要旨

最新醫學 診断と治療のABC 131
肝硬変

第1章 概念
肝硬変の概念と定義

鹿毛 政義   久留米大学先端癌治療研究センター 客員教授

要旨
 肝硬変は,種々の原因で生じる慢性に経過する肝疾患の終末病変である.臨床的には,肝硬変の患者は,しばしば食道静脈瘤や腹水など,門脈圧亢進症を呈し,肝不全におちいる.また,肝硬変は肝細胞がんが高率に発生する母地でもある.肝硬変の概念は,病理学的に規定される.その肝病理形態の特徴は,肝臓全体にびまん性に形成される再生結節と,これを取り囲む線維性隔壁である.肝硬変の形態は病因によって異なり,ウイルス性肝硬変,アルコール性肝硬変,うっ血性肝硬変,胆汁性肝硬変の肝組織像は,それぞれに特徴がある.

キーワード
肝硬変 線維性隔壁 ウイルス性肝硬変 アルコール性肝硬変

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第1章 概念
疫学と成因?近年の肝硬変の成因の実態?

渡辺 崇夫    愛媛大学大学院医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学 講師
日浅 陽一    愛媛大学大学院医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学 教授

要旨
 肝硬変は肝不全とともに,高率に肝がんを来す.肝硬変の成因について現状と変遷は重要な情報である.C型肝炎に起因する肝硬変が依然最多ではあるが,近年減少しつつあり,B型肝炎の比率は変化なく,非B非C型肝硬変が増加している.その中で非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が増加し,肝細胞がん発生リスクが高いと予想される.今後肝硬変の成因は大きく変化する可能性があり,定期的な全国調査,経過の追跡が必要とされている.

キーワード
肝硬変 肝細胞がん C型肝炎 非B非C型肝硬変 非アルコール性脂肪肝炎

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第2章 病態生理
肝線維化

湯川 芳美      大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学
河田 則文      大阪市立大学大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学 教授

要旨
 肝内でⅠ型コラーゲンを主体とする細胞外マトリックスを産生する主要な細胞は,星細胞である.本細胞のコラーゲン産生能が同定された1985年以降,肝線維化研究は急展開してきた.星細胞活性化の分子機構,細胞外マトリックスの代謝制御,肝線維化抑制物質の探索,星細胞以外のコラーゲン産生細胞の同定など,さまざまな研究が行われている.このような,分子細胞レベルの基礎研究の発展とともに,肝線維化に関連する臨床研究も活性化している.

キーワード
肝線維化 星細胞 筋繊維芽様細胞 活動型星細胞 細胞外マトリックス

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第2章 病態生理
循環動態

岩本 拓也      山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学

要旨
 肝硬変の循環動態は,門脈圧亢進と全身の循環亢進状態が特徴的である.肝硬変患者では,肝内血管抵抗の増大と内臓血行の循環亢進を伴う門脈血行変化により,門脈圧亢進症が生じる.一方,肝硬変においては全身循環が亢進しているが,末梢血管は拡張した状態(hyperdynamic state)であり,相対的な有効循環血液量は低下した状態にある.本稿では,門脈圧亢進症の発生機序や全身循環動態の変化について概説する.

キーワード
肝硬変 門脈圧亢進症 全身循環亢進状態 NO エンドセリン

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コラム
肝細静脈閉塞性疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)

石川 剛      山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学 講師

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第2章 病態生理
インスリン抵抗性

川口 巧     久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門 講師
中野 暖     久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門 助教
鳥村 拓司    久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門 教授

要旨
 肝臓は,糖代謝を担う一臓器であり,慢性肝疾患患者は高頻度にインスリン抵抗性を特徴とする耐糖能異常を認める.インスリン抵抗性は,肝線維化の進展や肝発がんにかかわることから,慢性肝疾患のあらゆる病期において重要な病態である.本稿では,肝硬変に合併するインスリン抵抗性の特徴とその病態について論ずる.また,糖尿病治療薬が肝がんに及ぼす影響についても併せて論ずる.

