要旨

最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 74/神経5
てんかん


第1章 概念・定義,疫学,分類
てんかん治療・研究の世界の動向

田中 達也   国際抗てんかん連盟(ILAE)第一副理事長
         社会福祉法人向陽会やまびこ医療福祉センター 名誉院長

要旨
 本稿では,国際抗てんかん連盟(ILAE)の第一副理事長としての職責で国際的な視点に立って,現在およびこれからのてんかん治療と研究およびてんかんの社会的側面について,世界の動向および我が国の現状について概説した.本稿および本誌がきっかけとなり,若い先生たちに,てんかんの臨床および基礎研究とてんかん治療に興味を持っていただき,新たな研究の発展により,近い将来にはてんかんに苦しむ多くの患者の根本的な治療が可能になるように,期待していることを強調した.
目次に戻る



第1章 概念・定義,疫学,分類
概念と定義

池田 昭夫  京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座臨床神経学(神経内科)准教授

要旨
 てんかんは,「種々の病因による慢性脳疾患で,大脳神経細胞の過剰放電による反復性発作(てんかん発作)を主徴とし,種々の臨床症状・検査所見を伴う」.“慢性病態”,“反復性発作”,“発作が主症状”が重要だが,社会的定義と診断技術の進歩を反映し,「1回の発作と,発作を起す持続性脳病態」,「発作間欠期に神経生物学的,認知的,心理的,社会的問題を伴う」,と新たに提言された.てんかんは,“炭の火種”に例えられる.
目次に戻る



第1章 概念・定義,疫学,分類
疫 学

荒木 邦彦   国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター神経内科
井上 有史   国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター精神科 院長

要旨
 てんかんは,全年齢層で起る頻度の高い神経疾患である.罹患率は1年間人口 10 万人あたり 24〜190 人であり,先進国と比べると発展途上国に多い.有病率は人口 1,000 人あたり4〜10人,主な病因は頭部外傷,中枢神経感染症,周産期障害である.発作は加療により約 70% で寛解が得られる.死因のほとんどは,基礎疾患である脳腫瘍,中枢感染症,脳血管障害によるものである.直接要因にてんかんの突然死(SUDEP)やけいれん重積,間接要因に事故(溺水・転倒・熱傷)が含まれる.
目次に戻る



第1章 概念・定義,疫学,分類
分 類

飛松 省三   九州大学大学院医学研究院脳神経病研究施設臨床神経生理 教授

要旨
 てんかんの正確な診断のためには,病因としてのてんかんの概念と,その症状を指すてんかん発作の概念を理解する必要がある.1980 年代に国際抗てんかん連盟(ILAE)が発作のタイプをもとにした“てんかん発作型分類”と発作を引き起す過剰な脳活動の範囲やその背景に潜む原因などをもとにした“てんかんとてんかん症候群分類”を提唱し,今日まで広く用いられている.近年,ILAE は遺伝子を基軸とした病態に基づく疾患分類を検討中である.
目次に戻る



第2章 病理・病態生理
病態生理

丸  栄一   日本医科大学医学部生理学教室 准教授
菅谷 佑樹  東京大学医学部神経生理学教室
浦  裕之   東邦大学大学院薬学研究科

要旨
 てんかんの病態生理を理解するには,発作の発生を“脳興奮性調節ネットワーク”の一時的な破綻としてとらえなければならない.本稿では部分発作を取り上げて,発作間欠期におけるγ−アミノ酪酸A型(GABAA)シナプス抑制の増強が発作移行期にGABAA シナプス興奮に転じる機序,および血液脳関門(BBB)の破綻によるアストロサイトの細胞外K+ 濃度緩衝機能の障害について,各局所ネットワークの異常がどのようにネットワーク全体に広がり,発作に至るかを解説した.
目次に戻る



