要旨

最新醫學 診断と治療のABC 120
狭心症

第1章 概念・定義と疫学
狭心症の疾患概念と臨床分類

中村 裕一  国立循環器病研究センター病院 心臓血管内科部門
浅海 泰栄  国立循環器病研究センター病院 心臓血管内科部門
安田 聡   国立循環器病研究センター病院 心臓血管内科部門 部門長

要旨
 狭心症は一過性の心筋虚血を来すことにより生じる,胸部圧迫感や胸痛を特徴とした臨床症候群である.病態としては,動脈硬化による冠動脈狭窄が主体であるが,冠攣縮や微小循環障害,血栓形成など,多様な発生機序がある.狭心症は,①発症機序から見た分類,②発作の誘因から見た分類,③経過から見た分類など,従来より種々の観点から分類されている.それぞれの病態に応じたリスク評価を行い,治療方針を立てることが重要である.

キーワード
心筋虚血 リスク評価 急性冠症候群

目次に戻る



第1章 概念・定義と疫学
狭心症の疫学

坂田 泰彦    東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学 准教授
下川 宏明    東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授

要旨
 我が国の疫学調査からは狭心症の頻度は加齢に伴い増加し,女性に比べて男性でやや多く,全体の約6割が器質的冠狭窄に伴う狭心症であり,残り約4割が冠攣縮性狭心症であることが示されている.また冠危険因子である生活習慣病の増加とともに,狭心症の頻度は増加していると考えられる.しかしながら食生活を含めた生活習慣の欧米化により,近年狭心症の病態と発症機序が変容しつつあり,注意が必要である.

キーワード
労作性狭心症 冠攣縮性狭心症 生活習慣病 超高齢化社会

目次に戻る



第2章 病態生理
冠循環と心筋虚血

小丸 達也      東北医科薬科大学医学部 内科学第一(循環器内科)准教授

要旨
 心臓は,個体の生存中拍動し続ける代謝状態の高い臓器であり,そこに絶えず過不足なく酸素と栄養を供給し続ける冠循環には,巧みな血流調節機構が求められる.灌流圧低下時のautoregulation機構,複雑な微小血管トーヌス調節,血管内外由来の種々の血管作動因子,心筋層により異なる血流調節,側副循環による血流維持などが総動員されて,冠血流が調節される.本稿では,冠循環調節について概説し,心筋虚血の発生機序とその病態について考察する.

キーワード
冠微小循環 冠血流 自己調節能 ischemic conditioning 冠血管抵抗

目次に戻る



第2章 病態生理
冠動脈プラークの成因と進展メカニズム

倉林 正彦      群馬大学大学院医学系研究科 臓器病態内科学 教授

要旨
 心血管疾患による死亡率は,1950年からこれまで着実に低下している.これに寄与した重要な業績として,コンパクチン(スタチンの開発につながった)の発見,低比重リポタンパク(LDL)受容体の構造と機能の解明,そして,コホート研究やランダム化大規模臨床試験での検証などが挙げられよう.これまで,LDLに依存する動脈硬化のメカニズムについての理解はかなり進んだ.内皮細胞機能障害にて開始される炎症,マクロファージの活性化や泡沫細胞の形成,血管平滑筋細胞の形質変換,プラーク内の血管新生や出血,壊死コア形成などにおいて,新たな知見が得られている.一方,糖尿病に合併する動脈硬化のメカニズムには未解明の点が多い.高血糖とインスリン抵抗性が動脈硬化をどのように進行させるのか,脂質異常の関与はどのようなメカニズムなのか,などは動脈硬化研究で最も中心的な課題である.

キーワード
低比重リポタンパクコレステロール スタチン 糖尿病 インスリン抵抗性 マクロファージ

目次に戻る



第2章 病態生理
病態(生理的側面から)

福本 義弘     久留米大学医学部 内科学講座 心臓・血管内科部門 主任教授

要旨
 冠攣縮は,突然の冠動脈過収縮により,心筋虚血を引き起す病態である.その発生には,冠動脈内皮機能障害および血管平滑筋収縮能亢進が大きく関与しており,細胞内分子機構にRho/Rhoキナーゼ経路が大きな役割を果たしている.冠攣縮は季節変動,日内変動があるのが特徴であるが,そのトリガーには,セロトニンなどの血管作動物質の関与が示されている.さらなる発生メカニズムの解明および治療の開発が望まれる.

