療センター病院長

要旨
 エプスタイン・バーウイルス(EBV)はB細胞に親和性があり,感染したB細胞は増殖・不死化する.健常人に初感染すると,ナチュラルキラー(NK)細胞や細胞傷害性T細胞(CTL)が動員されて増殖している感染B細胞は駆除されるが,EBVは一部のB細胞に潜伏し終生宿主と共存する.この事実は今も変わらないが,EBVがNK細胞にも感染し増殖症を起すという新たな事実が判明し,その後の病態解明ならびに治療法確立に大きく貢献した.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとT/NK細胞増殖症(3)蚊刺過敏症とEBウイルス

石原 重彦  医聖会八幡中央病院小児科 部長

要旨
 進行性腎細胞癌に対しては全身化学療法や放射線療法は腫瘍縮小効果を示さず,治療抵抗性と言える.一方で,少数ながら自然寛解の症例が存在するなど,宿主免疫能の関係を示唆する証拠が多く,インターフェロンαやインターロイキン−2の投与が効果があることが明らかになった.さらに,インターフェロンαの投与が生存期間の延長に寄与することが無作為化比較対照試験(RCT)で示され,インターロイキン−2は約5%の患者で長期に継続する効果が期待できる.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとT/NK細胞増殖症(4)種痘様水泡症とEBウイルス

岩月 啓氏    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚・粘膜・結合織学 教授
山本 剛伸    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚・粘膜・結合織学
辻   和英    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚・粘膜・結合織学

要旨
 原因不明の小児の光線過敏症と言われてきた種痘様水疱症が,エプスタイン・バー(EB)ウイルス感染T細胞と,宿主の細胞傷害性T細胞によって生じる皮膚疾患であることを見いだした経緯について述べた.その後,症例の解析により本症と重症型種痘様水疱症,蚊刺過敏症,血球貪食症候群,慢性活動性EBウイルス感染症や鼻性ナチュラルキラー(NK)細胞リンパ腫が,一連の疾患スペクトラムを成すことが明らかになった.他の病型がアジア,中南米で集中的に発症するのに対して,種痘様水疱症の発症には地域特異性は見いだせず,多くの症例は良性経過をとると考えられる.本症の診断のポイントに加え,モニターすべき検査法と我々が新規開発した痂皮を用いた非侵襲的検査法を紹介した.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとT/NK細胞増殖症(5)血球貪食症候群とEBウイルス

小山 真穂  大阪府立母子保健総合医療センター血液・腫瘍科
  
要旨
 ウイルス関連血球貪食症候群(HPS)のうち,原因ウイルスとしてエプスタイン・バー(EB)ウイルスの頻度が最も高く,重症例が多い.重症度に応じた治療介入が必要で,多剤併用化学療法にてもEBウイルスDNA量が陰性(感度以下)にならない症例は,同種造血幹細胞移植の適応である.致死的経過をとる場合が多いが,的確な早期診断と重症度に応じた適切な治療介入により,予後改善が期待できる.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとT/NK細胞増殖症(6)鼻性NK/T細胞リンパ腫 −発見の契機

原渕 保明  旭川医科大学医学部耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学 教授
高原  幹   旭川医科大学医学部耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学

要旨
 鼻性NK/T 細胞リンパ腫(nasal NK/T-cell lymphoma)は鼻腔や咽頭に初発し,顔面正中部に沿って進行する破壊性の壊死性肉芽腫性病変を主体とするNKあるいはgdT細胞由来のリンパ腫である.1990年,筆者らは本リンパ腫とEBウイルスの密接な関連性を世界に先駆けて発表した.本稿では,EBウイルス感染の発見の契機と,筆者らが現在検討している本腫瘍におけるEBウイルスのかかわりについて概説する.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとT/NK細胞増殖症(6)鼻NK/T細胞リンパ腫−診断と治療

