要旨

最新醫學 診断と治療のABC 110
骨粗鬆症

第1章 概念・定義と疫学
概念・定義

山内 美香    島根大学医学部 内科学講座 内科学第一 准教授
杉本 利嗣    島根大学医学部 内科学講座 内科学第一 教授

要旨
 骨粗鬆症の概念は,骨粗鬆症学の研究の進展を背景に大きな変遷を遂げてきた.現在骨粗鬆症は“骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患”と定義され,骨強度は骨密度と骨質によって表される.骨粗鬆症の診断基準,および薬物治療開始基準は,骨粗鬆症の概念の変遷に伴い改訂され,骨密度測定に加え,骨折リスク評価を指標としたものとなっている.

キーワード
骨粗鬆症 骨強度 骨密度 骨質 骨折リスク

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第1章 概念・定義と疫学
疫 学

藤原 佐枝子    広島原爆障害対策協議会 健康管理・増進センター 所長

要旨
 疫学調査結果は,骨粗鬆症薬物治療開始基準や骨折リエゾンサービスの基礎のデータとなっている.既存骨折があると二次骨折リスクは2~4倍となり,日本人女性50歳以上の約16%が形態骨折を持ち,二次骨折の予備軍と考えられる.骨折リスクの主要な予測因子は,性,年齢,骨密度,既存骨折であり,fracture risk assessment tool(FRAX■)は,これらの因子を含む11の危険因子で骨折リスクを評価し,各国の薬物治療開始のガイドラインに入れられている.

キーワード
疫学 有病率 発生率 危険因子 FRAX®

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第2章 病態生理
骨量減少の病態生理

福本 誠二    徳島大学 藤井節郎記念医科学センター 脂溶性ビタミン研究分野 特任教授

要旨
 骨は,運動の支柱や内臓の保護,ミネラル代謝調節など,多彩な機能を有する臓器である.これらの多様な機能を果たすため,骨は常に破骨細胞による骨吸収と,その後の骨芽細胞による骨形成から成る骨リモデリングを繰り返している.通常の骨リモデリングでは,カップリングと呼ばれる機構により骨吸収量と骨形成量がつり合っている.一方,相対的に骨吸収量が骨形成量を上回ることにより,骨量は減少する.

キーワード
カップリング 破骨細胞 骨芽細胞 骨吸収 骨形成

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第2章 病態生理
骨質劣化の病態生理

岡崎 亮     帝京大学ちば総合医療センター 第三内科 教授

要旨
 骨密度以外の骨強度規定因子を,骨質と呼ぶ.骨粗鬆症の病態には,骨密度低下とともに骨質の劣化が関与する.骨質は,材料力学の概念から,構造特性(粗大構造および微細構造)と材質特性に二分される.加齢に伴う骨粗鬆症においては,構造特性上,海綿骨骨梁幅の減少,間隙の増大,皮質骨多孔率の増大などが,材質特性上,最終糖化産物(AGE)や微少損傷の蓄積,石灰化度の均一化などが認められる.

キーワード
粗大構造 微細構造 コラーゲン架橋 骨石灰化度 微小損傷

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コラム
高齢者の治療における薬剤管理の原則

松井 敏史    杏林大学医学部 高齢医学教室
神﨑 恒一    杏林大学医学部 高齢医学教室 教授

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第3章 診断
診断基準
遠藤 直人    新潟大学大学院医歯学総合研究科 機能再建医学講座 整形外科学分野(医学部 整形外科学教室)教授

要旨
 “低骨量を来す骨粗鬆症以外の疾患または続発性骨粗鬆症を認めず,骨評価の結果が診断基準の条件を満たす場合”に,原発性骨粗鬆症と診断する.診断基準は脆弱性骨折の有無で分かれており,“Ⅰ.脆弱性骨折あり”では,①椎体骨折または大腿骨近位部骨折あり,②そのほかの脆弱性骨折があり,骨密度が若年成人平均値(YAM)の80%未満,“Ⅱ.脆弱性骨折なし”では,骨密度がYAMの70%以下または-2.5SD以下を,骨粗鬆症と診断するものとした.

キーワード
脆弱性骨折 軽微な外力 骨密度 骨折危険因子 骨折連鎖

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第3章 診断
単純X線像とMRI
森 諭史     聖隷浜松病院 骨・関節外科 部長

要旨
 椎体骨折には,骨粗鬆症治療と骨折治療の2つの観点がある.脊椎X線検査で椎体骨折を判定するには,半定量的評価法(SQ法)が有用である.椎体変形のない不顕性骨折を診断したり,鑑別診断や骨癒合の評価を行うには,磁気共鳴画像法(MRI)検査が有用である.

