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最新医学57巻3号

特集要旨




アプローチ:形態と機能の融合


藤井正彦
神戸大学医学部附属病院中央放射線部副部長

要旨
 最近の画像診断の技術的進歩により,形態診断と機能診断を区別して考える必要がなくなりつつある.超音波検査では contrast harmonic imaging(CHI)法が,CT 検査では multi detector CT(MDCT)の開発が最も進歩した点である.MRI では,超高速撮像法と造影剤の併用により形態診断と機能診断の融合が進んでいる.

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[超音波の進歩:Tissue Harmonic Imaging と造影エコー]
肝・胆・膵疾患


平井都始子**  大石 元**  徳野恵津子*
高橋弥穂**  松尾祥弘* 伊藤高広**  吉川公彦***

* 奈良県立医科大学腫瘍放射線科・放射線科
** 同講師 *** 同教授

要旨
 肝・胆・膵領域におけるティッシュハーモニックイメージングと造影エコーについて,代表症例を示し概説した.ティッシュハーモニックイメージングは,アーチファクトの少ないコントラストの良い画像を提供し,特に肝・胆・膵疾患の拾い上げや形態診断に有用である.造影エコーは,造影 CT と同等あるいはこれを凌駕する血流検出能を有し,肝腫瘤性病変の質的診断や肝細胞がんの効果判定に有用である.新たな造影剤の臨床応用によりさらにその有用性が増すことが期待される.

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[超音波の進歩:Tissue Harmonic Imaging と造影エコー]
腎・尿路疾患における超音波検査の進歩−より詳細な精査への展開−


宮本幸夫**   北井里美*    上江洲左矢子* 成田賢一*  
佐久間 亨*    白川崇子*  中田典生*    入江健夫*    
福田国彦***   多田信平***
               
* 東京慈恵会医科大学放射線医学講座
** 同講師 *** 同教授

要旨
 超音波診断が腎・尿路疾患に果たした役割は,他のモダリティーを凌駕するほどに大きなものであることは従来よりよく知られている.一方,ここ数年の超音波診断における新しい技術や検査法の開発は超音波の歴史の中でも未曽有のものであり,超音波検査は腎・尿路疾患の画像診断において,まさに精査の主軸としての役割を担う新しい時代を築きつつある.実際この分野における進歩の速さは著しく,超音波診断を専門とする医師も努力を怠るとたちまち追いついていけなくなるほどの勢いである.本稿ではこうした現状を踏まえ,新しい超音波診断のトピックを中心に概説する.

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[CT の進歩:Multi Detector CT の臨床応用]
胸部疾患


足立秀治*1   遠藤正浩*1   門澤秀一*1 大林加代子*1   高田佳木*1  伊関嘉一*1 渡辺裕一*2   大野良治*2   
*1 兵庫県立成人病センター放射線科
*2 神戸大学大学院医学系研究科生体情報医学講座 放射線医学分野

要旨
 multi detector CT(MDCT)では,体積データを短時間に広い範囲を細かく収集できる.胸部疾患における臨床応用としては,ルーチン検査や高分解能 CT を用いた形態診断のみならず,MPR 画像,3D 画像や,その他の新しいソフトを用いた処理画像,肺がんの MDCT 検診,多層 CT 透視の IVR への応用などが行われている.検出器はさらに現在の4列から8列,16 列と多列化が進んでいく.さらなる機器の進歩とソフトの開発により,新たな CT 診断学の展開が期待できる.

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[CT の進歩:Multi Detector CT の臨床応用]
マルチスライス CT の臨床応用:肝・胆・膵疾患


門澤秀一*1  藤井正彦*2  横川正樹*1
伊関嘉一*1  山本昌志*1  井上泰彦*1
足立秀治*1  高田佳木*1  杉村和朗*3  

*1 兵庫県立成人病センター放射線科
*2 神戸大学医学部附属病院中央放射線部副部長
*3 神戸大学大学院医学系研究科放射線医学教授

要旨
 マルチスライス CT は,従来のヘリカル CT と比較して空間分解能が高く数倍速い撮像が可能であり,薄いスライス厚で広い範囲を短時間に撮像することができる.腹部領域ではマルチスライス CT の登場によって1回の息止めで上下腹部全体を検索することが可能となり,ダイナミック CT の病変の検出能や微小解剖の描出能が向上し,multiplanar reformation や CT angiography などの3次元画像の画質が大幅に改善された.

