要旨

最新醫學 診断と治療のABC 118
全身性エリテマトーデス

第1章 概念・定義と疫学
概念・定義

三森 経世  京都大学大学院医学研究科 内科学講座 臨床免疫学 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)は自己免疫異常を基盤とし,多彩な自己抗体の産生を特徴として多臓器を障害する全身性炎症性疾患であり,膠原病(結合組織疾患)の代表的疾患であると共に,代表的な全身性自己免疫疾患,全身性リウマチ性疾患にも分類される.臓器病変や検査異常の組み合わせと障害の程度によって多彩な病態を示し,再燃と寛解を繰り返すのが,SLEの特徴である.

キーワード
膠原病 結合組織疾患 自己免疫疾患 リウマチ性疾患 ループス

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第1章 概念・定義と疫学
疫学・予後

亀田 秀人    東邦大学医学部 内科学講座 膠原病学分野(医療センター大橋病院)教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)は男女比1:9で,特に妊娠可能年齢の女性に好発する.我が国でも6万人以上が罹患しており,多彩な臓器病変を生じている.短期予後は難治性病態を認める一部の患者を除いて良好であるが,長期予後は今なお不良である.長期予後の改善には,一般医による早期発見と専門医への早期紹介,専門医による的確な病態診断と,damageなき寛解を目指した治療,という機能的病診連携が不可欠である.

キーワード
人種差 感染症 動脈硬化

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第2章 成因・病態
病態生理

辻本 考平      大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学
熊ノ郷 淳      大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)では,自己抗原に対する免疫寛容が破綻した結果,自己抗体が産生されることが特徴的である.自己抗体産生には,自己抗原の産生・除去機構の破綻による,自己抗原の過剰が関与している.シグナル伝達の異常を含むT細胞の異常により,自己反応性のT細胞が活性化され,結果として自己抗体を産生するB細胞が活性化される.抗体自身の細胞障害性や免疫複合体による種々の臓器の組織障害が,SLEの病態を形成していると考えられる.

キーワード
全身性エリテマトーデス T細胞 B細胞 自己免疫 自己抗体

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第2章 成因・病態
ヒトゲノム解析から見た全身性エリテマトーデスの病因

土屋 尚之      筑波大学医学医療系 分子遺伝疫学研究室 教授

要旨
 ヒトゲノム解析により,全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患感受性に関連する数十個所の遺伝子多型と,家族発症例の原因となる稀少変異が徐々に明らかとなり,発症に病因的に関与する分子経路として,ヒト白血球抗原(HLA)に加え,DNA・RNA分解,死細胞除去,Ⅰ型インターフェロン経路がクローズアップされてきた.本稿では,ヒトゲノム解析から見たSLEの病因解明の現状を概説する.

キーワード
全身性エリテマトーデス ヒトゲノム解析 疾患感受性遺伝子 DNA・RNA分解・死細胞除去 Ⅰ型インターフェロン

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第2章 成因・病態
SLEの発症機序

広瀬 幸子     桐蔭横浜大学 医用工学部

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)は,代表的な全身性自己免疫疾患で,その発症には複数の感受性遺伝子が関与している.SLEの病因は,B細胞の免疫寛容破綻に伴う自己抗体産生にあり,感受性遺伝子は何らかの機序で自己抗体産生を誘発する.関与する遺伝子の作用を細胞・分子レベルで明らかにすることが,本質的なSLEの治療法の開発に不可欠である.

キーワード
多遺伝子疾患 感受性遺伝子解析 獲得免疫 自然免疫

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コラム
全身性エリテマトーデスに対する新規治療薬の登場はまだか?

宮坂 信之     東京医科歯科大学 名誉教授

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第3章 診断
診断

久保 かなえ     東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻 アレルギー・リウマチ学 特任講師
山本 一彦      東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻 アレルギー・リウマチ学 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)の診断には,疾患特有の検査所見や臓器病変を理解するとともに,症状を共有する多くの他疾患を鑑別する知識と経験が必要となる.現在診断に使用されている分類基準を軸に,臨床所見について説明し,SLEの診断の流れを示す.