キーワード
インスリン抵抗性 肝性糖尿病 肝がん DPP4阻害薬 SGLT阻害薬


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第2章 病態生理
サルコペニア

西口 修平       兵庫医科大学 内科学(肝・胆・膵科)主任教授

要旨
 肝疾患におけるサルコペニアは,成因として高齢化と代謝異常による二次性要因を併せ持ち,予後不良を意味する.このため,日本肝臓学会では,肝疾患に伴うサルコペニアの判定基準を独自に設定した.病因としてアンモニアが重要であり,その高値は筋タンパク合成を直接抑制し,ミオスタチンも誘導する.さらに,筋タンパクの合成を賦活する分岐鎖アミノ酸(BCAA)が,肝硬変では低値である.このため,治療として食事運動療法を基本にBCAA補充と徹底したアンモニア対策を行うべきである.

キーワード
アンモニア サルコペニア 診断基準 ミオスタチン

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第2章 病態生理
腸内細菌叢

鍛治 孝祐    奈良県立医科大学 内科学第三講座
吉治 仁志    奈良県立医科大学 内科学第三講座 教授

要旨
 肝臓は門脈を介して腸管と交通しており,従来から肝硬変における病態生理に,腸内細菌やエンドトキシンが大きく関連していることが指摘されてきた.さらに近年,16SリボソームRNA(rRNA)遺伝子を標的とした腸内細菌叢の解析法の開発により,肝硬変患者での腸内細菌叢の組成変化の詳細が明らかとなりつつある.また本邦でも,リファキシミンが肝性脳症(HE)に対して適応となり,病態解析のみならず,治療の標的としても腸内細菌叢に注目が集まっている.

キーワード
dysbiosis エンドトキシン 腸肝相関 leaky gut リファキシミン

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第3章 診断
血清線維化マーカーと線維化スコア診断
孝田 雅彦
     日野病院組合 日野病院 内科 病院長

要旨
 肝生検に代わる肝硬変,肝線維化の非侵襲的診断法として,血清線維化マーカー,線維化予測スコアが広く用いられている.肝硬変の診断において,ヒアルロン酸,7sコラーゲン,Mac?2結合タンパク糖鎖修飾異性体(M2BPGi)は,良好な診断能を示す.線維化予測スコアでは,FIB?4,FibroIndex,AST to platelet ratio index(APRI),Forns Indexが,簡便,安価で診断能も高い.これらのマーカーは,静脈瘤の診断や発がん予測にも有用である.

キーワード
肝硬変 肝線維化 血清線維化マーカー 肝線維化予測式

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第3章 診断
超音波組織弾性イメージング
西村 貴士
     兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科・超音波センター 講師
飯島 尋子     兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科・超音波センター 教授

要旨
 肝線維化診断は,超音波組織弾性イメージング法である超音波エラストグラフィが非侵襲的検査法であることから,肝生検にとってかわりつつある.すでに数機種は保険適用が近日中であるが,実際は汎超音波機器でエラストグラフィによる肝線維化診断が可能である.測定方法や肝線維化以外の要因を熟知したうえで測定する必要があるが,慢性肝疾患診療に必須の検査となりつつあり,今後さらなる臨床応用が期待できる.

キーワード
超音波エラストグラフィ 非侵襲的肝線維化診断 Transient elastography Point shear wave elastography 2D shear wave elastography

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第3章 診断
MRエラストグラフィ
今城 健人
      横浜市立大学医学部 肝胆膵消化器病学
中島 淳        横浜市立大学医学部 肝胆膵消化器病学 主任教授

要旨
 エラストグラフィは肝生検に代わりうる非侵襲的肝線維化診断法として発展を遂げてきた.超音波エラストグラフィは簡便かつ安価であり日常臨床でも頻用される.しかし,我が国で唯一肝硬度測定のために保険収載されているtransient elastographyは,病的肥満や有腹水例で測定困難かつ肝線維化の不均一性による局所的な肝硬度上昇を見逃す可能性がある.磁気共鳴(MR)を用いたMRエラストグラフィ(MRE)は,肝臓全体の硬度を評価可能かつ肝細胞がんのスクリーニングも可能であり,肝疾患診療へ大きく貢献する可能性がある.

