要旨

最新醫學 診断と治療のABC 113
慢性骨髄性白血病・骨髄増殖性腫瘍

第1章 疾患概念と疫学
疾患概念とその変遷

大屋敷 一馬    東京医科大学 血液内科学分野 主任教授

要旨
 1951年,Dameshek博士により提唱された骨髄増殖性疾患(MPDs)は,長い年月を経て,現在の骨髄増殖性腫瘍(MPN)と呼ばれるようになった.造血幹細胞の同定,細胞表面抗原の開発,遺伝子変異・再構成,シグナル伝達の発見とその阻害剤の開発,と進むにつれ,幾つかの疾患を取り込むことにより,現在のMPNの枠組みが完成した.本稿では,そのあらましに触れる.

キーワード
骨髄増殖性腫瘍 慢性骨髄性白血病 真性赤血球増加症 本態性血小板血症 原発性骨髄線維症

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第1章 疾患概念と疫学
疫 学

小林 真一    防衛医科大学校 血液内科

要旨
 慢性骨髄性白血病(CML)・骨髄増殖性腫瘍(MPNs)はまれな疾患であるが,近年,治療や病態解析の進歩が著しい疾患群でもあり,特にCMLでは,チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の登場により,その予後が劇的に改善した.また,MPNsについては,これまで欧米の疫学研究が主であったが,本邦でも日本血液学会による血液疾患登録事業が開始され,血液疾患全般も含め,今後のMPNsの動向が明らかになることが期待される.

キーワード
骨髄増殖性腫瘍 慢性骨髄性白血病 真性多血症 本態性血小板血症 原発性骨髄線維症

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第2章 病理・病態生理
慢性骨髄性白血病の病因と病態

田内 哲三    東京医科大学 血液内科学 准教授

要旨
 9番染色体と22番染色体の相互転座であるフィラデルフィア(Ph)染色体が,造血幹細胞レベルに形成されることによって,慢性骨髄性白血病(CML)は発症する.CML幹細胞は分化能を有するため,CMLが発症するためには,幹細胞レベルで自己複製能および分化阻止の分子機構が必要となる.CML幹細胞の静止期維持および自己複製には複数の細胞内分子が関与しており,どの分子がドミナントな役割を果たしているのか,いまだ不明な点も多い.Ph染色体の発見からABLキナーゼ阻害剤の開発にまつわる歴史は,がん研究分野で金字塔を成したと考えられる.

キーワード
慢性骨髄性白血病 BCR-ABL キナーゼ 幹細胞 細胞内情報伝達分子

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第2章 病理・病態生理
真性多血症・本態性血小板血症・骨髄線維症の病因と病態

小松 則夫      順天堂大学医学部 内科学 血液学講座 教授

要旨
 真性多血症(PV),本態性血小板血症(ET),原発性骨髄線維症(PMF)は,Philadelphia染色体陰性古典的骨髄増殖性腫瘍(MPN)と呼ばれている.これらの3 疾患におけるJAK2V617F変異の発見を契機に,JAK2exon12変異やMPL変異,CALR変異が相次いで発見された.JAK2V617F変異はPVの90%以上,ETやPMFの約半数に共通して認められるが,JAK2exon12変異はPVに,MPL変異やCALR変異はETとPMFに特異的に認められる.いずれの変異もJAK2-STAT5の経路を活性化し,腫瘍化を引き起こす.

キーワード
骨髄増殖性腫瘍 JAK2変異 CALR変異 MPL変異

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第2章 病理・病態生理
その他の骨髄増殖性腫瘍の病因と病態

佐藤 謙     防衛医科大学校病院 血液内科・輸血血液浄化療法部

要旨
 古典的な骨髄増殖性腫瘍(MPN)は,染色体転座や点突然変異によるBCR-ABL,JAK2などのチロシンキナーゼの恒常的な活性化で発症する.そのほかのMPNでも,サイトカインのシグナル伝達に関与するコロニー刺激因子(CSF)3R,血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α,PDGFRβ,線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1,KITなどの異常による恒常的なチロシンキナーゼ活性化が腫瘍を引き起す.

