最新医学55巻3月増刊号(絶版売切)

要旨


虚血性心臓病−狭心症−

平川 洋次*  竹下 彰**

* 九州大学医学部 循環器内科 ** 同 教授

要旨

 狭心症の治療は,1. 抗狭心症薬・抗血小板薬・抗高脂血症薬などによる薬物療法,2. 経皮的冠動脈形成術(PTCA),3. 冠動脈バイパス術(CABG)の3つに大別される.これらの選択の基準についてこれまで多くの大規模臨床試験が行われ,それに基づいた evidence が明らかにされている.実際の治療においては,evidence を踏まえたうえで個々の症例に応じた最適の治療法を選択することが重要である.


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虚血性心臓病−急性冠症候群−

諸井 雅男*  山口  徹**
* 東邦大学大橋病院 第三内科 ** 同 教授

要旨
 不安定狭心症や急性心筋梗塞および虚血性心臓突然死は,冠動脈プラーク(粥腫)の破綻に引き続き,血栓の形成,それによる冠動脈内腔の閉塞および冠攣縮により引き起こされると考えられている.このため発生機序からこれらの疾患を一括して急性冠症候群と呼ぶ.プラークの破綻が引き金となるため,その予防にはプラークの安定化が重要となる.一度破綻したプラークに対しては,病態に応じて,血栓溶解療法や抗血小板療法と併用した冠動脈形成術,ステント留置が有効である.さらにその後の長期薬物療法や患者教育による冠動脈危険因子の排除が再発作の予防に有効である.

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高血圧治療

猿田 享男
慶應義塾大学医学部内科教授

要旨
 高血圧症の治療に関しては,evidence に基づいた治療ガイドラインとして,米国合同委員会による第VI次報告(JNC-VI)および WHO/ISH 委員会によるガイドラインの2つが発表されている.我が国における高血圧治療に関する evidence も着実に集まりつつあり,我が国における高血圧治療のガイドラインも作成中であるが,それが公表されるまでは,JNC-VIあるいは WHO/ISH ガイドラインに基づいて高血圧治療を行っていくのが良いと考える.

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心不全

篠山 重威

京都大学大学院医学研究科 循環病態学講座 教授

要旨
 心不全の治療は,患者の QOL の改善と生命の延長を目的として行われている.現在,心不全の基本的治療薬はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬である.最近,アルドステロン受容体拮抗薬の併用が予後の改善を増大することや,アンジオテンシンIIタイプ1受容体(AT1-R)拮抗薬の位置づけが話題になっている.ベータ遮断薬の有効性は次第に確立され,ACE 阻害薬と並んで心不全治療の中心的存在になりつつある.これに加えて,心不全に免疫機序の関与が提唱されており,新しい治療の展開が期待されている.

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不整脈

田原 聰子* 小川 聡**
* 慶應義塾大学医学部 呼吸器循環器内科 ** 同教授

要旨
 不整脈に対する薬物療法は近年大きく変化し,不整脈の発生機序に基づいた抗不整脈薬の選択が主流になった.一方さまざまな大規模臨床試験により,抗不整脈薬の生命予後に対する影響も明らかにされてきた.特に心室性不整脈については基礎疾患,心機能の違いはあるものの数々の大規模臨床試験が施行され,有効性のある薬剤としてアミオダロン,dl-ソタロール,ベータ遮断薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬が有力視されることとなった.

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心筋症,心筋炎

中山 博之*1 大津 欣也*1 葛谷 恒彦*2 堀 正二**1
*1 大阪大学医学部 病態情報内科 **1 同 教授 *2 同 病理病態学 助教授


要旨
 心疾患の治療目標は,患者の自覚症状の軽減と予後の改善である.自覚症状に対する肥大型心筋症の治療の有効性は確立されつつあるが,各治療の予後の改善効果についての評価は未だ不十分である.拡張型心筋症については,幾つかの心不全治療薬の有効性は証明され,今後はより重症例対する治療法について検討が必要である.拘束型心筋症はまれな疾患であり,治療についての evidence は確立していない.心筋炎の治療は現在対症療法が主であり,原疾患に対する治療法が検討されている.

