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最新医学57巻6月増刊号

要旨



アプローチ:「健康日本 21」計画の策定


柳 川   洋
埼玉県立大学 副学長

要旨
 「健康日本 21」は,21 世紀に向けて国民一人ひとりが健康を実現するためのガイドラインである.基本的な考え方は,個人の主体的な取組みによって,健康の意義を発見し,利用できる健康資源を選択し,健康実現を達成しようとするものである.この計画の特徴は,現時点における国民の健康水準を正しく把握し,西暦 2010 年までに生活習慣を改善することにより,生活習慣病の発生をどこまで減らしうるかという数値目標を提示して,それを達成するための戦略と具体的な健康づくりの進め方を提言するところにある.具体的には,生活習慣病の予防にかかわる9つの分野(食生活,運動,こころの健康,歯の健康,たばこ,アルコール,糖尿病,循環器病,がん)について,数値目標を掲げているが,その中で,1.栄養・食生活 2.身体活動・運動 3.タバコ 4.アルコール,について考えた.

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生活指導: 行動変容と1次予防


石 川 雄 一
日本ヘルスサイエンスセンター代表

要旨
 医師と患者との面接には,知識の伝達,情報収集に加え,意識の共有化・啓発が求められるようになった.行動科学をベース に,患者の価値観にふさわしい面接をどのように展開するか.医師自身の発想を豊かにし,情報そして気持の交換を展開し,患者の行動変容にいかにつなげていくか.治療以前の予防の段階で,日常生活における継続的行動変容につなげる力量が医師に求められるようになった.

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生活支援: 1次予防と保健師の役割


池 田 信 子
日本看護協会保健師職能理事

要旨
 1次予防対策を効果的・効率的に展開するには,住民の参画や看護職間,保健技術専門職などとの連携の必要は当然のこととして考えられなければならない.住民の生活背景を踏まえた支援やその方策については,古き保健活動からの学びを深め適正な支援策を講じるほか,個別健康教育においても,それを補完する形の地域保健活動の一体的実施,地域保健リスク要因への把握・対応などをすることで,総合的な1次予防を実施する必要がある.

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老化:健康寿命の現状と延長策


辻   一 郎
東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学助教授

要旨
 健康寿命とは,ある健康レベルでの期待生存年数と定義される.日本人の健康寿命を欧米の報告と比較し,その相違にかかわる要因を検討した.健康寿命の延長策の検討という観点から,サクセスフル・エイジングの促進因子について概括し,特に Alzheimer 型痴呆の発症リスクにかかわる生活習慣要因を示した.さらに高齢者における運動訓練の効果について検討した.

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栄養・食生活:食生態学の視点からの1次予防への取組み


武見 ゆかり
女子栄養大学栄養学部食生態学研究室助教授

要旨
 食生活面からの1次予防には,対象の栄養状態,食物摂取から,食行動,食態度,食知識,食環境までを視野に入れた総合的なアプローチ,すなわち,食生態学の視点を踏まえたアプローチが必要である.バランスの良い食べ方(食物摂取)を日常生活の中で実現し,継続するためには,対象者自身による具体的な行動目標の設定と,専門家からの適切な支援,および食環境づくりの面からの取組みが重要とされる.

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ストレス:ストレスと生活習慣病


下 光 輝 一
東京医科大学衛生学公衆衛生学教授

要旨
 「現代はストレスの時代である」と言われているように,ストレスは極めて重要なキーワードとなりつつある.しかし,社会的生活を営んでいるヒトのストレスをとらえるためには,社会環境というパラダイムの中で,ストレッサーとストレス反応,およびその修飾要因を同時にとらえたダイナミックなモデルのもとで考える必要がある.近年,疫学研究により心理社会的ストレスがメンタルヘルスに影響するばかりでなく,虚血性心疾患,高血圧,高脂血症などの生活習慣病の発症に影響することが明らかになった.

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ストレス:労働ストレスと生活習慣病


野 村   忍
早稲田大学大学院人間科学研究科教授

要旨
 社会構造が複雑になるとともに,ストレス性疾患が増加している.急性のストレスによって発症する病態もあれば慢性的なストレス状況の中で次第に不適切なライフスタイルとなり,生活習慣病へと進展していくものもある.産業保健の現場でも,メンタルヘルスの問題や生活習慣病の1次予防そして健康づくりをも含めた総合的なストレスマネジメントが必要である.産業ストレスと健康障害の問題は,21 世紀社会の大きなテーマであり,行動科学的な取組みが希求されている.

