要旨

最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 73/内分泌6
内分泌性高血圧


第1章 概念と病型分類
概 念

宮森  勇   福井大学医学部病態制御医学講座内科学(3)教授

要旨
 内分泌性高血圧の代表的な疾患は,副腎ホルモンの産生異常によって発症する.本来生体にとって防護的に作用するホルモン群であるが,自律的産生過剰によって高血圧が生じる.その多くは外科的切除により治癒が期待されるが,見逃されると心血管合併症や代謝異常を来しやすい.従来まれな疾患であったが,内分泌的検査を行うことで,日常診療においても発見する機会は増えると推定される.
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第1章 概念と病型分類
分 類

伊藤 貞嘉  東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座腎・高血圧・内分泌学分野 教授

要旨
 内分泌性高血圧は,高血圧のほかに内分泌異常のための特徴的な症状,身体所見や検査所見を呈するとされている.しかしながら,典型的な所見を示さず,本態性高血圧と一見鑑別が困難な症例も少なくない.内分泌性高血圧は責任となるホルモンが産生されている臓器により,下垂体性,甲状腺性,副甲状腺性,副腎性などに分けられる.最も多いのは副腎に関連するもので,主なものとしては原発性アルドステロン症,褐色細胞腫,クッシング症候群(病)が挙げられる.これらの中でも,原発性アルドステロン症の頻度は全高血圧患者の数%にのぼる.内分泌性高血圧の診療には,一般医家(内分泌が専門でない医師)の貢献が最も重要である. 目次に戻る



第2章 疫 学
クッシング症候群とサブクリニカルクッシング症候群

蛛@涼一   九州大学大学院医学研究院病態制御内科学 教授
河手 久弥   九州大学大学院医学研究院病態制御内科学
柳瀬 敏彦   福岡大学医学部内分泌糖尿病内科 教授

要旨
 1997 年の調査ではクッシング症候群の病因は,下垂体性 35.8%,副腎腫瘍 47.1%,その他 17.1% であった.術後のグルココルチコイド補充は下垂体性で平均7ヵ月,副腎腫瘍で平均15.3ヵ月であった.サブクリニカルクッシング症候群(SCS)は 1999 年から5年間で約 400 例が集計された.本症で合併した高血圧,糖尿病の術後の長期観察での改善率は諸報告で 29〜83%,悪化例はなしであったが,非手術例は悪化例が 17〜50% 認められた.
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第2章 疫 学
原発性アルドステロン症

西川 哲男   横浜労災病院 病院長
大村 昌夫   横浜労災病院内分泌・糖尿病センター センター長
齋藤  淳    横浜労災病院内分泌・糖尿病センター 部長
松澤 陽子   横浜労災病院内分泌・糖尿病センター 副部長

要旨
 本邦での,高血圧に占める原発性アルドステロン症(PA)の頻度は 3.3%〜10% 前後である.対象症例の選択法やスクリーニング法でその頻度は異なると考えられるが,いずれにせよ,高血圧に占める本疾患は,決してまれではない.また,PA は必ずしも低カリウム血症(K)を示さないため,臨床的に高血圧のみが特徴で,その存在を疑わない限り,診断に至らない.高血圧診療で PA 症例を見逃さないよう,注意が必要である.
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第2章 疫 学
褐色細胞腫

成瀬 光栄  国立病院機構京都医療センター内分泌代謝高血圧研究部 部長

要旨
 褐色細胞腫は難治性内分泌疾患の代表である.カテコールアミン測定法と画像診断の普及に伴い,診断数の増加が推定されるが,正確な疫学調査は実施されていなかった.2009 年度厚生労働省研究班により全国疫学調査を実施した結果,推定患者数は約 2,920 人で,11% が悪性であった.総患者数の増加に伴い悪性例も増加している.その約1/3は診断当初は良性とされており,良悪性の鑑別が困難な状況は改善しておらず,重要な課題である.
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第2章 疫 学
先天性副腎皮質過形成:11β−水酸化酵素欠損症と17α−水酸化酵素欠損症