第2章 病理・病態生理
病 因

高橋 幸利   国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター小児科 統括診療部長
植田 佑樹   国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター小児科
保立麻美子  国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター小児科
要旨
 てんかんの成因には,特発性,血管障害,先天性,外傷性などがあり,年齢により異なる割合を示す.特発性には,イオンチャネル遺伝子などの単一遺伝子異常によるものと多因子遺伝によるものがある.血管障害は高齢者に多く,先天性には,単一遺伝子異常によるものや胎児期の要因による脳形成障害などが含まれる.
目次に戻る



第2章 病理・病態生理
病 理

伊藤 雅之   国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第二部 室長

要旨
 てんかんは太古の昔から知られている病気であり,その病理変化の記載は 19 世紀初頭に始まる.以来,てんかん病理の分類学は脳外科学と放射線診断学を先導するように発展してきた.今日では,治療予後との関連性からの見直しなど,より臨床に則した分類学が試みられてきている.国際抗てんかん連盟(ILAE)が提唱している新しい分類をもとに,遭遇することの比較的多い疾患について概説する.
目次に戻る



第3章 診 断
診 断

坂内 優子   東京女子医科大学小児科 講師

要旨
 てんかん診断のためには,脳性の発作症状が反復して起ることを確認する必要がある.そのためには,症状の起り方,身体症状,持続時間など発作時の状態と,家族歴,既往歴や随伴する神経学的所見などの詳細な問診と診察が重要であり,さらに神経画像検査や発作時ビデオ脳波同時記録などが,診断の決め手になることもある.突然起る症状を診察した場合には,まず症状の詳細な問診をしたうえで脳波検査を実施することが,てんかん診断のスタートとなる.

目次に戻る



第3章 診 断
検査所見

重藤 寛史   九州大学大学院医学研究院神経内科 特任准教授

要旨
 てんかん診療では,問診,脳波,画像検査が必須である.脳波は,てんかんの診断だけでなく抗てんかん薬の効果判定にも使用されるが,判読にあたっては覚醒度や日々変動の影響を受けることに留意しなければならない.また,非てんかん性の活動をてんかん性と誤って判断すると,患者の生活に多大な影響を及ぼすことになる.本稿では,脳波検査を中心に,てんかんの診断,治療,手術に必要な検査を示す.
目次に戻る



第3章 診 断
画像所見

前原 健寿     東京医科歯科大学脳神経外科 講師

要旨
 てんかんの画像診断の基本は磁気共鳴画像(MRI)で,ポジトロン断層撮影(PET),単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)も診断には有用である.海馬硬化,良性脳腫瘍,海綿状血管腫などが MRI で診断される代表的疾患である.限局性皮質形成異常を見逃さないためには,T2 強調像や FLAIR 像で皮質白質境界の不明瞭さに注目する必要がある.1.5T MRI で描出されたてんかん病変に 3T MRI による特殊撮影を行うことで,さらに重要な情報をえることができる.
目次に戻る



第3章 診 断
鑑別診断

大石  実   日本大学医学部神経内科 准教授

要旨
 てんかんは慢性の脳疾患であり,急性疾患と同時に起る発作はてんかんではない.けいれん発作の原因としては,てんかん,急性症候性発作,心因性非てんかん性発作などがある.意識消失発作の原因としては,てんかん,失神,心因性発作,椎骨脳底動脈循環不全,薬物,低血糖症,過換気症候群,くも膜下出血などがある.

目次に戻る



第3章 診 断
遺伝子診断

菅原 貴征  弘前大学大学院医学研究科神経精神医学講座
          東北化学薬品株式会社生命システム情報研究所
吉田 秀一  浜松医科大学医学部総合人間科学講座
兼子  直   医療法人清照会 湊病院附属北東北てんかんセンター

要旨
 現在のてんかんの主な治療法は,抗てんかん薬(AED)により発作を抑制する対症療法である.しかし,最適な AED の選択には trial and error を繰り返すため,患者にとって大きな負担となる.近年,一部のてんかん類型で責任遺伝子が同定され,その分子病態が判明し,AED の作用機序も明らかになりつつある.したがって,近い将来,個々の遺伝子型に対応した適切な AED の選択が可能になると期待できる.


