要旨

最新醫學 診断と治療のABC 125
貧血症

第1章 疾患概念と疫学
貧血の疫学

臼杵 憲祐   NTT東日本関東病院 血液内科 部長

要旨
 貧血の有病率は世界全体では32.9%であり,我が国の総患者数は142,000人で,最も多い疾患の1つである.貧血の最も多い原因は鉄欠乏性貧血であり,総患者数は103,000人,20?40歳代の女性の約60%以上が鉄不足?枯渇状態である.溶血性貧血の推計患者数は2,600人で,52.1%が自己免疫性溶血性貧血,24.9%が発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH),先天性溶血性貧血が16.6%であり,先天性溶血性貧血の71%が遺伝性球状赤血球症である.

キーワード
障害生存年数 鉄欠乏性貧血 巨赤芽球性貧血 溶血性貧血 アスリート貧血

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第2章 病理・病態生理
造血ストレスによる造血微小環境の変容

田久保 圭誉    国立研究開発法人 国立国際医療研究センター研究所 生体恒常性プロジェクトプロジェクト長

要旨
 造血の場である骨髄では,造血幹細胞はその近傍の造血微小環境(ニッチ)によって動態を調節されることで,生涯にわたる造血が維持される.造血幹細胞とニッチの相互作用の変化は病態に直結し,種々の造血ストレスが負荷されると大きく変容することが明らかになってきた.本稿では,造血幹細胞ニッチの構成と変容について,近年の知見を中心に紹介する.

キーワード
造血幹細胞 ニッチ ストレス造血

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第2章 病理・病態生理
転写因子異常に起因する血液疾患

長谷川 敦史     東北大学大学院医学系研究科 分子血液学分野
清水 律子       東北大学大学院医学系研究科 分子血液学分野 教授

要旨
 赤血球分化の過程では,赤血球特異的遺伝子がそれぞれ固有の発現プロファイルに沿って正しく発現することが必須である.GATA結合転写因子1(GATA1)や赤血球特異的クルッペル様転写因子(EKLF)を始めとする多くの転写因子が,互いの機能を修飾しながら転写因子ネットワークを形成し,このような精緻な遺伝子発現制御に寄与している.したがって,1つの転写因子の機能異常は,転写因子ネットワークを撹乱し,遺伝子の複雑な発現異常を惹起して,多様な病態を形成する.

キーワード
転写因子 GATA結合転写因子1 赤血球特異的クルッペル様転写因子

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第2章 病理・病態生理
鉄代謝

齋藤 慧       東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野
張替 秀郎      東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野 教授

要旨
 生体内の鉄代謝は厳密に制御されていることが知られ,それにかかわる分子機構が近年急速に明らかになっている.生体内鉄代謝はヘプシジン?フェロポーチン系を中心に制御され,細胞内鉄濃度はiron regulatory protein/iron responsive element(IRP/IRE:鉄調節タンパク/鉄反応エレメント)系が深く関与している.今後,鉄関連疾患の発症機序解明や新たな創薬が期待される.

キーワード
ヘプシジン フェロポーチン IRP/IRE

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第2章 病理・病態生理
ヘプシジン

生田 克哉      旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野 講師

要旨
 ヘプシジンは,肝臓で産生される生体内鉄代謝調節因子である.鉄過剰の際にヘプシジンの発現は亢進し,消化管からの鉄吸収を抑制し,同時に網内系での老廃赤血球からの鉄の再利用を抑制することで,鉄の恒常性を保つ機能を有する.ヘプシジンの発現調節には,複数の因子が関与している.遺伝性ヘモクロマトーシス(HH)と呼ばれる先天性鉄過剰症や,慢性疾患に伴う貧血は,ヘプシジンの発現調節が崩れることで生じる病態の代表である.

