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最新医学55巻6月増刊号

要旨

注:アルファ、ベータ等のギリシャ文字は機種依存文字のため、HP上ではアルファベット(alpha,beta,etc)で表示しております。(本誌ではギリシャ文字です)


肺  炎

柳原 克紀* 河野 茂**

* 長崎大学医学部 第二内科 ** 同 教授


要旨

 肺炎は臨床医にとって,最も遭遇することが多い疾患の1つである.最近,ペニシリン耐性肺炎球菌に代表される耐性菌の出現に加えて高齢者などの免疫不全宿主の増加に伴い,治療は難しくなってきた.米国ではアメリカ胸部学会(ATS)とアメリカ感染症学会(IDSA)がガイドラインを発表している.また日本でも日本呼吸器学会が,1.重症度の判定,2.細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別,3.原因微生物の検索を骨子とした肺炎治療ガイドラインを発表した.これらガイドラインを中心に,evidence に基づく肺炎の治療について概説する.


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肺結核症

渡邊  尚
久留米大学医学部第一内科

要旨
 結核症に対する治療の第1目的は感染源の排除であり,そのためには排菌患者の早期診断,短期治療,患者教育,確実な服薬の確立である.1994 年,世界保健機構は直接監視下短期化学療法(DOTS)プログラムを掲げ結核患者発見率と治癒率の向上を目指した.日本では,厚生省が結核医療の基準を平成8年に改定し,ピラジナミドを加えた初期強化短期療法の導入を推奨した.その結果,早期の菌陰性化,それに伴う入院期間の短縮,再発例の減少が認められている.

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肺線維症

谷口 博之  近藤 康博
公立陶生病院呼吸器・アレルギー内科


要旨
 international consensus statement(ICS)を参考に,特発性肺線維症(IPF)の診断基準および推奨される治療方針についてまとめた.IPF は予後不良の疾患であり,診断には外科的肺生検にて 通常型間質性肺炎(UIP)所見の確認が重要である.ICS では,禁忌となる条件がなければできるだけ早期に治療を開始し,不可逆的線維化への進行を防止すべきとされるが,本邦では無治療が選択される場合も多い.現時点で生存や QOL を改善するという確実な evidence の得られた治療法はないが,ステロイド薬および免疫抑制薬が推奨される.

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BOOP・NSIP

長井 苑子

京都大学大学院医学研究科臨床器官病態学 呼吸器病態学 助教授


要旨
 原因不明の特発性 BOOP,特発性 NSIP は,いずれも従来予後極めて不良と考えられてきた特発性肺線維症(IPF)症例群の中から,比較的予後良好な症例群として見いだされてきた疾患群である.NSIP の予後は通常型間質性肺炎(UIP)よりはるかに良好であるが,BOOP よりは不良の傾向が報告されている.これらの疾患には,治療としてステロイド薬投与が行われているが,対症的・経験的投与であり,evidence based medicine(EBM)の立場からみれば,[Level V]の段階にとどまるものである.2次性 BOOP,2次性 NSIP については定まった見解はない.

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喘  息

泉 孝英
京都健康管理研究会中央診療所所長

要旨
 喘息の管理は,安定期と急性増悪期に大別される.安定期には,炎症の抑制を目的とする長期管理薬の投与が基本であり,急性増悪期には,気管支の拡張を図る速効救急薬が必要である.長期管理薬の第1選択薬は吸入ステロイド薬で,テオフィリン,抗ロイコトリエン薬が補助的に用いられる.速効救急薬としては,beta 2 刺激薬が用いられる.いずれの薬剤も,有効性・有用性について十分な根拠が示されており,喘息は evidence based medicine 医療の代表的疾患と評価される.

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呼吸不全

飛田 渉
東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座 助教授


要旨
 呼吸不全,特に慢性呼吸不全について evidence に沿った形で内科的治療を中心に述べた.最近相次いで,呼吸器疾患の診断と治療のための evidence besed medicine に基づいたガイドラインが提唱されている.慢性呼吸不全に対しては包括的な内科治療が必要であり,今後この治療体系が臨床で広く採用されるものと思われる.

