要旨

最新醫學 診断と治療のABC 105
高尿酸血症・痛風

第1章 概念・定義と疫学
痛風と高尿酸血症の定義と歴史

鎌谷 直之   東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター

要旨
 痛風は,高尿酸血症を基礎に,体内に尿酸が蓄積して起きる病気であり,急性関節炎などの多彩な症状を伴う.エジプトのミイラにも見られる古い疾患であり,原因の究明や治療法の開発も古くから行われてきた.メンデル型の遺伝病のように遺伝的要因のみで起きる場合もあるが,ほとんどの場合,遺伝と環境の両方が影響する.治療薬としては急性関節炎の治療薬と尿酸低下薬が開発されてきており,最近でも創薬が盛んに行われている.

キーワード
尿酸排泄薬 キサンチン脱水素酵素/酸化酵素 ベンスブロマロン フェブキソスタット pegloticase

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第1章 概念・定義と疫学
高尿酸血症・痛風の最近の動向

箱田 雅之     安田女子大学家政学部 管理栄養学科 教授

要旨
 我が国における高尿酸血症の頻度は,30歳以上の男性において30%に達しており,非常にありふれた病態となっている.若年者においてもすでに中学3年生男子において,高尿酸血症は15%に見られると報告されている.高尿酸血症が痛風のみならず,腎機能障害や尿路結石のリスクであることを考えると,臨床的対処の重要性が示唆される.痛風の有病率は年齢と共に上昇しており,男性においては生涯に痛風に罹患するリスクは5%,あるいはそれを超える可能性がある.

キーワード
疫学 高尿酸血症 痛風 若年者 高齢者

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第2章 病因と病態生理
高尿酸血症・痛風の原因 1.尿酸産生過剰型

細谷 龍男   東京慈恵会医科大学 慢性腎臓病病態治療学 教授
西尾 信一郎  東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科

要旨
 従来より,高尿酸血症・痛風の病型分類は,尿中尿酸排泄量(EuA)を尿酸産生量と見なし,腎臓の尿酸クリアランス(CuA)を尿酸排泄能と見て,尿酸産生過剰型と尿酸排泄低下型に分類してきた.しかし,ATP結合カセット輸送体G2(ABCG2)の同定,研究が進み,腎外排泄低下型高尿酸血症・痛風の概念が提唱されたため,従来の病型分類を見直さなければならなくなってきた.この腎外排泄低下型では,EuAとCuAによる従来の分類では,尿酸産生過剰型に分類されてしまうことが多い.したがって,従来の尿酸産生過剰型には,真の尿酸産生過剰型と,この腎外排泄低下型の,両方が含まれているものと思われる.

キーワード
痛風 尿酸産生過剰型高尿酸血症 尿酸排泄低下型高尿酸血症 腎外排泄低下型高尿酸血症 ABCG2

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第2章 病因と病態生理
高尿酸血症・痛風の原因 2.尿酸排泄低下型

山本 徹也      兵庫医科大学 糖尿病・内分泌・代謝内科 名誉教授
小山 英則      兵庫医科大学 糖尿病・内分泌・代謝内科 准教授
藏城 雅則      兵庫医科大学 糖尿病・内分泌・代謝内科 講師

要旨
 血清尿酸値の濃度が7mg/dLを超えると,高尿酸血症と呼ばれ,尿酸産生過剰型と尿酸排泄低下型および混合型に分類することができるが,このうち尿酸排泄低下型高尿酸血症が,高尿酸血症患者の大部分を占める.詳細な検討では,尿酸産生過剰型高尿酸血症も,尿酸排泄低下が認められている.尿酸排泄の低下は遺伝要因と環境要因により発症するが,環境要因がより重要であると言われている.これらの中で,食物の過剰摂取(カロリーの過剰摂取)はメタボリックシンドロームを発症させ,インスリン抵抗性を誘導するため,尿酸排泄低下型高尿酸血症の原因となる.

キーワード
尿酸排泄低下型高尿酸血症 遺伝要因 環境要因 肥満

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第2章 病因と病態生理
高尿酸血症・痛風の原因 3.腸管排泄

市田 公美  東京薬科大学薬学部 医療薬学科 病態生理学教室 教授

要旨
 尿酸の約2/3は腎臓から,残りのほとんどは消化管から排泄される.従来の高尿酸血症の病型分類では,尿酸が尿中に多く排泄されることは,尿酸が体内で多く産生される尿酸産生過剰型,または混合型高尿酸血症を意味していた.しかし,腸管からの尿酸排泄の低下によっても,尿中尿酸排泄量が増加し,高尿酸血症を呈することが明らかになった.これは,今まで無視されがちであった腸管からの尿酸排泄の重要性を示すものである.

