要旨

最新醫學 診断と治療のABC 121
胆石症・胆管結石・胆道炎・胆道がん

第1章 胆石症
病態生理

岸川 暢介  広島大学病院 総合内科・総合診療科 診療講師
菅野 啓司  広島大学病院 総合内科・総合診療科 診療准教授
田妻 進    広島大学病院 総合内科・総合診療科 教授

要旨
 胆石とは,胆嚢や胆管に生じた胆汁成分から成る固形物であり,その主要含有成分によってコレステロール胆石,色素胆石に大別される.また,胆石の発生部位によって胆嚢結石症,総胆管結石症,肝内結石症と呼ばれ,それぞれ成因も異なる.本稿では,胆石形成の背景にある病態生理について,胆石分類に沿って解説するとともに,最近の話題も紹介する.

キーワード
胆石 コレステロール過飽和胆汁 病態生理 胆石症診療ガイドライン

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第1章 胆石症
診断

五十嵐良典    東邦大学医療センター大森病院 消化器内科 教授

要旨
 患者が,腹痛や背部痛などの症状を認め,胆石症が疑われた場合の診断法の順序が重要である.胆石が疑われた場合には,血液検査などに続いて腹部超音波検査(US)や腹部コンピュータ断層診断(CT)を施行する.それにより,胆石が胆嚢結石,総胆管結石,肝内結石かを診断した後に,磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)や超音波内視鏡検査(EUS)を施行する.内視鏡的逆行性胆道膵管造影法(ERCP)や経皮経肝胆道造影(PTC)は,治療を前提に施行する.画像診断のそれぞれの特性を理解して施行することが重要である.

キーワード
胆石症 画像診断 胆嚢結石 総胆管結石 肝内結石

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第1章 胆石症
胆嚢結石治療

多賀谷信美      獨協医科大学越谷病院 外科 准教授

要旨
 胆嚢結石治療には,内科的治療の胆石溶解療法と体外衝撃波胆石破砕療法があり,外科的治療として胆嚢摘出術がある.手術が根本治療であり,腹腔鏡下手技が標準術式として認識され,さらなる低侵襲性を追求した,単孔式手技や細径器具併用手技が登場してきた.ただ,胆道系には走行異常や変異が多く,これらの損傷回避が不可欠であり,術前の的確な画像評価と術中の慎重な操作による,安全性を最優先にした手術を目指さなければならない.

キーワード
胆嚢結石症 腹腔鏡下胆嚢摘出術 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術 Needlescopic cholecystectomy ICG navigation surgery

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第1章 胆石症
胆管結石内視鏡治療

良沢 昭銘      埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科(消化器内視鏡科)教授
谷坂 優樹      埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科(消化器内視鏡科)
小畑 力       埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科(消化器内視鏡科)
原田 舞子      埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科(消化器内視鏡科)
小林 正典      埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科(消化器内視鏡科)

要旨
 胆管結石は,経乳頭的内視鏡治療が第1選択である.内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)は,多くの施設で標準的治療として行われている.乳頭機能の温存を重視する場合や,出血傾向を有する症例などのESTが困難な症例では,内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)が選択されることもある.巨大結石や多発結石などでは,内視鏡的乳頭ラージバルーン拡張術(EPLBD)が用いられる.術後再建腸管症例に対しては,再建術式に合わせて適切なスコープを選択する.近年,Roux-en-Y(R-Y)再建腸管症例では,バルーン内視鏡を用いた胆管結石内視鏡治療の有用性が報告されている.

キーワード
総胆管結石 内視鏡的乳頭括約筋切開術 内視鏡的胆管結石除去術

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第1章 胆石症
胆管結石外科治療

柴尾 和徳     産業医科大学医学部 第1外科学教室 准教授
田村 利尚     産業医科大学医学部 第1外科学教室
田嶋 健秀     産業医科大学医学部 第1外科学教室
佐藤 典宏     産業医科大学医学部 第1外科学教室 講師
平田 敬治     産業医科大学医学部 第1外科学教室 教授

要旨
 総胆管結石症の治療で,胆嚢結石が合併する場合は,術前もしくは術後に胆嚢摘出を追加する(二期的治療)か,一期的に総胆管結石除去術,胆嚢摘出術を行う(一期手術).十二指腸乳頭が温存できる一期手術は二期的治療に比べ,結石除去率,死亡率,合併症率で差がないものの,入院期間が短縮し,医療費が抑制される利点がある.しかしながら,特殊な機器と外科医の経験が必要となる.外科治療は,開腹もしくは腹腔鏡下に行う.