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急性呼吸促迫症候群


金沢  実
埼玉県立循環器・呼吸器病センター


要旨
 急性呼吸促迫症候群(ARDS)では近年治療成績が改善している.その理由の1つは,高炭酸許容のような肺を保護する人工呼吸法のためと推測される.また薬物療法としては,副腎皮質ステロイドを ARDS の線維増殖期に用いる治療法が注目されている.いずれの治療法も,大規模な前向き無作為化研究によって効果を確認する必要がある.その他多くの抗炎症薬物療法が試みられたが,いずれも予後を改善する効果は得られなかった.


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肺 が ん

福岡 正博
近畿大学医学部第4内科教授


要旨
 限局型小細胞肺がんは,化学療法と放射線治療の併用によって明らかな治療成績の向上がみられた.進展型小細胞肺がんでは 1980 年以降の種々の化学療法戦略にもかかわらず,明らかな治療成績の向上はみられず,新しい抗がん薬に期待されている.非小細胞肺がんにおいても局所進行がんに対しては,放射線化学療法で著しい進歩が見られる.IV期症例においてはシスプラチンと新しい有効な抗がん薬の併用が新たな標準レジメンとなっている.


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胸 膜 炎


大野 彰二* 杉山 幸比古**
* 自治医科大学 呼吸器内科 講師 ** 同 教授

要旨
 浸出性胸膜炎の内科的治療をまとめた.がん性胸膜炎では原疾患に対する化学療法が原則であるが,胸腔ドレナージ後胸膜癒着術を施行することが基本である.結核性胸膜炎や肺炎随伴性胸水に対しては,診断確定後に可及的速やかに抗菌薬による全身化学療法を心掛る.胸膜炎ではコントロールをおいた対照試験は少なく,evidence based の治療が困難である.


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Basedow 病


赤水 尚史
京都大学医学部 臨床病態医科学 第二内科


要旨
 Basedow 病の甲状腺機能亢進症に対する治療には,抗甲状腺薬による内科的治療,放射性ヨード治療,外科的療法の3つがある.どの治療法を選択するかは,年齢,甲状腺腫の大きさ,症状や検査の程度,コスト,個人的な好み,社会や文化的背景などによって影響されており,地域による差が大きい.各国の甲状腺学会が集計したデータを中心にまとめた.我が国では,内科的治療が第1選択として施行されることが圧倒的に多く,次いで放射性ヨード治療,外科的療法の順である.

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Cushing 症候群

奈須下 亮*1 福田 祥子*2 須田 俊宏**2
*1 八戸市立市民病院 内分泌糖尿病科
*2 弘前大学医学部 第三内科 **2 同教授


要旨
 Cushing 症候群の根治療法は手術療法である.下垂体副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍による Cushing 病では,経蝶形骨洞的下垂体腺腫摘出術が第1選択であり,副腎腺腫による Cushing 症候群の場合は,一側副腎摘出あるいは腫瘍摘出術が選択される.手術適応のない症例,取り残した症例に対し放射線療法や薬物療法が補助的治療法として選択される.現在これらの疾患に対し,確実な効果を示す薬物療法はまだ確立されていない.


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褐色細胞腫


吉政 孝明*1  伊藤 裕*2 中尾 一和**2
*1 静岡市立静岡病院内分泌代謝科
*2 京都大学大学院医学研究科 臨床病態医科学第2内科 **2 同教授


要旨
 手術による腫瘍摘出が根治的である.薬物治療は降圧療法および術前処置として行う.alpha 遮断薬を基礎薬とし,beta 遮断薬や alpha beta 遮断薬を併用する.悪性褐色細胞腫に,CVD 療法(シクロホスファミド・ビンクリスチン・ダカルバジン)が試みられる.〔131 I〕m-ヨードベンジルグアニジン(131 I-MIBG)による治療も行われる.しかし予後は不良である.多発性内分泌腺腫症2型(MEN2)における褐色細胞腫の外科的治療方針としては,生化学的検査および画像診断により腫瘍の発生が明らかになった時点で,副腎全摘あるいは副腎亜全摘を行うべきであると考えられる.


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末端肥大症・巨人症


村上 宜男*  加藤 讓**
* 島根医科大学 第一内科 助教授 ** 同 教授


要旨
 末端肥大症治療の段階的な治療アプローチについて述べる.成長ホルモン過剰分泌に伴う諸症状を緩和し予後を改善するために,実地臨床では生化学的指標が用いられる.治療法の選択に際しては,患者の年齢,全身状態,末端肥大症の活動性や合併症,各治療法の有効性や副作用を考慮することが必要であり,それぞれの治療法の利点を組み合わせることによって臨床的効果を得ることが求められる.