キーワード
ABCG2 腎外排泄低下型高尿酸血症 尿酸産生過剰型高尿酸血症

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第2章 病因と病態生理
尿酸トランスポーターと高尿酸血症
大内 基司    獨協医科大学医学部 薬理学講座 准教授
大谷 直由    獨協医科大学医学部 薬理学講座
安西 尚彦    獨協医科大学医学部 薬理学講座 教授

要旨
 細胞膜は脂質二重層となっており,脂溶性物質は単純拡散によって膜通過できるのに対し,水溶性物質は透過できず,特別な通路が不可欠となる.尿酸を基質とすると,その移動を担うのが膜輸送タンパクの,尿酸トランスポーターである.2002年にurate transporter(URAT)1が同定され,それを皮切りにglucose transporter(GLUT)9/URATv1を始め,数種のトランスポーターが同定されている.トランスポーター全般と,主要な尿酸トランスポーターについて概説する.

キーワード
尿酸トランスポーター ゲノムワイド関連解析 URAT1 GLUT9/UTATv1

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第2章 病因と病態生理
遺伝性疾患と高尿酸血症
森崎 隆幸    国立循環器病センター研究所 分子生物学部 部長
           大阪大学大学院薬学研究科 分子生理病態学 教授
森崎 裕子    国立循環器病センター研究所 分子生物学部 室長
           大阪大学大学院薬学研究科 分子生理病態学

要旨
 高尿酸血症を引き起す遺伝性疾患では,尿酸の産生過剰あるいは排泄低下を来す.産生過剰にはプリン体生合成系の増加,プリン体回収系の機能不全があり,前者にホスフォリボシルピロリン酸(PRPP)合成酵素亢進症,後者にレッシュ・ナイハン症候群がある.排泄低下には腎尿細管機能障害,尿酸トランスポーター機能不全があり,前者にウロモジュリン機能異常,後者にトランスポーターABCG2の機能異常がある.ABCG2の機能異常以外は,まれな病態である.

キーワード
遺伝性高尿酸血症 レッシュ・ナイハン症候群 PRPP合成酵素亢進症 家族性若年性高尿酸血症性腎症 ABCG2遺伝子変異

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第2章 病因と病態生理
痛風性関節炎の発症機序

齊藤 達哉   徳島大学 疾患酵素学研究センター シグナル伝達と糖尿病研究部門 教授

要旨
 過栄養摂取に起因する生活習慣病は社会問題となっており,その発症機序の解明は,適切な治療法を確立するうえで重要である.近年の解析から,過栄養摂取のため体内に蓄積する,刺激性の代謝物による炎症の誘導が,生活習慣病の発症につながることが明らかになっている.痛風においては,原因物質である尿酸塩結晶の刺激に応じてNLRP3インフラマソームと呼ばれる自然免疫機構が活性化し,炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-1βの産生を強力に誘導することが,関節炎の発症につながる.本稿では,尿酸塩結晶に応じたNLRP3インフラマソーム活性化の分子機序と,痛風治療薬であるコルヒチンの作用機序を中心に解説を行う.

キーワード
抗炎症薬 NLRP3インフラマソーム サイトカイン 炎症 自然免疫

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第2章 病因と病態生理
痛風の合併症の臨床像と病態(痛風結節・慢性腎臓病・尿路結石)

大野 岩男   東京慈恵会医科大学 総合診療内科 教授

要旨
 尿酸塩を中心とした肉芽組織である痛風結節は,高尿酸血症や痛風罹病期間が密接に関連する.高尿酸血症は,慢性腎臓病(CKD)発症のリスクであるとされており,CKD患者に血清尿酸値を低下させると,CKDの進展が抑制されるという報告もある.高尿酸血症による腎機能の悪化は,レニン・アンジオテンシン(RA)系の亢進を介している.高尿酸血症・痛風患者は,尿路結石症の合併が多く,高尿酸尿症は,尿酸結石のみならず,カルシウム結石形成のリスクでもある.
キーワード
痛風 高尿酸血症 痛風結石 慢性腎臓病 尿路結石

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第2章 病因と病態生理
高尿酸血症とメタボリックシンドローム:尿酸の病態意義をめぐって
嶺尾 郁夫     市立豊中病院 糖尿病センター センター長
友田 如       市立豊中病院 糖尿病センター
周 邦彦       市立豊中病院 糖尿病センター
出口 有近     市立豊中病院 糖尿病センター
岡内 幸義     市立豊中病院 糖尿病センター