向井 徳男   旭川厚生病院小児科 部長

要旨
 ステロイドホルモン合成に関与する酵素が先天的に欠損する副腎酵素欠損症のうち,特にコルチゾール合成ができないために下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰分泌される結果副腎が過形成を来すものを,先天性副腎皮質過形成症(CAH)と呼ぶ.7つの病型に分類され,高血圧を呈する疾患として 11β−水酸化酵素欠損症と 17α−水酸化酵素欠損症が挙げられる.両疾患の頻度は共に CAH 全体の1%以下である.
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第3章 副腎ホルモンの合成と分泌調節
コルチゾールの合成と分泌調節

柴田 洋孝   慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科 専任講師

要旨
 コルチゾールの合成は,視交叉上核および副腎の概日時計による日内変動のほかに,ストレスによる促進や,コルチゾール自身によるネガティブフイードバックにより制御される.副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は,サイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)を介して steroidogenic acute regulatory protein(StAR)の発現を短時間に促進する.一方,ステロイド合成酵素遺伝子は,SF−1 を含む転写因子複合体による転写調節や,プロモーター領域のメチル化などのエピジェネティックな発現調節を受ける.
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第3章 副腎ホルモンの合成と分泌調節
アルドステロンの生合成

宮森  勇   福井大学医学部病態制御医学講座内科学(3)教授

要旨
 アルドステロンは副腎皮質で生合成される電解質ホルモンである.尿細管に働きナトリウム(Na)を再吸収しカリウムイオン(K+)を排泄する.副腎ステロイドはコレステロールを前駆体として各種の酵素により合成されるが,アルドステロンは最終的にアルドステロン合成酵素(AS)によって産生される.アルドステロン産生を刺激するのはアンジオテンシンU(AngU)と副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)である.アンジオテンシンは合成の最終段階を刺激し,ACTH は初期段階を刺激する.レニン阻害薬,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬によりアルドステロン合成は抑制されるが,AngU受容体拮抗薬,アルドステロン受容体拮抗薬ではアルドステロンは増加する.

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第3章 副腎ホルモンの合成と分泌調節
カテコールアミン代謝

橋 伯夫   関西医科大学臨床検査医学 教授

要旨
 カテコールアミン(CA)は,最も古くから生体に存在する物質群で重要な生理的役割を演じているので,その異常はさまざまな疾病の原因にもなっている.したがって,CA の代謝を正しく理解して疾病の診断に活用することが望ましい.特に重要なのは褐色細胞腫の診断であり,クロム親和性細胞内で常に一定量産生され血中に放出されているメタネフリンの測定は,感度と特異度の点で最も優れた診断法である. 目次に戻る



第4章 病理・病態生理
内分泌性高血圧(クッシング症候群,原発性アルドステロン症)の副腎皮質病理

笹野 公伸     東北大学大学院医学系研究科病理診断学分野 教授

要旨
 クッシング症候群,原発性アルドステロン症などの内分泌性高血圧の原因となる原発性副腎皮質疾患は,主に非腫瘍性と腫瘍性に分類される.いずれも病変の大部分は腫瘍性疾患が主体を占め,非腫瘍性疾患は双方共に両側性の副腎皮質過形成疾患が挙げられるが,クッシング症候群では全体の1%以下,原発性アルドステロン症では 10% 以下とその頻度は少ない.腫瘍性疾患では腺腫とがんの鑑別が臨床的には極めて重要である.原発性アルドステロン症を生じる副腎皮質がんは極めてまれと考えて良いが,クッシング症候群を伴う副腎皮質腫瘍では,数%を副腎皮質がんが占める場合もある. 目次に戻る



第4章 病理・病態生理
褐色細胞腫の病理

木村 伯子   国立病院機構函館病院臨床検査部病因病態研究室 室長

要旨
 褐色細胞腫はカテコールアミン(CA)産生腫瘍であり,アドレナリン(A)優位型とノルアドレナリン(NA)優位型がある.散発性のほかに家族性のものがあり,約 10% 以上に転移が見られる.家族性褐色細胞腫(多発性内分泌腺腫症2型:MEN2,神経線維腫症1型:NF1,von Hippel−Lindau 病:VHL,遺伝性褐色細胞腫・パラガングリオーマ症候群:HPPS)の特徴,腫瘍の悪性度の考え方,臨床所見や検査データ,免疫染色所見などを包括した褐色細胞腫に特徴的な組織所見と診断の実際について記載した.