キーワード
ACR分類基準 SLICC分類基準

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第3章 診断
検査所見

岳野 光洋     日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野 准教授
桑名 正隆    日本医科大学大学院医学研究科 アレルギー膠原病内科学分野 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)の診断には,臨床症状と共に免疫学的異常所見を勘案する必要がある.その主要所見は,米国リウマチ学会(ACR)およびSystemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC)の分類基準に挙げられ,検査所見として抗核抗体,抗2本鎖(ds)DNA抗体,抗Sm抗体,抗リン脂質抗体,直接クームス陽性,低補体血症などの免疫学的異常,および腎症の蛋白尿,各血球成分の減少,などの臓器障害の評価項目が含まれている.さらにループス腎炎などの疾患活動性のモニターには,抗dsDNA抗体と血清補体値が有用である.

キーワード
抗核抗体 抗dsDNA抗体 抗Sm抗体 補体 SLE分類基準

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第3章 診断
画像所見
西野 譲 
      藤田保健衛生大学 リウマチ・感染症内科 講師
水谷 昭衛      医療法人豊昌会 豊田健康管理クリニック
吉田 俊治      藤田保健衛生大学 リウマチ・感染症内科 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)は,さまざまな自己抗体と,多彩な臓器障害を特徴とする慢性炎症性疾患である.臓器障害の評価には画像診断が重要であるが,非特異的な画像所見も少なくない.頻度の高い関節病変と重要臓器である中枢神経,心臓,肺,消化器における画像診断には習熟しておく必要があり,同時に出現自己抗体や臨床症状も勘案した,総合的な鑑別が要求される.

キーワード
全身性エリテマトーデス 画像所見 診断

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第3章 診断
腎生検所見
廣村 桂樹
      群馬大学医学部附属病院 腎臓・リウマチ内科 診療教授
野島 美久     日本赤十字社前橋赤十字病院 腎臓内科 部長

要旨
 ループス腎炎の組織所見は多彩であり,腎予後と関連し,治療法の選択にも影響を及ぼす.尿所見などから腎病変が疑われる腎生検未施行の患者に対しては,積極的に腎生検を行い,ループス腎炎を確認するとともに,国際腎臓学会/腎病理学会(ISN/RPS)分類に基づき,組織型などを検討する.ISN/RPS分類から新たに導入された,Ⅳ-S型,Ⅳ-G型のサブクラスの腎予後について,幾つかの施設から報告されたが,メタ解析では両型に差は見られなかった.一方,慢性病変を有する場合に,腎予後が不良であることが報告されている.

キーワード
全身性エリテマトーデス ループス腎炎 ISN/RPS分類 腎予後

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第3章 診断
鑑別診断
上阪 等
       東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 膠原病・リウマチ内科 教授

要旨
全身性エリテマトーデス(SLE)の診断は,古くから検証されてきている分類基準を参考に行えば,困難を伴うことは少ない.しかし,これを参考にするに至るには,まず全身性自己免疫疾患である膠原病を疑うことが肝要である.次いで,分類基準上で基準を満たしうる他疾患について知る必要がある.特に,感染症や悪性腫瘍による傍腫瘍症候群は,選択すべき治療法が異なるために,丁寧に除外すべきである.

キーワード
パルボウイルスB19感染症 混合性結合組織病 シェーグレン症候群 抗好中球細胞質関連血管炎

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第3章 診断
病型分類,亜型
一瀬 邦弘
       長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 先進予防医学講座リウマチ膠原病内科学分野 講師
川上 純      長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 先進予防医学講座リウマチ膠原病内科学分野 教授

要旨
全身性エリテマトーデス(SLE)は,自己抗体産生を背景に,多臓器病変を呈する自己免疫疾患である.SLEでは多彩な臓器病変を認めるが,ループス腎炎および精神神経ループス(NPSLE)などが,生命予後に関連する代表的な合併症として知られている.SLEの診断には,米国リウマチ学会(ACR)によって提唱,1997年に改訂された分類基準や,2012年発表のSystemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC)分類基準が用いられているが,SLEはその多彩な症状から,これらの分類基準に含まれない病型分類,亜型が存在する.SLEはヘテロな病型を呈するため,厳密な病型分類は存在しないが,治療方針を立てるうえで,個々の臓器病変や重症度に応じたSLEの病型分類・亜型を理解することは重要である.