キーワード
Rhoキナーゼ経路 薬剤溶出性ステント vasa vasorum 血管平滑筋 内皮機能

目次に戻る



第3章 診断
狭心症の初期診断とリスクの層別化

森 俊平       神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 循環器内科学分野
平田 健一     神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 循環器内科学分野 教授

要旨
 狭心症の初期診断の要点は,非心臓性胸痛の除外と,急性冠症候群の抽出にある.臨床現場で使用される急性冠症候群という用語は,最終診断名ではない.初療医が患者の冠動脈に,プラーク破綻,またはそのほかの病態に起因する急性の冠動脈亜閉塞または閉塞を想定した段階で,暫定的に使用する,実践的で便利な疑い症候群名である.初療医は急性冠症候群を疑った場合,その疑診が示唆するリスクに従って,正しく対応しなければならない.

キーワード
安定虚血性心疾患 急性冠症候群 不安定性狭心症 急性心筋梗塞

目次に戻る



第3章 診断
心電図検査(運動負荷心電図検査を含む)

小菅 雅美     横浜市立大学附属市民総合医療センター 循環器内科 客員准教授

要旨
 冠動脈疾患の診断技術が飛躍的に進歩した現在においても,心電図は簡便かつ非侵襲的で,狭心症の基本となる診断法であることに変わりはない.心筋虚血が生じると,心電図ではST-T部分に変化が生じる.胸部症状と一致して虚血性ST-T変化を認めれば,狭心症の診断は確定するが,狭心症の発作の多くは一過性であり,発作時に心電図を記録することは容易ではない.このため,運動負荷心電図やホルター心電図で心筋虚血を評価することになる.

キーワード
狭心症 心電図 ST変化 運動負荷心電図

目次に戻る



第3章 診断
心エコー法による狭心症の診断

石井 克尚    関西電力病院 循環器内科 主任部長

要旨
 虚血性心疾患における診断において,心エコー法は非侵襲的かつ簡便であり,ベッドサイドで繰り返し施行できる.近年,虚血発作後の回復過程において,収縮運動が回復した後にも,駆出後収縮運動(PSS)や拡張運動遅延(diastolic stunning)が遷延することが報告されている.また壁運動を解析する新たな技術として,組織ドプラ法やスペックルトラッキング法が開発されている.これらの新しい概念や手法を応用することにより,心エコー法の有用性がさらに増すと考えられる.

キーワード
虚血の滝 駆出後収縮運動 拡張運動遅延 負荷心エコー法 冠血流予備能

目次に戻る



第3章 診断
核医学(SPECT/PET)検査
真鍋 治 
      北海道大学大学院医学研究科 病態情報学講座 核医学分野 特任助教
相川 忠夫     北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学
玉木 長良     北海道大学大学院医学研究科 病態情報学講座 核医学分野 教授

要旨
 核医学検査を用いることにより,心筋血流・代謝の情報を非侵襲的,客観的に得ることができる.特に血流シンチでは,日本人により適したエビデンスが確立されている.狭心症が疑われた患者に対しては,虚血の有無・範囲,心筋viabilityを評価することにより治療方針の決定,予後評価を行うことが重要である.心筋血流PETを用いることにより,心筋血流量を定量値としても算出可能であり,多枝病変の検出や予後評価にも応用できる.

キーワード
単一光子放射断層撮影 ポジトロン断層撮影 冠動脈疾患 虚血心筋 心筋血流量

目次に戻る



第3章 診断
冠動脈CTの基礎と臨床応用
高木 英誠
     岩手医科大学医学部 放射線医学講座 助教
吉岡 邦浩     岩手医科大学医学部 放射線医学講座 特任教授

要旨
 冠動脈CTは,非侵襲的に経皮的冠動脈造影(CAG)に近い冠動脈形態情報を得ることができ,さらに三次元ボリュームデータを利用して,さまざまな表示法の画像を取得可能である.冠動脈疾患診断においては高い感度と陰性的中率を有し,中等度リスク群の冠動脈疾患否定に有効とされる.一方で,高度石灰化病変の診断精度低下,不整脈や高心拍症例における画質低下などの問題もあり,検査の特性を理解し,利用する必要がある.

