要旨

最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 49/内分泌4
前立腺がん 改訂第2版


第1章 疫 学
疫 学

松井  博    群馬大学重粒子線医学センター 講師
鈴木 和浩   群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学 教授

要旨
 本邦の前立腺がん罹患率は上昇傾向にあり,2003年に結腸がんを抜いて第3位となった.年齢調整死亡率は1998年から2005年にピークに達し,漸減しているが,死亡症例実数は急激な上昇を示し,転移がんはいまだ2割を占めている.2008年における米国の転移がんは4%,死亡率は1993年から減少を続けている.こうした本邦の疫学的な状況を鑑み,スクリーニング,診断および治療体系の包括的な,さらなる整備が重要である.

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第2章 病 因
病 因

坂本 信一   千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学
市川 智彦   千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学 教授

要旨
 前立腺がんは我が国において,高齢化,食生活の欧米化,前立腺特異抗原(PSA)検査の普及に伴い,罹患率,死亡率共に増加傾向である.前立腺がんの発症にはこれまで,大きく分けて先天的要因と後天的要因の2つの因子のかかわりが示唆されている.家族歴,人種などを含めた生来備わった先天的な要因のみならず,食生活を含めた後天的な複数の要因が,前立腺がんの発症には絡んでいる.特に近年,予防因子として,食事や運動のみならず,ビタミンE,大豆イソフラボン,リコピンなどの抗酸化作用を持つサプリメントも着目されつつある.本稿では,前立腺がんの発症にかかわる病因として,遺伝的因子から予防的因子まで最近の話題を含めて報告する.

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第3章 病 理
病理とGleason分類(ISUP2005)

鷹橋 浩幸     東京慈恵会医科大学附属病院病院病理部 診療部長

要旨
 臨床医が知っておくべき前立腺がんの組織学的特徴,診断確定のための免疫組織学的手法,針生検で確定診断に至らない場合の報告とその際の対処法,特殊型の前立腺がんの臨床病理学的特徴につき解説する.また,Gleason分類(ISUP2005)に関して,おのおののパターンの定義,第2パターンの量が僅少であった場合や第3パターンが存在する場合の取扱い,針生検や全摘標本における病理学的評価と報告方法について概説する.

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第4章 診断と治療の概観
診断と治療の概観

上村 博司     横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学 准教授
窪田 吉信     横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学 教授

要旨
 近年,前立腺がんに対する放射線治療やホルモン療法などの技術革新が著しい.早期がんにはリスク分類に沿った治療法が確立し,特に放射線治療の選択肢は多岐にわたる.放射線治療にホルモン療法の補助療法が,良好なアウトカムを導いている.手術療法は,ロボット支援前立腺摘出術が導入されてきた.最近,去勢抵抗性前立腺がんに対する治療薬が続々と開発されており,診断と治療のガイドラインは早々の改定版が必要となるであろう.

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第5章 診 断
PSAスクリーニング
伊藤 一人
   群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学 准教授

要旨
 信頼性の高い研究で,前立腺特異抗原(PSA)検診による前立腺がんの転移がん進展リスクや死亡率低下効果が証明された.検診対象者への最新かつ正しい前立腺がん検診,前立腺がんの診断・治療に関する情報提供を行い,希望者に対して,日本泌尿器科学会の関連するガイドラインで推奨する,検診受診開始年齢,PSA基準値,検診間隔に基づいて,住民検診や人間ドックなどで,適切な検診システムを,広く提供することが重要である.

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第5章 診 断
画像診断:前立腺のMRIとガイドライン
楫  靖
  獨協医科大学放射線医学講座 教授

要旨
 前立腺がんの画像診断法として,局所評価に用いられる MRI について述べた.画像評価をするまでの時点で,どのような情報がすでに得られており,何を評価したいかを明確にすることで,画像検査手法が決定できる.MRIは万能ではないので,ガイドラインなどの情報を参考にしながら,検査を適切に依頼していただきたい.

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第5章 診 断
前立腺生検
沼尾  昇
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学 講師
松岡  陽    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学

要旨
 前立腺がんの過剰診断,過剰治療が世界的な問題となっている現況において,前立腺生検の適応・手技の再評価が行われている.前立腺生検は侵襲的検査であるため,不要な生検を減らす努力が求められると同時に,生検を行う場合は,治療を必要とする前立腺がんを見逃さずに検出することが肝要である.近年大きく進化を遂げた磁気共鳴画像装置(MRI)は,生検の適応,手技を大きく進化させる可能性を持っている.

