要旨

最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 63/血液7
血小板減少症・増加症


第1章 総説
血小板産生機構

松原 由美子   慶應義塾大学医学部臨床検査医学 講師

要旨
 血小板は幹細胞より巨核球分化・成熟を経て,分化系列の最終産物として産生される.巨核球分化の際には細胞分裂を行わず染色体数を増加させる多倍体化というユニークな現象を示す.この様式を有するゆえに出血時,血小板は通常の 20 倍以上の産生増加が可能であるとも考えられている.血小板産生機構はいまだ不明点が残るものの,サイトカインのトロンボポエチン(TPO),転写因子 GATA family や NF−E2,細胞骨格因子 beta1−tublin など,巨核球 lineage 制御に関与する重要因子の知見が集積されている.

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第1章 総説
トロンボポエチン/トロンボポエチン受容体

小田  淳  北海道大学大学院医学研究科予防医学講座環境医学分野 准教授

要旨
 トロンボポエチン(TPO)は主要巨核球系造血因子であり,特異的受容体 c−Mpl に結合して,その生理的効果を発揮する1〜4).c−Mpl の遺伝的欠損・障害により先天性無巨核球性血小板減少症(CAMT)が起きる5).また,骨髄増殖性疾患などでは比較的高頻度で c−Mpl の第 515 トリプトファン残基置換が検出される5).そのうえ,c−Mpl に結合して,作用する薬物が,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などの治療薬として欧米ですでに関係機関より臨床使用が承認されている4).このように,血小板増加,減少を来す疾患の病態ばかりではなく治療においても,一般臨床においても,TPO/c−Mpl の理解は欠くことができない.
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第1章 総説
慢性骨髄増殖性疾患の分類

幣 光太郎   宮崎大学医学部消化器血液内科
下田 和哉   宮崎大学医学部消化器血液内科 教授

要旨
 骨髄増殖性腫瘍は,融合遺伝子の形成や遺伝子変異によりチロシンキナーゼが恒常的に活性化された疾患群である.骨髄の細胞密度は増加,芽球の増加なし,巨核球を除き形態異常は少ない,末梢血では2系統以上の血球増加,肝脾腫などの共通した特徴を有している.慢性骨髄性白血病,真性多血症,本態性血小板血症,原発性骨髄線維症,慢性好中球性白血病,他の疾患に分類されない慢性好酸球性白血病,肥満細胞腫瘍,分類不能型から成る.

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第1章 総説
血小板減少症の診断

加藤  淳    武蔵野赤十字病院血液・腫瘍内科 部長

要旨
 血小板減少症はさまざまな疾患でみられ,点状出血を特徴とする出血症状が主徴であるが,血栓症,あるいは両方みられる疾患もある.診断に際しては病歴,身体所見に加え,臨床検査ではまず偽性血小板減少症を除外した後,凝固・線溶系の異常の有無を確認する.次いで,血小板と骨髄巨核球の数,形態の観察により血小板産生能を評価し,血小板減少の原因が血小板産生低下または消費,破壊亢進によるのか鑑別することが重要である.

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第1章 総説
血小板増加症の診断

浦部 晶夫  NTT関東病院予防医学センター 所長

要旨
 一般に,末梢血液中の血小板数が 45 万/μl 以上であったら血小板増加症と考えて,鑑別診断に進むとよい.血小板増加症は大別すると,骨髄に異常があるものと他の病態に続発する反応性のものとがある.骨髄に異常があるものは多くは骨髄増殖性疾患に由来するクローン性の血小板増加によるものであり,反応性のものは種々の原因によるものが含まれている.反応性血小板増加症の発症機序は,必ずしも明らかでないものも多い.

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第2章 本態性血小板血症
病態・発症機序

岡村  孝   久留米大学医学部内科学講座血液内科部門 教授
要旨
 本態性血小板血症は,骨髄増殖性腫瘍の1型と位置づけられ,造血幹細胞レベルでの遺伝子異常に伴い,骨髄系細胞がクローナルに増殖する腫瘍である.遺伝子異常は,約 50% に JAK2 V617 変異を検出するが,1%で Mpl(トロンボポエチン:TPO レセプター)遺伝子変異(W515K/L)も報告され,残りは関与遺伝子が未知である.高齢者に多く予後は良好であるが,血栓症の合併,骨髄線維症および白血病への移行もみられ,予後を規定する因子となる.
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第2章 本態性血小板血症
診 断