キーワード
錐体骨折 半定量的評価法 既存骨折 新規骨折 不顕性骨折

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第3章 検査と診断
骨密度検査

伊東 昌子    長崎大学ダイバーシティ推進センター センター長・教授

要旨
 二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)は,骨密度の臨床検査の標準であり,X線投影による2次元骨密度の分布上で,関心領域(ROI)を定めて面積骨密度(単位g/cm2)として算出し,その値は性別ごとの若年成人平均値(YAM)に基づいて診断する.また定量的CT(QCT)法は,CT装置を用いて単位体積あたりの骨密度(単位mg/cm3)として算出する方法であり,研究目的で使用されることがある.

キーワード
骨密度 二重エネルギーX線吸収測定法 定量的CT法

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第3章 診断
骨代謝マーカー
山田 真介    大阪市立大学大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科学 講師
稲葉 雅章    大阪市立大学大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科学 教授

要旨
 骨粗鬆症を治療するうえで,骨代謝状態を把握することは非常に重要であるが,そのゴールドスタンダードである骨生検は侵襲性が高く,日常診療の中で実施することは現実的ではない.そこで骨代謝マーカーの測定が推奨されている.骨代謝マーカーの測定によって,その時点での骨代謝状態を正確,かつ簡便に把握することができる.本稿では,骨代謝マーカーの臨床的有用性や利用上の留意点について概説する.

キーワード
骨代謝マーカー 骨吸収マーカー 骨形成マーカー

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第3章 診断
続発性骨粗鬆症および骨粗鬆症類縁疾患の鑑別

木下 祐加    東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科

要旨
 骨密度低下を来す疾患には,閉経や加齢に伴う原発性骨粗鬆症に加えて,併存疾患や薬剤による続発性骨粗鬆症,骨軟化症などの骨粗鬆症類縁疾患がある.続発性骨粗鬆症や骨粗鬆症類縁疾患では,原発性骨粗鬆症と治療方針が異なるため,患者が,原発性骨粗鬆症,続発性骨粗鬆症,骨粗鬆症類縁疾患のいずれに該当するのかを,治療開始前に正しく診断することが重要である.

キーワード
続発性骨粗鬆症 骨軟化症 25水酸化ビタミンD 繊維芽細胞増殖因子23

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第3章 診断
生活習慣病と骨粗鬆症
山本 昌弘    島根大学医学部 内科学講座 内科学第一 講師

要旨
生活習慣病関連骨粗鬆症は,続発性骨粗鬆症の代表疾患である.生活習慣病そのものの病態が骨脆弱性亢進に関与する場合や,生活習慣病治療薬が骨脆弱性を惹起する場合がある.生活習慣の改善や早期の薬物介入は,骨折予防においても重要である.一方,生活習慣病は長期に罹患し,投薬を受ける場合があり,高齢者では,生活習慣病に対するリスクよりも骨折に対するリスクが高まっていないか,総合的に判断する必要がある.

キーワード
骨質 チアゾリジン サイアザイド β遮断薬 メバロン酸代謝経路

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第3章 診断
疾患感受性遺伝子
浦野 友彦    東京大学医学部附属病院 老年病科 講師

要旨
骨粗鬆症は,生活習慣病と同じく多因子疾患として知られ,その発症の成因は,遺伝的素因と環境要因が成因となる.骨粗鬆症は骨強度が低下することを特徴とするが,骨強度は骨密度と骨質によって規定される.遺伝学的研究から,骨密度の50%以上は遺伝的素因によって規定されることが想定されている.筆者らを含む複数のグループは,骨粗鬆症の疾患感受性遺伝子の探索と同定を目的として,一塩基置換遺伝子多型(SNP)と骨粗鬆症発症との関連解析を行ってきた.これらの研究によって,Wntシグナル伝達因子を始めとした骨粗鬆症の成因に関与する疾患感受性遺伝子が明らかとなった.今後も,ゲノム医学などの研究の進歩によって,骨粗鬆症発症に関与する疾患感受性遺伝子が明らかになることが期待される.