キーワード
サイトカイン サイトカイン受容体 チロシンキナーゼ キメラタンパク チロシンキナーゼ阻害剤

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第2章 病理・病態生理
病理所見
伊藤 雅文
     名古屋第一赤十字病院 病理部 部長

要旨
 従来,骨髄増殖性腫瘍(MPN)の病理所見は,線維化の評価が重要であったが,MPNの遺伝子異常が明らかになり,特定の遺伝子異常と組織形態との相関性が明らかにされ,2008年に改定された世界保健機関(WHO)分類では,MPNの診断に巨核球形態,増殖パターンなどの骨髄病理所見を総合的に評価することが取り入れられた.前線維化期の原発性骨髄線維症(PMF)と本態性血小板血症(ET)との鑑別が,形態的評価でより明確にされる.MPNの病理組織所見を疾患別に解説する.

キーワード
骨髄線維化 巨核球形態 前繊維化期 真性多血症 本態性血小板血症

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コラム
慢性骨髄性白血病における免疫の役割
山村 武史
    防衛医科大学校 医学研究科(内科学)


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第3章 診断
慢性骨髄性白血病の診断と病期分類

髙橋 康之    埼玉医科大学総合医療センター 血液内科
木崎 昌弘    埼玉医科大学総合医療センター 血液内科 教授

要旨
 慢性骨髄性白血病(CML)は骨髄増殖性腫瘍(MPN)の一病型として分類され,多くの場合は無症状の慢性期(CP)で発症し,適切な治療がなされないと移行期(AP)を経て急性転化期(BP)へ進展することで致死的となる.フィラデルフィア(Ph)染色体が未分化な多能性幹細胞レベルで生じる結果,BCR-ABL融合遺伝子が形成されることが発症に重要であり,診断にはこれらの染色体や遺伝子異常を確認することが必須である.CMLは,健診での検査値異常をきっかけに診断に至ることも多く,迅速かつ適切に診断し,治療を開始することが重要である.

キーワード
慢性骨髄性白血病 フィラデルフィア染色体 BCR-ABL融合遺伝子 急性転化 チロシンキナーゼ阻害剤

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第3章 診断
真性多血症・本態性血小板血症原発性骨髄線維症の診断
織谷 健司
    大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 准教授

要旨
 真性多血症(真性赤血球増加症)・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症では,JAK2変異,Calreticulin変異,MPL変異など,病因となる遺伝子変異が明らかにされてきた.これらクローナルマーカーに関する情報は,診断や予後判定に重要性が増している.骨髄生検像と遺伝子変異解析に関する知見の蓄積が,さらなる日常診療の充実に繋がると思われる.

キーワード
骨髄増殖性腫瘍 診断基準 遺伝子変異 骨髄生検

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第3章 診断
その他の骨髄増殖性腫瘍の診断
武内 正博
     千葉大学医学部附属病院 血液内科
中世古 知昭   千葉大学医学部附属病院 血液内科 診療教授

要旨
 2008年版世界保健機関(WHO)分類において,慢性好酸球性白血病(CEL)の原因遺伝子として,FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子・PDGFRB遺伝子異常・FGFR1遺伝子異常の3種類が,肥満細胞症の原因遺伝子としてKIT遺伝子変異が指摘されていたが,策定された時点では原因不明であった.慢性好中球性白血病(CNL)については,その一部の症例に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)受容体遺伝子(CSF3R)の変異が認められることが2013年に明らかとなった.これらの遺伝子異常を伴う症例では,適切な診断を行うことで適切な治療に結びつくことがあるため,積極的な検査が推奨される.

キーワード
慢性好中球性白血病 慢性好酸球性白血病 肥満細胞症 骨髄増殖性腫瘍分類不能型

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コラム
チロシンキナーゼ阻害剤のPK/PD
三浦 昌朋    秋田大学医学部附属病院 薬剤部 教授



第4章 管理・治療
慢性骨髄性白血病 1.初発時リスク分類と治療効果モニタリング
南谷 泰仁   岐阜大学医学部附属病院 輸血部 講師

要旨
慢性骨髄性白血病(CML)の予後因子として,Sokal score,Euro score,EUTOS score,という3つの予測システムが提唱されている.これらはCMLの治療の変遷とともに,それぞれの治療成績に適したものとして進歩した.初診時の予後指標はこれらと付加的染色体異常(ACA)が重要である.CMLの治療成績の向上は,モニタリング指標の変化ももたらし,分子学的な微小残存病変(MRD)の評価が,臨床現場に導入されている.