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第5章 診 断
リスク分類(ノモグラムを含めて)
大堀  理
   東京医科大学泌尿器科 教授

要旨
 前立腺がんの予後の予測のために臨床病期,血清前立腺特異抗原(PSA)値,生検の組織学的悪性度(Gleason スコア)を基本としたリスク分類が簡便で頻用されている.さらに,リスク分類より個々を反映するノモグラムにより,正確な病理病期や予後などの予測が可能であり,その活用は治療指針の決定に役立つ.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 1.PSA監視療法(Active Surveillance)
平間 裕美
   香川大学医学部泌尿器・副腎・腎移植外科学
筧  善行   香川大学医学部泌尿器・副腎・腎移植外科学 教授

要旨
  前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングの普及により,早期前立腺がんの増加,特に低悪性度で腫瘍量の少ないがんが発見される割合が増加している.これらスクリーニング発見がんの中には,生涯にわたり生命予後に悪影響を与えないがんが少なからず存在すると推定されるが,区別がつかないため手術や放射線治療などの積極的治療が広く行われ,結果的に過剰治療となっている.過剰治療を回避するための唯一の現実的な戦略が,PSA 監視療法(AS)である.本稿では,AS の方法と成績,問題点,将来展望について述べる.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 2.部分治療(Focal Therapy)
齋藤 一隆
      東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学 講師
木原 和徳      東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学 教授

要旨
  限局性前立腺がんに対する部分治療は,がん病巣を含めた前立腺組織を部分的に治療し,非治療対象前立腺組織を温存させることにより,排尿・性機能における治療関連合併症を軽減させる新たな低侵襲治療である.前立腺部分治療では,正確ながんの局在診断により適切な治療部位を設定し,その部位を確実に治療することが求められる.前立腺部分治療の現状,特に小線源療法での部分治療,および展望について概説する.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 3.手術療法(1)開放手術(準ミニマム創)
川島 清隆
   栃木県立がんセンター泌尿器科 部長

要旨
開腹手術は腹腔鏡手術(LRP)やロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALP)に比べ,手術侵襲が大きいとされている.しかし,気腹のない開腹手術(凖ミニマム創手術)でも,ルーペや腹腔鏡による拡大視により解剖を詳細に観察し丁寧で解剖学的な操作を行えば,手術侵襲は極めて低く,安全に手術を行うことが可能である.また,拡大リンパ節郭清,拡大前立腺全摘術に適しており,根治性の高い手術が可能である.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 3.手術療法(2)腹腔鏡手術
奥村 和弘
   天理よろづ相談所病院泌尿器

要旨
 現在までに800例以上の腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)を施行してきた.術式・手技についてはほぼ確立し,その手術成績,治療成績については明らかに改善している.技術的なラーニングカーブに加え,手術の各ステップにおける術式の改良が良い結果を招いているものと考えている.術式がほぼ確立した今,以前とは違い,少ない経験数で手術を習得できるようになってきている.また今後,ロボット支援前立腺全摘除術(RALP)の習得にも,有効であると考えられている.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 3.手術療法(3)ロボット支援手術
瀬島 健裕   鳥取大学医学部器官制御外科学講座腎泌尿器学分野 准教授
武中  篤    鳥取大学医学部器官制御外科学講座腎泌尿器学分野 教授

要旨
 ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)は,限局性前立腺がんに対する標準治療として世界中に浸透しつつある.本邦においても,2012年4月の保険収載以降,急速な普及が認められている.高い鉗子の自由度,3次元拡大画像などのロボット支援手術の長所は,前立腺がん手術に求められるがんの根治と機能温存の両立に貢献するとともに,手術合併症の軽減にも寄与している.RARPは現代最先端の minimally invasive surgery であるが,費用の問題,急速な普及の中での安全性の担保,術者や手術チームの教育方法,などが今後の課題である.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 3.手術療法
(4)ガスレス・シングルポート・ロボサージャン手術(先端型ミニマム創内視鏡下手術)
木原 和徳    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学 教授

要旨
 ミニマム創内視鏡下手術(ガスレス・シングルポート手術)では,術者のロボット化(ロボサージャン)が進められており(ガスレス・シングルポート・ロボサージャン手術),前立腺全摘除にも応用されている.頭部には6視覚を提供するヘッドマウントディスプレイを装着し,手には人の能力を超える最新機器を持ち,必要時には術者の頭部の動きで内視鏡を制御するという全体像である.日本を筆頭に世界が迎える超高齢社会を念頭に置いた手術である.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 4.放射線療法(1)外照射
小塚 拓洋   公益財団法人がん研究会有明病院放射線治療部 副部長