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第4章 病理・病態生理
コルチゾールの心血管・代謝作用

武田 仁勇  金沢大学大学院臓器機能制御学(内分泌代謝内科)准教授

要旨
 内因性および外因性のコルチゾール過剰による心血管作用として,高血圧,心肥大,動脈硬化が挙げられる.また,肥満,インスリン抵抗性の糖尿病,脂質およびタンパク代謝異常が生じる.コルチゾールの作用は,グルココルチコイド受容体(GR)以外にミネラルコルチコイド受容体(MR)を介する作用もある.各組織にはコルチゾールの代謝酵素として,11β−水酸化ステロイド脱水素酵素(11β−HSD)が重要な役割を果たしており,11β−HSD1 阻害薬が新たな糖尿病治療薬として開発されている.


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第4章 病理・病態生理
アルドステロンの心血管・代謝作用

加藤 大介  東京慈恵会医科大学循環器内科学
名越 智古  東京慈恵会医科大学循環器内科学
吉村 道博  東京慈恵会医科大学循環器内科学 教授

要旨
 アルドステロンの作用は,従来腎臓尿細管における Na 再吸収が主と考えられてきた.近年,ゲノム/非ゲノム作用を介した細胞肥大,線維化,アポトーシスを含む心血管への直接作用が明らかとなってきた.また,副腎由来のアルドステロン以外に,組織局所におけるアルドステロン産生の存在も示唆されている.高食塩摂取が特色の本邦において,減塩と抗アルドステロン薬の使用は心血管病治療の中で重要な位置を占める.
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第4章 病理・病態生理
カテコールアミンの心血管・代謝作用

田辺 晶代   東京女子医科大学第二内科(高血圧・内分泌内科)講師
市原 淳弘   東京女子医科大学第二内科(高血圧・内分泌内科)主任教授

要旨
 カテコールアミン(CA)作用発現は,α受容体,β受容体など特異的な交感神経受容体を介する.各受容体は数種のサブタイプを有し,一部で相反する作用を呈するなどその作用は複雑で,CA の心血管,代謝に対する総効果は血中濃度や生体内の環境によって変化しうる.アドレナリン(A)はαおよびβ受容体,ノルアドレナリン(NA)はαおよび若干のβ1 受容体刺激作用を有し,血管収縮,心収縮力増大,血圧上昇,血糖上昇,脂肪分解作用を示す.生体内での CA 作用は,A濃度と NA 濃度のバランス,α作用とβ作用のバランスにより調節される.
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第5章 遺伝子の異常による内分泌性高血圧と類縁疾患
17α−水酸化酵素欠損症および11β−水酸化酵素欠損症

柳瀬 敏彦    福岡大学医学部内分泌糖尿病内科 教授
明比 祐子    福岡大学医学部内分泌糖尿病内科 准教授

要旨
 先天性副腎皮質過形成症(CAH)5病型のうち,高血圧を呈する病型は 17α−水酸化酵素欠損症と 11β−水酸化酵素欠損症のみであり,両病型ともミネラルコルチコイドの過剰産生により低レニン性高血圧を呈する.高血圧と同時に性腺機能障害を呈する場合は前者を,男性で性早熟,女性では男性化兆候を認める若年性高血圧患者では後者を疑う.両疾患ともそれぞれ,原因遺伝子の CYP17,CYP11B1 に種々の変異が同定されている.