キーワード
胆管結石 総胆管結石 総胆管結石除去術

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第1章 胆石症
肝内結石症の診断・治療

有明 恭平     東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座 消化器外科学分野(肝胆膵外科)
大塚 英郎     東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座 消化器外科学分野(肝胆膵外科)院内講師
海野 倫明     東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座 消化器外科学分野(肝胆膵外科)教授

要旨
 肝内結石症は,病因や病態が複雑であり,治療困難例が多く,治療後の長期合併症も少なくない.初回時に適切な治療が施されなかった場合,結石の遺残や再発を繰り返すことで病態が複雑化し,複数回にわたる治療を必要とすることがある.このため初回治療には,その病態を十分に理解したうえで,慎重に治療にあたる必要がある.本稿では,現在本邦で発刊されている2つの診療ガイド指針をもとに,最新の全国調査結果を踏まえ,近年の肝内結石に対する診断および治療指針について詳述する.

キーワード
肝内結石症 診断 治療 予後

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第2章 胆道炎
急性胆道炎-急性胆管炎,胆嚢炎-の病態

桐山 勢生     大垣市民病院 消化器内科 主任部長
熊田 卓       大垣市民病院 消化器内科 副院長
谷川 誠       大垣市民病院 消化器内科 部長
金森 明       大垣市民病院 消化器内科 医長

要旨
 急性胆管炎,胆嚢炎は,共に結石が主な成因とする炎症性疾患であるが,その病態は異なる.胆管炎が胆管内圧上昇によって,感染胆汁から直接細菌が全身の体循環に移行して発症,さらに敗血症となって重症化するのに対して,胆嚢炎は胆嚢壁自体の炎症で発症,さらに胆嚢局所の炎症の進展を経て全身の臓器不全におちいり重症化する.したがって治療には,胆管炎では胆管内圧の減圧,すなわち胆管ドレナージ,胆嚢炎では外科的な胆嚢局所の治療が重要となる.

キーワード
急性胆管炎 急性胆嚢炎 病態

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第2章 胆道炎
胆道炎,診断

露口 利夫    千葉大学大学院医学研究院 消化器・腎臓内科学 講師
安井伸     千葉大学大学院医学研究院 消化器・腎臓内科学
杉山 晴俊    千葉大学大学院医学研究院 消化器・腎臓内科学
三方林太郎    千葉大学大学院医学研究院 消化器・腎臓内科学
酒井 裕司    千葉大学大学院医学研究院 消化器・腎臓内科学 非常勤講師

要旨
 胆道炎は,急性胆管炎と急性胆嚢炎の両者を含めた総称である.2005年に『急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン第1版』が発表された.その8年後の2013年に改訂された,第2版ガイドライン(Tokyo Guidelines 2013:TG13)は,胆管炎の診断基準・重症度判定基準を変更している.胆管炎と胆嚢炎は時に合併することもあり,診断に迷うことがある.重症度診断は繰り返して行うことにより,適切な治療タイミングを逃さないことに留意すべきである.

キーワード
急性胆管炎 急性胆嚢炎 診療ガイドライン 診断基準 重症度判定基準

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第2章 胆道炎
画像診断
蒲田 敏文
     金沢大学附属病院 病院長
            金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 放射線科学 教授

要旨
 2005年の『科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン(第1版)』ならびに2007年のTokyo Guidelineの画像診断の項では,“胆汁感染の有無を画像所見より判定することができないため,画像診断により急性胆管炎を診断することは困難である”と述べられている.2013年の改訂では,急性胆管炎の画像診断におけるダイナミックCTの意義を強調した.すなわち,急性胆管炎では高率にダイナミックCT動脈相で,肝に一過性の不均一濃染が認められる.この濃染は胆管炎の改善とともに消退ないし消失する.急性胆嚢炎の画像診断においてもダイナミックCTは有用であり,特にダイナミックCTの動脈相で認められる胆嚢周囲肝実質の一過性濃染は,急性胆嚢炎の診断に役立つ所見である.

