要旨

最新醫學 診断と治療のABC 107
血液腫瘍領域の感染症

第1章 患者背景に応じた感染症診療
免疫不全患者の感染症の考え方

原田 壮平   公益財団法人 がん研究会 有明病院 感染症科 部長

要旨
 血液腫瘍患者を含めた免疫不全患者の感染症診療において,免疫不全を“好中球減少”“細胞性免疫不全”“液性免疫不全・脾機能低下”“バリア破綻”に分類して,関与しうる病原体を推測する方法が有用である.一方で,入念な病歴聴取と身体診察,画像検査によって感染臓器を特定することや,微生物検査によって病原体を特定することも重要である.必要なときには速やかに侵襲的検査を行い,微生物検査を行うための検体を採取する.

キーワード
好中球減少 細胞性免疫不全 液性免疫不全 膵機能低下 バリア破綻

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第1章 患者背景に応じた感染症診療
好中球減少患者の感染症

羽山 ブライアン    公益財団法人 がん研究会 有明病院 感染症科 副医長

要旨
 抗がん剤治療の最大の合併症は,発熱性好中球減少症(FN)である.FNは迅速かつ適切な治療を行わないと死亡率の高い内科緊急疾患であり,抗がん剤治療を行う医師を始めとした医療チーム全員が熟知しておく必要がある.現在では,適切な管理,状況に応じた予防,発生時の対応アルゴリズムなどがよく検討され,複数のガイドラインが存在する.これらのガイドラインの内容も踏まえ,以下に概説する.

キーワード
発熱性好中球減少症 MSACCスコア

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第1章 患者背景に応じた感染症診療
同種造血幹細胞移植後患者

大澤 良介  ニューヨーク州立大学バッファロー校 感染症科
         ロズウェルパークがん研究所 感染症科

要旨
 同種造血幹細胞移植後患者は,移植前処置による好中球減少,口腔内や腸管の粘膜障害,移植片対宿主病(GVHD)の予防や治療に使われる免疫抑制薬による細胞性免疫の低下,慢性GVHDによる液性免疫と脾機能の低下を原因として,高度の免疫抑制状態にある.患者の置かれた免疫抑制状態を適切に把握し,どのような微生物による感染症が起こりやすいのかを,症例ごとに理解することが,移植感染症診療に必須といえる.

キーワード
同種造血幹細胞移植 細胞性免疫低下 液性免疫低下 移植片対宿主病 抗菌薬予防投与

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第1章 患者背景に応じた感染症診療
多発性骨髄腫の患者

関谷 紀貴      がん・感染症センター都立駒込病院 臨床検査科

要旨
 多発性骨髄腫は,原病,化学療法,治療関連合併症,年齢,が相互に作用することで感染症に対する脆弱性が生じ,すべての感染症に対するリスクが増加する.中でも新規薬剤は予後改善とともに新たなリスクを付与しており,ボルテゾミブによる水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症増加は,代表例の1つである.治療選択肢は今後も拡大することが予想され,継続した疫学情報の蓄積および解釈,適切なリスク評価に基づく予防戦略の検討が重要である.

キーワード
多発性骨髄腫 ボルテゾミブ レナリドミド 水痘帯状疱疹ウイルス

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第1章 患者背景に応じた感染症診療
血液腫瘍患者に対するモノクローナル抗体と感染症リスク

森 信好  テキサス大学MDアンダーソンがんセンター 感染症科

要旨
 1997年に初めてのモノクローナル抗体であるリツキシマブが登場して以来,がん治療は画期的な進歩を遂げた.モノクローナル抗体は標的療法であり,高い忍容性が期待されていたが,血液腫瘍ではほとんどがB細胞やT細胞に特異的な表面マーカーを標的とするため,さまざまな感染症リスクを有することが懸念されている.本稿では,血液腫瘍患者におけるモノクローナル抗体と,その感染症リスクについて包括的に解説する.