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第5章 遺伝子の異常による内分泌性高血圧と類縁疾患
グルココルチコイド反応性アルドステロン症(GRA)およびAME症候群

宗  友厚   川崎医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科学 教授

要旨
 アルドステロンを代表とするミネラルコルチコイド(MC)は,古典的標的臓器において体液貯留を介し血圧を調節する.副腎皮質での生合成から腎集合管など効果器での作用発揮に至る各段階の異常が,メンデル遺伝型の高・低血圧を来す.CYP11B1 と CYP11B2 のキメラ遺伝子によるグルココルチコイド反応性アルドステロン症(GRA)と,レセプター前防御機構である 11β−水酸化ステロイド脱水素酵素2型(11β−HSD2)異常による apparent mineralocorticoid excess(AME)症候群の同定は,ミネラルコルチコイドの新たな分泌調節・作用機序が解明される契機となった.
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第5章 遺伝子の異常による内分泌性高血圧と類縁疾患
偽性アルドステロン症

田村 尚久   医療法人財団康生会武田病院内分泌・糖尿内科 部長

要旨
 血漿アルドステロン濃度(PAC)が低いのに高血圧,低K血症などアルドステロン過剰症状を示すのが,偽性アルドステロン症である.薬剤性が多く,腫瘍や遺伝子異常も原因になる.薬物使用歴と血中コルチゾール,デヒドロエピアンドロステロン硫酸濃度の確認が鑑別診断に有用である.薬物性では原因薬物を中止し,ホルモン産生腫瘍は外科的に摘除する.ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬が有効だが,リドル症候群ではトリアムテレンを用いる.

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第6章 診断基準・ガイドライン
クッシング症候群

照井  健    弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学講座
須田 俊宏   弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学講座 教授

要旨
 クッシング症候群には ACTH 依存性(主に下垂体性)と非依存性(副腎性)がある.前者の場合は,近年改訂された『クッシング病の診断と治療の手引き』に沿って診断を進める.スクリーニング検査と確定診断用検査がある.後者の場合は,『副腎性クッシング症候群診断基準』にて診断を進める.また,サブクリニカルクッシング病および副腎性サブクリニカルクッシング症候群に関しても手引きや診断基準があるが,副腎性は改訂が検討されている.
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第6章 診断基準・ガイドライン
原発性アルドステロン症

西川 哲男    横浜労災病院 病院長
大村 昌夫    横浜労災病院内分泌・糖尿病センター センター長
齋藤  淳     横浜労災病院内分泌・糖尿病センター 部長
松澤 陽子    横浜労災病院内分泌・糖尿病センター 副部長

要旨
 原発性アルドステロン症(PA)は外科的処置で治癒が期待できる二次性高血圧である.20 世紀末までは,PA の高血圧に占める頻度は極めて低いとされてきたが,最近血中カリウム(K)値に関係なく,血漿アルドステロン濃度(PAC)と血漿レニン活性(PRA)の同時測定によるスクリーニングを行うと,10% 前後を占める高頻度疾患であると最近は報告されている.一方,アルドステロンは血圧非依存性に,血管障害をもたらし,脳心腎の臓器病変の発症進展に関与している.したがって,高血圧診療にて PA をスクリーニングする必要がある.確定診断後は,副腎静脈採血法(AVS)でアルドステロン過剰分泌が片側性か両側性かを確認して手術適応を決める.これらの診断の一助として,最近 PA の診療ガイドライン(GL)が,米国,日本で発表されてきた.本稿にて,PA の診断治療ガイドラインを参考に,診断法に関して概説した.

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第6章 診断基準・ガイドライン
褐色細胞腫

成瀬 光栄    国立病院機構京都医療センター内分泌代謝高血圧研究部 部長
立木 美香    国立病院機構京都医療センター内分泌代謝高血圧研究部
難波 多挙    国立病院機構京都医療センター内分泌代謝科
中尾佳奈子    国立病院機構京都医療センター内分泌代謝科
田辺 晶代    東京女子医科大学第二内科(高血圧・内分泌内科)講師

要旨
 褐色細胞腫・パラガングリオーマでは,良性であることを確実に診断することが困難なため,“良性褐色細胞腫”の診断基準はない.『褐色細胞腫・パラガングリオーマの診断基準(案)』を前提として“悪性”の診断を行う.診療アルゴリズムには『褐色細胞腫診断と治療のアルゴリズム(案)』と『悪性褐色細胞腫診断と治療法のアルゴリズム(案)』がある.良性では手術が第1選択であるが,悪性の約1/3は診断当初は良性と診断されていることから,慎重な経過観察を要する.