キーワード
胆道炎 急性胆道炎 区域性胆管炎 急性胆嚢炎

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第2章 胆道炎
治療の基本方針
横江 正道
       名古屋第二赤十字病院 第二総合内科 部長

要旨
急性胆管炎・胆嚢炎においては,ガイドラインに基本的治療方針が示されている.胆管炎にはドレナージ,胆嚢炎には胆嚢摘出術が,基本的な治療方法である.しかし,重症度判定基準で重症と判定される場合には,臓器障害に対する治療が優先される.適切な抗菌薬選択のために,血液培養・胆汁培養などを確実に行うべきである.予後改善のために,臨床医はガイドラインの重症度判定基準・フローチャートに基づいた治療を行うことが望ましい.

キーワード
急性胆管炎 急性胆嚢炎 腹腔鏡下胆嚢摘出術 ガイドライン TG13

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第2章 胆道炎
急性胆管炎のドレナージ
永山林太郎
      福岡大学筑紫病院 消化器内科
植木 敏晴       福岡大学筑紫病院 消化器内科 教授
畑山 勝子       福岡大学筑紫病院 消化器内科
丸尾 達         福岡大学筑紫病院 消化器内科 助教
八尾 建史       福岡大学筑紫病院 内視鏡部 教授

要旨
一般に急性胆管炎は,胆管内の胆汁中で増殖した細菌が,胆汁うっ滞により胆道内圧が上昇し,血中へ移行することで起る感染症の1つで,典型的な症状として,発熱,黄疸,上腹部痛がある.診断後直ちに,輸液,抗菌薬投与などの初期治療を開始する.同時に,緊急胆管ドレナージの必要性を急性胆管炎の重症度の程度により判断するが,中等症以上は緊急胆管ドレナージの適応である.中等症は,臓器障害にはおちいっていないが,早急に胆管ドレナージを行わなければ重症化の危険性があるため,的確な重症度判定が必要である.

キーワード
急性胆管炎 胆管ドレナージ 内視鏡的胆管ステント留置 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ 経皮経肝胆管ドレナージ

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第2章 胆道炎
急性胆嚢炎に対するドレナージ術
伊藤 啓 
       仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科 主任部長
越田 真介       仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科
菅野 良秀       仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科
小川 貴央       仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科
枡 かおり       仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科

要旨
急性胆嚢炎に対する基本的治療法は,早期の胆嚢摘出術である.早期手術が困難な症例のうち適応例に対して,経皮的ドレナージ術が高い手技的成功率および臨床的有効率から,多くの施設で行われている.近年,超音波内視鏡検査(EUS)を用いた胆嚢ドレナージ術(EUS-GBD)が臨床応用された.EUS-GBDは,経皮的ドレナージに比較して術後疼痛が少ないが,消化管と胆嚢の間に癒着がないため,胆汁漏出に伴う胆汁性腹膜炎の発症が問題とされている.今後,急性胆嚢炎に対するEUS-GBDと経皮的ドレナージ術,経乳頭的ドレナージ術の,それぞれの適切な適応の確立が望まれる.

キーワード
急性胆嚢炎 胆嚢ドレナージ術 EUS-GBD 超音波内視鏡検査 Interventional EUS

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第2章 胆道炎
急性胆嚢炎・胆管炎の外科治療
木村 康利
      札幌医科大学医学部 消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座 准教授
今村 将史       札幌医科大学医学部 消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座 講師
永山 稔        札幌医科大学医学部 消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座
目黒 誠        東札幌病院 外科
竹政伊知朗     札幌医科大学医学部 消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座 教授

要旨
 急性胆嚢炎治療の第1選択は,胆嚢摘出術である.手術においては,胆嚢壁肥厚,カロー三角部の展開困難,結石・炎症による周囲との強固な癒着など,急性期手術特有の状況のため,出血・胆管,周囲臓器損傷などの合併症発生に留意すべきである.腹腔鏡下胆嚢摘出術が多く適応されるが,状況に応じた柔軟な対応が求められる.急性胆管炎では,各種ドレナージを禁忌とする状況においてのみ,開腹胆道ドレナージ術が選択肢となる.