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[MRI の進歩:形態から機能へ]
MRI と MRS−前立腺がんにおける応用−


楫    靖*1  杉村和朗*2
*1 神戸大学医学部附属病院放射線科
*2 同大学院医学系研究科生体情報医学講座放射線医学分野教授

要旨
 前立腺がんを例として,MRI の進歩と限界,MR spectroscopy をはじめとする機能診断法の展望について概説した.技術の発展により,空間・コントラスト・時間分解能の向上が見られたが,前立腺がんの正確な診断(病巣の検出,良性・悪性の鑑別,広がり診断)にはまだ十分とは言い難い.形態からのアプローチでは足りない部分に機能面からのアプローチを組み合わせ,臨床に役立つ情報の提供が可能になりつつある.

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[ MRI の進歩:形態から機能へ]
心臓・冠動脈のMRI


佐久間 肇*1  竹田 寛*2  中野 赳*3
*1 三重大学医学部附属病院中央放射線部助教授
*2 三重大学医学部放射線科教授
*3 同第一内科教授

要旨
 最近,心臓 MRI の機能的診断法としての有用性が急速に高まっている.シネ MRI を利用すると骨や空気の影響を受けずに任意断面の動画像が得られ,ステディステート法の導入により画像コントラストも大きく向上した.MR 造影剤ボーラス投与を利用した心筋血流イメージングは空間分解能が高く,心内膜下虚血や多枝病変も明瞭に診断できる特徴がある.遅延造影 MRI では壊死に陥った梗塞心筋が高信号を示し,梗塞心筋の壁内進展度を評価できる.

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[MRI の進歩:形態から機能へ]
MRI による肺機能診断


大野良治*   東野貴徳*   渡辺裕一*
竹中大祐*   杉村和朗**

* 神戸大学大学院医学系研究科生体情報医学講座放射線医学分野
** 同教授

要旨
 近年の MRI 装置の進歩と各種撮像法ならびに造影剤の開発により,MRI による肺機能診断も可能となってきた.MR 肺機能診断は1)MR perfusion imaging と2)MR ventilation imaging に大別され,これらを用いることにより,今までラジオアイソトープによってのみ臨床応用されていた肺機能画像診断が,MRI によっても可能となった.本稿においては,これらについての最新技術および知見に関して簡潔に述べる.

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[ Interventional Radiology(IVR)への応用]
Vascular IVR の進歩−門脈圧亢進症に対する IVR−


廣田省三**1 前田弘彰*1  小林 薫*1 山本 聡*1  新井桂介*1
福田哲也*2  中尾宣夫***1

*1 兵庫医科大学放射線科**1同助教授***1同教授
*2 兵庫県立姫路循環器病センター放射線科

要旨
 門脈圧亢進症に対する IVR 治療は,TIPS,B-RTO の開発に加え Budd-Chiari 症候群に対する膜様部穿破とその拡張術の手技の開発と,従来からの経皮経肝食道静脈瘤塞栓術,部分的脾動脈塞栓術により適応領域が拡大した.特に門脈圧亢進症の諸症状(門脈圧亢進症性胃腸症,難治性腹水,胃静脈瘤,難治性食道静脈瘤,十二指腸静脈瘤,脾機能亢進,シャント性肝性脳症)に対する IVR はすでに治療の要となっており,その役割はますます重要となってきている.