キーワード
冠動脈CT 狭心症

目次に戻る



第3章 診断
冠動脈内イメージングの進歩:IVUS,OCT,NIRSを使用したPCIの実例
亀山 剛義
       和歌山県立医科大学内科学第四講座(循環器内科)
久保 隆史       和歌山県立医科大学内科学第四講座(循環器内科)准教授
赤阪 隆史       和歌山県立医科大学内科学第四講座(循環器内科)教授

要旨
冠動脈内イメージングの目的は,血管壁やプラークの性状評価と経皮的冠動脈形成術(PCI)のガイダンスである.代表的な方法として,血管内超音波(IVUS)や光干渉断層法(OCT)があり,それぞれの長所を生かした使用法が普及している.脂質性プラークを定量評価できる近赤外線分光法(NIRS)という新しい診断方法も登場しており,冠動脈硬化病変の診断と治療への貢献が期待されている.本稿では,IVUS,OCT,NIRSをそれぞれ使用したPCI症例を紹介しながら,各手法を解説する.

キーワード
冠動脈内イメージング 経皮的冠動脈形成術 血管内超音波 光干渉断層法 近赤外線分光法

目次に戻る



第3章 診断
狭心症の診療における心臓MRIの有用性
宇野 美緒
       三重大学医学部附属病院 放射線診断科
石田 正樹       三重大学医学部附属病院 放射線診断科
後藤 義崇       三重大学医学部附属病院 放射線診断科
佐久間 肇       三重大学大学院医学研究科 放射線医学 教授

要旨
心臓磁気共鳴画像法(MRI)は.放射線被曝を伴わず,一度の検査で形態および機能的評価が行える特長を有し,狭心症患者の治療方針決定の中心的な役割を担いうる画像診断法である.本稿では狭心症の治療戦略における心臓MRI(シネMRI,負荷心筋血流MRI,遅延造影MRI)と,冠動脈磁気共鳴血管造影法(MRA)の有用性について解説する.また,急性心筋梗塞に対する再灌流治療後の心臓MRI(T2強調MRI,早期造影MRI)の有用性についても触れる.

キーワード
狭心症 心臓MRI 遅延造影MRI 負荷心筋血流MRI 冠動脈MRI

目次に戻る



第3章 診断
心筋虚血診断におけるFFRmyo
松尾 仁司
       岐阜ハートセンター 院長

要旨
心筋血流予備量比(FFRmyo)は,現在カテーテル検査室内で最も広く用いられている虚血指標である.FFRmyoを用いての心筋虚血判定の有用性に関して,現在多くの臨床的エビデンスが蓄積され,米国心臓病協会/米国心臓病学会(AHA/ACC)ガイドラインや欧州心臓病学会(ESC)ガイドラインでも,FFRmyoに基づいた治療方針の決定が強く推奨されている.またFFR pullback curveから,冠動脈のどこにステントを置くべきか,などの治療戦略決定にも活用されている.

キーワード
心筋虚血 血管血流予備量比 冠動脈インターベンション

目次に戻る



第3章 診断
冠攣縮誘発試験
末田 章三
    愛媛県立新居浜病院 循環器内科 副院長

要旨
 冠攣縮誘発試験は,異型狭心症をゴールドスタンダードに作成され,臨床的には,アセチルコリン・エルゴノビン負荷試験が挙げられる.両薬剤は,アセチルコリンがムスカリン受容体を,エルゴノビンはセロトニン受容体,と異なる受容体を介するために,同じ血管反応性を有しない.しかし,臨床現場では,両薬剤誘発負荷試験を単独的・相補的・連続的に用いることで,診断精度を向上させる必要がある.

キーワード
アセチルコリン負荷試験 エルゴノビン負荷試験 冠攣縮性狭心症 冠攣縮陽性 異型狭心症

目次に戻る



コラム
冠動脈外膜の重要性
西宮 健介
      東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学 助教
下川 宏明      東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授


目次に戻る



第4章 管理・治療
定狭心症における治療のエビデンス
飯田 維人
    日本大学医学部内科学系 循環器内科
平山 篤志    日本大学医学部内科学系 循環器内科 主任教授

要旨
 安定狭心症の治療には大きく分けて,生活習慣の改善,薬物療法,冠動脈血行再建術がある.生活習慣の改善と薬物療法は,血行再建術の適応の有無にかかわらず必須である.患者の背景,病変の複雑性,治療によるリスクとベネフィットなどを考慮しながら,冠動脈血行再建術の適応を判断し,適応がある場合には,経皮的冠動脈形成術(PCI)か冠動脈バイパス手術(CABG)のどちらを選択するかを,これまでのエビデンスをもとに的確に判断し,選択する必要がある.