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第7章 管理・画像診断・治療
クッシング症候群の内科治療

沖   隆    浜松医科大学第2内科(内分泌代謝内科)講師

要旨
 クッシング症候群は高コルチゾール血症によって,その特徴的所見と,高血圧,耐糖能障害,脂質異常,免疫不全,精神障害などを発症する.治療の第1選択は手術療法であるが,手術困難例,手術無効,術後再発例などに薬物療法を行う.下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌を抑制する有効な治療は少ないが,副腎からのコルチゾール産生を抑制するメチラポンやトリロスタンは有効な治療法である.副腎皮質がんにはミトタンを用いる.

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第7章 管理・画像診断・治療
副腎の手術:腹腔鏡下副腎摘除術

福井 勝也    関西医科大学腎泌尿器外科
松田 公志    関西医科大学腎泌尿器外科 教授

要旨
 腹腔鏡下副腎摘除術は,1992 年に我が国で始まってから 20 年近く経った今,従来の開放手術に代わり良性副腎腫瘍に対する標準的手術方法となった.腹腔鏡下の手術法も改良が進み,現在はさまざまな方法がある.本稿では,それらの術式の特徴と文献報告による考察を加えて解説する.

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第7章 管理・画像診断・治療
原発性アルドステロン症の診断と治療に関する医療経済上の諸問題
 −高血圧全例での原発性アルドステロン症スクリーニングは医療コストを増加させるか?−

大村 昌夫    横浜労災病院内分泌・糖尿病センター センター長
西川 哲男    横浜労災病院 病院長

要旨
 高血圧患者全例で原発性アルドステロン症(PA)のスクリーニングを行い,その陽性例で確定診断,治療を段階的に行うことで,スクリーニングを行わずに全例を本態性高血圧として 25 年間治療を行うより,高血圧治療に必要な総医療費を抑制できる可能性が示唆された.

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第7章 管理・画像診断・治療
原発性アルドステロン症の手術適応と術後成績

佐藤 文俊    東北大学病院腎・高血圧・内分泌科 講師
森本  玲    東北大学病院腎・高血圧・内分泌科
高瀬  圭    東北大学病院放射線診断科 准教授
石戸谷滋人   東北大学病院泌尿器科 准教授
伊藤 貞嘉    東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座腎・高血圧・内分泌学分野 教授

要旨
 原発性アルドステロン症(PA)は高血圧症の5〜10%を占める頻度の高い疾患だが,重症化しないと低カリウム血症を呈さずに高血圧以外の症状が乏しく,診断が遅れて脳・心・腎の臓器障害を合併することが多い.術後成績改善のためには,画像診断のみに頼らず,副腎静脈サンプリング(AVS)で片側病変を的確に局在診断した後に鏡視下副腎摘出術施行することが推奨され,さらに慢性腎臓病(CKD)を合併すると高血圧の治癒や降圧剤の減少などの期待値が減るので,できるだけ早期のこの疾患の診断が望まれる.

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第7章 管理・画像診断・治療
内分泌性高血圧の副腎画像診断

篠崎 健史    自治医科大学放射線医学教室 講師
杉本 英治    自治医科大学放射線医学教室 教授

要旨
 副腎は小さな臓器であるが,血圧に関連する重要なホルモンを分泌する.時にホルモン異常による副腎内分泌性高血圧が惹起されるが,原因疾患が診断できれば完治が望める高血圧であり,早期診断・早期治療は重要である.本稿では内分泌性高血圧の原因となる副腎皮質腺腫,副腎過形成,褐色細胞腫の CT,MRI,シンチグラフィーの画像所見について,典型症例を呈示しながら解説する.

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