キーワード
一塩基置換遺伝子多型 ゲノムワイド解析 Wntシグナル スクレロスチン メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素

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コラム
がん治療患者における骨粗鬆症対策
髙橋 俊二    公益財団法人 がん研究会有明病院 化学療法部,総合腫瘍科 部長

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第4章 予防と治療
予 防
茶木 修     横浜労災病院 産婦人科 部長

要旨
 骨粗鬆症の発症予防では,若年期に高い最大骨量(PBM)を獲得しておくこと,および閉経後もその骨量をできるだけ維持すること,の2点が要点である.そのためには若年期からの栄養指導,運動指導が重要である.さらには無症状の段階で,骨粗鬆症およびその予備群を発見し,早期に介入するために,骨粗鬆症検診が推奨される.骨粗鬆症と診断された場合には,骨粗鬆症の合併症である骨折を防ぐため,転倒予防,薬物療法などの介入を行うことも重要である.

キーワード
生活習慣病 運動 栄養 骨粗鬆症検診 骨折リスク 

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第4章 予防と治療
食事療法
塚原 典子    帝京平成大学健康メディカル学部 健康栄養学科 教授

要旨
 骨粗鬆症の予防と治療のうえで,基本的位置付けとして重要なのが食事療法である.薬物療法や運動療法の処方においても,これらを効果的かつ効率良く実施するためには,まずは,身体の栄養状態を良好に保つことが重要であり,適正な食事療法によって,必要な栄養量の確保および適正な栄養バランスを考え,そのうえで,骨粗鬆症の予防と治療のために推奨される栄養素(カルシウム(Ca),ビタミンD(VD),ビタミンK(VK),たんぱく質)などの十分量の摂取が肝要となる.

キーワード
食事療法 食事量の確保 カルシウム ビタミンD ビタミンK
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第4章 予防と治療
運動療法
宮腰 尚久    秋田大学大学院医学系研究科 整形外科学講座 准教授

要旨
 骨粗鬆症に対する運動療法の主な目的は,骨密度や身体運動機能の維持・改善によって骨折を予防することである.これまでの研究から,閉経後女性の骨密度や,一般住民の転倒予防に対する運動療法の効果は明らかとなっており,骨粗鬆症の一次骨折予防に対する有効性のエビデンスも蓄積されてきている.しかし,運動療法による二次骨折予防の有効性に対するエビデンスはほとんどない.また,運動療法は骨粗鬆症患者の腰背部痛の軽減にも有効であると考えられる.

キーワード
運動療法 骨密度 転倒 骨折 疼痛

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第4章 予防と治療
薬物治療開始基準
細井 孝之    医療法人財団健康院 健康院クリニック 副院長

要旨
 我が国の『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン』では,骨粗鬆症と診断された患者については薬物治療を検討すべきであるが,診断が下されるに至ってない場合でも,骨折リスクを勘案して薬物治療を行うべきであるという考え方に則って,薬物治療の開始基準が策定されている.骨粗鬆症の診断は,既存骨折の有無と種類,骨密度の評価,そして鑑別診断・除外診断で行われる.さらに薬物治療の開始基準では,大腿骨近位部骨折の家族歴やfracture risk assessment tool(FRAX■)の値を活用する.

キーワード
骨粗鬆症 診断基準 薬物治療開始基準 骨折リスク 骨密度

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第4章 予防と治療
骨粗鬆症治療薬 1.ビスホスホネート製剤
萩野 浩     鳥取大学医学部 保健学科 教授

要旨
 ビスホスホネート(BP)はこれまで多数の症例に投与され,多くの臨床データによって有効性が支持され,骨粗鬆症治療薬の第1選択薬に位置している.投与間隔が延長し,投与経路も静脈内投与など,選択肢が多くなったことで,適応の幅が広がっている.顎骨壊死(ONJ)や非定型大腿骨骨折(AFF)のリスク上昇が問題となっているものの,その発生頻度は低い.そこで2015年に「長期間のBP治療中の閉経後女性への対応のためのアプローチ」が発表され,休薬に関する指針が示された.

キーワード
ビスホスホネート 骨吸収抑制薬 急性期反応 顎骨壊死 非定型大腿骨骨折

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第4章 予防と治療
骨粗鬆症治療薬 2.選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
東 浩太郎    東京大学大学院医学系研究科 加齢医学講座
          カリフォルニア大学アーバイン校 発生細胞生物学科
井上 聡     東京大学大学院医学系研究科 抗加齢医学講座 特任教授

要旨
 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)は,エストロゲン受容体に作用し,臓器・組織によって選択的にエストロゲン作用・抗エストロゲン作用を有する薬剤である.本邦ではラロキシフェン,バゼドキシフェンが,閉経後骨粗鬆症に対して使用可能である.骨吸収抑制薬に分類され,椎体骨折予防効果を有する.乳がんの予防効果も示されているが,使用においては静脈血栓塞栓症に注意する必要がある.