檀 和夫   日本医科大学内科学講座血液内科 教授

要旨
 本態性血小板血症は骨髄増殖性腫瘍の1つであり,最近真性赤血球増加症のほぼ全例で見いだされている遺伝子異常である JAK2V617F が本疾患の約半数で,また MPLW515K/L 異常が約1%の症例で見つかっている.この知見を取り入れた新しい診断基準が世界保健機関(WHO)から提唱されたが,まだ除外診断の部分も残っており,その妥当性の検証は今後の課題である.
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第2章 本態性血小板血症
出血・血栓合併症/血小板機能

野村 昌作   市立岸和田市民病院血液内科 部長

要旨
 本態性血小板血症(ET)は,多能性造血幹細胞に由来する細胞のクローナルな増殖によって,血小板産生が亢進する疾患である.ET では血小板数が 50 万/μl 以上に増加するために,合併症としては血栓症の発症が危惧されるが,逆に出血症状を来す場合もみられる.また,チロシンキナーゼの1種である JAK2 を構成するアミノ酸の変異(JAK2 V617F 変異)が報告されており,この変異の有無は ET の予後を左右する因子の1つと考えられている.

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第2章 本態性血小板血症
治 療

田丸 智巳  三重大学大学院医学系研究科産学官連携講座臨床創薬研究学講座
西川 政勝  三重大学大学院医学系研究科産学官連携講座臨床創薬研究学講座 教授

要旨
 本態性血小板血症は骨髄増殖性新生物の中では予後良好であり,合併症である血栓症・出血の管理が重要である.リスク因子として 60 歳以上,血栓症・出血の既往,血小板数 150 万/μl 以上が挙げられ,リスクに応じた治療を行う.治療として経過観察,アスピリン,ヒドロキシウレアが中心である.妊娠希望および妊婦に対しては早期から産婦人科医との連携を綿密に行い,アスピリンやヘパリン,インターフェロンの使用を考慮する.

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第3章 特発性血小板減少性紫斑病
疫 学

倉田 義之    四天王寺大学人文社会学部人間福祉学科 教授

要旨
 平成 18 年度の臨床調査個人票をもとに特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の実態を解析した.新規患者数は 2,405 人で 10 万人あたり 1.88 人であった.更新患者数は 16,873 人で 10 万人あたり 13.21 人であった.新規患者数,更新患者数共従来の報告と大きな変化はなかった.患者の年齢分布では男女共 70 歳以上の高齢者で発症が多く,従来の報告と大きく異なっていた.高齢者人口の増加によるものと推定された.治療では各病型ともプレドニゾロン治療が主であった.合併症では脳出血合併例が 37 例と多数報告されていた.
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第3章 特発性血小板減少性紫斑病
自己抗体産生機序

桑名 正隆   慶應義塾大学医学部リウマチ内科 准教授
  
要旨
 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,抗血小板抗体により血小板破壊が亢進する自己免疫疾患である.血小板膜糖タンパク(GP)に対する自己反応性T細胞の解析から,GP 由来の潜在性ペプチドの発現がT細胞の活性化を介して抗血小板抗体産生を誘導することが明らかにされた.さらに,網内系マクロファージ,自己反応性T細胞,B細胞による病的サイクルにより抗血小板抗体産生が持続する.これらの知見は,ITP の病因解明,選択的治療の開発に有用である.

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第3章 特発性血小板減少性紫斑病
臨床病態

得平 道英  埼玉医科大学総合医療センター血液内科 准教授

要旨
 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の病態には,自己寛容が破壊されて生じる特発性(一次性)と,基礎疾患に付随して起きる二次性が存在する.近年,二次性としてヘリコバクター・ピロリー感染に起因する病態が明らかになり,その治療戦略に大きな変革をもたらした.ITP の病態解明は自己免疫性疾患の戦略モデルになる可能性があり,自己抗体の診断や,リツキサンなどの新規薬剤による治療など,さらなる進展が見込まれている.


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第3章 特発性血小板減少性紫斑病
診 断

藤村 欣吾  広島国際大学薬学部病態薬物治療学講座 教授
広島赤十字原爆病院総合内科

要旨
 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断基準は@後天性の血小板減少症である(血小板数 10 万以下),A臨床症状として皮膚の紫斑,粘膜出血など種々の出血症状を繰り返す,B赤血球系,白血球系に数的,質的異常を認めないことである.特殊検査として@網血小板の増加や血漿トロンボポエチンの軽度の上昇,A抗 GPUb/Va 抗体や血小板抗体産生B細胞が末梢血に増加するなどに加え,除外診断として血小板減少を来す基礎疾患や原因が認められないことが重要である.
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第3章 発性血小板減少性紫斑病
特発性血小板減少性紫斑病の治療