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急性肺血栓塞栓症,肺高血圧症


太田 雅弘* 中村 真潮** 山田 典一* 中野 赳**
* 三重大学医学部 第一内科 ** 同 教授


要旨
 急性肺血栓塞栓症の治療をめぐる近年の話題としては,抗凝固療法としての低分子ヘパリンの有用性,慢性期のワルファリンによる抗凝固療法の継続期間,再発予防における下大静脈フィルターの有用性などが挙げられる.また原発性肺高血圧症ではカルシウム拮抗薬,プロスタグランジン I2 などの血管拡張療法により生命予後を改善するとの報告がある.本稿ではこれら肺塞栓症,肺高血圧症の evidence に基づいた内科的治療法に関し,近年注目されている治療法を含めて解説する.


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脳 卒 中

大星 博明* 藤島 正敏**
* 九州大学大学院医学系研究科病態機能内科 ** 同 教授

要旨
 血栓溶解薬などの新しい治療薬の発達により,脳梗塞急性期の新しい治療法が開発され,大規模臨床試験で確立されつつある.したがって,脳卒中を救急疾患ととらえ(brain attack),速やかに専門施設で診断を確定し,臨床病型に応じた治療を開始することが望ましい.無作為化された比較成績のない脳卒中急性期降圧治療や外科手術の適応,低体温療法などについて,今後の検討が望まれる.


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再生不良性貧血


中条 達也*  中尾 眞二**
* 金沢大学医学部第三内科 ** 同 教授

要旨
 再生不良性貧血(AA)に対しては,抗胸腺細胞グロブリンとシクロスポリンの併用療法が HLA 一致ドナーからの骨髄移植とほぼ同等の効果を示すという evidence が蓄積されつつある.ただし免疫抑制療法では,2次性の骨髄異形成症候群や白血病の発症リスクが高いので,どちらの治療法を選ぶかについては,年齢と重症度を十分考慮して決める必要がある.本邦では欧米に比べて,30 歳以上の患者における血縁ドナーからの移植成績や,非血縁ドナーからの移植成績が優れていることが特徴である.この点を考慮した,我が国の AA 患者に対する治療のガイドラインを示した.


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骨髄異形成症候群


堀田 知光
東海大学医学部血液リウマチ内科 教授


要旨
 骨髄異形成症候群(MDS)は,血液疾患の中で治療の標準化が最も進んでいない疾患の1つである.MDS は血球減少が顕著なものから芽球の増加を伴い白血病に近接するものまでの幅広いスペクトラムを形成する症候群であるため,治療対応は患者の年齢やリスク分類によって選択する必要がある.低リスク群で血球減少が顕著でない例は無治療で観察し,病勢の進行がみられた段階で治療を行なっても遅くはない.一方,低リスク群でも血球減少が進行する場合にはサイトカインやアンドロゲンによる造血刺激療法を考慮する.中間リスク群で血球減少が主体の例は免疫抑制療法が注目されている.一方,芽球増殖を伴う中間リスク例には少量化学療法や分化誘導療法を選択し,若年者の高リスク群はドナーがあれば同種骨髄移植が根治療法となる.高リスク群で造血幹細胞移植の条件の整わない例には,少量化学療法もしくは急性白血病に準じた多剤併用化学療法で寛解導入を行う.

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慢性骨髄性白血病

浦部 晶夫
NTT 関東病院 血液内科部長


要旨
 慢性骨髄性白血病の主要な治療方法は,骨髄移植(BMT)とインターフェロン(IFN)療法である.患者の年齢が若く,同胞に HLA 適合ドナーがいれば BMT が適応になる.その他の場合は IFN 投与が第1選択になる.


