要旨

最新醫學 診断と治療のABC 138
高TG血症

第1章 概念・定義と疫学
高TG血症の定義・分類・原因

倉林 正彦   群馬大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授

要旨
TGに富むリポタンパクであるカイロミクロンと超低比重リポタンパク(VLDL)は,それぞれ腸細胞,肝細胞の小胞体にて,食事中の脂肪酸,内因性の脂肪酸がミクロソームTG転送タンパク(MTP)によってコレステロール,アポBやリン脂質と結合して合成される.高TG血症はこの合成過程が促進される場合や,リポタンパクリパーゼによるTGの加水分解が抑制される場合に起る.

キーワード
リポタンパク アポタンパク リポタンパクリパーゼ インスリン

目次に戻る



第1章 概念・定義と疫学
高TG血症と循環器疾患の疫学

久保田 康彦    大阪がん循環器病予防センター
磯 博康       大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 教授

要旨
 高TG血症が,循環器疾患の独立した危険因子と認識されるようになったのは比較的最近のことである.コホート研究およびメンデルランダム化解析の結果から,高TG血症は虚血性心疾患の因果も含めた危険因子としての可能性が指摘されている.一方,高TG血症と脳卒中の関連については脳梗塞との関連が指摘されているが,因果関係については明らかではない.今後は因果関係に関するエビデンスの蓄積が望まれる.

キーワード
TG 循環器疾患 虚血性心疾患 脳卒中 疫学

目次に戻る



第2章 病因・病態生理
高TG血症の遺伝子解析と遺伝的背景

後藤田 貴也    杏林大学医学部 生化学教室 教授

要旨
 遺伝子解析の進展に伴い,まれで高度な高TG血症の多くがリポタンパクリパーゼ(LPL)の機能に関連する遺伝子のホモ接合体変異に由来し,より一般的で軽?中等度の高TG血症は,遺伝因子(まれなヘテロ接合体変異や高頻度で些細な遺伝子多型の蓄積)と環境因子との相互作用によることが示されている.さらに,これに伴い遺伝的背景に着目して高TG血症を新たに分類する試みや,遺伝子リスク評価を行う試みがなされ,TG代謝に関連する新規標的分子の探索も行われている.

キーワード
TG リポタンパクリパーゼ 遺伝子変異 ゲノムワイド関連解析 一塩基多型

目次に戻る



第2章 病因・病態生理
食後レムナントリポタンパクと高TG血症

磯尾 直之      帝京大学医学部 内科学講座
塚本 和久      帝京大学医学部 内科学講座 教授

要旨
 高・低比重リポタンパク(LDL)血症以外の,いわゆる動脈硬化残余リスクの1つとして,高レムナント血症が注目されている.食後の高TG血症が冠動脈リスクとなることを示す観察研究などを踏まえ,食後高TG血症の主因であるカイロミクロン(CM)レムナントの生成,CMレムナントの代謝や動脈硬化への関与の機序,CMレムナントの臨床検査法について概説する.

キーワード
カイロミクロン レムナント 食後高TG血症 アポB-48

目次に戻る



第2章 病因・病態生理
レムナントリポタンパクと動脈硬化

中村 貴光       山梨大学医学部 循環器・呼吸器内科
久木山 清貴      山梨大学医学部 循環器・呼吸器内科 教授

要旨
 TGを多く含むリポタンパク(TG?richリポタンパク)の中でも,レムナントリポタンパクは強い動脈硬化惹起作用を有することが,今日までの研究で明らかになってきている.低比重リポタンパクコレステロール(LDL?C)低下療法後の心血管イベント残余リスクの1つとして,レムナントリポタンパクが関連することも分かってきており,動脈硬化予防における新たな治療ターゲットとして,レムナントリポタンパクが重要と考えられる.