キーワード
ヘプシジン 鉄代謝 遺伝性ヘモクロマトーシス 慢性疾患に伴う貧血 フェロポーチン

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第2章 病理・病態生理
テロメア制御と貧血

山口 博樹     日本医科大学 血液内科 准教授

要旨
 先天性角化不全症(DKC)は,網状色素沈着,爪の萎縮,舌などの粘膜白斑症を伴う先天性骨髄不全症(BMF)であり,テロメア長の伸長補正の障害によって発症する.また一部のBMFや家族性特発性肺線維症なども,その病態にテロメア制御不全が強く関与する.これら“テロメア病”の病態には,テロメア関連遺伝子の変異だけでなく,世代促進,加齢,環境因子が重要な役割を果たしている.

キーワード
先天性角化不全症 テロメア制御不全 家族性特発性肺線維症 テロメア病

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コラム
エクリズマブ耐性と遺伝子多型

西村 純一     大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 講師

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第3章 診断
末梢血検査と貧血の鑑別

後藤 明彦    順天堂大学医学部 内科学血液学講座 先任准教授

要旨
 貧血の鑑別には全血算(CBC;白血球数,赤血球数,ヘモグロビン(Hb),ヘマトクリット,血小板数)に加えて白血球分画と網赤血球を見ることが基本である.網赤血球数は赤血球造血を反映しており,網赤血球数が増加している場合は出血に対する造血亢進か破壊の亢進(溶血)を示唆する.続いて平均赤血球容積に着目し,小球性貧血,正球性貧血,大球性貧血に大別し,おのおのを鑑別するために必要な検査を行い,診断していくのが効率的である.

キーワード
小球性貧血 正球性貧血 大球性貧血 平均赤血球容積 網赤血球

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第3章 診断
骨髄検査と貧血
松田 晃
     埼玉医科大学国際医療センター 造血器腫瘍科 教授

要旨
 骨髄検査は造血機能の評価に重要な検査である.しかし,すべての血液疾患の診断に,骨髄検査が必要とは限らない.貧血に加えて,ほかの血液学的異常がある場合は,白血病,骨髄異形成症候群,再生不良性貧血などを疑い,骨髄検査を行う.大球性貧血では,骨髄異形成症候群など骨髄検査が必要となる疾患も多い.一方,小球性貧血の診断に,骨髄検査が必要となることは限られる.

キーワード
貧血 診断 骨髄穿刺 骨髄生検

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コラム
再生不良性貧血に対するトロンボポエチン受容体作動薬の効果
中尾 眞二
       金沢大学医薬保健研究域 医学系 血液・呼吸器内科 教授

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第4章 管理・治療
再生不良性貧血(免疫抑制療法・タンパク同化ステロイド療法)
山﨑 宏人
      金沢大学附属病院 輸血部 病院臨床教授

要旨
 典型像をとる重症例は,診断に迷うことは少ない.骨髄移植か免疫抑制療法のどちらを選択するかを速やかに判断する.ただし,免疫抑制療法は一定の割合で不応・再発例や骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病(MDS/AML)への移行例があることに留意する.一方,ゆっくり進行する非重症例は必ずしも典型像を示さないため,診断確定までに時間を要することが多い.形態学的所見に固執せず,免疫病態が認められたら直ちに免疫抑制療法を開始することが治療成績向上の秘訣である.

キーワード
抗胸腺細胞グロブリン シクロスポリン ダナゾール PNH型血球 トロンボポエチン

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第4章 管理・治療
再生不良性貧血に対する造血幹細胞移植
高見 昭良
    愛知医科大学医学部 内科学講座 血液内科 教授

要旨
 再生不良性貧血に対する同種造血幹細胞移植の適応は,『再生不良性貧血診療の参照ガイド』,日本造血細胞移植学会ガイドライン,最新の移植成績を参考にする.末梢血幹細胞移植より骨髄移植の成績が優れる.移植前処置には,フルダラビン120mg/m2+シクロホスファミド120mg/kg+抗胸腺グロブリン(ATG)2.5?5.0mg/kg±2Gy全身放射線照射がよく用いられる.