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急性骨髄性白血病


大野 竜三
浜松医科大学第三内科 教授


要旨
 急性骨髄性白血病は近年の化学療法や造血幹細胞移植療法の進歩により治癒可能な疾患となり,より高率の治癒を目指した治療の改良が続けられている.治癒を得るためには,できる限り強力な治療が良いことを,これまでの白血病治療の歴史が evidence として教えてきたが,急性前骨髄球性白血病において驚異的に高い寛解率と治癒率の得られる分化誘導療法は,必ずしも強力療法のみが治癒を得るための治療手段ではないことも教えている.

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急性リンパ性白血病


上田 孝典** 福島 俊洋*
* 福井医科大学 第一内科 ** 同 教授


要旨
 成人急性リンパ性白血病治療の現況をみると,多剤併用化学療法による寛解率は約 80% に達したが,大部分は再発し,長期生存者は 20〜30% に過ぎない.治療成績の向上のためには,染色体,年齢,白血球数,治療反応性を中心とした予後因子の解析による層別化を行い,予後不良群には積極的に同種幹細胞移植を導入する.B細胞性急性リンパ性白血病(FAB L3)には独自の強力治療を行う.画期的新薬・細胞治療の導入も期待される.

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非 Hodgkin リンパ腫


飛内 賢正
国立がんセンター中央病院特殊病棟部13B 病棟医長


要旨
 限局期 aggressive lymphoma(中高悪性度非 Hodgkin リンパ腫)に対する標準的治療は CHOP 療法と局所放射線治療の併用であり,進行期 aggressive lymphoma に対する標準的治療は CHOP 療法である.また,救援化学療法が奏効した aggressive lymphoma の初回再発例では,自家造血幹細胞移植併用大量化学療法が第1選択である.これらは複数の無作為化対照試験によって証明された質の高い evidence である.evidence based medicine(EBM)を確立するためには,よく計画された臨床試験の実施が必要である.

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Hodgkin病

野口 雅章* 押味 和夫**
* 順天堂大学医学部 血液内科 ** 同教授


要旨
 Hodgkin 病(HD)は初発時は予後良好だが,再発時や治療抵抗性になると予後不良となる.早期(病期I,II)の HD の治療は,放射線療法(拡大照射等)と毒性が少なく効果のある化学療法(ABVD 等)の併用で 80% 以上治癒する.進行期(病期III,IV)には,ABVD 療法を6から8サイクル行うが,50〜60% しか治癒しないので,放射線療法との併用,多剤併用療法,大量化学療法後の自家造血幹細胞移植等が必要になる.

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多発性骨髄腫

和田 眞紀夫
東京女子医科大学 血液内科


要旨
 多発性骨髄腫の治療として試みられた多くの多剤併用療法は,従来の MP 療法に勝るものではなかった.VAD 療法以降に ROAD-IN 療法などの新しい薬の組み合わせによる治療が試され,良好な成績が得られつつある.比較的若い症例には自家幹細胞移植が有効であるが,治癒は見込めそうにない.同種骨髄移植は治療関連死が多くて実際的ではないが,強い前処置を省いた mini-transplant が有望である.

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特発性血小板減少性紫斑病

檀  和夫
日本医科大学第三内科 教授


要旨
 特発性血小板減少性紫斑病の治療の進め方について,アメリカ血液学会の実地ガイドラインおよび我が国の厚生省研究班が提唱する治療指針を中心に evidence とともに述べた.治療適応の決定に関しては明確な evidence はないが,出血症状の程度と血小板数で判断する.治療法の選択に関しては標準的治療として副腎皮質ステロイド療法,摘脾療法が推奨される.これらの治療に不応の場合には免疫抑制薬をはじめとしてさまざまな治療法が報告されているが,それらの治療法の選択基準,選択順序に関する evidence はない.

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播種性血管内凝固症候群

丸山 征郎
鹿児島大学医学部臨床検査医学講座 教授


要旨
 播種性血管内凝固症候群(DIC)は何らかの重篤な基礎疾患により,続発的に「持続的な血管内凝固」が惹起され,結果,血栓による虚血性臓器不全と,凝固因子/血小板の消耗により出血を来す重層的複合シンドロームである.そのためにその治療にも,原疾患,凝固阻止,消耗性の血小板,凝固線溶因子の補充など,重層的なものが要求され,かつその効果判定もどこにエンドポイントを持ってくるか,の問題がある.したがって現在のところ,メタアナリシスに耐えうるような無作為化対照試験などはない.そこで本稿では,現在問題となっている DIC の診断の evidence に触れ,次いで抗凝固療法,補充療法の evidence について述べた.