要旨
 高尿酸血症者はメタボリックシンドローム(MetS)を高率に合併し,逆にMetS該当者には高尿酸血症が多い.したがって,高尿酸血症は,MetSの診断基準には含まれないが,重要な構成因子と考えられる.最近,高尿酸血症自体がMetSや動脈硬化症の発症・進展因子とする病因意義を強調する意見も多い.高尿酸血症者を診療する際は,MetS合併の有無を確認し,生活習慣の改善を指導する.無症候性高尿酸血症に対する薬物療法の是非は,さらなるエビデンスの蓄積が必要である.

キーワード
メタボリックシンドローム 尿酸 内臓脂肪 インスリン抵抗性 フルクトース
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第2章 病因と病態生理
高尿酸血症と心血管疾患リスク

桑原 政成   虎の門病院 循環器センター内科
久留 一郎   鳥取大学大学院医学系研究科 機能再生医科学専攻 遺伝子再生医療学講座 再生医療学部門 教授

要旨
 高尿酸血症と心血管疾患との関係は,幾つかの大規模観察研究の結果で是非が分かれており,明確な結論が出ていない.一方で,高尿酸血症は高血圧のリスク因子であり,高血圧を合併した高尿酸血症は,心血管疾患のリスクとされている.近年,尿酸降下薬を用いた小規模介入研究で,血清尿酸値を下げることによる心血管疾患の予防効果が報告された.今後,心血管疾患発症をprimary endpointとした,尿酸の大規模介入試験が期待される.

キーワード
尿酸 心血管疾患 高血圧 心不全 不整脈

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第2章 病因と病態生理
低尿酸血症とその原因,対策
中山 昌喜   防衛医科大学校 分子生体制御学講座
松尾 洋孝   防衛医科大学校 分子生体制御学講座
市田 公美   東京薬科大学 病態生理学教室

要旨
 無症状の低尿酸血症では,尿酸排泄亢進による腎性低尿酸血症または尿酸産生低下によるキサンチン尿症を疑う.前者のほとんどは,尿酸再吸収輸送体URAT1/SLC22A12またはGLUT9/SLC2A9の遺伝子変異による.後者は,キサンチンデヒドロゲナーゼ(XDH)またはモリブデン補酵素硫化酵素の遺伝子変異による.腎性低尿酸血症には運動後急性腎不全や尿路結石が,キサンチン尿症には尿路結石がしばしば合併し,対症療法と生活指導により対応する.

キーワード
腎性低尿酸血症 URAT1/SLC22A12 GLUT9/SLC2A9 運動後急性腎不全 キサンチン尿症

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コラム
尿酸と抗酸化作用:尿酸値のとらえ方
東 幸仁  広島大学原爆放射線医科学研究所 ゲノム障害医学研究センター 再生医科学研究部門 教授
広島大学病院 未来医療センター センター長

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第3章 診断
診断のポイント:病歴と関節所見を中心に
谷口 敦夫   東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センター 教授

要旨
 多くの痛風患者は,痛風関節炎に伴う症状を主訴に受診する.痛風の診断は,病歴聴取と身体所見(特に関節所見)に,血液検査や画像,また患者背景を加えて診断を進めていくが,中でも病歴,関節所見,患者背景が重要である.痛風関節炎の多くは急性単関節炎であり,間欠性関節炎である.このことを念頭に置いて,病歴を聴取する.関節所見では,圧痛,腫脹のほかに,局所の発赤も重要である.痛風はメタボリックシンドロームを有する中年男性に多く,メタボリックシンドロームの各要素の有無にも注意する.

キーワード
痛風 急性単関節炎 間欠性関節炎

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第3章 診断
検査所見
山内 高弘   福井大学医学部医学科 病態制御医学講座 内科学(1)教授
森田 美穂子  福井大学医学部医学科 病態制御医学講座 内科学(1)
上田 孝典   福井大学 理事・副学長

要旨
 高尿酸血症は,血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるものと定義する.高尿酸血症は尿酸産生過剰型,尿酸排泄低下型,混合型の3種に大別される.尿酸産生量,尿酸排泄能を測定することにより,病型を分類する.尿酸産生量については,直接の定量は困難であるため,尿中尿酸排泄量から推測する.尿酸排泄能については,尿酸クリアランスから尿酸排泄効率を判定する.痛風関節炎では,発作時には尿酸値が必ずしも高値を示さないので,診断には注意を要する.