キーワード
急性胆嚢炎 胆嚢摘出術 critical view of safety 胆道ドレナージ術

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第3章 胆道がん
胆道がんの病態生理
和田 慶太
    帝京大学医学部 外科学講座 准教授
三浦 文彦    帝京大学医学部 外科学講座 准教授
佐野 圭二    帝京大学医学部 外科学講座 教授

要旨
 胆道がんは,東アジアに多いがん腫であり,60歳代以降に増加し,人口10万人あたりの年齢調整死亡率は6.3人で,近年やや減少傾向にある.外科手術が唯一根治的な治療法であるが,切除率が低く,予後不良である,早期発見のためには,胆管がんにおける膵・胆管合流異常,原発性硬化性胆管炎,肝内結石,胆嚢がんにおける膵・胆管合流異常,胆嚢ポリープ(腺腫),十二指腸乳頭部がんにおける腺腫,が危険因子として重要である.

キーワード
胆道がん 疫学 危険因子 膵・胆管合流異常

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第3章 胆道がん
胆嚢がん診断
三好 広尚
    藤田保健衛生大学坂文種報德會病院 消化器内科 准教授
乾 和郎      藤田保健衛生大学坂文種報德會病院 消化器内科 教授
小林 隆      藤田保健衛生大学坂文種報德會病院 消化器内科 准教授
山本 智支    藤田保健衛生大学坂文種報德會病院 消化器内科 講師
片野 義明    藤田保健衛生大学坂文種報德會病院 消化器内科 教授

要旨
 胆嚢がんの診断では,膵・胆管合流異常などのハイリスク症例を念頭に置く必要がある.腹部超音波検査(US)はまず行うべき検査であり,マルチスライスCT(MDCT)によるダイナミックCTを行い,局在診断,進展度診断を行う.超音波内視鏡(EUS)は質的診断,壁深達度診断に有用である.胆嚢管,総肝管への浸潤評価は,磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP),内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP),経口胆道鏡(POCS)で行う.リンパ節転移の診断には陽電子放射断層撮影法(PET)/CTが最も優れている.細胞診,組織診は切除不能と診断され,抗がん治療を行う場合など,必要に応じて十分注意して行うことが勧められる.

キーワード
胆嚢がん 腹部超音波検査 超音波内視鏡検査 マルチスライスCT 磁気共鳴胆管膵管造影

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第3章 胆道がん
胆管がんの内視鏡的診断とドレナージ
窪田 賢輔
    横浜市立大学附属病院 胆膵グループ 教授
岩崎 暁人    横浜市立大学附属病院 胆膵グループ
佐藤 高光    横浜市立大学附属病院 胆膵グループ
香川 幸一    横浜市立大学附属病院 胆膵グループ
細野 邦広    横浜市立大学附属病院 胆膵グループ

要旨
 悪性胆道狭窄は,肝門部と中下部胆管に分かれる.初めに外来で超音波検査/超音波内視鏡検査(US/EUS)を行い,マルチスライスCT(MDCT)の冠状断,矢状断で多方向からがんの存在・進展度診断を行う.内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)と同時に胆膵管内超音波検査(IDUS)を施行するが,IDUSもEUSと同様,初回のドレナージの影響を強く受けるため,ステント挿入前に施行する.肝門部胆管がんでは胆道閉塞がある場合,切除可能例では非切除肝に最低限のドレナージを行う.診断ではその際B4,B6根部の浸潤がkeyとなる.中下部胆管がんでは肝門側への進展を造影,IDUSを用いて診断する.