キーワード
レムナントリポタンパク 動脈硬化 冠動脈疾患 残余リスク

目次に戻る



第2章 病理・病態生理
高TG血症とインスリン抵抗性

平野 勉       昭和大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科学部門 教授

要旨
 インスリンは,TG代謝において中心的な役割を果たすホルモンである.脂肪酸動員を阻害して血中遊離脂肪酸(FFA)を減少させ,肝細胞内でのアポリポタンパクB分解を促進,ミクロソームTG転送タンパク(MTP)を抑制することによって超低比重リポタンパク(VLDL)産生を抑制する.肝臓における新規脂質生成(DNL)はインスリンによって刺激され,肝臓におけるTGの貯蔵およびVLDLの分泌を促進するが,インスリン抵抗性はDNLを減弱させない.本稿では,VLDLおよびTG代謝における高インスリン血症とインスリン抵抗性の違いにフォーカスし,インスリン抵抗性による高TG血症の病態生理について解説する.

キーワード
TG インスリン 糖尿病 脂肪酸 アポリポタンパクB

目次に戻る


第2章 病因・病態生理
高TG血症とHDL代謝
佐々木 誠
      所沢市市民医療センター 内科
             防衛医科大学校 神経・抗加齢血管内科
池脇 克則      防衛医科大学校 神経・抗加齢血管内科 教授

要旨
 高TG血症における低高比重リポタンパクコレステロール(HDL?C)血症は,リポタンパクリパーゼ(LPL)活性低下,コレステロールエステル転送タンパク(CETP)による転送反応亢進,TGリッチHDLのリモデリングにより,主にHDL代謝の亢進が原因と考えられている.しかし,高TG血症における脂質代謝の変化はまだ全容が解明されておらず,HDL代謝・機能に対する影響も不明な点が多い.今後,この分野のさらなる発展が期待される.

キーワード
高TG血症 低HDL血症 心血管疾患 コレステロール搬出反応 HDL代謝亢進

目次に戻る



第2章 病因・病態生理
SREBPによる脂質代謝調節
島野 仁 
      筑波大学医学医療系 内分泌代謝・糖尿病内科 教授

要旨
 脂質合成転写因子ステロール調節エレメント結合タンパク(SREBP)は,脂質代謝を合成の側から支配する.例えば脂肪酸やTG合成の転写因子SREBP?1cは,肥満や脂肪肝などのように栄養臓器の過栄養病態脂肪毒性において活性化して病態に関与する.脂質代謝に限らず,トランスオミクスなど網羅的解析によりシステムバイオロジー的に俯瞰すると,oncogenicシグナルや炎症免疫シグナル,時計遺伝子を介した概日リズムなど,さまざまな病態においてもSREBPが重要なnodeで抽出されてくることが多い.細胞のコレステロールや脂肪酸の合成を制御するSREBPは,あらゆる生命現象に深く関与していることを物語っている.

キーワード
SREBP リポジェネシス 脂肪酸 TG ステロール制御

目次に戻る



第2章 病因・病態生理
多臓器連関による脂質代謝調節
矢作 直也
      筑波大学医学医療系 内分泌代謝・糖尿病内科 准教授

要旨
 従来,肝臓や脂肪組織などのエネルギー代謝臓器は,インスリンやグルカゴンなどの古典的な代謝調節ホルモンの作用を介して代謝的に連動するものと考えられてきたが,それ以外にも細やかな臓器間コミュニケーションが行われていることが近年分かってきた.自律神経系やエネルギー代謝臓器自身が産生する液性因子を介した調節機構というfine tuningも重要な役割を担っているものと考えられ,創薬起点としても期待されている.
キーワード
臓器間コミュニケーション 自律神経 液性因子 創薬

目次に戻る



第2章 病因・病態生理
脂肪組織線維化の制御メカニズム
木村 真一郎
    九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学分野
            名古屋大学環境医学研究所 分子代謝医学分野
園田 紀之     九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学分野 講師
小川 佳宏     九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学分野 教授
            東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 分子細胞代謝学分野 教授

要旨
 肥満の脂肪組織では,脂肪細胞とマクロファージを中心とする炎症細胞が液性因子を介して相互作用することにより慢性炎症を来し,正常な修復機転が働かず,病的な組織線維化へと至ることが明らかとなっている.本稿では,これまでに解明されてきた脂肪組織の慢性炎症惹起メカニズムと,それに引き続く線維化や異所性脂肪蓄積について概説するとともに,治療展望について述べる.