キーワード
選択的エストロゲン受容体モジュレーター ラロキシフェン バゼドキシフェン

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第4章 予防と治療
骨粗鬆症治療薬 3.抗RANKL抗体
大宮 俊宣    東京大学大学院医学系研究科 整形外科学
田中 栄     東京大学大学院医学系研究科 整形外科学 教授

要旨
 NF-κB 活性化受容体リガンド(RANKL)は,破骨細胞の分化,活性化,生存に重要な分子であり,RANKL-RANK系シグナルの亢進は骨粗鬆症の原因となる.デノスマブは完全ヒト型モノクローナル抗体であり,RANKLとRANKの結合を阻害することによって強力な骨吸収抑制作用を有する.デノスマブ使用による,閉経後骨粗鬆症に対する効果については,臨床的有用性を示す報告が蓄積しつつある.関節リウマチにおいては,腰椎と大腿骨近位部の骨密度を有意に改善するとともに,関節破壊抑制効果も報告されている.

キーワード
骨粗鬆症 NF-κB活性化受容愛リガンド(RANKL) 抗RANKL抗体 デノスマブ オステオプロテゲリン

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第4章 予防と治療
骨粗鬆症治療薬 4.テリパラチド
井上 大輔    帝京大学ちば総合医療センター 第三内科 教授

要旨
 テリパラチド(ヒトPTH(1-34))は唯一の骨形成促進薬であり,骨形成優位に骨代謝を活性化して,優れた骨密度増加,椎体・非椎体骨折抑制効果を発揮する.大腿骨近位部骨折抑制効果のエビデンスはない.連日製剤は2年間,週1回製剤は1年半という使用期間の限定があり,中止後には徐々に効果が失われることから,後治療を考えたうえで開始することが望ましい.最近デノスマブとの併用や,逐次療法の優れた効果が示され,注目されている.

キーワード
テリパラチド 骨形成促進薬 骨折治癒 1型プロコラーゲン-N-プロペプチド デノスマブ

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第4章 予防と治療
骨粗鬆症治療薬 5.活性型ビタミンD製剤
遠藤 逸朗    徳島大学大学院医歯薬学研究部 血液・内分泌代謝内科学 講師

要旨
 複数の臨床検討成績から,ビタミンD投与は,椎体骨折抑制効果や転倒予防効果を示すことが明らかとなっている.また,新規活性型ビタミンD3製剤であるエルデカルシトールの骨に対するエビデンスも蓄積されつつある.一方,我が国においては,ビタミンD不足症が高頻度に存在することが示されている.将来的にはビタミンD充足度の評価が可能となり,患者ごとの骨粗鬆症治療戦略における活性型ビタミンDの位置付けが,さらに明確になるものと期待している.

キーワード
ビタミンD充足域 エルデカルシトール 転倒抑制効果

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第4章 予防と治療
骨粗鬆症治療薬 6.メナテトレノン
岩本 潤     慶應義塾大学医学部 スポーツ医学総合センター

要旨
 メナテトレノンはビタミンK2(メナキノン4)である.ビタミンKは,骨芽細胞により生成されるタンパクであるオステオカルシン(OC)をγ-カルボキシル化する.メナテトレノンは,閉経後骨粗鬆症患者においてOC値を増加させ,低カルボキシル化OC(ucOC)値を減少させる.また,腰椎骨密度をわずかではあるが上昇させ,椎体・非椎体骨折を抑制し,高齢骨粗鬆症女性(75歳以上)において,身長低下を抑制するとの報告がある.

キーワード
脂溶性ビタミン ビタミンK2 オステオカルシン 椎体骨折 OF study

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第4章 予防と治療
骨粗鬆症の外科的治療
市村 正一    杏林大学医学部 整形外科学教室 教授
長谷川 雅一   杏林大学医学部 整形外科学教室 助教
高橋 雅人    杏林大学医学部 整形外科学教室 助教
佐野 秀仁    杏林大学医学部 整形外科学教室 助教

要旨
 疼痛が持続する椎体骨折の治癒遷延例には椎体形成術の適応があり,近年はバルーンによる椎体形成術(BKP)が普及している.また,遅発性神経麻痺例にはinstrumentationを併用した種々の固定術が選択される.大腿骨近位部骨折は手術療法が第1選択であり,転位のない頸部骨折には骨接合術が,転位例には人工骨頭置換術が選択される.転子部骨折ではshort femoral nailなどが適応されている.保存療法が困難な橈骨遠位端骨折には掌側ロッキングプレート固定が普及している.