キーワード
モノクローナル抗体 リツキシマブ 抗CD20抗体 アレムツズマブ B型肝炎再活性化

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コラム
造血幹細胞移植患者における感染症予防とQOL向上への対策
森 有紀
   虎の門病院血液内科

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第2章 病原体別の臨床対応
多剤耐性グラム陽性菌
中村 匡宏    独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院 内科 感染症担当部長

要旨
 発熱性好中球減少症の原因菌として,グラム陽性球菌が増加してきているが,最初からルーチンに治療する必要はない.主な耐性菌は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS),バンコマイシン耐性腸球菌(VRE),耐性Viridans streptococcusである.グラム陽性球菌感染症を発症しやすい危険因子がある場合や,耐性菌の保菌者に対しては,最初から治療を考慮する.

キーワード
MRSA MRCNS VRE 耐性 Viridans streptococcus

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第2章 病原体別の臨床対応
多剤耐性グラム陰性菌

荒岡 秀樹   虎の門病院 臨床感染症部 臨床感染症科

要旨
 グラム陰性菌の多剤耐性化は,深刻な問題である.基質特異性拡張型bラクタマーゼ(ESBL)産生菌感染症に対しては,カルバペネム系薬の投与が推奨される.多剤耐性緑膿菌(MDRP),多剤耐性アシネトバクター(MRDA),カルバペネム耐性腸内細菌(CRE)感染症に対しては,コリスチンを中心とした,さまざまな組み合わせの併用療法が試みられているが,エビデンスは不十分である.これらの感染症が疑われた際には,専門家へのコンサルトが勧められる.

キーワード
多剤耐性グラム陰性菌 基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌 多剤耐性緑膿菌 
多剤耐性アシネトバクター カルバペネム耐性腸内細菌


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第2章 病原体別の臨床対応
カンジダ症

橘 寛貴   東京高輪病院 内科(感染症・総合内科)
岡 秀昭   東京高輪病院 内科(感染症・総合内科)医長

要旨
 カンジダ症は,皮膚,消化管,泌尿器に常在状態からの2次的な感染症である.診断については,常在状態であることから,検体から分離されたカンジダ属が,汚染・定着によるものか,感染症によるものかを区別することが重要である.カンジダは,菌種により抗真菌薬の感受性は異なっており,菌種名が感受性の予測に使える.一方で,血液培養やβ-Dグルカンなどの検査精度が不十分なため,診断は患者背景やリスク因子をもとにして,あくまでも臨床状況を加味して診断することが重要である.血液腫瘍(急性白血病),臓器移植,消化器外科術後に合併することが多い深在性カンジダにおいては,検査結果,培養,β-Dグルカンにとらわれることなく,抗真菌薬を投与することが重要である.

キーワード
2次的感染 リスク因子 菌種 感受性 診断

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第2章 病原体別の臨床対応
侵襲性アスペルギルス症,ムーコル感染症
冲中 敬二     国立がん研究センター東病院/中央病院 総合内科・造血幹細胞移植科

要旨
血液臨床で遭遇する糸状真菌感染症は,診断が困難な場合が多いが,漠然とした不安からやみくもに本疾患を鑑別に挙げることは,避けるべきである.血清マーカーなどをしばしば参考とするが,患者背景や臨床経過などから検査前確率を正しく見積もったうえで,結果を解釈する必要がある.侵襲性アスペルギルス症(IA)では,2剤併用療法の報告や新規アゾール系抗真菌薬の登場など,推奨治療の動向にも注意が必要である.

キーワード
侵襲性アスペルギルス症 ムコール感染症 検査前確率

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第2章 病原体別の臨床対応
ニューモシスチス

馬渡 桃子   群馬大学医学部附属病院 感染制御部

要旨
 ニューモシスチス肺炎(PCP)は,真菌に分類されるPneumocystis jiroveciiによる肺炎である.細胞性免疫低下やステロイド使用がリスクとなる日和見感染症であり,血液腫瘍患者では特に頻度が高い.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者と非HIV感染者におけるPCPの臨床像は異なり,非HIV感染者での死亡率は30~50%前後1)に及び,予防や早期診断が重要である.

