要旨

最新醫學 診断と治療のABC 102
血液領域の分子標的治療薬

第1章 CML・AML・MDS
イマチニブとそのジェネリック

薄井 紀子   東京慈恵会医科大学附属第三病院 輸血部 教授

要旨
 イマチニブは,BCR-ABLチロシンキナーゼを選択的に阻害する,最初に開発されたチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である.主として慢性骨髄性白血病(CML)やPhiladelphia(Ph)染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(ALL)を標的疾患として,臨床応用される.慢性期CMLに対するイマチニブ(400mg/日経口投与)の長期治療では,8年時生存割合は95%を超え,非重篤副作用として,浮腫,筋肉けいれん,消化器症状(下痢,腹痛,腹部膨満),を認めるが,重篤な副作用は4%未満と頻度は少なく,安全で高い抗腫瘍効果を示す.

キーワード
BCR-ABLチロシンキナーゼ 慢性骨髄性白血病 Philadelphia陽性急性リンパ芽球性白血病

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第1章 CML・AML・MDS
ゲムツズマブオゾガマイシン

小島 研介     佐賀大学医学部内科学講座 血液・呼吸器・腫瘍内科 准教授

要旨
 急性骨髄性白血病細胞は,高頻度にCD33を発現する.ゲムツズマブオゾガマイシンは,ヒト化抗CD33抗体に,抗がん剤であるカリケアマイシンを結合させた抗がん剤結合性抗体である.長く有効性と安全性についての懸念が議論されてきたが,治療対象を適切に選択すれば臨床的有用性が得られること,投与量・スケジュールの工夫により治療関連毒性を減らすことができる可能性が報告され,再評価の気運が高まっている.

キーワード
抗がん剤結合抗体 ミサイル療法 CD33 急性骨髄性白血病

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第1章 CML・AML・MDS
ニロチニブ

山本 千裕   自治医科大学医学部 内科学講座血液学部門
永井 正     自治医科大学医学部 内科学講座血液学部門 准教授

要旨
 チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)により,慢性骨髄性白血病(CML)の治療成績は大きく改善した.ニロチニブは第2世代TKIの1つであり,イマチニブと比較して,早期に深い分子学的効果を得ることが示されている.ニロチニブの選択に関しては,BCR/ABL遺伝子の有無や,副作用プロファイルに留意する必要がある.また,分子学的完全奏効例に対する投与中止試験や,CML幹細胞に対する基礎的研究が積極的に進められており,臨床的治癒を得る可能性が追及されている.

キーワード
慢性骨髄性白血病 分子標的薬 ニロチニブ イマチニブ

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第1章 CML・AML・MDS
アザシチジン

大内 彩      東京慈恵会医科大学附属柏病院 腫瘍・血液内科

要旨
 アザシチジンは,すべてのFAB分類の骨随異形成症候群(MDS)に対して認可されている薬剤である.本邦では,2011年1月に承認された.殺細胞作用およびDNAメチル化阻害作用を示す.高リスク群MDSを対象とした海外の臨床第Ⅲ相試験にて,従来の通常療法と比較して,生存期間を有意に延長したことが報告された.骨髄抑制などの副作用に留意しながら,皮下注射または静脈注射で,基本的には外来通院による投与が可能な薬剤である.

キーワード
骨髄異形成症候群 殺細胞作用 DNAメチル化阻害作用 骨髄抑制

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第1章 CML・AML・MDS
ポナチニブ

柴山 浩彦  大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科 講師

要旨
 フィラデルフィア染色体陽性の白血病に対し,イマチニブを始めとするチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の有用性が示され,これらの白血病の予後は著しく改善した.しかし,白血病細胞のABL1遺伝子に変異が生じ,TKIに対し抵抗性が認められた場合は,治療効果が期待できない.T315I変異は既存のTKIがすべて無効であり,新たな治療薬の登場が望まれていた.ポナチニブはT315I変異にも効果を示す,新規のTKIである.

キーワード
ポナチニブ チロシンキナーゼ阻害薬 T315I変異 血管病変

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第1章 CML・AML・MDS
ルキソリチニブ
小松 則夫    順天堂大学医学部 内科学血液学講座 教授

要旨
 ルキソリチニブはJAK1/2阻害薬の1つで,原発性骨髄線維症(PMF),本態性血小板血症(ET)や真性赤血球増加症(PV)から移行した骨髄線維症に対して,脾腫の縮小や全身症状・QOLの改善を認める.さらに,一部の症例では骨髄の線維化も改善する.一方,JAK1キナーゼ活性阻害による免疫力低下のため,日和見感染症やB型肝炎ウイルスの再活性化が見られる.ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬など,ほかの薬剤との併用療法の臨床試験が行われている.
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キーワード
骨髄増殖性腫瘍 JAK2遺伝子変異 JAK2阻害薬 併用療法