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H. pylori 除菌による潰瘍・がん発生阻止

藤岡 利生
大分医科大学第二内科 助教授


要旨
 H. pylori 除菌治療による消化性潰瘍と胃がんの発生阻止について,ガイドラインを中心にその適応について述べた.消化性潰瘍については,胃潰瘍,十二指腸潰瘍を問わず再発予防効果に強い evidence がある.しかし,除菌治療による胃がんの発生予防効果は未だ十分な evidence が得られていない.

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B型肝炎ウイルス治療と肝硬変・がん発生阻止

池田 健次 熊田 博光
虎の門病院消化器科


要旨
 病理学的に確定診断したB型慢性肝炎・肝硬変を前向き(prospective)に長期経過観察し,肝硬変進行率・肝細胞がん発がん率を検討した.さらに,これら病変進行率・発がん率を左右する要因を多変量解析で求めた.B型肝硬変治療の遡及的(retrospective)な解析から,インターフェロン(IFN)治療が発がん率を有意に低下させることが判明し,無治療群・治療群の背景を標準化した解析でも IFN の発がん抑制効果が明らかになった.

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C型肝炎ウイルス治療と肝がん発生抑止

白鳥 康史
東京大学医学部附属病院消化器内科 講師


要旨
 C型肝炎ウイルス(HCV)感染では慢性化の道をたどり,次第に肝病態が進展し,肝硬変・肝発がんに至る.本邦では肝がんの 80% が HCV 感染を背景とし,各線維化ステージの進行により肝発がんリスクが増大する.最近,多くの遡及的(retrospective)研究からインターフェロンなどの抗ウイルス療法によるウイルスの駆除や肝炎の鎮静化は肝発がんのリスクを低下させる.今後,前向き(prospective)研究により,より正確にC型肝炎に対する抗ウイルス療法の発がん抑止効果を明らかにする必要がある.

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大腸ポリペクトミーとがん発生阻止

工藤 進英* 今井 靖   為我井 芳郎   山野 泰穂
日下 尚志  作左部 大  木暮 悦子  松田 知己  成澤 亜古
富松 英人  中原 貴子  西岡 千晴  森田 圭紀  原 栄志

秋田赤十字病院胃腸センター * 同 部長


要旨
 以前は発見される病変のほとんどが隆起型腫瘍であったが,近年になり陥凹型や側方発育型腫瘍が数多く発見されるようになり,特に陥凹型腫瘍において腫瘍径のごく小さな段階から担癌率,sm 癌率が極めて高いことから,進行癌に至るルートのほとんどが隆起型腫瘍であるというこれまでの定説に疑問が呈されている.したがって大腸の検査を行うに当たり,これらの病変の存在を強く念頭に置く必要がある.なるべく早期に病変を発見し,内視鏡的に特に拡大内視鏡を用いた pit pattern 診断で,粘膜内癌,粘膜下軽度浸潤癌と推定される場合には,速やかに内視鏡的切除を試みるべきである.また,非腫瘍性病変や腺腫が極めて強く推定される場合には,経過観察とすることも可能であろうと考える.

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消化器がんの抗がん薬療法と予後−胃がん−

岡 政志  一瀬 雅夫*  矢作 直久  松原 康朗  加藤 真子
建石 綾子  辻 正弘  城戸 正開  清水 靖仁  小俣 政男**

東京大学医学部消化器内科 * 同 講師 **同 教授


要旨
 胃がんの化学療法は,最も evidence based medicine が必要な分野であるにもかかわらず,倫理的側面から科学的な試験に徹しきれない問題がある.この点の克服のために,さまざまな工夫がなされている.最近では予後の改善に寄与するという報告が出てきている.