目次に戻る


第4章 管理・治療
コンプライアンス・日常生活指導

市川  暁   国立精神・神経医療研究センター病院薬剤部
曽根 大地  国立精神・神経医療研究センター病院精神科
渡辺 雅子  国立精神・神経医療研究センター病院精神科 医長

要旨
 てんかんの患者に対する日常生活指導では,具体的イメージをもちやすい説明により,服薬継続の動機付けを行うことや飲み忘れ防止策,飲み忘れた際の対処方法を身につけさせる.規則正しい生活を送ることが発作誘発因子をためず,発作の閾値を高めることを理解させる.日常生活を送る中で発作がおきた際に危険をもたらす可能性がある行動を知り,回避する方法を身につけさせる.これらのことを目的として指導を行う.
目次に戻る


第4章 管理・治療
成人てんかん薬物療法

岡田 元宏   三重大学大学院医学系研究科精神神経科学分野 教授

要旨
 成人発症てんかんへの薬物療法は,おおむね小児・高齢発症てんかんと差異はない.しかし,発症頻度は少ないが,抗てんかん薬終了の可能という点では,予後は必ずしも良くない.てんかん発症による社会的な損失も無視できないことから,小児・高齢発症てんかんとは異なる配慮が必要となる.QOL の低下を避けるためにも,より合理的な治療に心がけ,より少ない剤数と投与量に努めて,アドヒアランスの向上に心がけることも重要となる.
目次に戻る



第4章 管理・治療
小児・思春期てんかん薬物療法

須貝 研司    国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科 主任医長

要旨
 小児てんかんの薬物治療は,@てんかん症候群の診断ができれば薬剤選択ができる場合(特発性てんかん,てんかん性脳症)と,Aてんかん症候群では薬剤選択できず,発作症状に基づいて薬剤選択を行う場合(潜因性・症候性部分てんかん,症候性全般てんかん)に分けられ,@はてんかん症候群の正確な診断が重要であり,Aは発作症状の正確な診断が重要である.特発性てんかんについては具体的に,Aについては選択薬を表で示した.

目次に戻る



第4章 管理・治療
高齢者てんかん

山野 光彦   産業医科大学神経内科学
赤松 直樹   産業医科大学神経内科学 准教授
辻  貞俊    産業医科大学神経内科学 教授

要旨
 高齢者てんかん患者の診療は,小児・成人期とは異なる“特殊性”を常に考慮する必要がある.一般的に高齢発症てんかんは,抗てんかん薬に対する治療反応性が良好である.しかし,併存症,併用薬による薬物相互作用の問題もあり,忍容性の確保も重要である.近年の臨床試験からは,新規抗てんかん薬が有利ともされる.高齢者てんかん患者のマネジメントには,発作の抑制だけでなく,精神的・心理的側面も十分配慮する必要がある.
目次に戻る



第4章 管理・治療
難治てんかん

野沢 胤美   虎の門病院神経内科臨床生理検査部
          昭和大学医学部 客員教授

要旨
 難治てんかんの診断の前提は,てんかんの正確な診断,最適な抗てんかん薬(AED)の選択とその適切な用量の処方,患者の服薬順守と生活状況の確認,である.国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類を参考にして,てんかん症候群,発作型の診断を行い,適切な AED を選択する.第1選択薬,第2選択薬の単剤,あるいは多剤併用で発作が一定期間(日本神経学会治療ガイドラインでは1年以上)抑制されないときは,非薬物療法を考慮する.多剤併用の際は,作用機序の異なる薬剤の併用が推奨される.