キーワード
肥満 脂肪組織線維化 慢性炎症 王冠様構造 異所性脂肪蓄積

目次に戻る



コラム
抗GPIHBP1抗体による高TG血症
村上 正巳
   群馬大学大学院医学系研究科 臨床検査医学 教授

目次に戻る



第3章 診断
TGの測定法と標準化
三井田 孝
     順天堂大学大学院医学研究科 臨床病態検査医学 教授

要旨
 TGは,グリセロールに3分子の脂肪酸が結合した化合物である.TGを加水分解して得られるグリセロールを定量し,トリオレイン換算でTG値を表示する.我が国では血中の遊離グリセロールを消去してからTGを測定しているが,欧米では遊離グリセロールもTG値に含めている.血中遊離グリセロール濃度は,脂肪組織との関連が強く,国際標準化において遊離グリセロールをTG値に含めるべきか議論が必要である.

キーワード
食後高脂血症 グリセロール 標準化

目次に戻る



第3章 診断
原発性高TG血症の鑑別診断の進め方
石橋 俊 
       自治医科大学内科学講座 内分泌代謝学部門 教授

要旨
 主な原発性高TG血症には,原発性高カイロミクロン血症,家族性複合型高脂血症(FCHL),家族性Ⅲ型高脂血症がある.原発性高カイロミクロン血症は急性膵炎の,FCHLと家族性Ⅲ型高脂血症は冠動脈疾患などの動脈硬化性疾患の発症リスクとなるため,的確な診断が必要になる.家族性Ⅲ型高脂血症は,直接法で測定した低比重リポタンパクコレステロール(LDL?C)は増加しないため,TG値と同時に総コレステロール(TC)値の測定が必須である.

キーワード
TG カイロミクロン 超低比重リポタンパク レムナント アポE

目次に戻る



コラム
TG蓄積心筋血管症(TGCV)-TGCV重症度スコアの開発-
橋本 千佳子     大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科
平野 賢一       大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科

目次に戻る



第4章 管理・治療
高TG血症の管理と治療 1.食事指導
丸山 千寿子
    日本女子大学家政学部 食物学科 教授

要旨
 高TG血症の食事療法では,インスリン抵抗性を改善し,脂肪酸の合成抑制と分解の亢進を図る.具体的には糖質,脂質,アルコールの摂取を控え,魚油を充足させる.食品は,アルコール,菓子類,精製穀類,糖類,甘味料,甘い果物,油脂,脂身の多い肉類などの過剰摂取を避け,魚を摂取する.穀類は未精製とし,野菜,海藻,きのこ,こんにゃくなどの低エネルギーで食物繊維とビタミン,ミネラルを供給する食品を増やす.

キーワード
アルコール 糖質 油脂 魚 日本食

目次に戻る



第4章 管理・治療
高TG血症の管理と治療 2.運動療法
勝川 史憲
    慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター 教授

要旨
 高TG血症に対する運動の効果は,長時間(約24時間)持続し,食後も効果が認められる.運動による改善機序は,骨格筋局所の運動に伴うリポタンパクリパーゼ(LPL)活性の上昇と,エネルギー消費量増加による超低比重リポタンパク(VLDL)?TGの分泌減少が想定されている.また,運動とは別に座位行動時間(運動強度1.5METs以下)とTG高値の関連も指摘されており,座位行動の減少にも配慮が必要である.

キーワード
食後高TG血症 リポタンパクリパーゼ エネルギー出納 高強度間欠的運動 座位行動
目次に戻る



第4章 管理・治療
高TG血症の管理と治療 3.治療薬剤 1)フィブラート系
増田 大作
      りんくう総合医療センター りんくうウェルネスケア研究センター センター長
             りんくう総合医療センター 健康管理センター 副センター長
             りんくう総合医療センター 循環器内科部長

要旨
 TGは虚血性心疾患の独立した危険因子であるが,高ければ高いだけ高リスクというわけではなく,背景に存在するリポタンパク異常,特に動脈硬化惹起的なレムナントの蓄積が重要である.フィブラート系薬は,核内受容体であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)αを刺激することにより,多くの動脈硬化関連リスクに対して有効性を示す.近年開発の選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα)は,選択性向上による高用量投与と副作用リスク軽減により,さらなるイベント改善効果が期待される.