コラム
サリドマイド,妊婦での問題から骨髄腫に使用できるようになったこと,そしてセレブロン
鈴木 憲史     日本赤十字医療センター 血液内科 部長

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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
リツキシマブとバイオシミラー

横山 雅大   公益財団法人がん研究会有明病院 血液腫瘍科 副医長

要旨
 リツキシマブはCD20陽性B細胞リンパ腫に対する治療において,重要な薬剤である.現在,リツキシマブは,全世界で50~60億USドルを超える売上を計上しているが,特許期間満了が近づいている.特許期間が満了した生物製剤や抗体製剤では,バイオシミラーと称する,もとの生物製剤に極めて類似した薬剤が開発され,リツキシマブも例外ではない.バイオシミラー開発が,安全で有効な医療費コスト削減の一助になることを祈念する.

キーワード
リツキシマブ 抗CD20抗体 バイオシミラー

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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
90Y-イブリツモマブ チウキセタン

朝井 洋晶   愛媛大学医学部附属病院 腫瘍センター
          愛媛大学大学院医学系研究科 血液・免疫・感染症内科学

要旨
90Y-イブリツモマブ チウキセタンは,抗ヒトCD20マウス抗体に,b線を放出する放射性同位元素(RI)であるイットリウム(90Y)を結合したRI標識抗体薬で,CD20陽性再発/難治性低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫・マントル細胞リンパ腫に対して2008年1月に承認された.主な有害事象は6~8週後に生じうる血液毒性だが,外来通院治療が可能で,低腫瘍量,前治療歴の少ない再発早期での投与が,最も効果が期待できる.実施施設が限られており,医療者・施設間の連携が重要である.

キーワード
90Y-イブリツモマブチウキセタン 放射性同位元素標識抗体療法 
再発難治性低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫・マントル細胞リンパ腫


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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
ダサチニブ

土橋 史明      東京慈恵会医科大学附属第三病院 腫瘍・血液内科 診療部長

要旨
 チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるダサチニブ(DAS)は,ABLキナーゼおよび SRCファミリーキナーゼを阻害する.Philadelphia(Ph)染色体が原因である慢性骨髄性白血病(CML)において,DASはイマチニブ(IMA)よりもBCR-ABLタンパク抑制能力が高く,変異を有することによりIMAに対して抵抗を示す細胞にも有効であり,その有害事象はIMAと異なる.CMLと同様に,Ph陽性急性リンパ性白血病においても,有望な治療成績が報告されつつある.

キーワード
分子標的治療薬 ダサチニブ フィラデルフィア染色体陽性白血病
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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
ベンダムスチン

辻村 秀樹    千葉県がんセンター 外来化学療法科 部長

要旨
 ベンダムスチンは,アルキル化薬の作用とプリンアナログ様作用など,複数の作用機序を持つ抗がん剤である.そのため,アルキル化薬を含むほかの抗がん剤と交差耐性を示さず,再発・難治性低悪性度B細胞リンパ腫とマントル細胞リンパ腫を中心に,優れた治療成績が期待できる.通常は単剤,あるいはリツキシマブとの併用で用いられるが,遷延する血液毒性と,リンパ球減少に伴う日和見感染に注意が必要である.

キーワード
ベンダムスチン 低悪性度B細胞リンパ腫 マントル細胞リンパ腫 日和見感染

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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
ボリノスタット

濱田 利久  岡山大学医学部 皮膚科学教室

要旨
 ボリノスタットは,ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬の1種で,DNAを構造化するヒストンに対する脱アセチル化酵素を阻害することにより,抗腫瘍効果を発揮する.主に菌状息肉症・セザリー症候群を対象疾患として,2011年より保険使用が可能となった.これまで治療に難渋してきた,治療抵抗性の皮膚病変に対して効果が期待できる.一方,高額な薬剤費と高頻度に発生する副作用のために,実臨床での使用は限定的にならざるをえない.

キーワード
ボリノスタット ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬 菌状息肉症 セザリー症候群
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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
モガムリズマブ

山本 一仁  愛知県がんセンター中央病院 臨床試験部 部長/血液細胞療法部

要旨
 モガムリズマブはケモカイン受容体(CCR4)に対する抗体薬で,POTELLIGENTTM技術による低フコース処理で抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を100倍以上に高めた,世界で初めての抗体薬である.成人T細胞性白血病リンパ腫(ATL)を含む,成熟T細胞リンパ腫に対する有効性と安全性が確かめられている.今後は,抗腫瘍免疫活性薬剤として,固形がんへの応用が期待されている.