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アルドステロン症


柴田 洋孝*1  猿田 享男*2
*1 慶應義塾大学保健管理センター 専任講師,同 医学部内科 兼担講師
*2 同 内科 教授,医学部長


要旨
 原発性アルドステロン症は,副腎皮質からのアルドステロン過剰産生により高血圧,低カリウム血症を呈する2次性高血圧の主要な疾患である.治療法では,まず病型分類,すなわち片側副腎病変か両側副腎病変であるかを確実に鑑別することが重要である.片側病変に対しては,腹腔鏡下副腎摘出術を中心とする外科的治療が根本治療となる.一方両側病変に対しては,抗アルドステロン薬およびカルシウム拮抗薬などの降圧薬治療が中心となる.

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尿崩症・SIADH

大磯 ユタカ
名古屋大学医学部 第一内科 助教授


要旨
 尿崩症(中枢性,腎性)およびバゾプレシン不適切分泌症候群(SIADH)は比較的まれな疾患であり,その治療法も限られている.しかし,治療による予後に関し不明な点も残されており,本稿では,SIADH の低ナトリウム血症の治療をめぐる議論などを中心に紹介する.

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副甲状腺機能亢進症・低下症

斎賀 美恵子* 井上 大輔* 松本 俊夫**
* 徳島大学医学部 第一内科 ** 同 教授


要旨
 副甲状腺疾患の治療目的は血清カルシウム値の是正に基づく諸病態の改善であり,具体的には副甲状腺機能亢進症では骨量減少や尿路結石の予防,副甲状腺機能低下症ではテタニー発作の予防やしびれ感の改善などが目標となる.
 現在,原発性副甲状腺機能亢進症(1°HPT)では病的副甲状腺の摘出が,副甲状腺機能低下症では活性型ビタミンD製剤の投与が,基本的治療法である.今後は,無症候性 1°HPT の手術適応や,細胞外カルシウム感知受容体の活性化変異に基づく‘高カルシウム尿性低カルシウム血症’の診断・治療などについて,明確な基準設定が求められる.

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プロラクチン産生下垂体腺腫

島津 章
国立京都病院 臨床研究部 部長


要旨
 プロラクチン産生下垂体腺腫の診断と治療の過程について,どのような evidence に基づいたものかをまとめた.高プロラクチン血症の原因疾患はさまざまであり,十分な鑑別診断が必要である.治療のゴールは高プロラクチン血症の是正と性機能の回復,腺腫の縮小,正常下垂体機能の回復などである.ブロモクリプチンを中心とする薬物療法が第1選択であるが,手術療法の適応についても一部言及した.

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甲 状 腺 が ん


清水 弘行*  森  昌朋**
* 群馬大学医学部第一内科講師 ** 同 教授


要旨
 甲状腺がんに関する内科的治療がどのような evidence に基づいて行われているかにつき,その現状をまとめてみた.内科的治療は,放射線治療以外には,乳頭状腺がん術後の甲状腺ホルモン投与と,髄様がんや悪性リンパ腫に対する化学療法が主体である.しかしながら,これらの長期的有効性を無作為化試験にて検証した報告や放射性ヨード療法以外の内科的治療に関する evidence は少なく,evidence based medicine に応用してゆくためにも evidence のさらなる蓄積が望まれる.

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慢性関節リウマチ

三森 明夫
埼玉医科大学 リウマチ膠原病科 助教授


要旨
 慢性関節リウマチの標準的な抗リウマチ薬治療では,寛解もあるが多くの場合,改善は不満足というのが現状である.本稿では,現在日本で使用される薬および抗マラリア薬について,信頼性の高いデータに基づきリウマチ治療薬の効能と限界を要約した.この限界の中でも,薬の使い方の工夫で関節予後は改善するかもしれない.症例と薬の適合性の選択,有効率の高い治療時期,複数併用の意義は検討すべき課題である.

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全身性エリテマトーデス

小椋 庸隆* 小池 隆夫**
* 北海道大学医学部 内科学第二講座 ** 同 教授


要旨
 全身性エリテマトーデスの治療の概略を示した.重症活動性腎炎に対してシクロホスファミド間欠的大量静注療法が試みられ,種々の対照試験により有効性が確認されている.中枢神経障害については,病態を考慮して治療法を選択する必要がある.抗リン脂質抗体症候群における血栓症に対しては抗血小板薬やワルファリンが再発予防に有効であり,習慣流産に対しては少量アスピリンに加え低分子ヘパリン投与が欧米では行われている.