キーワード
肝門部胆管がん 中下部胆管がん マルチスライスCT 超音波内視鏡検査 胆膵管内視鏡検査

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第3章 胆道がん
十二指腸乳頭部腫瘍の画像診断
小松 直広
    手稲渓仁会病院 消化器病センター
潟沼 朗生    手稲渓仁会病院 消化器病センター
金 俊文      手稲渓仁会病院 消化器病センター
矢根 圭      手稲渓仁会病院 消化器病センター
高橋 邦幸    手稲渓仁会病院 消化器病センター
真口 宏介    手稲渓仁会病院 消化器病センター センター長

要旨
 十二指腸乳頭部は,Oddi筋に囲まれた部分としており,この乳頭部に発生した腫瘍を乳頭部腫瘍と総称する.乳頭部腫瘍を疑った際には,内視鏡検査,超音波検査(US)・コンピュータ断層撮影(CT)・磁気共鳴画像法(MRI),超音波内視鏡検査(EUS)や腔内超音波検査(IDUS)などの各種画像検査が行われる.内視鏡検査では,肉眼的形態を把握することで組織型や深達度を予測することが可能となる.CTやMRIにおけるT因子の正診率は低く,その主な目的は,遠隔転移やリンパ節転移といった非切除因子の検索や外科切除前の血管解剖の把握である.局所進展度診断においては,EUSやIDUSの有用性が多数報告されている.EUS・IDUSでは腫瘍は低エコー腫瘤として認められ,十二指腸固有筋層や膵実質への浸潤,さらに胆管内・膵管内への進展の有無などの評価が可能となる.しかし,一方でOddi筋の描出は困難であり,T1aとT1bの鑑別には限界がある.よって,画像検査ごとの特性や診断精度を理解したうえで評価することが肝要である.

キーワード
十二指腸乳頭部腫瘍 画像診断 超音波内視鏡検査 局所進展度診断 


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第3章 胆道がん
胆嚢がんの外科治療
藪下 泰宏    横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学
松山 隆生    横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学 講座講師
熊本 宜文    横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学 講座講師
森 隆太郎    横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学 病院講師
遠藤 格      横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学 主任教授

要旨
 胆嚢がんに対する手術治療は,根治を期待できる唯一の治療法である.胆嚢がんは進行度によってかなり術式が異なるので,それに応じた至適な術式選択が必要である.早期胆嚢がんに対しては,単純胆嚢摘出術が必要十分である.腹腔鏡下胆嚢床切除術というオプションも考慮されるが,胆汁漏出のリスクを考えるならば,開腹でアプローチする方が妥当であろう.進行胆嚢がんのうち,漿膜下層にとどまっている腫瘍に対しては胆嚢床切除術が施行され,さらに進展した腫瘍に対しては進展形式により,肝部分切除,拡大肝右葉切除術,さらに血行再建術や膵頭十二指腸切除などを含めた術式の選択が行われ,領域リンパ節の郭清も施行される.

キーワード
胆嚢がん 早期胆嚢がん 進行胆嚢がん 術後補助化学療法

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第3章 胆道がん
胆管がんの外科治療
野島 広之
    千葉大学大学院医学研究院 臓器制御外科学
宮崎 勝      国際医療福祉大学 三田病院
大塚 将之    千葉大学大学院医学研究院 臓器制御外科学


要旨
 胆管がんの治療は,治癒切除が唯一の根治性が得られる治療法であり,術前にがんの進展度診断を正確に行い,切除断端をがん陰性にすべく,適切な術式を選択することが重要である.門脈などの血管浸潤を認める場合は,治癒切除が得られるならば,積極的に合併切除再建を施行すべきである.肝葉以上の肝切除では,肝不全などの合併症を予防するために残肝容積率が不足している場合は,術前門脈塞栓術を施行し,リスクを軽減する必要がある.

キーワード
肝門部領域胆管がん 遠位胆管がん 術後門脈塞栓術 Bismuth分類 肝切除

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第3章 胆道がん
乳頭部がんの外科的治療
佐田 尚宏
    自治医科大学 消化器・一般外科 主任教授
遠藤 和洋    自治医科大学 消化器・一般外科 講師
小泉 大      自治医科大学 消化器・一般外科 講師
笹沼 英紀    自治医科大学 消化器・一般外科 講師
佐久間康成   自治医科大学 消化器・一般外科 准教授

要旨
 十二指腸乳頭部がんの外科治療において最も問題となるのは,深達度が乳頭部粘膜内にとどまる(T1a)か,Oddi筋に達する(T1b)かで,T1a以浅とT1b以深とでは治療の考え方が大きく異なる.Stage0~ⅠAの乳頭部がんの中には,内視鏡的,外科的乳頭切除術で治癒する症例は存在するが,『エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン改訂第2版』(2014年)で推奨される標準治療は,StageⅠB~Ⅲと同様に,(幽門輪温存,亜全胃温存)膵頭十二指腸切除術である.