キーワード
抗胸腺グロブリン 骨髄移植 フルダラビン 全身放射線照射 移植片対宿主病

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第4章 管理・治療
赤芽球癆
廣川 誠
    秋田大学大学院医学系研究科 総合診療・検査診断学講座 教授

要旨
 赤芽球癆(PRCA)は,造血幹細胞の質的・量的機能不全により発症する難治性貧血の1つであり,骨髄における赤血球系造血の選択的減少に起因する.PRCAの病因と病態は多様であり,治療はその病因別に行われる.特発性PRCAおよび基礎疾患の治療に反応しない慢性PRCAに対して,免疫抑制療法が行われる.免疫抑制療法に対する不応および寛解例における貧血の再燃は,予後不良因子であり,難治例の病態解明と治療の確立が望まれている.

キーワード
特発性赤芽球癆 胸腺腫関連赤芽球癆 大顆粒リンパ球性白血病関連赤芽球癆 
免疫抑制療法 予後不良因子


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第4章 管理・治療
自己免疫性溶血性貧血
亀﨑 豊実
    自治医科大学 地域医療学センター 地域医療支援部門 教授

要旨
 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は比較的まれであるが,貧血と黄疸を呈する患者の診療においては念頭に置くべき疾患である.診断には,溶血の存在を確定した後に,直接クームス試験で免疫性溶血を確認する.温式AIHAの治療の第1選択は副腎皮質ステロイドであるが,中・長期の使用に伴う合併症には注意が必要である.診断に注意が必要な特殊病型や,ステロイド無効例での治療についても解説した.

キーワード
自己免疫 溶血性貧血 病態 診断 治療 

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第4章 管理・治療
発作性夜間ヘモグロビン尿症
髙森 弘之
    大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学
植田 康敬    大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学
西村 純一    大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 講師

要旨
 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は,稀少なクローン性造血幹細胞疾患である.エクリズマブは根治療法ではないものの,患者の生活の質を大きく改善した.2010年にエクリズマブが保険収載され,2015年にPNHが指定難病となったことを踏まえ,2017年に『特発性造血障害疾患の診療の参照ガイド』が大幅に改訂された.本稿では改訂のポイントとともに,PNHの最新の知見について述べる.

キーワード
発作性夜間ヘモグロビン尿症 溶血性貧血 骨髄不全 血栓症 エクリズマブ 


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第4章 管理・治療
先天性骨髄不全症
合井 久美子    山梨大学医学部 小児科 講師

要旨
 先天性骨髄不全症とは,造血にかかわる遺伝子異常により造血障害を来す,まれな遺伝性疾患群である.これらの疾患の特徴は,先天奇形や非造血器疾患を合併し,骨髄異形成症候群(MDS)や急性白血病,固形腫瘍などのがんを発症しやすいことである.貧血に対しては,輸血療法と鉄過剰症に対する予防治療が必要であり,重症例には同種造血幹細胞移植も行われるが,非血液合併症に対する適切な医学的介入とがんの監視も,疾患の管理のうえで重要である.

キーワード
先天性骨髄不全症 輸血療法 鉄過剰症 同種造血幹細胞移植 固形腫瘍

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第4章 管理・治療
鉄欠乏性貧血
飯野 昌樹
    山梨県立中央病院 血液内科 部長

要旨
 鉄欠乏性貧血は,日常臨床で最も高頻度に遭遇する貧血であり,診断・治療のみならず,原因疾患の検索・治療も重要である.治療は,経口鉄剤投与が原則であるが,内服困難または迅速な鉄補給が必要な場合は静注鉄剤を使用する.静脈投与では鉄過剰投与に注意が必要であり,投与初期に必要量を計算し,計画的に投与する.治療終了後は,食事指導,鉄サプリメントの摂取で再発予防を行い,再燃時は鉄剤投与再開とともに原因の再度検索が重要である.