キーワード
ニューモシスチス肺炎 細胞性免疫低下 ST合剤

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第2章 病原体別の臨床対応
そのほかの真菌感染症
横田 恭子   香川大学医学部 感染症講座 客員准教授

要旨
 クリプトコッカス症は,細胞性免疫不全患者(特にHIV感染者)で多く,血液腫瘍患者での報告は少ないが,リンパ腫やステロイド長期投与がリスクであり,注意が必要である.免疫状態,病変の広がりによって治療が異なるので,十分な精査を行う必要がある.トリコスポロン症,スケドスポリウム症,フザリウム症は,まれであり,治療法は確立していない.個々の症例での免疫状態の改善と,検出菌の感受性に合った抗真菌薬の使用が必要である.

キーワード
トロコスポリン スケドスポリウム フザリウム クリプトコッカス 深在性真菌症

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第2章 病原体別の臨床対応
サイトメガロウイルスの診断と治療戦略
賀古 真一   自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科 准教授

要旨
 血液腫瘍領域でサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症が問題となるのは,再活性化によるものであり,同種造血幹細胞移植患者で問題となることがほとんどである.非血縁者間移植やヒト白血球抗原(HLA)不適合移植,ステロイドの使用,などでリスクが高い.CMV感染症,特に肺炎は致死率も高いため,CMV抗原血症検査による適切なモニタリングを行って,ガンシクロビルなどによる先制攻撃的治療(preemptive therapy)を行って,コントロールしていくことが重要である.

キーワード
CMV感染 CMV感染症 CMV抗原血症検査 preemptive therapy

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第2章 病原体別の臨床対応
HSV-1,HSV-2,VZV,HHV-6,HHV-7
法月 正太郎   自治医科大学附属病院 臨床感染症センター 感染制御部

要旨
8種類のヒトヘルペスウイルスのうち,5種類について述べる.ウイルスは,ホストとの相互作用によって,さまざまな臨床症状を呈し,初感染,潜伏感染,再活性化する.血液腫瘍領域患者は,免疫が高度に低下するため,再活性化が問題になる.正常免疫者よりも症状,経過が非典型的であり,通常では認めない合併症があることに注意が必要である.

キーワード
再活性化 播種性帯状疱疹 内臓播種性帯状疱疹 移植後急性辺縁系脳炎

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第2章 病原体別の臨床対応
呼吸器ウイルス感染症
岡本 耕   ラッシュ医科大学 感染症科 フェロー

要旨
 呼吸器ウイルス感染症は,血液腫瘍患者における,呼吸器感染症の主要な原因の1つである.代表的な呼吸器ウイルスには,インフルエンザウイルス,パラインフルエンザウイルス,respiratory syncytial(RS)ウイルス,ライノウイルス,ヒトメタニューモウイルス,ヒトコロナウイルス,アデノウイルスがある.本稿では,各ウイルスの疫学,臨床症状,治療,診断,予防について概説する.

キーワード
呼吸器ウイルス インフルエンザウイルス RSウイルス パラインフルエンザウイルス

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第2章 病原体別の臨床対応
抗酸菌
小林 勇仁    東京医科大学病院 感染制御部・感染症科
中村 造      東京医科大学病院 感染制御部・感染症科

要旨
 血液腫瘍領域では,リンパ系悪性腫瘍,慢性リンパ性白血病などの疾患や,ステロイド,フルダラビン,アレムツズマブ,造血幹細胞移植などの治療で,細胞性免疫が障害され,抗酸菌感染症のリスクとなる.結核菌感染症では,非典型的な症状や所見を呈し,肺外結核も頻度が高い.治療は標準治療と同様だが,薬物相互作用などに注意が必要である.また,インターフェロンg遊離試験(IGRA)を適切に評価し,潜在性結核感染症(LTBI)の治療適応を見極めることも重要となる.