キーワード
TG フィブラート 選択的PPARαモジュレーター レムナント アポB-48

目次に戻る



第4章 管理・治療
高TG血症の管理と治療 3.治療薬剤 2)多価不飽和脂肪酸
森 健太 
      神戸大学医学部附属病院 総合内科
乙井 一典      神戸大学医学部附属病院 総合内科
平田 健一      神戸大学大学院医学研究科内科学講座 循環器内科学分野 教授

要旨
 ω?3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)は,肝臓においてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)αを活性化し,脂質合成系の調節にかかわる転写因子ステロール調節エレメント結合タンパク(SREBP)1cを抑制,脂肪酸合成および超低比重リポタンパク(VLDL)産生を抑制することで,TGを低下させる.近年の疫学研究からは,ω?3系PUFA摂取における血管イベント抑制効果は懐疑的な意見が多いが,低比重リポタンパク(LDL)低下療法におけるスタチン投与に加えて,ω?3系PUFAを摂取することで,さらなる心血管イベント抑制効果が期待される.

キーワード
高TG血症 ω-3系多価不飽和脂肪酸 エイコサペタエン酸 ドコサヘキサエン酸 ω-6系多価不飽和脂肪酸

目次に戻る



第4章 管理・治療
高TG血症の管理と治療 3.治療薬剤 3)スタチン
吉田 博 
      東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座 教授
            東京慈恵会医科大学附属柏病院 副院長,中央検査部長
            東京慈恵会医科大学大学院 代謝栄養内科学 教授

要旨
 スタチンは,動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の初発・再発予防の治療において,最も重要な脂質異常症治療薬の1つである.主たる低比重リポタンパク(LDL)コレステロール作用などにより,数多くの冠動脈疾患発症予防のエビデンスが蓄積されており,特にASCVDハイリスク例においてはスタチンを用いた積極的なLDLコレステロール低下療法が考慮される.しかしながら,スタチンを用いたLDLコレステロール低下によるASCVDリスクは約40%低下する程度であり,残存するリスク(残余リスク)がいまだに課題となっている.その要因の1つとして高TG血症があり,LDLコレステロールの低下とともに高TG血症の管理が推奨される.スタチンは,LDLコレステロールのみならずTGも低下するが,特に第3世代のストロングスタチンはTG低下作用が明確に認められ,ASCVDのリスク低下に,より有用であると期待される.

キーワード
高TG血症 残余リスク スタチン 動脈硬化性心血管疾患 リポタンパク分画(HPLC法)

目次に戻る



第4章 管理・治療
高TG血症の管理と治療 3.治療薬剤 4)エゼチミブ
京原 麻由
       横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学
寺内 康夫       横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授

要旨
 エゼチミブは,腸管上皮のコレステロールトランスポーターであるNiemann-Pick C1-like 1(NPC1L1)に作用して,コレステロール吸収を阻害することで血清脂質を改善する.主に高low-density lipoprotein(LDL)コレステロール血症に対し用いられるが,エゼチミブは食後高TG血症を改善し,また,フィブラート系薬剤との併用療法は,LDLコレステロールとTGを同時に強力にコントロールする効果的な組み合わせである.今後,動脈硬化リスク抑制のエビデンスのさらなる蓄積が期待されている.

キーワード
エゼチニブ 食後高TG血症 フィブラート

目次に戻る



第4章 管理・治療
高TG血症に関連する疾患の管理と治療 1.急性膵炎
永山 大二
         永山医院 内科 新小山市民病院 糖尿病・代謝内科
武城 英明        東邦大学医療センター佐倉病院 臨床検査部 教授
龍野 一郎        東邦大学医療センター佐倉病院 糖尿病・内分泌・代謝センター 教授

要旨
 本邦の急性膵炎発生数は年間49人/10万人(男女比2:1)で近年増加傾向にあり,主な成因として男性は飲酒(約50%),女性は胆石(約40%)が挙げられる.脂質異常(Ⅰ/Ⅴ型)による急性膵炎(HTGP)の頻度は全体の1.8%で,リポタンパクリパーゼ(LPL)およびアポリポタンパクAⅤ(ApoAⅤ)の遺伝子変異がその背景因子として重要である.特有の対処法を要するHTGPの診療では,糖尿病や妊娠などのリスク管理に加え,これら因子を把握することが望まれる.