目次に戻る



第4章 管理・治療
てんかん重積状態

音成 龍司   音成神経内科クリニック神経内科 院長

要旨
 てんかん重積状態(SE)の治療は従来と比べ改善されてきた.特に,@SE の治療開始時間が5分と短くなった,A従来の第1・第2選択薬であるジアゼパム,フェニトインに,ミダゾラム,フェノバルビタール静注,ホスフェニトインが利用可能になった,B全身麻酔治療にはプロポフォールが加わった,ことが挙げられる.これまでのエビデンスの高い研究結果によって,治療の選択肢が増え,SE の治療に光明を与えるだろう.
目次に戻る



第4章 管理・治療
抗てんかん薬の副作用

榎本  雪     福島県立医科大学医学部神経内科学
宇川 義一    福島県立医科大学医学部神経内科学 教授

要旨
 抗てんかん薬(AED)の副作用は,薬理作用に由来する副作用(直接的副作用),特異体質に基づく副作用(特異体質副作用),長期服薬による副作用(慢性副作用)に大別される.ある種の疾患では AED の副作用が発現しやすいほか,AED そのものでてんかんの増悪することがある.一般に,単剤治療に比して多剤併用で副作用が出現しやすく,薬剤相互作用にも注意が必要である.発作型に適した AED の選択と定期的な血中濃度の測定も大切である.

目次に戻る



第4章 管理・治療
妊娠可能年齢女性のてんかん

平田 幸一    獨協医科大学神経内科 教授
永島 隆秀    獨協医科大学神経内科 講師

要旨
 妊娠の可能性があるてんかんを持つ女性には,家族を含めて,担当専門医,産科医などと相談のうえ,妊娠前カウンセリングをする必要がある.その内容の骨子は,@奇形発現率を減らすため,妊娠前から抗てんかん薬(AED)はできるだけ単剤にする,Aバルプロ酸(VPA)は 1,000mg/日以下の投与量が望ましく,投与がやむをえぬ場合は分割投与,特に徐放剤使用を推奨する,B非妊娠時から 0.4mg/日程度の葉酸投与が望ましい,D授乳は AED の使用下でも原則的に可能,である.

目次に戻る



第4章 管理・治療
心因性発作と精神症状

兼本 浩祐    愛知医科大学医学部精神科学講座 教授

要旨
 てんかんでの精神症状の併発率は3人に1人にのぼる.抑うつ状態の頻度は,活動てんかんでは 10〜30% と高いが,てんかんに特異的な不機嫌状態を含んだ頻度である.心因性非てんかん性発作は,てんかん・精神発達遅滞を合併しない純粋な心因性発作,精神発達遅滞を伴う場合,てんかんを併発する場合,の3つに分けて考えると対処方針を決めやすい.てんかんで出現する精神病状態の頻度は2〜3%であるが,生活に甚大な影響があるため重要であり,発作後精神病状態と発作間欠期精神病状態(交代性精神病を含む)に分けて対応する.

目次に戻る



第4章 管理・治療
補助療法(ケトン食療法)

伊藤  進    東京女子医科大学小児科学教室
            Epilepsy Center, Neurological Institute, Cleveland Clinic
小国 弘量    東京女子医科大学小児科学教室 教授

要旨
 てんかんの補助療法には,食餌療法,心理療法,その他の補完代替医療,などがある.その中でも,ケトン食療法は前方視的研究や無作為化比較試験により有効性が確認され,アトキンス食変法などの考案により忍容性の改善が試みられ,国際コンセンサスグループによりプロトコールの標準化が図られるなど,徐々に治療選択肢の1つとしての地位を確立するようになった.本稿では,そのケトン食療法の現状と実際を中心に概説する.

目次に戻る



第4章 管理・治療
外科治療

亀山 茂樹    国立病院機構西新潟中央病院脳神経外科 院長

要旨
 てんかんの外科治療が進歩して,外科治療可能な難治てんかん症候群が明らかにされている.本稿では,手術適応となるてんかん症候群,いつ手術を考慮するか,術前評価の重要性,手術戦略,外科治療の有用性と問題点について概説した.発作の完全抑制がてんかん治療の最終目標であり,薬物治療のみでは発作抑制ができない場合には,外科治療を考慮して,治療可能な高次てんかん治療施設に早期に紹介することが大切である.