キーワード
鉄欠乏性貧血 フェリチン 経口鉄剤 静注鉄剤 ヘプシジン

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第4章 管理・治療
巨赤芽球性貧血
杉本 由香
    三重大学医学部附属病院 血液内科
           三重大学医学部附属病院 臨床研修・キャリア支援センター
片山 直之    三重大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科 教授

要旨
 巨赤芽球性貧血は,ビタミンB12または葉酸欠乏によりDNA合成障害が起り,無効造血を来す大球性貧血の代表的疾患である.過去には診断のために骨髄検査を行っていた時代もあるが,現在では血清ビタミンB12や葉酸値を測定することで比較的容易に診断ができるようになった.治療はビタミンB12欠乏に対してはメコバラミンの筋注,静注,内服,葉酸欠乏に対しては,葉酸の内服が基本となる.

キーワード
巨赤芽球性貧血 ビタミンB12 葉酸 悪性貧血

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第4章 管理・治療
慢性疾患による貧血(ACD)
小船 雅義
     札幌医科大学医学部 血液内科学 准教授
井山 諭      札幌医科大学医学部 血液内科学
加藤 淳二     札幌医科大学医学部 腫瘍内科学講座,血液内科学 教授

要旨
 慢性炎症性疾患では,血清鉄が低下するにもかかわらず,血清フェリチン値が正常から増加するという慢性疾患による貧血(ACD)が発症する.最近,炎症性サイトカインにより肝臓で産生されるヘプシジンが,ACDの鉄代謝異常を惹起するメディエーターであることが示された.このほか,ACD発症には,サイトカインを介した造血抑制やエリスロポエチン(EPO)産生低下も関与する.

キーワード
炎症性サイトカイン ヘプシジン 慢性疾患による貧血 貧血 慢性炎症

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第4章 管理・治療
腎性貧血
鶴屋 和彦
     九州大学大学院医学研究院 包括的腎不全治療学 教授
平方 秀樹    福岡腎臓内科クリニック 院長

要旨
 我が国のガイドラインでは,海外の大規模無作為化比較対象試験(RCT)を参考にしながら国内のエビデンスが重視され,血液透析(HD)患者ではヘモグロビン(Hb)値10?12g/dL,腹膜透析(PD)患者と保存期慢性腎臓病(CKD)患者ではHb値11?13g/dLを推奨された.腎性貧血治療において,赤血球造血刺激因子製剤(ESA)に対する低反応性への対応が問題となっている.その最大の要因は鉄欠乏であり,鉄過剰に注意しながら,必要に応じて鉄補充を行うことが重要である.

キーワード
ヘモグロビン値 赤血球造血刺激因子製剤(ESA) ESA低反応性 鉄欠乏 フェリチン

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第4章 管理・治療
輸血後鉄過剰症
鈴木 隆浩
    北里大学医学部 血液内科学 主任教授

要旨
 難治性貧血疾患では頻回輸血のため,鉄過剰症を来すことが多い.過剰鉄は活性酸素種(ROS)の産生を介して臓器障害を引き起し,低リスク骨髄異形成症候群(MDS)では予後に悪影響を与えることが示唆されている.輸血後鉄過剰症では鉄キレート剤による治療を行うが,十分な除鉄は単なる臓器障害の改善にとどまらず,低リスクMDS患者の生存期間を延長する.そして,除鉄後に血球数の改善が認められる症例も報告されている.

キーワード
輸血後鉄過剰症 鉄キレート療法 骨髄異形成症候群 デフェラシクロス

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第4章 管理・治療
高齢者の貧血
宮腰 重三郎
       東京都健康長寿医療センター病院 血液内科 部長

要旨
 高齢化社会を迎え,貧血を有する高齢者は増加の一途をたどっている.しかし,高齢者の貧血の原因は多岐にわたり,かつ高齢者の貧血症状は,典型的ではなく,基礎疾患の症状が前面に出ることがあるため,診断に苦慮する場合もある.常に,貧血を考慮に入れた診療と検査が重要である.貧血の鑑別診断には赤血球恒数のうち平均赤血球容積(MCV)が有用である.さらに,治療可能,治癒可能な貧血があるため,老人性貧血と一言で片付けずに,また漫然と鉄剤を投与せずに,検査は十分に行う必要がある.骨髄異形成症候群や多発性骨髄腫などの血液悪性疾患が少数ながら存在するが,治療の進歩が著しく,疑われたら速やかに専門医に紹介することが肝要である.