キーワード
Sokal score EUTOS score 付加的染色体異常 international scale ELN

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第4章 管理・治療
慢性骨髄性白血病 2.慢性期(初期治療薬の選択)
得平 道英
    埼玉医科大学総合医療センター 血液内科 教授

要旨
 慢性骨髄性白血病(CML)は,チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるイマチニブにより,90%以上の患者において35年以上の長期生存が予想される驚異的な成績をもたらし,また残存腫瘍量による治療戦略が確立した.さらに,第2世代TKIのニロチニブ,ダサチニブでは,より早期からの深い奏効をもたらすことが示された.分子遺伝学的奏効(MMR)を一定期間継続した患者では,薬剤中止によっても長期にわたり再燃しないことが明らかになりつつある.一方で,依然多くの患者では長期服用が必要であり,その有害事象における対策が急務となっている.

キーワード
慢性骨髄性白血病 慢性期 チロシンキナーゼ阻害剤 病態移行 有害事象

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第4章 管理・治療
慢性骨髄性白血病 3.慢性期(治療薬の変更)
松村 到
    近畿大学医学部 血液・膠原病内科 教授

要旨
 慢性期の慢性骨髄性白血病(CML-CP)の治療成績は,チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の登場により画期的に改善した.しかし,一部の症例は,最初に投与されたTKIに対して抵抗性あるいは不耐容を示す.これらの症例は,別のTKIへの切り替えが必要である.抵抗性例ではBCR-ABL遺伝子の点突然変異の解析を行い,その結果に応じたTKI選択が必要である.一方,不耐容例では各TKIの副作用を考慮したTKI選択が重要である.

キーワード
BCR-ABL 点突然変異 European LeukemiaNet 抵抗性 不耐容 

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第4章 管理・治療
慢性骨髄性白血病 4.移行期・急性転化期
南 陽介
    神戸大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部 講師

要旨
 慢性骨髄性白血病(CML)の自然経過では,慢性期(CP),移行期(AP)を経て,芽球が増加した急性転化期(BP)へと進展する.APの治療は,高用量イマチニブまたは第2世代ABLチロシンキナーゼ阻害剤が推奨されるが,至適な奏効が得られない場合は,同種造血幹細胞移植を考慮する.BPに対しては,高用量イマチニブやダサチニブ投与,または急性白血病に準じた化学療法との併用で治療を開始し,病勢のコントロールを目指しつつ,同種造血幹細胞移植の施行を検討する.

キーワード
慢性骨髄性白血病 移行期 急性転化期 付加的染色体異常 同種造血幹細胞移植

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第4章 管理・治療
慢性骨髄性白血病 5.チロシンキナーゼ阻害剤:特性の違い
木村 晋也
    佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科 教授

要旨
 ABLチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)イマチニブによって,慢性骨髄性白血病(CML)の治療は改善された.イマチニブに対する耐性/不耐容の克服を目的に,第2世代TKIs(ダサチニブ,ニロチニブ,ボスチニブ,bafetinib)が開発された.しかし,第2世代TKIsも,T315I変異には無効であり,第3世代TKIs ponatinibが開発された.各TKIの特性を理解したうえで,適切な薬剤を選択することが肝要である.

キーワード
慢性骨髄性白血病 ABL チロシンキナーゼ阻害剤 特性

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第4章 管理・治療
慢性骨髄性白血病 6.チロシンキナーゼ阻害剤:副作用のマネージメント
西脇 嘉一
    東京慈恵会医科大学附属柏病院 腫瘍・血液内科 診療部長

要旨
 慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬である,チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は,現在のところ,イマチニブ,ダサチニブ,ニロチニブ,ボスチニブの4剤が使用可能であり,各TKIの副作用のプロファイルは異なっている.このプロファイルの違いを参考に,患者の既往歴や合併症から適切なTKIの選択を行う.また,治療効果を十分に得るためには,TKIの副作用のマネージメントを適切に行い,適正用量による治療継続が極めて重要である.