キーワード
MRエラストグラフィ フィブロスキャン 非アルコール性脂肪肝疾患・非アルコール性脂肪肝炎 非侵襲的肝線維化診断法 肝細胞がん

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第4章 治療
B型肝炎ウイルス感染に起因する肝硬変に対する薬物療法
八橋 弘 
    国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター長

要旨
 B型肝炎ウイルス感染に起因する肝硬変症例に対する薬物療法,抗ウイルス治療の主体は,核酸アナログ製剤であるエンテカビル(ETV),テノホビル(TDF)ないしテノホビルアラフェナミドフマル酸塩(TAF)による治療である.抗ウイルス治療によって,肝炎の鎮静効果のみならず,肝線維化改善効果,肝予備能の改善効果,発がん抑止効果などが得られることが確認されている.

キーワード
肝硬変 B型肝炎 核酸アナログ製剤 発がん抑止

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第4章 治療
C型肝炎ウイルス感染に起因する肝硬変に対する薬物療法
竹原 徹郎
   大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授

要旨
 C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変に対する根本的な治療は,抗ウイルス治療である.我が国では非代償期の肝硬変に対して抗ウイルス治療は承認されていないが,代償期の肝硬変に対しては直接作用型抗ウイルス薬によるコンビネーション治療が積極的に行われている.多くの患者でウイルス排除が達成され,肝予備能が改善する.発がんリスクの高い患者集団であることから,ウイルス排除後も肝がん発生の監視には,格段の留意が必要である.

キーワード
DAA SVR 代償性肝硬変 非代償性肝硬変 肝がん

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第4章 治療
アルコール性肝硬変に対する治療
堀江 義則
    湘南慶育病院 副院長(内科・消化器内科)

要旨
 本邦におけるアルコール性肝硬変(ALD?LC)症例は,肝硬変の成因における割合も実患者数も増加している.飲酒量のみならず,遺伝的な背景や肥満,糖尿病などの環境因子も,その進展に影響する.重度のアルコール性肝炎を繰り返し,短期で至る例より,肝線維症を介して20?30年以上かけて至る例が多い.治療の基本は禁酒であり,心理社会的治療も推奨される.栄養障害を来している例が多く,栄養指導も同時に行う必要がある.

キーワード
栄養障害 ゲノム変異 アルコール・リハビリテーション・プログラム

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第4章 治療
NAFLD/NASHに起因する肝硬変に対する治療 ?病態,疫学を含めて?
戸張 真紀
      東京女子医科大学 消化器内科
橋本 悦子       東京女子医科大学 消化器内科 教授

要旨
 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の診断は肝組織診断となるため,日常臨床では非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)として扱われることが多い.NAFLD/NASHは肥満や糖尿病などの生活習慣病を基盤として発症する.NAFLD/NASH肝硬変に特殊な治療はなく,一般的な肝硬変の治療に準じる.しかし,糖尿病や心疾患の合併率が高く,全身管理が重要である.末期肝硬変は肝移植の適応である.NAFLD/NASH肝硬変では肝不全や肝がんだけでなく,心疾患による死亡も多く,注意が必要である.

キーワード
NAFLD NASH 肝硬変 疫学 治療

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第4章 治療
栄養療法
清水 雅仁     岐阜大学大学院医学系研究科 腫瘍制御学講座 消化器病態学分野 教授

要旨
 肝硬変では,たんぱく質・エネルギー低栄養(PEM)などの栄養・代謝異常を高頻度に認める.栄養療法は肝硬変患者の合併症を予防し,予後や生活の質(QOL)を改善する.分岐鎖アミノ酸(BACC)は肝硬変栄養療法のkey drugであり,低アルブミン血症の改善や,エネルギー低栄養状態に対する就寝前エネルギー(LES)として有用である.サルコペニア(骨格筋量および筋力の減少)や,肥満を合併した肝硬変患者に対しても,適切な栄養療法を行う必要がある.

