要旨

最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 71/消化器10
胆石症・胆道炎・胆道がん


第1章 胆石症
概念・定義と疫学

内藤  剛   東北大学大学院医学系研究科消化器外科学分野(肝胆膵外科)講師
海野 倫明   東北大学大学院医学系研究科消化器外科学分野(肝胆膵外科)教授

要旨
 胆石症とは,胆道系に胆汁中の成分が析出・凝固する疾患の総称である.胆石の存在部位により,肝内結石症,総胆管結石症,胆嚢結石症に分けられる.胆石症のうち,胆嚢結石症の割合は約 78%,総胆管結石症は 21%,肝内結石症は 1.3% であり,胆嚢結石症は女性に多い.胆石の種類ではコレステロール胆石,色素胆石,まれな胆石に分類されるが,胆嚢結石症ではコレステロール胆石が,総胆管,肝内結石症では色素胆石が多い.

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第1章 胆石症
病因・病態生理

正田 純一  筑波大学医学医療系スポーツ医学専攻 教授
         筑波大学附属病院消化器内科

要旨
 胆石は胆嚢あるいは胆管の胆道内に生じた固形物である.胆石はその含有成分により,コレステロール石,色素石,まれな胆石に分類される.その存在部位と主たる構成成分により,胆石形成の背景にある病態生理や病因が異なる.それらの理解のためには,胆汁の生成,分泌,濃縮の生理学の知識が必要である.胆嚢結石と胆管結石に分けて,病態生理と病因を解説する.また,2009 年発刊された『胆石症診療ガイドライン』の内容についても紹介する.
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第1章 胆石症
診 断

乾  和郎   藤田保健衛生大学坂文種報會病院消化器内科 教授
芳野 純治   藤田保健衛生大学坂文種報會病院消化器内科 教授
三好 広尚   藤田保健衛生大学坂文種報會病院消化器内科 講師
小林  隆   藤田保健衛生大学坂文種報會病院消化器内科 講師
山本 智支   藤田保健衛生大学坂文種報會病院消化器内科

要旨
 胆石の診断法には腹部超音波検査(US),コンピューター断層撮影(CT),MR 胆管膵管撮影(MRCP),内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP),内視鏡的超音波検査(EUS),管腔内超音波検査(IDUS)があり,胆石症の病態を把握して治療法を選択する.US は胆嚢結石の診断に極めて優れており,結石種類の診断には CT が有用である.胆管結石の診断には MRCP または点滴静注胆嚢胆管造影(DIC)−CTの診断能が高い.これらの検査で診断が不確実な場合,ERCP,EUS,IDUS を行うことになる.特に,胆管結石は生命にかかわることがあるため,確実に診断する必要がある.

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第1章 胆石症
内科治療・予後

藤田 直孝    仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科 主任部長
洞口  淳    仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科 医長
越田 真介   仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科
菅野 良秀   仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科
小川 貴央   仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科

要旨
 胆嚢結石症,総胆管結石症,肝内結石症の内科的治療とその予後について述べた.胆嚢結石症と肝内結石症は外科治療が中心であるが,総胆管結石症は内科的,すなわち内視鏡的治療の果たす役割が大である.治療効果は概して高く,良好な予後が期待できる.一方,臓器を温存した場合は,結石再発が一定の割合でみられることに留意する必要がある.がんの合併,経過観察中の胆道がん発がんに留意しながら診療にあたることも重要である.

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第1章 胆石症
外科治療・予後

加藤 正人  獨協医科大学第二外科 講師
窪田 敬一  獨協医科大学第二外科 教授

要旨
 胆石症には,胆嚢結石症,総胆管結石症,肝内結石症が含まれる.それぞれの治療法は多種多様で,施設間で大きく異なっていた.治療の標準化を目的に種々のガイドラインが出版された.胆石症では腹腔鏡下胆嚢摘出術,総胆管結石症では腹腔鏡下あるいは開腹下胆嚢摘出術 and/or 総胆管結石摘出術,肝内結石症では狭窄胆管を含めた責任肝領域の完全切除を目指した肝切除術(亜区域,区域ないし葉切除)が推奨されている.