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多発性筋炎・皮膚筋炎の治療

原  まさ子
東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター,青山病院教授


要旨
 多発性筋炎/皮膚筋炎の治療においては,対照試験により厳密に評価されたものは少ない.ステロイド大量療法が第1選択であるが,治療抵抗性のもの,間質性肺炎などの臓器障害を伴うもの,副作用でステロイド大量投与が続けられない症例に免疫抑制薬の併用が行われている.現在適応は認められていないが,gammaグロブリンの大量静注療法は無作為化対照試験が行われ,新たな治療法として期待できる治療法である.

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強 皮 症

近藤 啓文
北里大学医学部内科 教授


要旨
 強皮症の複雑な病態に対する治療効果の評価法が米国で確立し,それに基づいた臨床試験が行われている.しかし患者数が少ないので臨床試験は難しく,evidence based medicine に基づく治療は容易ではない.疾患修飾性治療薬で有効であることが証明された薬剤はない.有効とされていたD-ペニシラミンも,2年間にわたる臨床治験で有効性が証明できなかった.IFNgammaや免疫抑制薬にも限界がある.対症療法薬では,アンジオテンシン変換酵素阻害薬やプロスタグランジンI2 製剤が血管病変に有効である.

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血管炎症候群

吉田 雅治*1  小林 茂人*2 橋本 博史**2
*1 東京医科大学八王子医療センター腎臓科助教授
*2 順天堂大学膠原病内科講師 **2 同教授


要旨
 抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎症候群の evidence based medicine に基づく治療上,副腎皮質ステロイド薬,免疫抑制薬の有用性について,1998 年厚生省研究班全国調査による ANCA 関連血管炎症候群 237 例を対象として解析した.また文献調査による ANCA 関連血管炎症候群の治療に関する報告の吟味を行った.
 ANCA 関連血管炎症候群 237 例のうち,免疫抑制薬使用 148 例は非使用 89 例に比し有意に軽快例が多かった.(P<0.02).免疫抑制薬を使用した ANCA 関連血管炎症候群 19 例の平均 63% が寛解し,再発回数は 0〜1 回と少なく,寛解期間は 1〜96 ヵ月と長く,特に Wegener 肉芽腫症で極めて有用であった.ANCA 関連血管炎症候群の治療に関する文献調査の結果,副腎皮質ステロイド薬とシクロホスファミド(CPA)併用療法による血管炎の予後改善,および CPA 経口に比し CPA パルス療法の方が毒性が低い evidence が見いだされた.ANCA 関連血管炎症候群に対する免疫抑制薬投与の有用性が示唆された.

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てんかん

松橋 眞生*1 池田 昭夫*1 *2 柴崎 浩**1 **2
*1 京都大学医学研究科附属高次脳機能総合研究センター臨床脳生理領域 **1 同教授
*2 同脳病態生理学講座臨床神経学 **2 同教授


要旨
 抗てんかん薬の効果は経験的に認められ広く使用されているにもかかわらず,対照試験による裏づけは十分とは言い難かった.しかしここ 10 年ほど,新しい抗てんかん薬や手術療法などの開発に伴い,従来からの薬剤も含めた治療効果の分析が行われるようになっている.これは治療を進めるうえで我々の道しるべとなるが,その一方で患者の個人差や多様な社会背景にも気を配ったきめの細かい治療が求められている.

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Parkinson 病

澤田 秀幸  下濱  俊
京都大学大学院医学研究科 脳病態生理学講座臨床神経学(神経内科)


要旨
 Parkinson 病の治療の中心であるレボドパ(L-DOPA)は酸化ストレスを増大させる可能性が指摘されているが,L-DOPA 導入以後,患者の日常生活活動度(ADL)は大きく改善している.ドーパミンアゴニストは,病初期には単独でも治療効果が得られるが,長期的に単独治療が可能であるかどうかは明らかでない.しかし,L-DOPA との併用によりジスキネジアやオンオフ現象などの副作用が軽減すること,進行例でも併用療法が有効であることが示されている.モノアミンオキシダーゼB(MAOB)阻害薬も初期には単独治療が可能だが,長期的効果は明らかでない.また L-DOPA と併用した場合,オフ時間を短縮するなどの治療効果が明らかにされている.