キーワード
高尿酸血症 尿酸産生過剰型 尿酸排泄低下型 尿酸クリアランス試験
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第3章 診断
画像所見
瀬戸 洋平    東京女子医科大学 八千代医療センター リウマチ・膠原病内科 講師

要旨
 関節疾患としての痛風の評価に,画像診断は重要である.単純X線検査は病期の進行した症例において,特徴的な所見を呈する.Dual-energy CT(DECT)や超音波検査(US)などの新しい手法は,痛風の早期診断,鑑別診断,治療効果判定や構造障害の評価に有用であり,さらに臨床的に無症候性の高尿酸血症患者においても,臨床的痛風発作の前段階を描出することを可能としている.

キーワード
痛風 無症候性高尿酸血症 無症候性尿酸ナトリウム塩結晶沈着症 無症候性痛風関節炎 画像診断

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第3章 診断
鑑別診断(偽痛風を含めて)
益田 郁子   十条武田リハビリテーション病院 リウマチ科 部長

要旨
 痛風は,その典型的な臨床像や背景にある高尿酸血症の存在などから比較的臨床診断は容易だが,膝などの大関節や多関節に発作が生じる場合,偽痛風や関節リウマチなど,ほかの単関節炎・多関節炎との鑑別が必要となる.痛風や偽痛風など,結晶沈着症の鑑別診断には,関節エコー所見が役立つことが分かってきた.しかし化膿性関節炎との鑑別も重要なので,診断確定には関節穿刺による関節液の結晶検査・細菌培養は必須である.

キーワード
偽痛風 関節エコー ピロリン酸カルシウム結晶誘発性関節症 間接穿刺 化膿性関節炎

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第4章 管理・治療
高尿酸血症の管理・治療 ―治療対象と薬物の選択基準―
藤森 新   帝京大学医学部 内科 教授

要旨
 痛風を発症していない,無症候性高尿酸血症に対する薬物治療の適用は,欧米のガイドラインには記載されていない.尿酸と種々の臓器障害との相関性は,多くの観察研究によって示されているが,血清尿酸値をコントロールすることで臓器障害の発症ないし進展を抑制できるかどうかの介入試験は小規模なものに過ぎず,今のところエビデンス不足と言わざるをえない.無症候性高尿酸血症への対応は『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』に準じて行うことが望ましい.

キーワード
高尿酸血症の病型 尿酸生成抑制薬 尿酸排泄促進薬 尿酸分解促進薬

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第4章 管理・治療
高尿酸血症の治療薬
森脇 優司      兵庫医科大学 内科学 糖尿病・内分泌・代謝科 教授

要旨
 高尿酸血症は,尿酸の産生過剰型,排泄低下型,混合型に分類されるが,原則として,産生過剰型には尿酸生成抑制薬を,排泄低下型には尿酸排泄促進薬を用いる.尿酸生成抑制薬はすべてキサンチンオキシダーゼ(XO)阻害薬で,アロプリノール,フェブキソスタット,トピロキソスタットの3種類がある.一方,尿酸排泄促進薬は,URAT1を阻害して尿中への尿酸の排泄を促進するが,ベンズブロマロン,プロベネシドなどが使用されている.

キーワード
高尿酸血症の病型 尿酸生成抑制薬 尿酸排泄促進薬 尿酸分解促進薬

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第4章 管理・治療
高尿酸血症・痛風の生活指導・食事療法
金子 希代子    帝京大学薬学部 医薬化学講座 臨床分析学研究室 教授

要旨
 高尿酸血症・痛風は,代表的な生活習慣病であり,生活習慣の是正を目的とした生活指導は,痛風発作の有無,合併症の有無にかかわらず,重要である.高尿酸血症・痛風を予防するためには,食べ過ぎ・飲み過ぎを避け,水を多めに飲んで,バランスの良い食事を摂ることが大切である.また,できるだけ動いて運動(身体活動)を続け,身体機能を維持することが勧められる.

キーワード
生活指導 食事療法 飲酒制限 運動の推奨 肥満の解消

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第4章 管理・治療
痛風関節炎の薬物治療方針
長瀬 満夫     長瀬クリニック 院長

要旨
 急性痛風関節炎に対して,非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)および副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド,以下ステロイド)が有効である.急性痛風関節炎が治まってから,尿酸降下薬を開始する.痛風関節炎予防期には,関節炎発作の前兆がある患者さんにはコルヒチンを処方する.再発に不安を持っていたら,NSAIDsの携帯を勧める.慢性痛風関節炎に対しては,NSAIDsとステロイドやコルヒチンの併用を考慮する.痛風関節炎に対する薬物治療の選択肢は,増大しつつある.