キーワード
結核菌感染症 細胞性免疫不全 インターフェロンγ遊離試験 潜在性結核感染症 非結核性抗酸菌症

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第2章 病原体別の臨床対応
肝炎ウイルス
藤谷 好弘   国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース

要旨
 B型肝炎ウイルス(HBV)感染者に対して免疫抑制・化学療法を施行した場合,HBVの再活性化により重症肝炎を発症することがある.薬剤による,HBVと宿主の免疫学的均衡の破綻が原因と考えられる.近年,HBs抗原陰性かつHBc抗体もしくはHBs抗体陽性の既往感染者でも再活性化が起こり,これをde novo肝炎と言う.急性肝炎と比較して劇症化しやすく,救命率が低い.リスクに合わせて核酸アナログによる予防投与および適切なHBV-DNAのモニタリングを行う.

キーワード
B型肝炎 再活性化 de novo肝炎 免疫抑制・化学療法 予防投与

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コラム
血液疾患患者を対象とした監視培養の意義とは?
木村 宗芳   国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 臨床感染症科


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第3章 感染症の予防
血液腫瘍領域における感染症予防
大路 剛   神戸大学大学院医学研究科 微生物感染症学講座 感染治療学分野 講師

要旨
 血液腫瘍領域における予防接種では,基礎疾患,また治療に伴う免疫抑制状態がほかの疾患以上に問題となる.予防接種のうち,生ワクチンは免疫抑制状態が強い造血幹細胞移植後に接種するには,24ヵ月程度の間隔をあけて,かつ慢性移植片対宿主病(GVHD)がなく,免疫抑制をかけていない,などの条件が必要である.また不活化ワクチンも,移植後免疫能が改善する6ヵ月以降で接種を検討する必要がある.

キーワード
生ワクチン 不活化ワクチン VPD

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第3章 感染症の予防
予防抗微生物薬
森田 芙路子      順天堂大学医学部 総合診療科
上原 由紀        順天堂大学医学部 総合診療科 准教授

要旨
 血液腫瘍患者は,原疾患や治療によって免疫不全状態となるため,細菌・真菌・ウイルスなどの微生物による感染症が問題となる.感染症による死亡率の低下,原疾患の治療計画を支持すること,を目的として,予防抗微生物薬の投与が行われる.しかし,予防抗微生物薬の乱用は,薬剤副作用を始め,耐性微生物の増加や,新たな微生物のブレイクスルーも将来的に懸念されている.国内外で予防抗微生物薬使用のガイドラインが策定されており,それらを参考にしながらメリット・デメリットを考慮し,各患者へ適用することが大切である.

キーワード
予防抗菌薬 予防抗真菌薬 予防抗ウイルス薬 血液腫瘍

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第3章 感染症の予防
基本的な医療関連感染対策
坂本 史衣    学校法人 聖路加国際大学 聖路加国際病院QIセンター感染管理室 マネジャー

要旨
 医療関連感染(HAI)とは,病院に限らず,外来,高齢者介護施設,在宅などのあらゆる医療現場において,医療に関連して患者や医療従事者に起り,医療サービスが開始されたときには,潜伏も発症もしていない感染症のことを言う.本稿では,HAIを予防するために実施する必要がある,標準予防策,感染経路別予防策,免疫不全患者に対する感染対策,感染性廃棄物の管理,などの基本的な対策について解説する.

キーワード
医療関連感染 標準予防策 感染経路別予防策 免疫不全 感染性廃棄物

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コラム
血液腫瘍内科医の私が,感染症科コンサルトをする5つの理由
溝高橋 康一     テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター白血病科 助教授


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第4章 血液腫瘍患者の感染症診療にかかわるその他の事項
血液腫瘍領域の非感染性肺疾患
櫻井 隆之   千葉大学医学部附属病院 感染症管理治療部

要旨
 血液腫瘍領域において,非感染性肺疾患に遭遇することはしばしばであると考えられる.画像パターンや出現時期などから鑑別を列挙し,特に感染性肺疾患との区別を慎重に行う必要がある.必ずしもパターン化した画像や所見とはならないため,胸腔穿刺や気管支鏡の実施などのツールも用いながら,慎重に鑑別を行うことが求められる.