キーワード
急性膵炎 Ⅰ/Ⅴ型脂質異常 リポタンパクリパーゼ アポリポタンパクAⅤ

目次に戻る



第4章 管理・治療
高TG血症に関連する疾患の管理と治療 2.NASH/NAFLD
竹田 安孝
     旭川医科大学内科学講座 病態代謝内科学分野
太田 嗣人     旭川医科大学内科学講座 病態代謝内科学分野 教授

要旨
 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の管理・治療の基本は,食事療法や運動療法といった生活習慣の改善である.2型糖尿病,脂質異常症,高血圧などの基礎疾患や併存疾患がある場合には,これらを標的とした薬物療法および抗酸化療法,およびそれらの併用療法を行い,メタボリックシンドロームの制御,肝病変の進展阻止に努める必要がある.

キーワード
非アルコール性脂肪性肝疾患 インスリン抵抗性 ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体 カロテノイド スルフォラファン

目次に戻る



第4章 管理・治療
高TG血症に関連する疾患の管理と治療 3.慢性腎臓病(CKD)
荒井 秀典
       国立長寿医療研究センター 病院長

要旨
 慢性腎臓病(CKD)においては,高TG血症,低高比重リポタンパク(HDL)コレステロール血症に加え,レムナントの増加,低比重リポタンパク(LDL)の小型化が起り,動脈硬化性疾患発症のリスクが高くなる.CKDに合併した脂質異常症治療のためには,食事療法とともに薬物治療を行うことにより,心血管疾患(CVD)の予防に努めることが重要である.薬物治療薬としてスタチンが第1選択薬となるが,腎機能に注意して,フィブラート系薬を使用する.

キーワード
HDLコレステロール レムナント インスリン抵抗性 フィブラート ペマフィブラート

目次に戻る



第4章 管理・治療
各病態における高TG血症の管理 1.原発性高TG血症治療の現状と新薬開発状況
小倉 正恒 
       国立循環器病研究センター研究所 病態代謝部 室長
和田 郁人        国立循環器病研究センター研究所 病態代謝部 特任研究員
斯波 真理子       国立循環器病研究センター研究所 病態代謝部 部長

要旨
 原発性高TG血症は,TGの合成過程および異化過程が遺伝的に障害されて発症する.反復する膵炎や早発性冠動脈疾患の原因疾患であり,早期診断と適切な治療・管理が必要である.リポタンパクリパーゼ(LPL)欠損症に対するアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子治療が欧州で認可されたものの,すでに撤退した.現在アポCⅢに対するアンチセンス薬の開発が進んでいる.アフェレシスやミクロソームTG転送タンパク(MTP)阻害薬などの,現在使用可能な治療法も候補となるが,保険適応ではない.

キーワード
原発性後カイロミクロン血症 膵炎 中鎖脂肪酸 遺伝子治療 アンチセンス医薬


目次に戻る



第4章 管理・治療
各病態における高TG血症の管理 2.糖尿病・メタボリックシンドローム
武田 健治 
        千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学
               千葉大学医学部附属病院 糖尿病・代謝・内分泌内科
石川 耕         千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学
               千葉大学医学部附属病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 診療講師
横手 幸太郎      千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学 教授
               千葉大学医学部附属病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 教授

要旨
 糖尿病とメタボリックシンドロームは動脈硬化を引き起す危険因子である.いずれもインスリン抵抗性を主因とし,高TG血症を伴うことが多い.高TG血症の治療は個々に合わせた食事・運動療法が有効であるが,必要に応じて薬物療法が選択される.新規フィブラート系薬剤であるペマフィブラートが発売され,多価不飽和脂肪酸の有用性については大規模臨床試験としてSTRENGTH試験,REDUCE-IT試験が進行中であり,注目されている.

キーワード
高TG血症 メタボリックシンドローム 2型糖尿症 フィブラート系薬剤 EPA製剤


目次に戻る