キーワード
十二指腸乳頭がん 胆道がん 膵頭十二指腸切除術 乳頭切除術

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第3章 胆道がん
胆道がんのドレナージ
辻本 彰子
     千葉県がんセンター 消化器内科
喜多絵美里    千葉県がんセンター 消化器内科
須藤研太郎    千葉県がんセンター 消化器内科
中村 和貴     千葉県がんセンター 消化器内科
山口 武人     千葉県がんセンター 消化器内科

要旨
 胆道がんに対するドレナージでは,肝門部領域と中下部胆管それぞれの病態に応じたドレナージ法が必要である.また,切除を前提とした場合と切除不能症例の場合にも,戦略は異なる.すなわち,肝門部領域胆管がんでは,術前症例は内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD),切除不能症例はuncovered自己拡張型金属ステント(SEMS)が第1選択である.また,中下部胆管がんでは,術前症例はプラスチックステント(PS),切除不能症例はSEMSが第1選択である.胆道がんのドレナージでは,その目的を明確にするとともに,病変部位,ドレナージ方法,ステントの特徴を理解したうえで施行することが重要である.

キーワード
胆道がん 肝門部領域胆管がん 中下部胆管がん 胆道ドレナージ

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第3章 胆道がん
胆道がん化学療法
古瀬 純司
     杏林大学医学部 腫瘍内科学教室 教授

要旨
 胆道がんの化学療法は,切除不能例を対象として行われ,ゲムシタビン(GEM)+シスプラチン併用療法が標準治療として広く用いられている.2次治療としてはS-1が多く使用されているが,その有用性は確立していない.術後補助療法の標準治療も確立していないが,現在,GEMあるいはS-1の第Ⅲ相試験が進められている.胆道がんに対する免疫療法として,免疫チェックポイント阻害薬の開発が期待されている.

キーワード
胆道がん 化学療法 術後補助療法 免疫チェックポイント

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第3章 胆道がん
乳頭部がん内視鏡治療
川嶋 啓揮
    名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学 講師
廣岡 芳樹    名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部 准教授
大野栄三郎   名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学 助教
石川 卓哉    名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学 病院助教
後藤 秀実    名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授

要旨
 腺腫および腺腫内がんを対象とした乳頭部腫瘍に対する内視鏡的治療は,high volume centerを中心に多施設で施行されている.しかし,適応について世界的に確立されたものはなく,後出血,術後膵炎,穿孔といった偶発症など,解決されていない問題が多くある治療法である.本稿では,名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学における乳頭部腫瘍(腺腫および腺腫内がん)に対する内視鏡切除の適応と,治療手技の実際,偶発症の対処について述べる.

キーワード
十二指腸乳頭部がん 十二指腸乳頭部腺腫 内視鏡的乳頭部切除術 管腔内超音波検査

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第3章 胆道がん
胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)
窪田 敬一
      獨協医科大学医学部 第二外科 教授

要旨
 胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)は,胆管内に有茎性の乳頭状発育を呈し,組織学的または肉眼的に粘液の産生があり,種々の程度の胆管拡張,多胞性嚢胞性変化を呈する腫瘍の総称である.肝機能異常,黄疸,腹痛,などで発症し,コンピュータ断層撮影(CT),磁気共鳴画像法(MRI)で胆管拡張,隆起性病変を確認することで診断できる.さらに,内視鏡的生検,擦過細胞診で確定診断する.治療は外科切除であり,R0切除により良好な予後が望める.

キーワード
胆道がん 前がん病変 胆管内乳頭状腫瘍 乳頭型胆管がん 粘液産生腫瘍

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