キーワード
非ステロイド抗炎症薬 副腎皮質ステロイド コルヒチン IL-1阻害療法

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第4章 管理・治療
腎機能障害を伴う高尿酸血症・痛風患者の治療方針
内田 俊也   帝京大学医学部 内科 教授

要旨
 腎機能が低下すると,血清尿酸が上昇するのは常識として知られてきた.血清尿酸が上昇した結果として腎機能低下が進行するかは最も関心を集めてきたが,“鶏が先か卵が先か”の関係にあり,因果関係を明らかにすることが困難であった.最近になり,尿酸降下薬による前向き介入試験が実施されているので,その結果が待たれる.副作用の少ない尿酸降下薬が複数上市されており,実地診療における高尿酸血症および痛風の治療の選択肢が増えたことは好ましいことと言える.今後はエビデンスを踏まえた診療ガイドの改訂が待たれる.

キーワード
メタボリックシンドローム CKD進行因子 尿酸生成抑制薬 尿酸排泄促進薬 ABCG2

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第4章 管理・治療
生活習慣病としての尿酸管理
土橋 卓也   社会医療法人製鉄記念八幡病院 院長

要旨
 高尿酸血症は生活習慣病と密接に関連し,心血管病のリスクとなることが報告されている.高血圧者での高尿酸血症の合併頻度は高く,メタボリックシンドローム(MetS)合併者ではさらに高い.『高血圧治療ガイドライン』が提唱する降圧目標達成のためには,利尿薬を含む降圧薬の併用療法が必要であるが,利尿薬による尿酸値上昇も,心血管リスクとなることが報告されていることから,尿酸降下薬を併用するなど,尿酸管理を合わせて行う必要がある.

キーワード
生活習慣病 高血圧 メタボリックシンドローム 利尿薬 ガイドライン

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第4章 管理・治療
痛風に合併する尿路結石と尿路管理

清水 徹    みどりヶ丘病院 リウマチ科 痛風外来

要旨
 痛風患者における尿路結石の有病率は,“病歴”から計算すると16%,CT検査では34%,合併した結石の成分は約1/3が尿酸,2/3はCa塩であった.尿酸の溶解度はpKa(pH5.7)未満では低く,pHの上昇とともに高くなる.酸性尿と濃縮尿が持続すると,尿酸結石,シュウ酸Ca結石あるいは腎機能低下などの病態が発生する危険がある.痛風では,尿アルカリ化(pH6.0~7.0),水分摂取勧奨などの“尿路管理”を行い,尿酸の排泄を適正に維持する必要がある.

キーワード
痛風 尿路結石 ヘリカルCT 尿酸溶解度 尿アルカリ化

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コラム
日本発,40年ぶりの尿酸合成阻害薬

近藤 史郎    帝人株式会社 近藤研究室 室長
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第5章 ガイドライン
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン

山中 寿    東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター 所長

要旨
 高尿酸血症・痛風を有する患者は,複数の診療科を受診することが多く,治療の標準化のためにガイドラインが有用である.日本痛風・核酸代謝学会では,2002年に『高尿酸血症・痛風の診療ガイドライン』初版,2010年に第2版,2012年に第2版追補版を出版した.日常診療における判断に役立つステートメントが,エビデンスレベル,推奨度と共に記載されており,診療をサポートするツールとして有用である.

キーワード
先天性心疾患 肺血管塞栓性病変 Eisenmenger症候群 手術適応 標的治療
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第4章 各疾患に伴う肺高血圧症
肝疾患に伴う肺高血圧症の診断と治療

岡野 嘉明    医療法人錦秀会 阪和第二泉北病院 内科 部長
          京都大学医学部附属病院 循環器内科 肺高血圧症外来

要旨
 肝疾患に伴う肺高血圧症は,WHO分類第1群-4の,各種疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症(APAH)に位置づけられ,“門脈(性)肺高血圧症(PoPH)”と表記されてきた.ほかの肺高血圧症と同様に,早期診断で最も有用な検査は心エコー図であり,確定診断には右心カテーテル検査を要する.内科的治療の基本的戦略は,ほかの肺動脈性肺高血圧症(PAH)とほぼ同様であるが,肝移植の適否判断と,それに向けての治療介入を必要とする場合がある点に特異性がある.

キーワード
痛風関節炎 高尿酸血症 ガイドライン 血清尿酸値 尿酸降下薬
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