キーワード
ループス腎炎 精神神経ループス SLICC分類基準

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第3章 診断
疾患活動性,重症度
住田 孝之
       筑波大学医学医療系 内科(膠原病・リウマチ・アレルギー)教授

要旨
全身性エリテマトーデス(SLE)は,多彩な臓器病変を生じる自己免疫疾患であるがゆえに,すべての臓器について,それぞれ評価しなくてはならない.世界的に有用とされている疾患活動性の評価基準は,SLE disease activity index(SLEDAI)スコア,British Isles Lupus Assessment Group(BILAG)-2004インデックスである.現在,本邦における指定難病の公式重症度はSLEDAIスコアであり,4点以上で“重症”と評価される.

キーワード
全身性エリテマトーデス SLEDAI 疾患活動性 重症度 指定難病

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コラム
SLE研究こと始め:抗リンパ球自己抗体
小池 隆夫
      NTT東日本札幌病院 院長
             北海道大学 名誉教授
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第4章 管理・治療
SLEの管理と治療,治療選択基準について
菊池 潤
     慶應義塾大学医学部 リウマチ内科
竹内 勤    慶應義塾大学医学部 リウマチ内科 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)は,全身の多臓器に障害を来す.ループス腎炎,精神神経ループス,急性ループス肺臓炎は重要臓器障害であり,複数科での集学的治療が必要である.疾患活動性指標を用いて障害臓器と重症度を判断し,治療標的と治療効果指標を明確にしながら治療を進める.感染を含めた合併症の予防と管理にも注意をする.治療の中心はステロイドと免疫抑制薬であるが,種々の新規治療薬が期待されている.

キーワード
全身性エリテマトーデス 疾患活動性 治療 ステロイド 免疫抑制薬

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第4章 管理・治療
治療薬剤 1.ステロイド
川合 眞一
    東邦大学医学部 内科学講座 膠原病学分野 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)の病因はいまだに不明であり,原因療法は開発されていないものの,免疫異常と慢性炎症を標的として,免疫抑制薬と共にグルココルチコイド(ステロイド)が頻用されている.ステロイド療法は必ずしも十分なエビデンスがあるとは言えないが,その有用性の根拠を概説した.また,感染症,骨粗鬆症,動脈硬化病変,副腎不全,などの重要副作用について,その対策を含めてまとめた.

キーワード
ステロイド療法 パルス療法 漸減法 維持量 副作用

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第4章 管理・治療
治療薬剤 2.免疫抑制薬
鈴木 康夫
      東海大学医学部 内科学系リウマチ内科学 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)の治療の基本はステロイド療法であるが,ステロイド抵抗性や重篤な病態の治療,ステロイド減量目的で,免疫抑制薬が併用される.最近の諸外国のガイドラインでは,難治性病態に対して免疫抑制薬を積極的に併用し,ステロイドは高用量投与後,6ヵ月以内に低用量まで減量することが推奨されている.免疫抑制薬の主な適用は,ループス腎炎(LN)や神経精神障害を伴うSLE(NPSLE)であり,使用される薬剤はシクロホスファミド(CYC),ミコフェノール酸モフェチル(MMF),アザチオプリン(AZA),カルシニューリン阻害薬(CNI)である.