宮川 義隆   慶應義塾大学医学部血液内科 講師

要旨
 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療は,第1選択としてステロイド療法,無効例に脾臓摘出術が広く行われてきた.ピロリ菌の除菌療法が約半数の ITP 患者に有効であることが広く知られるようになり,最近では除菌療法が最初に選択されることが多い.昨年,米国で新規血小板治療薬(eltrombopag,romiplostim)が承認された.国内でも2年以内に承認される見込みであり,ITP の治療戦略が大きく変わると期待される.
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第4章 血栓性血小板減少性紫斑病
疫 学

松本 雅則    奈良県立医科大学輸血部 准教授

要旨
 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,まれな疾患として認識されているが,疾患概念が大きく変化し,発症率が増加していると報告されている.米国からの報告では血漿交換を要する全 TTP/溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症率は,100 万人あたり 11.29 人,基礎疾患のない特発性は 4.46 人/年であった.また,全 TTP/HUS での発症率は女性が 1.85 倍,黒人がそれ以外より 3.07 倍高いことが報告されている.本邦でも正確な疫学調査が必要である.

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第4章 血栓性血小板減少性紫斑病
病態・病型分類

藤村 吉博  奈良県立医科大学輸血部 教授

要旨
 ADAMTS13 は「止血と血栓の両面機能を持つ フォン・ヴィルブランド因子(VWF)」の特異的切断酵素で,その活性欠損は同遺伝子異常によって,また同酵素に対する IgG 型自己抗体産生によって起る.前者は先天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),また後者は後天性“定型的 TTP”,の原因となる.一方,血栓性微小血管障害症の全体の2/3は ADAMTS13 活性が著減しない“非定型 TTP”である.
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第4章 血栓性血小板減少性紫斑病
診 断

小亀 浩市   国立循環器病センター研究所脈管生理部 室長

要旨
 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,フォン・ヴィルブランド因子切断酵素である ADAMTS13 の活性欠損が原因となって起る,重篤な疾患である.主症状は血小板減少と溶血性貧血であり,症状の類似した疾患が多いために,確定診断が難しい.近年,ADAMTS13 の活性が容易に測定できるようになってきた.患者血漿の ADAMTS13 活性値を重要な判断材料としながら,TTP を見逃さずに適切な治療を開始することが重要である.

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第4章 血栓性血小板減少性紫斑病
血栓性血小板減少性紫斑病/血栓性微小血管障害症(TTP/TMA)の治療

和田 英夫  三重大学大学院医学系研究科病態解明医学講座臨床検査医学 准教授
伊藤 尚美  三重大学大学院医学系研究科病態解明医学講座血液・腫瘍内科学

要旨
 厚生労働省血液凝固異常症に関する調査研究班の全国アンケート調査の解析結果をもとに,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療状況を検討した.ADAMTS13 著明低下例に対しては,血漿交換やステロイド療法が高頻度に行われ,それ以外の群に比べて治療効果が良い傾向にあった.ADAMTS13 著明低下に起因する TTP の治療成績は比較的良く,近年では死亡率は 20% 未満に減少している.
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第5章 先天性血小板減少症
May-Hegglin 異常

國島 伸治   国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター高度診断研究部分子診断研究室 室長

要旨
 May−Hegglin 異常(MHA)は,巨大血小板,血小板減少,白血球封入体を特徴とする代表的な先天性血小板減少症である.白血球封入体は D■hle 様小体とも呼ばれ,顆粒球細胞質に1ないし数個認められ,May−Giemsa 染色などで青色に染色される.白血球封入体は不明瞭で認識されないことがあり,そのために確定診断されない症例も多い.本疾患の原因遺伝子は非筋ミオシン重鎖UA(myosinUA)をコードする MYH9 である.類縁疾患と考えられていた Sebastian 症候群,Fechtner 症候群,Epstein 症候群も MYH9 異常が原因であり,包括した MYH9 異常症が提唱されている.MHA は血液学的異常のみを呈すると考えられていたが,Alport 症状(腎炎,難聴,白内障)を合併することもあるため十分な経過観察が必要である.白血球封入体には myosinUA タンパクの異常集積があり,免疫蛍光染色により鑑別診断が可能である.

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第5章 先天性血小板減少症
Bernard-Soulier 症候群

冨山 佳昭   大阪大学医学部附属病院輸血部 病院教授

要旨
 Bernard−Soulier 症候群(BSS)はまれな先天性血小板機能異常症であり,常染色体劣性遺伝形式をとり,血小板減少と巨大血小板の出現を特徴とする.本症はフォン・ヴィルブランド因子(VWF)やトロンビンの受容体であるGPTb/\/X複合体の欠損(あるいは機能欠損)に起因しており,リストセチン惹起血小板凝集が欠如する.GPTb 欠損マウスも作製され,BSS における血小板減少および巨大血小板出現機序も明らかにされつつある.