キーワード
慢性骨髄性白血病 副作用 チロシンキナーゼ阻害剤

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第4章 管理・治療
慢性骨髄性白血病 7.造血幹細胞移植の役割
近藤 健
    北海道大学大学院医学研究科 内科学講座 血液内科 講師

要旨
 慢性骨髄性白血病(CML)治療において,同種造血幹細胞移植は,チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療失敗例や病期進行例において施行される.慢性期においては,1次TKI治療がFailureでも2次,3次TKI治療が選択され,同種造血幹細胞移植は,Salvage治療としての位置付けである.移植適応については,病期や臓器予備能に加えて,TKI治療経過の中での治療タイミング,年齢や至適ドナーの有無も含めて,慎重に判断する必要がある.

キーワード
慢性骨髄性白血病 同種造血幹細胞移植 慢性期 移行期 急性転化期

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第4章 管理・治療
慢性骨髄性白血病 8.治癒への道程
野口 晋佐
      秋田大学医学部 血液・腎臓・膠原病内科
高橋 直人      秋田大学医学部 血液・腎臓・膠原病内科 教授

要旨
 慢性骨髄性白血病(CML)の新たな治療目標はtreatment free remission(TFR)である.イマチニブ中止試験では,長期イマチニブ療法後,少なくとも2年のMR4.5の深い分子遺伝学的奏効(DMR)を示すCML症例の約半数で,長期TFRが確認された.より多くの症例でTFRを達成するには,DMRを達成する症例数を増やすことと,チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)抵抗性のCML幹細胞を駆逐する併用薬の開発が求められる.

キーワード
慢性骨髄性白血病 チロシンキナーゼ阻害剤 treatment free remission 薬剤中止試験

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第4章 管理・治療
慢性骨髄性白血病 9.幹細胞標的治療
仲 一仁
    広島大学原爆放射線医科学研究所 幹細胞機能学研究分野 准教授

要旨
 慢性骨髄性白血病(CML)患者のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療後の再発原因として,CML幹細胞が注目されている.CML幹細胞は非常に多くのCML細胞を生み出す能力と,TKI抵抗性を併せ持つ細胞である.近年,このCML幹細胞をターゲットとする阻害剤が次々と報告されており,TKIとCML幹細胞阻害剤を併用することによりCMLの再発を克服する新しい治療法となることが期待される.

キーワード
CML幹細胞 チロシンキナーゼ阻害剤抵抗性 ドラッグリポジショニング TGF‐β阻害剤 
オンコニュートリエント


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第4章 管理・治療
骨髄増殖性腫瘍 1.予後分類
山口 博樹    日本医科大学 血液内科 准教授

要旨
 真性多血症(PV)や本態性血小板血症(ET)の10年生存率は80%以上であり,その治療は血球数の調整と抗凝固療法による血栓症の予防が中心である.これらの疾患は,一般内科医が治療を行うこともあるが,予後因子に注意をして,漫然とした診察にならないように注意が必要である.一方,原発性骨髄線維症(PMF)の根治療法は造血幹細胞移植であるが,症例によっての経過や予後の差が大きいため,予後因子は治療方針を決めるため,大変重要である.

キーワード
骨髄増殖性腫瘍 真性多血症 本態性血小板血症 原発性骨髄線維症 予後因子

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第4章 管理・治療
骨髄増殖性腫瘍 2.真性多血症
桐戸 敬太
    山梨大学医学部 血液・腫瘍内科 教授

要旨
 真性多血症(PV)はJAK2遺伝子異常により発症する骨髄増殖性腫瘍(MPN)であるが,その生命予後は比較的保たれている.このため,治療の目標は,PVの治癒ではなく,血栓や出血などの合併症を予防することである.また,掻痒感などの全身症候の存在にも留意し,適切なコントロールを行うことが求められる.一方,治療に用いる薬剤により,骨髄線維症や急性白血病への進行を促進させないよう配慮することも肝要である.