目次に戻る



第4章 管理・治療
迷走神経刺激療法

川合 謙介    東京大学大学院医学系研究科脳神経外科 准教授

要旨
 迷走神経刺激療法(VNS)は,てんかんに対する植込型電気刺激療法として最初に臨床応用された.欧米ではすでに補助的治療としての位置付けが確立しており,2010 年から保険適用となった日本でも徐々に普及している.左頸部迷走神経を常時刺激し,薬剤抵抗性てんかん発作を減少・軽減する緩和的治療である.てんかん分類,発作分類,年齢の制限はなく,幅広い患者で発作を約 50% 減少させる.

目次に戻る



第4章 管理・治療
てんかんの経過

藤原 建樹    郡山女子大学家政学部食物栄養学科 教授

要旨
 てんかん発作の長期転帰を予知する最も確かな因子は,発病初期の発作頻度,特に最初の薬物に対する反応性である.てんかん患者の3人に2人は易治もしくは難治な一定した経過をたどるが,3人に1人は不安定な経過をたどる.てんかんの早期死亡率は一般人口の2〜3倍高く,特に症候性てんかんで高い.突然死は発作が寛解していないと起りやすい.治療に際しては,その患者のてんかんの経過をある程度見通した臨床判断が大切である.

目次に戻る



第4章 管理・治療
災害時の対応

中里 信和     東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野 教授
神  一敬     東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野 講師
大沢伸一郎    東北大学大学院医学系研究科脳神経外科
岩崎 真樹     東北大学大学院医学系研究科脳神経外科
冨永 悌二     東北大学大学院医学系研究科脳神経外科 教授
成田 徳雄     気仙沼市立病院脳神経外科 科長

要旨
 大規模災害がてんかん診療に与える影響は大きい.東日本大震災では,発生直後の現地のニーズを外部に知らせる手段の確保が緊急課題であった.震災直後,主要な病院ではけいれん性疾患が増加した.薬の供給経路が断たれ,発作症状などが悪化した症例も増えた.てんかんに対する偏見や差別が,避難所での生活に悪影響を及ぼした.東日本大震災によって,てんかん診療に関する普段からの啓発活動の重要性がクローズアップされている.

目次に戻る



第4章 管理・治療
福祉・医療制度

永井利三郎    大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻看護科学 教授

要旨
 てんかん患者が福祉・医療制度を利用する点においては,医療者がその制度をよく知っておく必要がある.特に,てんかん患者においては,その背景がさまざまであり,利用可能な制度も異なってくる.しかし一方,福祉制度の多くは自己申告制であり,家族によっては知らずに利用していないケースも見られる.本稿の内容は,多数の制度を網羅するには至っていないが,主要な情報の提供を目的に概説する.

目次に戻る



第4章 管理・治療
自動車運転免許

松浦 雅人    東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科生命情報解析学分野 教授

要旨
 てんかんのある人が運転免許を許可される条件は,@発作が過去5年以内に起ったことがなく,今後発作が起るおそれがない場合,A発作が過去2年以内に起ったことがなく,今後X年(1〜5年)程度であれば発作が起るおそれがない場合,B1年の経過観察の後,発作が意識障害および運動障害を伴わない単純部分発作に限られ,今後症状の悪化のおそれがない場合,C2年間の経過観察の後,発作が睡眠中に限って起り,今後症状の悪化のおそれがない場合である.

目次に戻る



第5章 ガイドライン
ガイドライン

赤松 直樹    産業医科大学神経内科学 准教授
辻  貞俊     産業医科大学神経内科学 教授

要旨
 本邦のてんかんに関するガイドラインは,日本神経学会(JSN)による『てんかん治療ガイドライン 2010』と日本てんかん学会(JES)によるてんかん診断・治療ガイドラインがある.JSN のガイドラインはてんかん診療に一般医を主な対象として編集され,JES のガイドラインはてんかん専門医までを対象に編集されており,相補的な役割を持っている.世界各国にてんかん診療ガイドラインがあり,それぞれの国・地域の実情を反映した内容になっている.

目次に戻る