要旨
 前立腺がんの放射線治療では,従来から照射範囲について議論されてきたが,これまでに行われた全骨盤照射に関する比較試験では,骨盤内リンパ節の照射による生存率の向上は示されていない.そのため,前立腺と精嚢に限局した照射が標準とされている.根治的放射線治療では,ホルモン療法を併用する場合が多い.中間リスク,高リスク前立腺がんではホルモン療法併用が標準とされるが,65〜70Gyの線量を用いた比較試験を根拠としており,現在の標準である78Gy程度の線量との併用療法についてのコンセンサスは得られていない.1980年代から3次元照射(3D−CRT)で線量増加試験が始まり,治療効果が示されてきた.線量増加に伴って晩期有害事象が増加したが,1990年代以後強度変調放射線治療(IMRT)の導入が進み,安全に線量増加が行えるようになった.今後は,高線量照射における照射範囲,ホルモン療法の併用期間,さらに照射期間の短縮が課題とされている.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 4.放射線療法(2)小線源療法
斉藤 史郎     国立病院機構東京医療センター泌尿器科 医長

要旨
 国内での長期の治療成績において,小線源療法はその有効性と安全性が示されると同時に,ほかの前立腺がん治療と比べて治療後のQOLも優れていることが示されている.また,最近の国内外の報告では,高リスク症例に対しても外照射と一定期間のホルモン療法を併用することで,前立腺全摘術や高線量を用いた外照射治療よりも良好な成績となっており,小線源療法は限局性前立腺がん全般において,治療の選択肢に成りうることが示されている.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 4.放射線療法(3)重粒子線療法
辻 比呂志    放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院治療課 課長

要旨
 重粒子線治療は線量集中性,抗腫瘍効果の両面で治療に適した特性を持っており,限局性前立腺がんの治療法としても有用である.放医研では,前立腺がん全体で1,800例を超える治療を実施しており,特に臓器限局がんについては,病理分化度によらず,良好な治療結果が得られている.治療短期化により副作用発生率の低下が得られ,さらにスキャニング照射法の導入により,技術的にも前進しており,今後さらなる成績の向上が期待される.

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第6章 治 療
限局性前立腺がんの治療 5.HIFU,凍結療法
武藤  智    帝京大学医学部泌尿器科 准教授

要旨
 高密度焦点式超音波治療(HIFU)および凍結療法は,従来から限局性前立腺がんに対する前立腺全体への治療法として用いられてきた.しかし,前立腺特異抗原(PSA)監視療法からロボット支援前立腺全摘術(RALP)まで数多くの治療選択肢がある中で,その適応が確立しているとは言い難い.今後,部分治療(FT)へのさらなる展開が期待される.
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第6章 治 療
局所進行がん(T3)の治療
増田  均     公益財団法人がん研究会有明病院泌尿器科 副部長

要旨
 局所進行性前立腺がんは,診断,治療において,泌尿器科医の判断,力量が最も問われる進行度である.内分泌療法併用放射線治療が標準的な治療法であるが,昨今では集学的治療のメインとして,外科治療の有効性が見直されている.内分泌,放射線治療とどのように組み合わせるかという側面ばかりでなく,前立腺の拡大切除,拡大リンパ節廓清など,手術に対する技術やポリシーも求められる.いまだ,コンセンサスが得られていない部分も多いが,本稿では,欧米の臨床試験の結果を含めて,現状について概説する.

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第6章 治 療
進行性前立腺がんの治療 1.内分泌療法(ホルモン療法,あるいはアンドロゲン除去療法)
藤井 靖久      東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学 准教授

要旨
 内分泌療法は,転移を有する進行性前立腺がんの治療の主役である.一次内分泌療法として多くのガイドラインで推奨されているのは,去勢療法であり,これには外科的去勢(両側精巣摘除術)と,GnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニストによる内科的去勢がある.複合アンドロゲン阻害(CAB)療法は,去勢単独治療に比べわずかに生存期間を延長するとされるが,骨転移症例では CAB 療法の優位性は必ずしも示されていない.内分泌療法の近接効果は極めて良好であるが,内分泌療法中に徐々に治療抵抗性になること(去勢抵抗性前立腺がん)が問題である.最近報告された進行性前立腺がんを対象とした臨床試験では,間欠的内分泌療法は持続的内分泌療法に対する非劣性が証明されず,現在でも進行性前立腺がんには,持続的内分泌療法が標準的と考えられる.去勢抵抗性前立腺がんに対しても,エストロゲン剤や糖質コルチコイドなどによる二次的,三次的内分泌療法はある程度有効であるが,最近 abiraterone,enzalutamide など,より強力な内分泌療法剤が開発され,海外の治療ガイドラインでは標準治療薬として使用されており,本邦でも近日中の承認が期待されている.