キーワード
安定狭心症 冠動脈血行再建術 経皮的冠動脈形成術 冠動脈バイパス術 薬物療法

目次に戻る



第4章 管理・治療
不安定狭心症における治療のエビデンス
尾崎 行男
    藤田保健衛生大学医学部 循環器内科講座 教授
石川 正人    藤田保健衛生大学医学部 循環器内科講座 助教

要旨
 不安定狭心症(UA)の治療方針に関しては,エビデンスに基づいた適切なリスク評価の後,早期侵襲的治療か,保存的治療後の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)かを選択すべきである.

キーワード
急性冠症候群 非ST上昇型心筋梗塞 不安定狭心症 GRACEリスクスコア intact fibrous cap ACS

目次に戻る



第4章 管理・治療
冠攣縮性狭心症における治療のエビデンス
海北 幸一  
    熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学 講師

要旨
 冠攣縮性狭心症の生命予後は一般に良好であるが,器質的狭窄部位に冠攣縮を合併した場合や,冠攣縮が不安定化した場合には,急性心筋梗塞や突然死を引き起す可能性があるため,適切な治療が必要である.基本的治療は,禁煙などの生活習慣の是正や,カルシウム拮抗薬,硝酸薬などの冠血管拡張薬を中心とした薬物治療であるが,難治性冠攣縮時の致死性心室性不整脈に対する植込み型除細動器(ICD)の適応に関しても,議論されるところである.

キーワード
硝酸薬 カルシウム拮抗薬 スタチン 植込み型除細動器 


目次に戻る



第4章 管理・治療
予後改善を見据えた薬物治療
和田 英樹    順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学
代田 浩之    順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学 教授

要旨
 COURAGE試験以降,安定狭心症に対する至適薬物治療(OMT)の重要性が再認識されるようになった.安定狭心症に対して予後改善効果のエビデンスがある薬剤としては,アスピリン,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,b遮断薬,スタチン,カルシウム拮抗薬などが挙げられる.当然,患者の状態,年齢,合併症などにより,必要な治療は異なってくる.個々の臨床医がこれらの薬剤を熟知したうえで,患者の状態に合わせた適切な治療を行うことが望まれる.

キーワード
狭心症 薬物治療 長期予後 スタチン

目次に戻る



第4章 管理・治療
機能的評価に基づく冠動脈インターベンション
横井 宏佳
     福岡山王病院 循環器センター センター長


要旨
 40年前,冠動脈インターベンション(PCI)の創始者Gruenzigは,胸を切らないで冠動脈疾患を治したいと夢を見て冠動脈形成術が開始された.手技の向上とデバイスの改良により,安全に冠動脈の拡張は可能となったが,長期予後において,いまだ冠動脈バイパス手術(CABG)には追いついていない.形態学的所見に加えて,心筋血流予備量比(FFR)を用いた機能的評価に基づくAppropriateなPCIを行うことにより,CABGを凌駕することが期待される.

キーワード
心筋血流量比 Appropriate PCT 心筋シンチ 瞬時血流予備量比 FFR-CT

目次に戻る



第4章 管理・治療
冠動脈バイパス術のエビデンス:なぜ冠動脈バイパス術は複雑多枝病変に対する標準術式であり続けるのか?
横山 斉
    福島県立医科大学医学部 心臓血管外科 教授

要旨
 冠動脈多枝病変に対する薬物溶出性ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と冠動脈バイパス手術(CABG)の治療効果を比較する,最新の多施設前向き無作為化試験(SYNTAX試験)の5年成績が明らかになった.死因分析によれば,中等度以上の冠動脈病変複雑性(SYNTAXスコア)を有する3枝病変と,高度のSYNTAXスコアを有する左冠動脈主幹部病変症例において,心筋梗塞による心臓死発生率は,CABG群でPCI群の10分の1であり,CABGの生命予後改善効果が明らかとなった.