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循環器:循環器疾患死亡と ADL 低下予防における血圧管理の重要性-NIPPON DATAより-


早川 岳人*  喜多 義邦* 岡村 智教**  門脇 崇* 上島 弘嗣***
*滋賀医科大学福祉保健医学 **同助教授 ***同教授

要旨
 NIPPON DATA は地域的な偏りのない国民を代表する集団の追跡調査で,循環器疾患死亡やその他の主要な死亡に与える危険因子や日常生活活動度(ADL)低下の要因を明らかにしてきた.この研究から本邦でも WHO 1999 年の高血圧分類の重症度に妥当性があることが明らかとなった.また ADL 低下を来す疾患は,脳卒中と下肢骨折であり,継続した追跡調査により,5年間の ADL 低下の発症率を示すことができた.

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小児:小児の生活習慣病


村 田 光 範
和洋女子大学家政学部教授

要旨
 今の小児は成人と同じく豊かで,自由で,平和な生活を享受している反面,脂質摂取量の増加,運動不足,朝食の欠食などの食生活リズムの乱れ,夜型生活習慣による睡眠不足,高学歴社会志向からくるストレスの増加といった生活習慣が一般化し,学齢期肥満は 10 人に1人といった状況である.特に運動不足と高学歴社会は今の小児の生活に大きな影響を与えている.この事態を社会全体がもっと深刻にとらえて対応する必要がある.

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糖尿病:Japan Diabetes Complications Study(JDCS)の概要と意義


曽根 博仁** 山田信博* JDCStudy グループ
*筑波大学臨床医学系代謝内分泌内科講師 **同教授

要旨
 Japan Diabetes Complications Study(JDCS)は,本邦の2型糖尿病患者において,ライフスタイル修飾を中心とした介入が,血糖コントロールと合併症発症・進展に与える影響を検討するために,平成8年度より始められた大規模前向き臨床研究である.糖尿病およびその血管合併症の発症・進展因子を明らかにするという目的もある.本研究のプロトコールと,これまで明らかになった所見を要約する.

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がん:発がんの諸因子と予防


富 永 祐 民
愛知県がんセンター総長

要旨
 これまでに内外で行われた多くの疫学的研究により,がんの危険因子,抑制因子が解明されてきた.がんの危険因子・抑制因子は遺伝性因子と環境性因子から成っている.これまでに行われた推計によると,環境性因子の発がんに対する寄与度が大きいこと,種々の環境性発がん因子・抑制因子のうち,特に食物,タバコ,ウイルス・細菌感染の寄与度が大きいとみなされており,これらの因子を標的としたがん予防が効果的であると見られる.

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運動:冠動脈疾患と運動・身体活動


川久保  清
東京大学大学院医学系研究科健康増進科学助教授

要旨
 身体活動と冠動脈疾患の関連については,最も多くの研究がなされ,また証拠が確実なものであり,身体不活動者の冠動脈疾患罹患の相対リスクは 1.7〜1.9 とされている.その機序としては,他の危険因子を介した作用も考えられるが,疫学的には独立したものである.他の危険因子と比較して,人口寄与リスクが高いことが身体活動の重要性を示すものである.どのような身体活動であれ,より高いレベルを保つことが冠動脈疾患予防につながるものである.

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禁煙:効果的な禁煙指導


中 村 正 和
大阪府立健康科学センター健康生活推進部長

要旨
 喫煙習慣の本質はニコチン依存症である.喫煙を「再発しやすいが,繰り返し治療することにより完治しうる慢性疾患」としてとらえ,ルーチンの医療活動としてその治療に取り組むことが大切である.外来などで短時間で行える「5A アプローチ」による治療手順やニコチン代替療法の使い方について紹介する.

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歯科:歯周病の予防と生活習慣病


大 内 章 嗣*1  宮 武 光 吉*2
*1 新潟大学歯学部講師 *2 鶴見大学歯学部客員教授

要旨
 厚生労働省が示した「健康日本 21」の中では,がん,心臓病,脳卒中,糖尿病などと並んで「歯の健康(歯科保健)」が位置づけられているが,近年の歯周病の危険因子などに関する研究では,歯周病と他の生活習慣病などが直接相互に関係している可能性が示されている.生活習慣病予防を効果的に進めていくため,医歯学の相互協力による研究および対策の推進が期待される.

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健康保険:国民健康保険と予防活動


田 中 一 哉
国民健康保険中央会企画部部長


要旨
 1950 年代後半,国民健康保険はすでに,疾病予防を重要とし保健婦を全国の市町村に設置した.感染症・農夫症・母子の健康管理・多発する脳卒中の予防対策に奔走した.今日生活様式は一変し,心身の健康は享受され難く不安やストレスは増大し,住民は私らしさの健康生活を求めている.指示より支持で,住民と共に歩む健康寿命づくりに期待をしている.国民健康保険に課せられる役割もその実践支援であると考える.