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消化器がんの抗がん薬療法と予後−大腸がん−

佐藤 温* 栗原 稔**
* 昭和大学附属豊洲病院消化器科 講師 ** 同 病院長


要旨
 抗がん薬治療の対象となる切除不能進行大腸がん患者の予後は大変に悪い.治療対象者がターミナルであることを認識して治療に当たらなければならない.標準的治療としてはフルオロウラシル(5-FU)単独あるいはロイコボリン(LV)/5-FU 併用療法であるが,近年塩酸イリノテカン(CPT-11)の登場により第1選択の治療法は CPT-11 を含んだ併用療法へと変わってきている.

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消化器がんの抗がん薬療法と予後−膵がん−

兵頭 一之介
国立病院四国がんセンター 内科医長


要旨
 膵がんに対する抗がん薬治療は,そのほとんどが極めて低い奏効率を示し,生存への寄与は疑問視されてきた.長らくフルオロウラシルが治療の根幹を成してきたが,最近,新規抗がん薬であるゲムシタビンの有用性が明らかにされ,今後は本薬とさまざまな薬剤との併用療法あるいは放射線との併用療法を含めた集学的治療に期待が寄せられている.

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肥満と肥満症

松澤 佑次
大阪大学大学院医学系研究科分子制御内科学(第二内科) 教授


要旨
 肥満は多くの重要な生活習慣病の発症基盤となっているが,これまで単なる危険因子とみられ,減量治療の必要性などは医療のレベルで必ずしも明確に規定されていなかった.我が国では,肥満の中から医師が肥満症という疾病単位を診断し,減量治療の必然性を明確にするクライテリアが最近確立された.本項では肥満と肥満症の違いを示し,日常診療における肥満へのアプローチを解説するものである.本症の診断基準の基盤となっている evidence は,[Level III]に当たる.

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1型糖尿病

今川 彰久*  花房 俊昭**
*大阪大学大学院医学系研究科 分子制御内科学(第二内科) ** 同 講師


要旨
 1型糖尿病の治療について,急性期(ケトアシドーシス)と慢性期(血糖コントロール)に分け,診療プロセスがどのような evidence に基づいたものかを示した.糖尿病ケトアシドーシスには,比較的緩やかな補液と経静脈的少量持続インスリン投与が有効であり,血糖コントロールには強化インスリン療法が有効であることが証明された.


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2型糖尿病

松島 雅人
東京慈恵会医科大学内科学講座第3,糖尿病代謝内分泌内科,総合診療室


要旨
 Canadian Medical Association が発表した糖尿病診療ガイドラインを参考に,2型糖尿病の診療プロセスがどのような evidence に基づいたものかまとめた.教育,食事療法などについては長期追跡による成績はなく,代用エンドポイントによっている.一方薬物治療に関しては,最近発表された UKPDS により,薬物による強化治療が合併症発生を抑制することが証明された.

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痛  風

山中 寿* 鎌谷 直之**
* 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 助教授 ** 同 教授


要旨
 高尿酸血症は痛風発症のリスクであり,痛風の長期罹患例では腎機能も低下する.血清尿酸値は冠動脈疾患の独立した危険因子ではないが,高血圧患者における血清尿酸値は危険因子である.現在行われている痛風の治療体系には evidence が不足しており,特に尿酸コントロール薬を長期間にわたり投与することの再評価が待たれている.

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高脂血症

寺本 民生
帝京大学医学部内科教授


要旨
 高脂血症の治療意義は動脈硬化予防にあることは,疫学的調査や基礎的研究により明らかにされた.また,高脂血症の発症機構も明らかにされ,その治療法もほぼ確立された.ここに至り,大規模な脂質介入試験が行われ,LDL 低下療法が初発・再発抑制に有効であることは明確に示された.トリグリセリドや HDL の介入効果も十分とは言えないが事実として示されつつある.高脂血症治療はほぼ evidence で固められた治療法と言えよう.

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