キーワード
SYNTAX試験 SYNTAXスコア 残存SYNTAXスコア 冠動脈多肢病変 左冠動脈主管部病変

目次に戻る



第4章 管理・治療
重症狭心症に対する血管新生療法(体外衝撃波治療など)
進藤 智彦
     東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学
            東北大学東北メディカル・メガバンク機構 助教
伊藤 健太     東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学 准教授
下川 宏明     東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授

要旨
近年,我が国では人口の高齢化や食生活の欧米化に伴い,従来の治療法では十分な治療効果が得られない,重症狭心症患者が急増している.2010年には,狭心症に対する低出力体外衝撃波治療が,先進医療に承認された.これは,体外から低出力の衝撃波を心筋に照射することで,非侵襲的に虚血心筋の血管新生を誘導するものである.本稿では,狭心症に対する衝撃波治療と,現在開発が進んでいる新たな非侵襲的治療戦略について紹介する.

キーワード
衝撃波治療 超音波治療 虚血性心疾患 血管新生 メカノトランスダクション

目次に戻る



第4章 管理・治療
微小血管狭心症の診断・治療・管理
高橋 潤 
     東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学 講師
下川 宏明     東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授

要旨
 微小血管狭心症は,500μm以下の冠微小血管における器質的・機能的異常により,心筋血流と酸素需要の不均衡によって心筋虚血を生じる病態である.閉経後の女性に多く,カルシウム拮抗薬など,従来の抗狭心症薬に対して抵抗性を示す症例がまれではない.いまだ治療法が確立されていないことから,狭心症症状の増悪やそのための再入院がまれでなく,患者の生活の質(QOL)の低下だけでなく,社会医療経済学的に問題である.

キーワード
微小血管狭心症 冠微小循環障害 難治性狭心症

目次に戻る



第4章 管理・治療
狭心症に対するリハビリテーション
足利 光平
     聖マリアンナ医科大学 循環器内科 助教
明石 嘉浩     聖マリアンナ医科大学 循環器内科 教授

要旨
 狭心症患者に対する心臓リハビリテーションの有効性は多岐にわたって実証されているものの,入院中に施行されることは少なく,多くは二次予防を主目的として,外来で行われる.その主体は運動療法となるが,患者教育と共に心理面のサポートも重要であり,包括的心臓リハビリテーションを行うことが望ましい.本稿では,運動療法の重要性と意義について述べるとともに,心理療法の必要性についても述べる.

キーワード
虚血性心疾患 運動療法 心理療法 虚血閾値

目次に戻る



第4章 管理・治療
食事療法・禁煙・生活指導の実際
井手元良彰
     福岡大学医学部 心臓・血管内科学
三浦伸一郎     福岡大学医学部 心臓・血管内科学 診療教授
朔 啓二郎       福岡大学医学部 心臓・血管内科学 教授

要旨
 本稿では,狭心症の予防における食事療法,有効な機能性成分であるw-3脂肪酸の効果,また実際の食事療法の方法について概説した.加えて喫煙の有害性,禁煙外来の専門性とその役割,実際の指導方法について概説している.比較的導入しやすい薬物療法が重視されがちであるが,狭心症予防における食事療法・禁煙療法の重要性を再認識していただきたい.

キーワード
食事療法 機能性食品 禁煙

目次に戻る



コラム
生体吸収性スキャフォールドをどのように使いこなすか?
上妻 謙 
    帝京大学医学部附属病院 循環器内科 教授

目次に戻る



第5章 ガイドライン
今後ガイドラインに加わるであろう最新のエビデンス
塩見 紘樹
     京都大学医学部 循環器内科 助教
木村 剛       京都大学医学部 循環器内科 教授

要旨
 重症冠動脈疾患に対する治療について,今後ガイドラインに加わるであろうSYNTAX試験以後の最新のエビデンスとしては,多枝疾患を対象としたBEST試験,左主幹部疾患を対象としたEXCEL試験,NOBLE試験などが挙げられる.これらの試験結果はいずれも重要であるが,相違点もあり,本邦のガイドラインを考慮するうえでは,これらの試験の詳細な評価と,本邦独自のエビデンスを参考にすることが重要であると考えられる.

キーワード
重症冠動脈疾患 経皮的冠動脈インターベンション 冠動脈バイパス手術 血行再建法

目次に戻る