キーワード
真性多血症 JAK2V617F 血栓症 ヒドロキシウレア リキソリチニブ

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第4章 管理・治療
骨髄増殖性腫瘍3.本態性血小板血症
杉本 由香
    三重大学医学部 血液・腫瘍内科
大石 晃嗣    三重大学医学部附属病院 輸血部 准教授

要旨
 本態性血小板血症(ET)の治療の主な目的は,血栓症と出血の予防である.年齢,血栓症や出血の既往,心血管リスク,血小板数,JAK2V617F変異などによって推定される血栓症や出血のリスクに応じて,無治療経過観察,低用量アスピリンなどによる抗血小板療法,ヒドロキシウレア(HU)やアナグレリド(ANA)などによる細胞減少療法を行う.周術期,妊娠・出産時では,より厳格な血栓予防が必要となる.

キーワード
本態性血小板血症 抗血小板療法 細胞減少療法
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第4章 管理・治療
骨髄増殖性腫瘍 4.骨髄線維症の治療
亀田 拓郎
    宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野(第2内科)
下田 和哉    宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野(第2内科)教授

要旨
 骨髄線維症(MF)診断時に予後予測を行い,中間リスク群-Ⅱ,あるいは高リスク群には同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)を検討する.allo-HSCTはMFに対する治癒的治療法であり,30~50%に長期生存が得られる.移植が困難な場合はJAK阻害剤を投与すると,脾腫,全身症状の改善に加え,生命予後の改善も期待できる.低リスク,あるいは中間-Ⅰリスク群の場合,MFに伴う症状がなければ経過観察を,症状を認める場合はそれに対する治療を行う.貧血に対してはタンパク同化ホルモンが有用である.

キーワード
同種造血幹細胞移植 ルキソリチニブ ヒドロキシウレア 酢酸メテノロン

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第4章 管理・治療
骨髄増殖性腫瘍 5.慢性好酸球性白血病・肥満細胞症
定 明子 
    神戸大学大学院医学研究科 血液内科学
片山 義雄    神戸大学医学部附属病院 血液内科 講師
松井 利充    西脇市立西脇病院 血液内科 部長

要旨
 慢性好酸球性白血病(CEL)と肥満細胞症は,それぞれ好酸球あるいは肥満細胞が,骨髄やそれ以外の複数の臓器でクローナルに腫瘍性増殖を来す疾患であり,好酸球あるいは肥満細胞の性質に依存した,多様な臨床像を呈する.おのおのの疾患には,特徴的な受容体型チロシンキナーゼ遺伝子変異が発見されており,前者ではPDGFRA遺伝子の変異,後者ではKIT遺伝子の変異が多く,診断や治療方針選択において,分子異常の検出が重要となる.

キーワード
慢性好中酸球性白血病 肥満細胞症 PDGFR KIT イマチニブ
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コラム
チロシンキナーゼ阻害剤離脱症候群
南 陽介    東京都健康長寿医療センター研究所自立促進と介護予防研究チーム 研究部長

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第5章 ガイドライン
慢性骨髄性白血病・骨髄増殖性腫瘍の診療ガイドライン
大場 理恵
    東京慈恵会医科大学附属第三病院 腫瘍・血液内科
薄井 紀子    東京慈恵会医科大学附属第三病院 腫瘍・血液内科/輸血部 教授

要旨
 骨髄増殖性腫瘍(MPN)は,造血幹細胞レベルでの腫瘍化によって発症する疾患である.それらには,慢性骨髄性白血病(CML)のほか,真性多血症(PV),原発性骨髄線維症(PMF),本態性血小板血症(ET)などが含まれる.MPNでは,CMLとそれ以外の疾患では治療方針が異なるので,注意が必要である.BCR-ABL陽性を特徴とするCMLの治療方法は,BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の登場により,劇的に変化した.モニタリングを行いながら,患者背景を考慮しつつ,治療を選択する必要がある.BCR-ABL陰性MPNは,ここ数年で遺伝子変異が次々と発見され,それに伴い新規治療薬の使用が可能になっている.

キーワード
チロシンキナーゼ阻害剤 BCR-ABL1 European LeukemiaNet

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緊急報告
WHO分類2016年版
木村 文彦
    防衛医科大学校 血液内科 教授

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