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生活習慣病に対する患者の意識と行動の変革について


日野原 重明
聖路加国際病院理事長

要旨
 成人病という名称がどういういきさつで生活習慣病という名称になったかについて生の情報を紹介し,次いで成人病検診の過去の内容と新しい健診に対する国民の理解を述べ、患者自身の動機付けと健康行動を強調することにより,国民に意識改革と健康への動機付けと実践行動を示唆する考え方を述べた。

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栄養:生活習慣病の食事療法


中 村 丁 次
聖マリアンナ医科大学病院栄養部部長


要旨
 食習慣の欧米化により,穀類の摂取量が減少して油脂類と動物性食品が増大した.このことが肥満,糖尿病,高脂血症,高血圧の誘因となっている.肥満,糖尿病では,摂取エネルギーの制限,各栄養素の必要量の確保とバランスの維持,食後高血糖の抑制,規則正しい食べ方が,高脂血症ではタイプ別に食事内容を変えることがポイントになる.

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循環器:高血圧の治療ガイドライン


島 田 和 幸
自治医科大学内科学講座循環器内科部門教授

要旨
 高血圧の治療ガイドラインは米国,ヨーロッパ(WHO)では数年ごとに最新バージョンが作成され,全世界に普及されている.我が国でも JSH2000 年版が作成された.どのガイドラインの内容も大差はない.欧米のガイドラインは evidence based medicine の概念が貫徹されているが,我が国独自のものは,経験や理論に則った部分も少なくない.特に,高齢者高血圧や臓器障害合併例における降圧治療方針に独自の見解が出ているのが特色である.

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循環器:高脂血症の治療ガイドライン


武 城 英 明*1  齋 藤   康*2
*1 千葉大学大学院医学研究院臨床遺伝子応用医学教授 *2 同細胞治療学教授

要旨
 1997 年に報告された日本動脈硬化学会“高脂血症診療ガイドライン”が普及している.冠動脈疾患リスクにより詳細なコレステロールの治療目標値が設けられた.その後,欧米に加え我が国における大規模介入臨床試験の成績が発表され,さまざまな対象における高コレステロール血症に加え,マルチプルリスクファクター症候群を主とした脂質代謝異常の治療ガイドラインが必要とされている.

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循環器:血管の再生治療-血管新生療法と血管形成術後再狭窄予防-


青木 元邦*1  森下 竜一*2 荻原 俊男**1 
*1 大阪大学大学院医学系研究科加齢医学講座 **1 同教授 *2 同遺伝子治療学講座 助教授

要旨
 食生活の欧米化と社会の高齢化に伴い,血管疾患も増加している.近年,これらの血管疾患に対する遺伝子治療の可能性が注目されている.欧米ではすでに多くのプロトコールが申請,実施されており,効果が確認されつつある.日本においても,HGF 遺伝子を用いた閉塞性動脈硬化症・Buerger 病の遺伝子治療が大阪大学で実施されている.また核酸医薬 E2F デコイを用いた再狭窄に対する遺伝子治療もすでに同大学において実施中である.臨床の現場で遺伝子治療がポピュラーな選択肢の一つとなる日も近いかもしれない.

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呼吸器:慢性閉塞性肺疾患(COPD)の新しい治療


永井 厚志
東京女子医科大学呼吸器センター所長

要旨
 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療は,喫煙習慣からの離脱を前提として呼吸困難や QOL の改善を目的とし,病期に従い薬物療法,リハビリテーション,酸素療法,心理療法,肺容量減少術などの治療を行う.薬物治療は,気流閉塞の改善を意図した気管支拡張薬を使用する.ステロイドは気道閉塞が明らかに改善する例に限られる.呼吸不全患者では在宅酸素療法の導入を考慮する.酸素療法は QOL を高め,生存期間の延長をもたらす.

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糖尿病:糖尿病治療の新しい視点


金 澤 康 徳
自治医科大学名誉教授

要旨
 糖尿病は素因という遺伝的背景のうえに種々の環境因子が重なり発症する疾患である.糖尿病合併症の防止が治療の主たる目標であるが,それにはまず環境因子に配慮しそれを改革することが1次,2次そして3次予防に有効な手段である.健康日本 21 の活動はそこを目標にしている.2次,3次予防には新しい薬剤,機器の開発が多彩な治療法の選択を可能にしつつある.テーラーメイドの治療,継続治療には医療チームによる組織的対応と IT 技術の活用が有効である.