キーワード
抗体薬 モガムリズマブ ATL T細胞リンパ腫

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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
オファツムマブ
福原 規子   東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野 講師

要旨
 キメラ型抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブは,成熟B細胞性リンパ腫の治療成績の向上に寄与してきた.抗CD20抗体薬はヒト化抗体へと開発が進み,完全ヒト化抗体のオファツムマブでは,その抗腫瘍効果の増強が期待されている.慢性リンパ性白血病(CLL)ではCD20分子の発現が弱く,リツキシマブの効果が限定的であるが,オファツムマブには一定の治療効果が認められたため,CLLを中心に臨床開発が進んできた.

キーワード
CD20 アファツムマブ 慢性リンパ性白血病 リツキシマブ モノクローナル抗体

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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
ブレンツキシマブ ベドチン
鈴木 達也   国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科

要旨
 CD30は,ホジキンリンパ腫(HL)や未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)の診断に有用なマーカーであると同時に,抗体療法の標的分子としても注目されてきた.しかし,先行開発された非抱合型モノクローナル抗体製剤には,臨床的に十分な抗腫瘍効果が認められなかった.抗腫瘍効果を強化するため,抗CD30モノクローナル抗体に微小管阻害薬を抱合させた抗体薬物複合体(ADC),ブレンツキシマブ ベドチン(BV)が開発された.BVは,再発・難治性のCD30陽性リンパ腫に対して優れた安全性と高い有効性を示し,2014年1月に我が国で承認された.さらに現在,初回治療や移植治療における有用性が検討されており,BVをkey drugとした新規治療が,従来の治療に代わる標準治療となる可能性がある.

キーワード
CD30 抗体医薬複合体 ホジキンリンパ腫 未分化大細胞リンパ腫

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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
イブルチニブ
大間知 謙
    東海大学医学部内科学 血液・腫瘍内科 講師

要旨
 イブルチニブは,B細胞受容体(BCR)のシグナル伝達物質であるブルトン型チロシンキナーゼを選択的に阻害する薬剤である.BCRのシグナル伝達が恒常的に活性化している慢性リンパ性白血病,マントル細胞リンパ腫(MCL)に対して高い抗腫瘍効果を示し,近年,米国食品医薬品局(FDA)で承認された.また,活性化B細胞性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC DLBCL)に対しても開発が進んでいる.

キーワード
イブルチニブ 慢性リンパ性白血病 マントル細胞リンパ腫 活性化B細胞のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫

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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
ニボルマブ:ホジキンリンパ腫
加藤 春美   愛知県がんセンター中央病院 血液・細胞療法部 医長
木下 朝博   愛知県がんセンター中央病院 血液・細胞療法部 部長

要旨
 ホジキンリンパ腫は,少数の腫瘍性B細胞とT細胞を含む,多様な背景細胞から成るリンパ系腫瘍である.初回治療にて,多数の症例が長期奏効に至るが,一部の症例では再発・難治性となり,予後不良な転帰をたどるため,新たな治療法の開発が必要とされている.近年,新規がん免疫療法として,プログラム細胞死1(PD-1)/プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)経路が着目されている.PD-1は免疫チェックポイント分子であり,PD-1のリガンドであるPD-L1は多くのがん細胞およびリンパ腫細胞で発現しており,T細胞上のPD-1を介してシグナル伝達を行うことでT細胞の機能を抑制し,がんに対する免疫応答を制御する.抗PD-1抗体であるニボルマブはイムノモジュレーターであり,PD-1/PD-L1経路を阻害し,T細胞を活性化させることで抗腫瘍作用を示す.肺がん,メラノーマを始めとした固形がんにおいて,高い臨床効果が示されており,ホジキンリンパ腫に対しても有望な薬剤として,臨床への汎用性が期待されている.

キーワード
ホジキンリンパ腫 免疫チェックポイント イムノモジュレーター がん免疫療法 抗PD-1抗体

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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
イデラリシブ

丸山 大   国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 病棟医長

要旨
 イデラリシブはB細胞受容体(BCR)シグナル経路にかかわる分子であるホスファチジルイノシトール3キナーゼδ(PI3Kδ)を選択的に阻害する経口剤である.再発・治療抵抗性B細胞リンパ腫に対する,高い有効性が報告されつつある.