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第5章 先天性血小板減少症
その他の先天性血小板減少症

石田 文宏     信州大学医学部内科学第二講座血液内科 准教授

要旨
 先天性血小板減少症(CTP)には,MYH9 異常症および Bernard−Soulier 症候群以外にもさまざまな疾患群が報告されており,特に特発性血小板減少性紫斑病の鑑別診断の際には考慮する.遺伝形式,血小板のサイズ,骨髄巨核球減少の有無により分類される.責任遺伝子が同定されている疾患も多いが遺伝子診断に至るには容易でなく,臨床的な観察により CTP の可能性を疑うことが肝要である.

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第6章 トピックス
人工血小板の開発

半田  誠   慶應義塾大学医学部輸血・細胞療法部 教授

要旨
 人工血小板は,凍結乾燥した血小板由来産物と,生体適合性に優れたアルブミン微粒子やリン脂質小胞体(リポソーム)の表面にヒトフィブリノーゲンもしくはそのペプチドを結合させたいわゆる人工血小板に大別される.人工血小板は残存した血小板の機能を補助することで,血小板輸血に代わって血小板減少症の止血や出血予防を行う.すでに,幾つかの試験物が初期臨床試験に供されているがいまだ実用化には至っていない.

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第6章 トピックス
iPS細胞からの血小板産生

江藤 浩之   東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センターステムセルバンク 特任准教授
高山 直也   東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センターステムセルバンク
中内 啓光   東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター幹細胞治療部門 教授

要旨
 ヒト胚性幹(ES)細胞と同様の能力がある万能細胞が皮膚細胞から作成できる,京都大学山中伸哉教授らによる 2006 年のマウス,2007 年のヒト人工多能性幹(iPS)細胞の成功は,細胞療法だけでなく血液研究分野にも大きなインパクトを与えた.本稿では,筆者らが開発したヒト ES 細胞から血小板産生法を応用した iPS 細胞からの血小板産生技術,およびこれらを用いた将来的な展望について紹介する.

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第6章 トピックス
血小板輸血と細菌感染(病原体低減技術も含めて)

大戸  斉   福島県立医科大学附属病院輸血・移植免疫部 教授

要旨
 血小板製剤の有効期限は保存バッグの改良,初流血除去を導入して 2007 年 11 月から約 85 時間に延長された.血小板製剤は室温で保存せざるをえないので,細菌混入はまれに輸血敗血症をもたらす危険性がある.グラム陽性菌によることが多いが,グラム陰性菌が原因だとより重篤になりやすい.輸血感染症を疑わせる症状が出現したら,患者治療と並行して細菌培養試験を血液センターの協力のもとに行う.病原体低減技術に過大な期待を寄せることには慎重になる.

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第6章 トピックス
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)

宮田 茂樹   国立循環器病センター輸血管理室 医長

要旨
 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)は,抗凝固薬ヘパリンが,逆説的に血栓塞栓症を引き起す病態である.ヘパリン投与が血小板第4因子の構造変化を誘導,それを認識する抗体の産生が病因となる.一部に,強い血小板活性化能を持つもの(HIT 抗体)があり,トロンビン過剰産生を引き起し,血小板減少,血栓塞栓症を誘発する.適切な治療を行わなければ患者の 30〜50% に血栓塞栓症を合併し,血栓症による死亡率は5%に及ぶ.

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第6章 トピックス
薬剤性血小板減少症

矢野 尊啓   国立病院機構東京医療センター血液内科 医長

要旨
 薬剤投与中に血小板減少が出現した場合,薬剤性血小板減少症は常に鑑別しなければならない病態である.原因となりうる薬剤は極めて多数が報告され,各症例で原因薬剤を特定することは容易でない.多くの薬剤で免疫機序の関与が推測されており,薬剤依存性血小板抗体が認められることもあるが,日常検査としては一般化していない.責任薬剤中止により通常は速やかに改善するため,薬剤性血小板減少症の疑いを持つことが重要である.

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第6章 トピックス
偽性血小板減少症

矢作 かおり   慶應義塾大学病院中央臨床検査部
村田  満    慶應義塾大学医学部臨床検査医学教室 教授

要旨
 偽性血小板減少症は,in vitro での血小板凝集により,自動血球計数機で血小板数が見かけ上少なくカウントされる現象のことを言う.この現象は生体内で血小板数が減少しているわけでなく,出血傾向は起らない.自動血球計数機によって血小板数を測定した場合にみられ,まれな現象ではない.血小板数の減少時に臨床症状と一致しない場合は,検査室との連絡を密にし,真の血小板減少であるか見極めることが重要である.

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