鈴木 律朗  名古屋大学医学部造血細胞移植情報管理学 助教授

要旨
 鼻 NK/T細胞リンパ腫は,東アジアに多い独特なリンパ腫である.鼻腔周囲に好発し,大半がナチュラルキラー(NK)細胞由来で,エプスタイン・バー(EB)ウイルスゲノムがリンパ腫細胞中に存在する.疾患の地理的分布はEBウイルスのendemicな分布に一致し,病因としてもEBウイルスが重要な役割を果たしていると考えられる.鼻NK/T細胞リンパ腫は化学療法剤に対する反応性が悪く,このため他のリンパ腫と異なったアプローチが必要である.本邦でも東アジアの諸国と共同で,幾つかの試みが開始されている.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとB細胞増殖症(1)移植後B-LPD

羽賀 博典   京都大学医学部附属病院病理診断部・臓器移植医療部

要旨
 移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)の多くはエプスタイン・バーウイルス(EBV)感染したB細胞の異常増殖によって発生する.PTLDの予防にはリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いたEBV感染の監視が有用である.PTLDは感染症と腫瘍性疾患の中間的性格を有し,しばしば免疫抑制薬の減量や抗CD20抗体の投与のみで治療できるが,高度の拒絶反応を背景にしたPTLDの治療は困難であり致死的となりうるため,今後の治療法の進歩が待たれる.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとB細胞増殖症:(2)AIDS関連リンパ腫

立川 夏夫  国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター

要旨
 強力な抗ヒト免疫不全ウイルス(HIV)療法の出現以後,後天性免疫不全症候群(AIDS)関連リンパ腫の予後は改善してきている.初回治療はCHOPが標準であり,またはR-CHOPが精力的に研究されている.初回治療が失敗した場合にも,自己造血幹細胞移植を併用した大量化学療法も可能になってきている.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルスとB細胞増殖症:(3)加齢性リンパ球増殖症

下山 芳江  名古屋大学医学部附属病院病理部
           名古屋大学大学院医学系研究科臓器病態診断学
今井  裕   三重大学大学院医学系研究科腫瘍病態解明医学
浅野 直子  愛知県がんセンター遺伝子病理診断部
中村 栄男  名古屋大学医学部附属病院病理部
            名古屋大学大学院医学系研究科臓器病態診断学 教授

要旨
 加齢性エプスタイン・バーウイルス(EBV)関連B細胞リンパ増殖症は,2003年に提唱された比較的新しい疾患概念である.EBV陽性B細胞が増殖し,明らかな免疫不全の既往のない高齢者に発生する.その疾患スペクトラムには反応性のものから明らかに腫瘍性のものまで多様な病型が含まれる.加齢に伴う免疫機能の低下に起因する免疫不全関連リンパ増殖異常症と推定される.高齢化社会に向かう本邦において患者の増加が予測され,本疾患の認識は重要である.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルス感染の予防法と細胞免疫療法:(1)EBVのワクチン開発の現状

大黒  徹    富山大学大学院医学薬学研究部ウイルス学 助教授
白木 公康   富山大学大学院医学薬学研究部ウイルス学 教授

要旨
 エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染は悪性腫瘍を誘導するため,その感染を防ぐワクチン,EBV関連腫瘍に対する治療ワクチンの開発が研究されている.感染予防ワクチンとしてはEBV感染の中和の標的である gp350/220を抗原として,成分ワクチン,gp350/220発現DNAワクチン,gp350/220発現遺伝子組換えリコンビナントウイルスワクチンなどが試みられている.

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第2章 EBウイルスとリンパ球増殖症
EBウイルス感染の予防法と細胞免疫療法:(2)EBV特異的CTLの臨床応用

葛島 清隆  愛知県がんセンター研究所腫瘍免疫学部 部長

要旨
 エプスタイン・バーウイルス(EBV)関連疾患に対する細胞療法は,ヒトにおいて養子免疫療法の先駆的なモデルになった.EBV感染細胞の抗原発現パターンには階層性があり,免疫低下時に発症するリンパ腫>ホジキンリンパ腫,上咽頭癌,T/NKリンパ腫>胃癌,バーキットリンパ腫,の順に抗原の種類が減少する.EBV陽性癌に対して効果的な免疫療法を構築するには,潜伏感染膜タンパク質(LMP),EBV関連核内抗原(EBNA)1 などに対する細胞性免疫を強化する方策が必要である.