キーワード
全身性エリテマトーデス 免疫抑制薬 ループス腎炎 神経精神障害

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第4章 管理・治療
治療薬剤 3.生物学的製剤
中山田 真吾
    産業医科大学医学部 第一内科学講座 講師
田中 良哉      産業医科大学医学部 第一内科学講座 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)における次世代治療として,生物学的製剤に期待が寄せられている.現在,SLEの病態にかかわる細胞表面分子,共刺激分子,サイトカインを標的とする製剤で,臨床試験が進行中である.しかし,SLEには疾患のheterogeneityが大きく,有効性の評価法,対象集団などに課題がある.今後,適切な治療標的を症例ごとに選択するprecision medicineの実践が期待される.

キーワード
全身性エリテマトーデス 細胞表面分子 共刺激分子 サイトカイン 生物学的製剤

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第4章 管理・治療
SLEにおける合併症の管理
天野 宏一
      埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)診療における合併症の管理では,日和見感染症対策として,結核,非結核性抗酸菌症(NTM),ニューモシスチス肺炎(PCP),B型肝炎,などの予防,早期診断と治療が重要である.心血管イベント対策では,抗血栓療法,血圧・脂質異常・耐糖能異常の管理を行う.ステロイド性骨粗鬆症(GIOP)対策として,骨吸収抑制薬や骨形成促進薬を用いる.眼科的合併症にも注意が必要で,ヒドロキシクロロキンの使用例では,定期的な眼科的検査を行う.

キーワード
日和見感染 心血管イベント ステロイド性骨粗鬆症 クロロキン網膜症

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第4章 管理・治療
アフェレシス,透析療法
草生 真規雄    順天堂大学医学部 膠原病内科学
山路 健      順天堂大学医学部 膠原病内科学 先任准教授
田村 直人     順天堂大学医学部 膠原病内科学 先任准教授

要旨
 アフェレシスも透析療法も,共に恒常性維持を目的とし循環血液内の病因物質除去を図る血液浄化療法に分類される治療である.生命維持のため尿毒症物質など小分子の除去を行う透析療法について全身性エリテマトーデス(SLE)がかかわる現在の状況と,免疫複合体や炎症性サイトカイン,中毒性物質といった中分子の病原因子を分離除去するアフェレシスについて,単純血漿交換療法(PE)や吸着療法など各アフェレシス治療種のこれまでのSLEでの知見を報告する.

キーワード
アフェレシス 単純血漿交換療法 吸着療法 透析療法 全身性エリテマトーデス

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第4章 管理・治療
誘因に対する管理・指導
松井 聖    兵庫医科大学 内科学講座 リウマチ・膠原病科 教授
佐野 統    兵庫医科大学 内科学講座 リウマチ・膠原病科 主任教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)は女性に多く,10代での発症も珍しくない.SLEを悪化させる誘因となる因子は,遺伝的背景を始めとして,環境要因,臓器病変,薬剤,感染症,結婚,出産,日常生活など,さまざまなものがある.今回,これらの多様な誘因に対する管理・指導についてまとめた.

キーワード
誘因 管理 指導 女性ホルモン 感染症

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第4章 管理・治療
妊娠・出産・授乳時の対応
村島 温子
     国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 主任副センター長(母性内科)
            国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター センター長

要旨
 慢性疾患の合併妊娠においては,妊娠前の準備,すなわちプレコンセプションケアが重要である.全身性エリテマトーデス(SLE)患者に妊娠を認容する条件は,①ステロイド維持量で活動性が抑えられている②重大な臓器合併症,既往症がない③妊娠転帰が不良となる可能性があることを患者ならびに家族が理解し,受け入れができている,の3点である.妊娠による免疫環境の変化により,妊娠中,産後に再燃する可能性がある.また,妊娠高血圧症候群(PIH)などの産科合併症を併発しやすいため,信頼できる産科医および新生児科医との連携がとれた環境で,管理を行う必要がある.