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無症候性脳梗塞

宇高 不可思*1  澤田 秀幸*2 亀山 正邦**1
*1 住友病院神経内科主任部長 **1 同名誉院長 *2 京都大学神経内科


要旨
 無症候性脳梗塞が認められた場合,危険因子の検索と症候性再発の予防を行う.心房細動があり,心原性塞栓の場合は可能な限りワルファリンの投与を行う.アテローム血栓性の場合は危険因子を検索し,一過性脳虚血発作があったり高リスクの群では抗血小板薬を投与する.危険因子がほとんどない群では,抗血小板薬の投与はできるかぎり控える.最も頻度の高いラクナ梗塞の場合は夜間血圧をモニターし,高血圧の治療を行う.

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多発性硬化症

松井 真
国立療養所宇多野病院神経内科


要旨
 再発寛解型の多発性硬化症(MS)は,急性増悪期には大量メチルプレドニゾロン点滴静注(パルス療法)により治療されるが,寛解期の再発抑制には,経口ステロイド薬ではなく,IFN betaなどの免疫修飾薬の使用が本邦でも主流になると推定される.慢性進行性 MS は有効な治療法に乏しく,少量のメトトレキサート内服療法が推奨されている.長期継続可能な MS 治療法として,抗原特異的な免疫療法の実用化が待たれる.


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ジストニー

久堀  保
住友病院 神経内科


要旨
 眼瞼痙攣,痙性斜頸,書痙を中心とする特発性ジストニーの内科的治療を紹介した.薬物治療として,抗コリン薬,GABA 作動薬,クロナゼパム,抗ドーパミン薬などが用いられるが,十分な効果を望めない.一方,現在眼瞼痙攣に対し認可されているボツリヌス治療は高い有効性を示し,今後その他の局所性ジストニーに対しても第1選択薬になると思われる.


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Guillain-Barre 症候群,慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー

宮本 勝一  岡  伸幸
京都大学医学部 神経内科


要旨
 Guillain-Barre 症候群および慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)の治療法を evidence に基づいてまとめた.Guillain-Barre 症候群はできるだけ早期に治療を開始することが重要であり,単純血漿交換療法と免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)の有効性が確立されているが,後者は健康保険の適用外である.CIDP は IVIg が第1選択であるが,無効例や継続できない症例にはステロイド療法や血漿交換療法を順次施行する.

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髄 膜 炎

目崎 高広
榊原白鳳病院 名誉院長


要旨
 1.ウイルス性髄膜炎の治療は対症療法が主である.ヘルペスウイルスにはアシクロビルを用いる.2.細菌性髄膜炎の初期治療はアンピシリン+セフォタキシム(またはセフトリアキソン)を可及的早期に開始する.小児ではステロイド併用が望ましい.3.真菌性髄膜炎の初期治療はアムホテリシン-B+フルシトシンで行う.4.結核性髄膜炎の初期治療はイソニアジド+リファンピシン+ストレプトマイシン+ピラジナミド で行う.早期から開始する.ステロイドを併用する.

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多発性筋炎

中野  智
京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座臨床神経学


要旨
 特発性筋炎の疑いのあるときは,治療開始前に筋生検によって診断を確定すべきである.治療の第1選択薬はプレドニゾロンである.急速進行例,間質性肺炎合併例では,パルス療法も行われる.ステロイド抵抗性,ステロイドの維持量が多くなる場合,第2選択薬としてアザチオプリンをステロイドと併用する.そのほかの薬剤は第3選択薬である.治療に抵抗する場合,診断を再検討する必要がある.

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振戦・ミオクローヌス

広西 昌也*  近藤 智善**
* 和歌山県立医科大学神経内科 ** 同 教授


要旨
 振戦やミオクローヌスはタイプや原因疾患が多岐にわたっており,evidence level の高い臨床試験を行うのは難しい.むしろ薬剤に対する反応をすぐに観察でき,薬物治療によって患者に不可逆的な不利益を与える可能性も低いことから,ある程度試行錯誤を行って個々の患者に最適な治療を模索してゆくようなオーダーメイドの治療がふさわしい疾患であるが,本態性振戦ではbeta遮断薬での治療がスタンダードとなっている.

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