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第6章 治 療
進行性前立腺がんの治療 2.内分泌不応がんの治療
三木 恒治    京都府立医科大学大学院医学研究科泌尿器外科学 教授
鴨井 和実    京都府立医科大学大学院医学研究科泌尿器外科学 講師

要旨
 内分泌不応がんに対する薬物治療は,ドセタキセルによる化学療法後の病勢進行に対する治療薬の開発を中心に進められている.Cabazitaxel,abiraterone,enzalutamide といった治療薬は,ランダム化比較試験においてその有用性が証明されており,欧米ではすでに使用承認されている.将来,本邦でも承認されるであろうこれらの薬剤をいかに効果的に使用していくかが,今後の内分泌不応がん治療において重要な課題となる.

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第6章 治 療
進行性前立腺がんの治療 3.化学療法

湯浅  健     公益財団法人がん研究会有明病院泌尿器科 副部長

要旨
 前立腺がんの治療では,アンドロゲン・シグナルの阻害による増殖抑制が薬物治療の中心であり,化学療法に対して不応性,“抗がん剤の効かないがん”とされてきたが,現在では標準治療の1つとして広く使用されるようになった.本稿では,現在の抗がん剤治療の中心であるドセタキセルのほかに,新規タキサン薬剤の cabazitaxel,リン酸エストラムスチン,および骨転移に対する骨代謝調整剤(BMA)について解説する.

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第6章 治 療
緩和療法
三宅  智    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科臨床腫瘍学 教授

要旨
 前立腺がんは高齢者に多く,ホルモン感受性で比較的長期の予後が期待できる.経口摂取が終末期まで保たれることも多く,在宅療養の体制の整備や社会資源の活用が必要である.ホルモン抵抗性となった場合の転移形式として,骨転移が多い.骨転移自体の薬物療法や放射線照射を積極的に検討し,局所再発時も含めたがん性疼痛に対して適切に対応することが,患者・家族の QOL を向上させるうえで重要である.

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第7章 ガイドライン
『前立腺癌診療ガイドライン』
大園 誠一郎    浜松医科大学泌尿器科学講座 教授
田中 宣道      奈良県立医科大学泌尿器科学講座

要旨
 『前立腺癌診療ガイドライン2012年版』が2012年4月に発刊された.これは泌尿器がんを対象とした初の診療ガイドライン(GL)である前版の診療GL2006年版から数えて6年ぶりの改訂であり,その変更の要点と今後の課題を概説した.

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第8章 診療の問題点
診断の問題点
松岡  陽      東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学
石岡 淳一郎    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器外科学

要旨
 前立腺がん診断では,前立腺内のあらゆるがんの検出から,治療が必要な臨床的意義のあるがん(significant cancer)の検出へ向かいつつある.Significant cancer の見逃しを減らし,かつ不必要な生検を回避することの両立が命題となるが,施設間で生検方法が異なること,significant cancer の定義が統一されていないことなど,評価における問題点が少なくない.限局性前立腺がんに対する治療法の多極化が進み,最適な治療戦略を立てるためには,局在と病期に関する正確な情報を,生検や画像などにより得ることが不可欠である.MRIは解剖学的診断のみでなく,質的診断としての有用性も明らかとなってきた.生検前 MRI の普及には課題もあるが,生検要否の判断,狙撃生検や focal therapy の設定などに貢献するものと期待される.

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第8章 診療の問題点
治療の問題点
古賀 文隆    がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科 医長

要旨
 前立腺がんでは罹患リスクとがん死リスクに大きな隔たりがあり,過剰診断・過剰治療の危険性が指摘されている.限局性前立腺がんの治療法には待機療法から根治療法まで選択肢があり,病期のみならず期待余命,治療合併症や生活の質(QOL)など,多くの因子を考慮して治療方針が決められる.がんの正確なリスク評価に基づく各治療法の適応基準の確立が必要であり,高い根治性と QOL 維持を達成する前立腺内部分治療の開発も,今後の検討課題である.

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