キーワード
非感染性肺疾患 気管支鏡 薬剤性肺炎 閉塞性細気管支炎

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第4章 血液腫瘍患者の感染症診療にかかわるその他の事項
感染症との鑑別を要する同種造血幹細胞移植後合併症
髙木 伸介   虎の門病院 血液内科

要旨
 同種造血幹細胞移植後に起る合併症の発現やその重症度には,移植の条件(前処置薬,ドナー細胞,移植片対宿主病(GVHD)予防)と,患者個別の因子(年齢,原疾患と移植前病期,治療歴と既往症)が影響し,移植後の経過は患者ごとに異なる.これを理解するため,移植後合併症を,1.免疫抑制状態に伴う感染症,2.薬剤・放射線の毒性,3. 同種免疫反応,の三種類に大別するのが一般的だが,本稿ではこのうち後二者について概説する.

キーワード
同種造血幹細胞移植 移植後合併症 粘膜障害 血管内皮障害 同種免疫反応

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第4章 血液腫瘍患者の感染症診療にかかわるその他の事項
小児の血液腫瘍患者の感染症診療における注意点
齋藤 昭彦   新潟大学大学院医歯学総合研究科 小児科学分野 教授

要旨
 小児の血液腫瘍患者においても,化学療法後の好中球減少時の発熱に伴う感染症は,患者の予後や死亡率を決定するうえで,最も重要な因子の1つである.成人に比べ,小児では,免疫能の未熟さ,解剖学的に発達の段階にあること,薬物動態の違いなどから,好中球減少時の発熱に対しては,小児特有のアプローチが必要となることがある.

キーワード
小児 血液腫瘍 化学療法 好中球減少 発熱

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第4章 血液腫瘍患者の感染症診療にかかわるその他の事項
重症敗血症・敗血症性ショックの支持療法

藤内 まゆ子    医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 集中治療科 フェロー
林 淑朗        医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 集中治療科 部長
           クィーンズランド大学臨床研究センター 名誉准教授

要旨
 重症敗血症管理では,抗菌薬治療,感染源コントロールと並んで,支持療法が重要である.初期蘇生では,平均動脈圧65mmHgを目標に,リンゲル液による輸液蘇生に加え,必要に応じてノルアドレナリンを使用する.プロトコルに基づく蘇生の有効性は否定的である.輸血はHb7g/dLを維持する程度に,血糖管理は180mg/dL以下を維持する程度に行い,48時間以内の経腸栄養開始,人工呼吸管理下でも浅い鎮静に努めることも重要である.

キーワード
重症敗血症 敗血症性ショック 集中治療 支持療法

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第4章 血液腫瘍患者の感染症診療にかかわるその他の事項
血液腫瘍患者におけるCRP,プロカルシトニンの有用性

土戸 康弘    京都大学医学部附属病院 感染制御部
山本 舜悟    神戸大学医学部附属病院 感染症内科

要旨
 重症敗血症管理では,抗菌薬治療,感染源コントロールと並んで,支持療法が重要である.初期蘇生では,平均動脈圧65mmHgを目標に,リンゲル液による輸液蘇生に加え,必要に応じてノルアドレナリンを使用する.プロトコルに基づく蘇生の有効性は否定的である.輸血はHb7g/dLを維持する程度に,血糖管理は180mg/dL以下を維持する程度に行い,48時間以内の経腸栄養開始,人工呼吸管理下でも浅い鎮静に努めることも重要である.

キーワード
CRP プロカルシトニン 発熱性好中球減少症

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