キーワード
高齢者の貧血 赤血球恒数 平均赤血球容積 二次性貧血

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第4章 管理・治療
赤血球膜タンパク異常による貧血
和田 秀穂
        川崎医科大学 血液内科学 教授
中西 秀和         川崎医科大学 総合内科学4 准教授

要旨
 日本人で最も頻度の高い先天性溶血性貧血は,赤血球膜タンパク異常症である.赤血球膜タンパク異常による先天性溶血性貧血では,しばしばその疾患固有の赤血球形態異常を有しており,末梢血塗抹標本にて赤血球の形態を注意深く観察することは,有力な診断の手がかりとなる.遺伝性球状赤血球症(HS)では小型球状赤血球が,遺伝性楕円赤血球症(HE)では楕円赤血球(桿状型,卵円形)が,遺伝性有口赤血球症(HSt)では特徴的な口唇状の有口赤血球が,認められる.

キーワード
赤血球膜タンパク異常症 遺伝性球状赤血球症 遺伝性楕円性赤球症 遺伝性有口赤血球症 
遺伝性高赤血球膜ホスファチジルコリン溶血性貧血


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第4章 管理・治療
ヘモグロビン異常症
服部 幸夫
      山口県済生会山口総合病院 検査部 検体検査管理部長

要旨
 ヘモグロビン(Hb)異常症(異常Hb症およびサラセミア)は遺伝性の疾患であり,遺伝子異常で確定診断がなされる.溶血,多血症,チアノーゼ,小球性貧血では,重要な鑑別診断項目となる.日本人では頻度の高いものではないが,日本人の異常Hb症の31%,サラセミアの12%は,症候性である1).東南アジア人にはこの頻度が高いので,その診療では常に意識しておくべきである.症候性の治療法は輸血などでの対症療法が主であるが,重症型では骨髄移植もなされる.
キーワード
異常ヘモグロビン症 不安定ヘモグロビン症 サラセミア αサラセミア βサラセミア

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第4章 管理・治療
微量元素欠乏性貧血
湧上 聖 
      医療法人緑水会 宜野湾記念病院 院長

要旨
 微量元素欠乏で貧血の原因となるのは,銅と亜鉛である.強制栄養(静脈,経腸)のとき,欠乏が起りやすい.最近では静脈栄養よりも経腸栄養管理の場合に欠乏が起ることがある.2000年以前は経腸栄養剤に微量元素含量が少ないことが欠乏の原因であったが,徐々に微量元素含量が増えてきて,欠乏は解決されたかに思われた.しかし,銅亜鉛の拮抗作用の問題や亜鉛製剤の登場により,新たな問題も生じてきた.
キーワード
銅欠乏 亜鉛欠乏 銅亜鉛拮抗作用 炎症

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コラム
赤芽球が分泌する鉄代謝調節因子-エリスロフェロン-
川端 浩 
    金沢医科大学 血液免疫内科学 特任教授


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第5章 ガイドライン
貧血治療ガイドライン
小松 則夫
       順天堂大学医学部 内科学 血液学講座 主任教授

要旨
 本邦の貧血治療ガイドラインは,腎性貧血に関しては整備されているが,担がん患者の貧血に関するガイドラインの整備は,欧米に比べて遅れている.担がん患者が貧血におちいり,組織への酸素運搬能が低下すると,生活の質(QOL)が低下し生存期間が短縮するため,貧血の是正はQOLや予後の改善に重要である.超高齢社会を迎えている本邦では,献血量の不足が懸念されており,赤血球輸血の代用として,赤血球造血刺激因子製剤(ESA)の保険適用拡大を真剣に検討する時代に突入した.
キーワード
エリスロポエチン 赤血球造血剤刺激因子製剤 がん化学療法における貧血 腎性貧血 ガイドライン

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コラム
再生不良性貧血とクローン性造血
吉里 哲一
      京都大学大学院医学研究科 腫瘍生物学講座

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