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[ Interventional Radiology(IVR)への応用]
Vascular IVR の進歩−大動脈瘤の治療−


杉本幸司**1  松田 均*2   辻 義彦*2
谷口尚範*1   森 岳樹*1   藤井正彦*1  
廣田省三*3  大北 裕**2  杉村和朗***1

*1 神戸大学大学院医学系研究科放射線医学 **1 同講師 ***1 同教授
*2 同呼吸循環外科学 **2 同教授
*3 兵庫医科大学放射線医学助教授

要旨
 大動脈疾患に対するステント・グラフト内挿術は,各種デバイスの進歩とともに vascular interventional radiology の代表的治療法として確立しつつある.ここ数年,世界各国から発表される良好な治療成績は,この治療法の有望な将来を裏づける確固たる証拠と言えよう.しかし,ステント・グラフト自体の生体内での長期的耐久性や長期成績の問題など,未知の部分も多数残されている.一方,multi detector CT をはじめとする先端画像の進歩により,大動脈をはじめとする血管系疾患の非侵襲的画像診断法の質も飛躍的に改善されつつある.特に,術前の適応決定やきめ細かな経過観察における非侵襲的画像診断の応用は,今後の本治療法のさらなる発展において必要不可欠な要素と言えよう.本稿では,ステント・グラフト内挿術の現況と先端画像の応用について述べる.

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[ Interventional Radiology(IVR)への応用]
CT ガイド下脊椎骨生検における穿刺経路のバリエーション


左野 明
天理よろづ相談所病院放射線部診断部門部長

要旨
 32 例の CT ガイド下脊椎骨生検の経験を示して,穿刺経路のバリエーションについて詳述した.腰椎では,腹臥位での posterolateral approach が一般的である.胸椎では解剖学的理由から,腹臥位で transpedicular あるいは costovertebral approach のバリエーションを念頭におく.頸椎では,CT の位置関係を詳しく読影のうえ,仰臥位での anterolateral approach をまず検討すべきである.仙椎では病変部位によってアプローチが異なり,3方向のバリエーションから選択する.

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[ Interventional Radiology(IVR)への応用]
オープン型 MRI−IVR への応用−


堀 正明
山梨医科大学放射線科

要旨
 まず,MR ガイド下での手技の利点について述べる.また,MR ガイド下の生検の実際について,撮像方法,道具,コイルなどそれぞれについて詳細に述べる.さらに,現在一般的なオープン型 MRI が低〜中磁場であることを考慮して,低磁場 MRI の画質について種々の撮像法を挙げながら説明する.

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[21 世紀の画像診断と治療]
PET―クリニカル PET の時代へ―


石井一成
兵庫県立高齢者脳機能研究センター画像研究科 科長

要旨
 PET は 20 世紀末より研究から臨床へ,まさしくクリニカル PET の時代に入ったと言える.非侵襲的に生体機能を見ることができる PET は,X線 CT や MRI といった形態診断ではつかめないグルコース代謝・アミノ酸代謝機能画像を提供する.臨床場面においては,特に FDG-PET ががんの診断・治療効果判定の分野において大きな威力を発揮し,クリニカル PET を牽引している.機能画像が臨床に貢献するクリニカル PET の時代が到来した.

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[21 世紀の画像診断と治療]
放射光の医学への応用


福島和人*1   鶴崎正勝*1  寺嶋千貴*1 魚谷健祐*1
梅谷啓二*2 山崎克人*2  杉村和朗**1

*1 神戸大学大学院医学系研究科生体情報医学講座放射線医学分野**1 同教授
*2 高輝度光科学研究センター

要旨
 放射光とは平行性の高い極めて明るい光の束であり,広大な波長領域を含んでいる.特に短波長のX線は幅広い分野で利用されている.世界最大の放射光専用施設である SPring-8 には医学利用実験施設があり,血管造影,超高分解能 CT,屈折コントラストイメージング,位相差コントラストイメージングなどの新たな撮像技術の開発ならびにそれらの技術を利用した基礎実験が行われている.現在,我々が実験に用いている微小血管造影法による微小血管構築の観察に関する研究の一部を紹介する.

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[ 21 世紀の画像診断と治療]
粒子線治療の進歩


菱川良夫*1*2
*1 兵庫県立粒子線医療センター 院長
*2 神戸大学大学院医学系研究科 映像粒子線医学

要旨
 粒子線治療は,粒子線治療システム,治療計画システムと治療確認システムからなる総合的システムで行われる.粒子線治療システムは粒子線治療を行う装置本体である.治療計画システムは種々の放射線診断装置と治療計画装置の組み合わせで,治療確認システムは PET カメラである.治療を通じて発生する画像を提示し,粒子線治療の理解を得たい.


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