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第1章 胆石症
胆石症診療ガイドライン−その要点と活用法−

田妻  進   広島大学病院総合内科・総合診療科 教授
要旨
 消化器領域における common disease の1つである胆石症の診療に向けて,日本消化器病学会から診療ガイドラインが策定された.本稿では,実地診療における本ガイドラインの必要性と,その作成手法や活用法を概説した.医療環境の変革に応じて進化すべきガイドラインは,今後も改訂していく必要がある.受療者と医療者の両者がほぼ同等に情報入手可能な情報化社会にあって,ガイドラインはますますクローズアップされていく.
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第2章 胆道炎(胆嚢炎・胆管炎)
概念・定義と疫学

木村 康利   札幌医科大学大学院消化器外科・腫瘍外科学 講師
今村 将史   札幌医科大学大学院消化器外科・腫瘍外科学
目黒  誠    札幌医科大学大学院消化器外科・腫瘍外科学
三浦  亮    札幌医科大学大学院消化器外科・腫瘍外科学
平田 公一   札幌医科大学大学院消化器外科・腫瘍外科学 教授

要旨
 急性胆管炎・胆嚢炎は共に胆石に起因することが多い.例外的には,急性無石胆嚢炎が知られ,危険因子として,手術,外傷,熱傷,経静脈栄養がある.また,急性胆管炎については,吻合部狭窄を含む良・悪性胆道狭窄が原因と成りうる.  胆石症と関連する因子としては,肥満,年齢のほか,経口避妊薬,脂質異常症治療薬が示唆されている.  2000 年以降,急性胆嚢炎の死亡率は1%前後と報告され,急性無石胆嚢炎や高齢者の急性胆嚢炎を除くと,致死的ではない.一方,急性胆管炎の死亡率は,1980 年以前では 50%,1980〜1990 年代で 10〜30%,2000 年以降で 2.7〜10% である.  急性胆管炎・胆嚢炎の診療においては,2005 年に本邦ガイドラインが,2007 年には国際版ガイドライン(Tokyo Guidelines)が出版され,統一された診断基準と重症度評価基準に基づく診療が可能となった.
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第2章 胆道炎(胆嚢炎・胆管炎)
病因・病態生理

真弓 俊彦   一宮市立市民病院救命救急センター センター長

要旨
 急性胆道炎の多くを急性胆管炎と急性胆嚢炎が占める.  急性胆管炎は胆管の急激な限局性ないし,びまん性の炎症で,結石や胆管圧排など何らかの原因による胆道閉塞機転と,胆汁感染により発症する.  急性胆嚢炎は,胆嚢壁に生じた急性の炎症性疾患で,胆管炎と異なり必ずしも感染が合併するわけではない.多くは胆石に起因するが,胆嚢の血行障害,化学的な傷害,感染,膠原病,アレルギー反応など,発症に関与する要因は多彩である.

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第2章 胆道炎(胆嚢炎・胆管炎)
診 断

露口 利夫  千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学 講師
西川 貴雄  千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学
杉山 晴俊  千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学
酒井 裕司  千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学
横須賀 收  千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学 教授

要旨
 急性胆道炎に対するガイドラインとして 2005 年に,『科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン』(第1版)が刊行され,2007 年にその改訂版ともいうべき国際版ガイドラインである『Tokyo Guidelines for the management of acute cholangitis and cholecystitis』が発表された.両者の診断基準は細部において差異が認められ,本邦においては混乱した状態にある.しかしながら,両者の同時改訂作業が現在進行中であり,2011 年の第 47 回日本胆道学会でその公聴会も予定されている.こうした状況を踏まえて,現時点における最新の診断基準,重症度判定基準について解説した.