キーワード
たんぱく質・エネルギー低栄養 分岐鎖アミノ酸 就寝前エネルギー投与 サルコペニア 肥満

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コラム
肝硬変における亜鉛代謝異常と亜鉛補充療法
片山 和宏
    大阪国際がんセンター 副院長・臨床研究センター長


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第4章 治療
肝臓再生療法の現状と展望
宮地 隆史
    山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学
高見 太郎    山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学 講師
           山口大学大学研究推進機構 再生・細胞治療研究センター
坂井田 功    山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授
           山口大学大学研究推進機構 再生・細胞治療研究センター センター長
           山口大学大学院医学系研究科附属 再生医療教育研究センター センター長

要旨
 近年では肝炎ウイルスの制御・排除が可能となったが,アルコール性肝硬変や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の増加を受け,依然として非代償性肝硬変は多く存在する.生体/脳死肝移植は,その優れた治療効果の一方,ドナー不足,手術侵襲,免疫拒絶,医療費などの問題が残り,代替する肝臓再生療法の開発が求められている.そうした開発研究により,肝臓再生や線維化のメカニズム,さらに肝臓と骨髄の密接な関係などが明らかになってきており,現在では肝臓再生療法の目的は,肝細胞の再生・増殖に限らず,肝細胞の増殖母地となる肝微小環境の改善を含めたものと理解されている.そこで本稿では,研究開発が進められている肝臓再生療法の細胞源として,人工多能性幹(iPS)細胞由来肝芽や自己骨髄細胞,間葉系幹細胞,造血幹細胞などを例に挙げながら,肝臓の再生や恒常性維持機構についても概説する.

キーワード
肝臓再生療法 自己骨髄細胞 造血幹細胞 間葉系幹細胞 iPS細胞
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第4章 治療
肝移植
永野 浩昭
    山口大学大学院医学系研究科 消化器・腫瘍外科学 教授

要旨
 末期肝疾患に対する肝移植は,本邦においては生体部分肝移植がその主流を占めてきた.その成績は,1年生存率90%,5年生存率80%と良好で,免疫抑制薬の進歩により,血液型不適合移植も可能である.また肝移植の時期は,治療成績と生体提供者の準備期間を考えると,Child?Pugh 9?10点程度での移植外科医への紹介が望ましい.今後は,脳死提供者不足や,移植外科医の減少と労働環境整備などの問題がある.

キーワード
肝移植 手術 適応疾患 成績 脳死提供者不足

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第5章 合併症とその対策
食道・胃静脈瘤の内視鏡治療
小原 勝敏
    福島県立医科大学 消化器内視鏡先端医療支援講座 主任教授

要旨
 食道・胃静脈瘤出血は肝硬変の重大合併症であり,出血によって二次性肝不全を来しやすく,大量出血では致命的となる.出血時の緊急内視鏡は重要であり,直ちに内視鏡治療(緊急止血)へと移行できる.静脈瘤治療は多様化し,病態に応じた治療法を選択できるので,安全かつ効果的な治療手技が要求される.そのためには,各治療法の適応を明確にし,患者の病態と門脈血行動態を把握したうえで,最良の治療法を選択することが重要である.

キーワード
食道静脈瘤 胃静脈瘤 内視鏡治療 門脈血行動態

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第5章 合併症とその対策
食道・胃静脈瘤のIVR治療(B?RTO)
松田 崇史
    山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学 助教
石川剛       山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学 講師

要旨
 本邦で開発されたバルーン下逆行性経静脈的静脈瘤塞栓術(B?RTO)は,低侵襲で確実な治療法として,アプローチ可能なシャント(特に胃腎シャント)を有する胃静脈瘤(GV)治療の第1選択として,本邦のみならず,諸外国でも定着してきた.治療の成功には,術前の造影CTおよび術中のバルーン閉塞下逆行性経カテーテル的静脈造影(B?RTV)による血行動態の評価,さらにはそれに応じた適切な治療手技・治療戦略の決定が極めて重要である.