キーワード
全身性エリテマトーデス 妊娠 分娩 授乳 薬物療法

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第4章 管理・治療
全身性エリテマトーデスと社会経済的費用
越智 小枝
    医療法人社団茶畑会 相馬中央病院 内科 診療科長

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)患者の社会経済的負担には,医療費などの直接費用だけでなく,労働生産性の損失による間接費用や,生活の質(QOL)低下に伴う無形費用も存在し,労働生産性が高い年齢に好発するSLEにおいて,これら広義の患者負担を把握することは重要である.本稿はこれらのSLEの社会経済的負担についての最近の知見をまとめたうえで,現在の本邦の医療費助成システムと,今後の課題について述べる.

キーワード
直接費用 間接費用 無形費用 医療費助成
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第4章 管理・治療
重要な病態の管理と治療 1.神経精神SLE
廣畑 俊成
     北里大学医学部 膠原病・感染内科学 教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)では多彩な精神神経症状が見られるが,特にdiffuse psychiatric/neuropsychological syndrome(ループス精神病)が臨床上問題となる.ループス精神病では,髄液中の抗グルタミン酸受容体(N-メチル-D-アスパラギン酸受容体2:NR2)に対する抗体の役割が注目されている.ループス精神病の的確な診断には,髄液中のIL-6が有用である.ループス精神病の重症病型であるacute confusional state(ACS)では,血液脳関門の障害により,髄液中の抗NR2抗体や抗Sm抗体の高度な上昇が,病態形成上重要である.

キーワード
ループス精神病 自己抗体 髄液 IL-6 血液脳関門

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第4章 管理・治療
重要な病態の管理と治療 2.ループス腎炎
齋藤 和義
    産業医科大学医学部 第一内科学講座 准教授
田中 良哉    産業医科大学医学部 第一内科学講座 教授
要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)の10年生存率は92%まで改善されたが,ループス腎炎に限ると88%であり,腎障害は克服すべき重要な病態である.その予後は,ステロイド単独療法からシクロホスファミド(CY)併用による寛解導入療法が登場して著しく改善し,さらに最近では,ミコフェノール酸モフェチル(MMF)による寛解導入・維持療法が,アルゴリズムに加わった.また,生物学的製剤も登場し,より明確な標的に対する治療戦略に期待が集まっている.

キーワード
全身性エリテマトーデス ループス腎炎 免疫抑制薬

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第4章 管理・治療
重要な病態の管理と治療 3.抗リン脂質抗体症候群
大西 直樹
    北海道大学大学院医学研究科 内科学講座 免疫・代謝内科学分野 内科Ⅱ
奥健志      北海道大学大学院医学研究科 内科学講座 免疫・代謝内科学分野 内科Ⅱ
渥美 達也     北海道大学大学院医学研究科 内科学講座 免疫・代謝内科学分野 内科Ⅱ 教授

要旨
 抗リン脂質抗体症候群(APS)とは,病原性自己抗体である抗リン脂質抗体(aPL)が産生され,動脈血栓症,静脈血栓症,習慣性流産などを引き起す自己免疫疾患である.APSの血栓症に対する免疫抑制療法や,1次予防の効果は確認されていない.また,再発率が高いことから,2次予防が重要である.血栓症リスク評価のツールとして,aPL scoreが提唱されている.まれな病態ではあるが劇症型APSという特殊な難治性病態がある.

キーワード
抗リン脂質抗体症候群 抗リン脂質抗体 aPL score 劇症型抗リン脂質抗体症候群

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コラム
氷山の一角
髙崎 芳成
    順天堂大学医学部附属 順天堂越谷病院 院長

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第5章 ガイドライン
ガイドライン
針谷 正祥
    東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センターリウマチ性疾患薬剤疫学研究部門 特任教授

要旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)の米国リウマチ学会(ACR)および欧州リウマチ学会/欧州腎学会-透析移植学会のループス腎炎(LN)に対する診療ガイドラインについて,寛解導入治療および寛解維持治療を中心に概説した.

キーワード
全身性エリテマトーデス ガイドライン 寛解導入治療 寛解維持治療

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