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第2章 胆道炎(胆嚢炎・胆管炎)
管理・治療・予後

中里 徹矢     杏林大学大学医学部外科学教室(消化器・一般)
鈴木  裕     杏林大学大学医学部外科学教室(消化器・一般)
横山 政明     杏林大学大学医学部外科学教室(消化器・一般)
杉山 政則     杏林大学大学医学部外科学教室(消化器・一般)教授

要旨
 急性胆道炎(胆管炎・胆嚢炎)は急性期に適切に治療を行う必要がある.2005 年に『科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン』が示され,標準治療として広く認識されている.重症度判定基準に応じて治療を行うことが重要で,重症管理と胆道ドレナージが可能な施設での治療が望まれる.急性胆管炎では,適切な抗菌薬の投与に加え,早期の胆道ドレナージが必要となる.急性胆嚢炎に対しては,可能な限り早期の胆嚢摘出術が望ましい.
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第2章 胆道炎(胆嚢炎・胆管炎)
医療経済学の観点から

大隈 和英   京都大学大学院医学研究科医療経済学分野
Jason Lee   京都大学大学院医学研究科医療経済学分野
猪飼  宏    京都大学大学院医学研究科医療経済学分野
大坪 徹也   京都大学大学院医学研究科医療経済学分野
今中 雄一   京都大学大学院医学研究科医療経済学分野 教授

要旨
 我々は急性胆管炎の近年の診療について,2004 年4月〜2009 年9月に全国 11 病院を退院した症例 2,945 件の『診断群分類』(DPC)データを用いて,診療内容の変化と在院日数・医療費の関連要因を明らかにした.経年的な変化では,抗生物質投与日数の短縮,侵襲的な手術治療や経皮経肝的治療の減少,低侵襲な内視鏡治療の増加,在院日数の短縮と1日あたりの医療費の増加を認めた.死亡率,1入院あたりの医療費は,変化を認めなかった.

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第2章 胆道炎(胆嚢炎・胆管炎)
急性胆道炎診療ガイドライン

吉田 雅博  国際医療福祉大学化学療法研究所附属病院人工透析・一般外科 教授
高田 忠敬  帝京大学医学部外科 名誉・客員教授

要旨
 診断基準を用いて,急性胆嚢炎と急性胆管炎を診断し,次に重症度を判定し,治療方針を決定する.急性胆管炎の治療は,適切な臓器サポートや呼吸循環管理,抗菌薬治療とともに,緊急に胆道ドレナージを行う.重症急性胆嚢炎の治療は,適切な臓器サポートや呼吸循環管理,抗菌薬治療とともに,緊急胆嚢摘出術が基本となる.急性胆道炎に対する投与抗菌薬は,軽症例にはペニシリン系や第1世代セフェム系を用い,中等症では第2〜4世代セフェム系を第1選択薬とし,重症例ではカルバペネム系,ニューキノロン系を用いる.胆道閉塞がある場合は,減圧術(内視鏡的,経皮的,手術的ドレナージなど)併施が必須である.ドレナージ施行の際は,胆汁培養検査を施行し原因菌同定に努め,菌の選択性,感受性の強い抗菌薬に変更する.


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第3章 硬化性胆管炎(原発性硬化性胆管炎・IgG4 関連硬化性胆管炎)
概念・定義と疫学

岡崎 和一  関西医科大学内科学第三講座(消化器肝臓内科)教授
住本 貴美  関西医科大学内科学第三講座(消化器肝臓内科)
福井 由里  関西医科大学内科学第三講座(消化器肝臓内科)
池田 広記  関西医科大学内科学第三講座(消化器肝臓内科)
内田 一茂  関西医科大学内科学第三講座(消化器肝臓内科)講師

要旨
 原因不明の肝内外胆管の慢性炎症と線維化による胆管狭窄により閉塞性黄疸を来す,原発性硬化性胆管炎(PSC)と IgG4 関連硬化性胆管炎(IgG4−SC)の概念・定義・疫学について解説した.多くの IgG4−SC 症例は,その概念が普及する以前には PSC と診断されていたものと推定される.我が国の PSC は,男性に多く若年者群と中高年者群の二峰性を呈し,前者には潰瘍性大腸炎(UC)の合併が,後者には膵炎の合併が多い.また発症年齢は, PSC では 20〜30 歳代に多く認められるのに比して,IgG4−SC では 60 歳以上の高年男性に多いが,UC の合併はほとんど認めない.
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第3章 硬化性胆管炎(原発性硬化性胆管炎・IgG4 関連硬化性胆管炎)
病 理