キーワード
椎体骨折 遅発性神経麻痺 椎体形成術 ハンソンピン ロッキングプレート
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第4章 予防と治療
骨粗鬆症リエゾンサービス®

鈴木 敦詞    藤田保健衛生大学医学部 内分泌・代謝内科学 教授

要旨
 イベント発生頻度が少ない慢性疾患を経時的にフォローアップするためには,診療を計画し管理するコーディネーターの設置が有効である.骨粗鬆症リエゾンサービス®(OLS)は,啓発活動,骨折1次予防ならびに2次予防までを視野に入れた包括的取組みである.日本骨粗鬆症学会では,その担い手としての骨粗鬆症マネージャー®と骨粗鬆症学会認定医を設置し,その活動支援を行っている.

キーワード
診療支援 循環型診療連携 リエゾン

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コラム
骨粗鬆症治療と医療経済評価

森脇 健介    神戸薬科大学 医療統計学研究室 講師

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第5章 ガイドラインなど
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
宗圓 聰     近畿大学医学部奈良病院 整形外科・リウマチ科 教授

要旨
 我が国では1998年に『骨粗鬆症の治療(薬物療法)に関するガイドライン』が初めて発刊され,2002年に改訂された.2006年には『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版』として骨粗鬆症全般にわたる記載がなされ,2011年,2015年に改訂版が発刊された.薬剤の評価がこれまでの推奨度から有効性の評価に変更され,その判定基準も明記された.薬物治療開始基準に合致する例に対する積極的な薬物治療が望まれる.

キーワード
骨粗鬆症 ガイドライン 薬物療法 有効性評価 併用療法

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第5章 ガイドラインなど
ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン2014年版
田中 良哉    産業医科大学医学部 第一内科学講座 教授

要旨
 合成グルココルチコイド(副腎皮質ステロイド薬)は,強力な抗炎症作用と免疫抑制作用から,多くの疾患の治療に汎用される.ステロイド薬による骨代謝異常症は,ステロイド性骨粗鬆症と呼ばれ,ステロイド薬の副作用の1/4を占め,高い脆弱性骨折率を招く.ステロイド薬使用の半年後には骨折率はピークに達し,骨量が正常でも骨折する症例もある.ステロイド性骨粗鬆症は,処方された薬剤による副作用であり,的確な管理と治療が必要である.日本骨代謝学会は,2014年に『ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン』を改訂した.ステロイド薬を使用する患者には,骨粗鬆化と骨折に対する,的確な管理と治療が必要である.

キーワード
骨粗鬆症 副腎皮質ステロイド ガイドライン 治療 管理

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第5章 ガイドラインなど
国際顎骨壊死コンセンサスペーパー
田口 明     松本歯科大学大学院歯学独立研究科 硬組織疾患制御再建学講座臨床病態評価学 教授

要旨
 2003年に始まったビスホスホネート製剤関連顎骨壊死問題は,今も解決されていない.国際顎骨壊死コンセンサス委員会はこの状況に対処するため,国際的な指針となる国際コンセンサスペーパーを2014年に公開した.これは2003~2014年までのすべてのデータを網羅している.特に顎骨壊死の定義,ステージ分類,顎骨壊死の原因,リスク因子,顎骨壊死の有病率・発生率および顎骨壊死予防対策が明確に述べられ,今後の国際的な指針になると思われる.

キーワード
顎骨壊死 ビスホスホネーと 国際コンセンサス

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第5章 ガイドラインなど
くる病・骨軟化症の診断マニュアル
大薗 恵一    大阪大学大学院医学系研究科 小児科学 教授

要旨
 くる病は,骨・軟骨の石灰化障害を特徴とする小児疾患であり,成人における骨石灰化障害は骨軟化症と呼ばれる.ビタミンD欠乏,遺伝性などによる低リン血症が石灰化障害の主因である.くる病は成長障害,骨変形を示し,診断は骨X線所見(くる病様変化)を主要根拠とする.一方,骨軟化症は,骨X線の陽性診断率が低く,骨痛や筋力低下,血液検査所見などをもとに診断する.血中25位水酸化ビタミンD(25(OH)D)や線維芽細胞増殖因子23(FGF23)の測定も行われる.

キーワード
ビタミンD 低リン酸血症 低カルシウム血症 FGF23 アルカリホスファターゼ

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