キーワード
イデラリシブ PI3Kδ阻害薬 B細胞受容体シグナル経路

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第2章 リンパ腫・リンパ性白血病
オビヌツズマブ
石塚 賢治     福岡大学医学部 腫瘍・血液・感染症内科 講師

要旨
 オビヌツズマブは,米国で2013年11月,欧州で2014年8月に,未治療慢性リンパ性白血病(CLL)に対するクロランブシルとの併用療法が承認された抗CD20抗体薬である.TypeⅡ抗体である本剤は,本邦既承認のリツキシマブ,オファツムマブと比べ,抗体依存性細胞障害(ADCC)活性が強く,補体依存性細胞障害(CDC)活性は弱い.さらに,強力に細胞死を直接誘導する活性がある.今後,CD20陽性悪性リンパ腫への適応が拡大されると見込まれる.

キーワード
オビヌツズマブ 抗CD20抗体 TypeⅡ抗体 慢性リンパ性白血病

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コラム
止血凝固関連の新薬
窓岩 清治     東京都済生会中央病院 臨床検査医学科 部長


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第3章 骨髄腫
ボルテゾミブ:骨髄腫とマントル細胞リンパ腫(MCL)
鈴木 一史     東京慈恵会医科大学 腫瘍・血液内科

要旨
 ボルテゾミブはプロテアソーム阻害薬であり,NF-kBの活性化の抑制を介した抗腫瘍効果が期待できる.多発性骨髄腫において小胞体ストレスを介した効果も期待でき,化学療法の中心的な役割を担っている.最近,マントル細胞リンパ腫(MCL)に対するボルテゾミブを含む化学療法の有効性,安全性が報告されている.末梢神経障害の有害事象は予防が重要であり,投与法を週1回,皮下注射に変更することで,その頻度,重症度を軽減できる.

キーワード
ボルテゾミブ 多発性骨髄腫 マントル細胞リンパ腫 プロテアソーム阻害薬 末梢神経障害

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第3章 骨髄腫
レナリドミド
川口 岳晴     千葉大学医学部 血液内科
中世古 知昭   千葉大学医学部 血液内科 診療教授

要旨
 レナリドミドは,免疫調整作用や血管新生抑制作用,腫瘍細胞と間質細胞との相互作用の抑制作用など,多彩な薬理作用を示し,現在,多発性骨髄腫ではボルテゾミブと並び,中心的な治療薬となっている.さらに,骨髄異形成症候群の亜型である5q-症候群では,貧血改善に著効を示す.近年,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など,ほかの造血器悪性腫瘍に対する化学療法との併用療法の有効性を検証する臨床試験も進行中である.

キーワード
レナリドミド 免疫調整薬 5q-症候群 多発性骨髄腫 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

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第3章 骨髄腫
ポマリドミド
黒田 純也    京都府立医科大学 血液・腫瘍内科学 講師
杉谷 未央    京都府立医科大学 血液・腫瘍内科学

要旨
 多発性骨髄腫(MM)に対する,第3の免疫調整薬(IMiD)として開発されたポマリドミド(POM)は,免疫学的抗腫瘍効果,腫瘍環境調節効果,直接的抗腫瘍効果のいずれにおいても,既存のIMiDsに比して,より高いポテンシャルを有する期待の新規治療薬である.POMの臨床導入により,レナリドミドやプロテアソーム阻害薬などに抵抗性を獲得した治療難渋症例のみならず,新規症例においても予後の改善が期待される.

キーワード
ポマリドミド 多発性骨髄腫 免疫調整薬 セレブロン

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第3章 骨髄腫
カルフィルゾミブ

李 政樹      名古屋市立大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科
飯田 真介    名古屋市立大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科 教授

要旨
 プロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブの臨床導入以来,骨髄腫治療は大きく変化し,患者の生命予後改善がもたらされたが,末梢神経障害の出現や,薬剤耐性症例への対応が新たな問題となっている.本稿では,次世代のプロテアソーム阻害薬であるカルフィルゾミブの概要と,これまでの開発状況を概説する.カルフィルゾミブは,高用量投与法とレナリドミドとの併用療法を中心に開発が進められている.

キーワード
多発性骨髄腫 プロテアソーム阻害薬 ボルテゾミブ カルフィルゾミブ 高用量

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第3章 骨髄腫
パノビノスタット

大嶺 謙    自治医科大学医学部内科学講座 血液学部門 講師

要旨
 ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬は,ヒストンおよび非ヒストンタンパクのアセチル化を介して腫瘍細胞の分化,アポトーシス,細胞周期を制御することで抗腫瘍効果をもたらす.パノビノスタット(PAN)は新規のHDAC阻害薬であり,既存のHDAC阻害薬に比し,優れた活性を有する.さまざまな難治性造血器腫瘍に対して単剤での治療効果と安全性が確認されたが,既存の薬剤との併用療法が注目されている.

キーワード
エピジェネティクス異常 ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬 併用療法
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コラム
がん免疫療法への新たな期待

西川 博嘉    大阪大学免疫学フロンティア研究センター 実験免疫学 特任准教授


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