中沼 安二   金沢大学大学院医学系研究科形態機能病理学 教授
原田 憲一   金沢大学大学院医学系研究科形態機能病理学 准教授
池田 博子   金沢大学附属病院病理部 准教授

要旨
 硬化性胆管炎は,肝内外胆管の線維化,慢性炎症を来す疾患である.原発性硬化性胆管炎(PSC)が原型であり,最近,IgG4 関連硬化性胆管炎(IgG4−SC)が注目されている.PSC は,胆管内腔縁の炎症が高度であり,線維化が高度である.一方,IgG4−SC は,肝門部胆管と膵内胆管が高率に障害され,IgG4 陽性形質細胞の浸潤と閉塞性静脈炎が特徴的で,胆管壁全層に病変が見られ,胆管周囲付属腺が高度に障害される.
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第3章 硬化性胆管炎(原発性硬化性胆管炎・IgG4 関連硬化性胆管炎)
病態生理

神澤 輝実    東京都立駒込病院内科 部長
原  精一    東京都立駒込病院内科
田畑 拓久    東京都立駒込病院内科

要旨
 硬化性胆管炎は,肝内外胆管において炎症性線維性の硬化性変化により狭小化を起す疾患であり,原因不明の病態である原発性硬化性胆管炎(PSC),続発性硬化性胆管炎と IgG4 関連硬化性胆管炎(IgG4−SC)に大別される.PSC は,二峰性の年齢分布を示し,肝内胆管を中心とする多彩な胆管像を呈し,しばしば炎症性腸疾患や胆管がんを合併する進行性の予後不良の疾患である.一方,IgG4−SC は,高齢男性に好発し,下部胆管狭窄の頻度が高く,血中 IgG4 の上昇と胆管壁への IgG4 陽性形質細胞の密な浸潤を認め,ステロイドが奏効し,予後は比較的良好である.

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第3章 硬化性胆管炎(原発性硬化性胆管炎・IgG4 関連硬化性胆管炎)
診 断

大原 弘隆   名古屋市立大学大学院医学研究科地域医療教育学 教授
中沢 貴宏   名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学 病院教授
林  香月   名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学
内藤  格   名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学
城  卓志   名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学 教授

要旨
 硬化性胆管炎(SC)の診断には多方面からの検討が必要である.IgG4 関連硬化性胆管炎(IgG4−SC)を診断するうえで重要なことは,多くの症例が自己免疫性膵炎(AIP)を合併していることであり,血清 IgG4 の測定も他疾患との鑑別に役立つ.原発性硬化性胆管炎(PSC)では特徴的な潰瘍性大腸炎(UC)の合併も診断の参考になる.IgG4−SC と肝門部胆管がんとの鑑別は容易ではなく,胆管細胞診・生検,管腔内超音波検査(IDUS)などを行い,慎重に診断する必要がある.
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第3章 硬化性胆管炎(原発性硬化性胆管炎・IgG4 関連硬化性胆管炎)
管理・治療・予後

田中  篤   帝京大学医学部内科 准教授

要旨
 原発性硬化性胆管炎(PSC)は炎症性腸疾患(IBD)・大腸直腸がん,胆道がんを高頻度に合併する.ウルソデオキシコール酸(UDCA)が使用されるが,長期予後改善効果は明確ではない.強い胆管狭窄が存在する場合には内視鏡的拡張術を行う.進行例では肝移植の適応を考慮する.IgG4 関連硬化性胆管炎(IgG4−SC)はステロイド投与が著効するが,やはり胆管がんの可能性を十分検討しなければならない.その管理については未解決の問題が多く,今後の検討が必要である.