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第3章 HHV-6が関与する病態の多様性
HHV-6発見とその後の展開

森  康子   独立行政法人医薬基盤研究所感染制御プロジェクトチーフプロジェクトリーダー

要旨
 ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)は,1986年Sa1ahuddinらによってリンパ腫患者より分離され,1988年山西らによって突発性発疹の原因ウイルスであることが証明された.HHV-6は,免疫担当細胞,特にCD4陽性T細胞において感染増殖し,ウイルス粒子を形成するという興味深い特徴を持つ.塩基配列,細胞向性の違いなどにより2つのバリアント(HHV-6AおよびHHV-6B)に分類され,突発性発疹を引き起すのはHHV-6Bであり,HHV-6Aの病態に関しては現在のところ不明である.

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第3章 HHV-6が関与する病態の多様性
突発性発疹

多屋 馨子   国立感染症研究所感染症情報センター 室長

要旨
 突発性発疹はヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)variant BあるいはHHV-7の初感染時に発症する発熱性発疹性ウイルス性疾患であり,HHV-6の方がHHV-7より先に感染する場合が多い.近年,突発性発疹の発症年齢が遅くなる傾向にあり,1歳児での発症割合が増加している.突発性発疹は通常予後良好な疾患であり,ウイルス特異的な治療が必要となる場合は多くないが,脳炎,肝炎,熱性けいれんといった合併症を併発する場合もあり,注意が必要である.発疹期にはHLADR+CD8+T細胞を有意とする異型リンパ球が増加している.

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第3章 HHV-6が関与する病態の多様性
移植後の再活性化

橋井 佳子  大阪大学大学院医学系研究科小児科学

要旨
 ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)はほとんどのレシピエントが乳児期に罹患し血液細胞,中枢神経系細胞に潜伏感染している.造血幹細胞移植後のレシピエントの免疫機能が低下した場合,HHV-6は再活性化し,移植後早期の発熱,移植片対宿主病(GVHD)の誘発,間質性肺炎,造血幹細胞の生着不全など多様な病態の原因となり,移植成績を左右しかねない重要なウイルスである.臨床症状と血液を用いた定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりHHV-6の再活性化を診断,治療することが必要である.

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第3章 HHV-6が関与する病態の多様性
移植後の脳炎

沼田 晃彦   国家公務員共済組合連合会浜の町病院 血液内科
長藤 宏司   九州大学病院第一内科 助手講師

要旨
 移植後の免疫抑制状態でのヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)脳炎は,急速に進行し致死的となり,迅速な診断,治療が必要とされる.健忘症状を特徴とした中枢神経症状,脳脊髄液のHHV-6DNAの証明,MRI所見,他の疾患の除外から,抗ウイルス薬を開始するのが現時点で最良の治療法と考えれる.発症の危険因子の報告はあるが,予防,早期診断法は確立されていない.HHV-6の再活性化と脳炎発症との機序も,今後の解明が期待される.

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第3章 HHV-6が関与する病態の多様性
HHV-6と薬剤過敏症

藤山 幹子  愛媛大学大学院医学系研究科感覚皮膚医学
橋本 公二  愛媛大学大学院医学系研究科感覚皮膚医学 教授

要旨
 薬剤性過敏症症候群(DIHS)は,発熱と多臓器障害を伴う薬疹であり,発症後2週から3週にかけてヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の再活性化を伴う.DIHSでみられるHHV-6の再活性化では,ウイルス血症の期間は短いが抗体価の上昇が顕著であり,再活性化の検出は比較的容易である.DIHSにおいてHHV-6の再活性化は発熱や肝障害の再燃を引き起し,DIHSの経過の遷延に関与する.

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第3章 HHV-6が関与する病態の多様性
HHV-6と慢性疲労症候群

近藤 一博   東京慈恵会医科大学ウイルス学 教授

要旨
 慢性疲労症候群(CFS)は,ウイルス感染症とよく似た症状を呈し,緩解と増悪を繰り返す慢性疾患である.原因ウイルスとしては,このような疾患の経過がヘルペスウイルスの潜伏感染と再活性化とよく似ているため,ヘルペスウイルスとの関連が強く疑われている.中でも,ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)は,歴史的にCFSとの関連が最も疑われるウイルスであり,その潜伏感染そのものがCFSの病態と深くかかわっている可能性がある.

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