キーワード
胃静脈瘤 バルーン下逆行性経静脈的静脈瘤塞栓術 胃腎シャント

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第5章 合併症とその対策
腹 水
高村 昌昭
        新潟大学医歯学総合病院 消化器内科 講師
寺井 崇二         新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野 教授

要旨
 肝硬変による腹水治療は,安静と緩やかな塩分制限をしたうえで,利尿薬を中心とした薬物療法を行う.トルバプタンの登場で,腎機能保護を考慮に入れた腹水治療が可能となりつつある.利尿薬抵抗性の腹水には,腹水穿刺排液や腹水濾過濃縮再静注療法,腹腔?静脈シャント(PVS),経頸静脈肝内門脈大循環シャント術(TIPS)などがあるが,重篤な合併症を来す手技もあるため,個々の症例の病態を十分評価したうえで,適否を判断することが重要である.

キーワード
トルバプタン スピロノラクトン フロセミド TIPS 胸腔-静脈シャント

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第5章 合併症とその対策
肝性脳症
遠藤 啓 
           岩手医科大学医学部 消化器内科肝臓分野
佐々木登希夫        岩手医科大学医学部 消化器内科肝臓分野
滝川 康裕           岩手医科大学医学部 消化器内科肝臓分野 教授

要旨
 肝不全に起因した肝の解毒・代謝能低下や門脈大循環短絡は,神経毒性物質の大循環への流入により肝性脳症を引き起す.近年,顕性脳症だけでなく,ミニマル肝性脳症の存在が明らかとなり,正確な診断と治療を要する病態であることが分かってきている.肝性脳症発症の機序は不明な点もあるが,腸管由来の神経毒物質の除去が治療の中心である.近年,難吸収性抗菌薬であるリファキシミンや,亜鉛・L?カルニチンの補充療法も効果が期待されている.

キーワード
精神神経機能異常 アンモニア 潜在性(ミニマル)肝性脳症

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第5章 合併症とその対策
こむら返り
中西 裕之
        武蔵野赤十字病院 消化器科 副部長
黒崎 雅之        武蔵野赤十字病院 消化器科 部長
泉 並木          武蔵野赤十字病院 院長

要旨
 肝硬変患者のこむら返りは,生活の質(QOL)を低下させる.肝硬変に伴うこむら返りの病態生理はいまだ十分に解明されていないが,肝硬変に伴うエネルギー低栄養状態,およびカルニチン欠乏が筋組織中のATP不足を惹起し,その結果アクチン・ミオシン相互作用の障害を介してこむら返りを発症する可能性がある.実際にこむら返りを有する肝硬変患者にL?カルニチンを投与すると,88%の患者でこむら返りの頻度が低下した.

キーワード
肝硬変 こむら返り カルニチン

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第5章 合併症とその対策
皮膚?痒感
池上 正 
        東京医科大学茨城医療センター 消化器内科 教授
本多 彰         東京医科大学茨城医療センター 共同研究センター 教授
松﨑 靖司       東京医科大学茨城医療センター 病院顧問・消化器内科 教授

要旨
 かゆみの神経伝達経路が明らかになり,従来から慢性肝疾患のかゆみの原因物質とされてきた胆汁酸や,新たに発見されたオートタキシン(ATX)などの成分と,かゆみ刺激受容体との関連が明らかにされつつある.また本邦ではκ?オピオイド状態の作動薬であるナルフラフィンが,慢性肝疾患におけるかゆみの対策として使用可能になり,マネジメントについての考え方が変化してきている.

キーワード
皮膚掻痒感 慢性肝疾患 胆汁酸 オートタキシン ナルフラフィン


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第5章 合併症とその対策
血小板減少症-脾摘・PSE・TPO受容体作動薬-
日高 央 
        北里大学 消化器内科学 准教授
窪田 幸介       北里大学 消化器内科学 助教


要旨
 慢性肝疾患に認められる血小板減少症は,脾腫による血小板の滞留や破壊と,骨髄における産生の低下が主な原因である.前者に対する治療法は脾摘や部分的脾動脈塞栓術(PSE)であり,抗ウイルス療法や食道胃静脈瘤治療そして肝がん局所療法に対する補助療法として行われてきた.また後者に対する治療法の1つとして,2015年に待期的な観血的処置を予定している症例に対するトロンボポイエチン(TPO)受容体作動薬が登場し,今後,治療現場が大きく様変わりする可能性がある.

キーワード
脾腫 脾摘 部分的脾動脈塞栓術 トロンボポイエチン受容体作動薬 門脈血栓

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