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第4章 胆道がん
概念・定義と疫学

大谷 和広   宮崎大学医学部外科学講座腫瘍機能制御外科学
千々岩一男   宮崎大学医学部外科学講座腫瘍機能制御外科学 教授

要旨
 本邦の『胆道癌取扱い規約』では,胆道がんは肝外胆道系に原発した癌腫と定義され,胆管がん,胆■がん,十二指腸乳頭部がんが含まれる.胆道がんによる死亡は本邦のがん死因の第6位に位置しており,人口の高齢化もあり,死亡実数は現在も増加を続けている.世界的には東アジア,中南米,東欧が高危険地域として知られている.危険因子としては,膵・胆管合流異常,原発性硬化性胆管炎(PSC),胆石などが挙げられ,脂肪摂取,肥満との関連も示唆されている.
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第4章 胆道がん
病 理

鬼島  宏     弘前大学大学院医学研究科病理生命科学講座 教授
諸橋 聡子    弘前大学大学院医学研究科病理生命科学講座
清野 浩子    弘前大学大学院医学研究科病理生命科学講座
佐藤 冬樹    弘前大学大学院医学研究科病理生命科学講座

要旨
 胆道の壁構造は菲薄で,粘膜,固有筋層,漿膜下層の3層構造より成る.WHO 分類では,前がん病変として,腺腫,胆管内乳頭状腫瘍などが挙げられている.胆道がんの大部分は,腺がんであり,乳頭腺がん,管状腺がん,充実腺がん,粘液がん,印環細胞がんの5つに分類されている.腺がんは,通常は粘膜内部分では乳頭腺がんないし高分化型管状腺がんの形態をとり,胆道壁に浸潤した部分では線維性間質を伴いながら中分化型から低分化型管状腺がんを呈することが多く,浸潤部では細胞異型も一般に高くなる.

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第4章 胆道がん
診 断

矢根  圭     手稲渓仁会病院消化器病センター 医長
真口 宏介    手稲渓仁会病院消化器病センター センター長
高橋 邦幸    手稲渓仁会病院消化器病センター 医長
潟沼 朗生    手稲渓仁会病院消化器病センター 医長
小山内 学    手稲渓仁会病院消化器病センター 医長

要旨
 胆道がんは一般に予後不良であり,早期発見が課題である.超音波検査(US)は低侵襲で簡便に施行できるため,診断のファーストステップに位置づけられるが,現在の画像診断法の中心はコンピューター断層撮影(CT)と磁気共鳴画像(MRI)であり,存在診断に加えて質的診断,進展度診断も可能となってきている.しかしながら,小病変の指摘や質的診断ならびに詳細な進展度診断には限界があり,超音波内視鏡検査(EUS),内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP),管腔内超音波検査(IDUS),経口胆道鏡(POCS),組織診などの精査を要する.胆道がんの早期発見のためには,軽度の肝機能異常,US での胆管拡張や胆嚢腫大などの間接所見を拾い上げ,積極的に精査へ誘導することが重要である.

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第4章 胆道がん
管理・治療・予後

伊神  剛     名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科学 講師
江畑 智希    名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科学 准教授
横山 幸浩    名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科学 講師
菅原  元     名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科学 講師
椰野 正人    名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍外科学 教授

要旨
 肝門部胆管がんと胆管浸潤を伴う胆嚢がんでは,@シンバイオティクスを使用した術前術後管理により周術期の感染性合併症発生の予防に努める,A正確な肝門部解剖の把握に基づいた術式の立案と実施,B門脈・肝動脈同時切除が必要な超進行肝門部胆管がんに対して安易に切除不能とはしない,C胆管浸潤を伴う胆嚢がんに対しても積極的な根治(R0)切除を目指す,といったことが重要である.しかし,これらの診療内容は,どこの施設でも可能ではないので,high volume center での施行が望ましい.

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第4章 胆道がん
胆道がん診療ガイドライン

吉富 秀幸   千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学
木村 文夫   千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学 准教授
清水 宏明   千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学 講師
大塚 将之   千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学 講師
宮崎  勝    千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学 教授

要旨
 『エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン』は 2007 年に発刊され,医療の均霑化や,医療水準の底上げに効果を発揮している.本ガイドラインは,診断,治療アルゴリズムと,臨床で直面することが多いと考えられる問題点をクリニカルクエスチョンの形で取り上げ,これに推奨,推奨度,解説を加えた構成となっている.今後は,推奨度の明確化,効率的に公開できる体制の構築,quality indicator(QI)による評価などを取り入れ,改訂作業を行っていく予定である.

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