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糖尿病:経口血糖降下薬


藤 原 秀 哉*  清 野   裕**
*京都大学大学院医学研究科病態代謝栄養学 **同教授

要旨
 糖尿病は,遺伝素因に環境因子が加わり慢性高血糖状態を来す.ブドウ糖毒性と言われるように,高血糖は糖尿病状態をより増悪させるので,できるだけ速やかに高血糖を解除するのが治療上重要である.種々の新薬の登場により治療の選択肢は増えたが,病態に応じて薬物を選択し,膵 beta 細胞の長期にわたる機能維持を図ることが極めて重要である.

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がん:がんの遺伝子治療


小 澤 敬 也
自治医科大学内科学講座血液学部門,輸血・細胞移植部分子病態治療研究センター遺伝子治療研究部教授

要旨
 がんに対する遺伝子治療は直接法と間接法に分けられる.前者は,p53 遺伝子搭載ベクターをがん病巣に注入する方法や,自殺遺伝子(HSV-TK 遺伝子)を導入しておき抗ウイルス薬でがん細胞を破壊する方法などがある.後者では,免疫遺伝子治療や骨髄保護療法,移植後再発白血病に対するドナーリンパ球輸注療法の安全性を高める方法などがある.また,変異アデノウイルスなどを用いたウイルス療法の開発も進んでいる.今後は,腫瘍血管新生や転移・浸潤・播種などを抑制するアプローチも期待される.

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骨粗しょう症:骨粗しょう症の新しい治療


田 中   栄
東京大学医学部附属病院整形外科・脊椎外科

要旨
 骨粗しょう症は骨組織の脆弱性を特徴とする全身の骨格系の疾患である.最近の分子生物学の進歩によって新たな骨粗しょう症治療法が開発されつつある.中でも骨吸収を中心的に担う破骨細胞の分化・活性化メカニズムが分子レベルで明らかになってきており,破骨細胞をターゲットとした治療法の開発が期待されている.本稿では破骨細胞分化・活性化の細胞内情報伝達系についての最近の進歩を鳥瞰し,これをターゲットにした治療法の可能性について概説したい.

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痴呆:神経幹細胞と痴呆


芝 田 晋 介*   岡 野 栄 之**
* 慶應義塾大学医学部生理学教室 ** 同教授

要旨
 高齢化社会の日本では痴呆患者が増加しつつあり,神経幹細胞移植は痴呆症状を改善する可能性がある治療法の一つとして注目を集めている.以前は一度失われた神経は再生しないと考えられていたが,近年成体内にも神経幹細胞が存在する事実が確認され,新生された神経が機能的な役割を担っていることが示唆されている.神経幹細胞に関する理解が深まるにつれ,痴呆性疾患を含む難治性神経疾患の治療に応用する研究が行われるようになり,近い将来の臨床応用への期待が高まっている.

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再生医学:実用化が進む再生医療


上 田   実
名古屋大学大学院医学研究科頭頸部感覚器外科学講座顎顔面外科教授


要旨
 最近関心を集めている再生医療と従来の医療との違いは,生きた細胞を病気で破壊された部分に導入して「修復」ではなく「再生」させる,という点である.現在では,皮膚,粘膜,骨,軟骨,神経の実用化が進められており,いずれも優れた実績が報告されている.また,将来的に胚性幹細胞が実用化されれば,難病と言われる Parkinson 病,糖尿病,心筋梗塞などの治療に道が開かれるであろう.

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運動療法:運動による生活習慣病治療


佐 藤 祐 造
名古屋大学総合保健体育科学センター教授

要旨
 運動療法の実施は個体のインスリン抵抗性を改善させ,糖尿病,肥満,高血圧,高脂血症など「生活習慣病」の予防・治療に有用であることが,多くの臨床的研究,疫学的長期追跡調査成績により明らかとなってきた.また,実地臨床面では,運動指導管理料(平成 14 年4月より生活習慣病指導管理料)の診療報酬加算が医療保険において認められている.さらに,生活習慣病の発症予防や健康寿命の延伸を目指した「健康日本 21」も実施されている.

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薬学:生活習慣病と薬剤師の役割


堀  美智子
医薬情報研究所/(株)エス・アイ・シー

要旨
 地域住民に対する健康に関する相談,情報提供者として,さらにはセルフメディケーションや軽医療を行うための市販薬はもちろんのこと,医療用具などの提供者として,薬局は古くからその役割を果たしてきた.そして,医療分業の中,医療用薬の適正使用のための情報提供など開局薬剤師として果たすべき役割は広がりを見せている.そこで,今回は,平成 12 年から国家プロジェクトとして動き始めた「健康日本 21」の運動を例に挙げながら,生活習慣病の予防に果たす薬局,薬剤師の役割について紹介した.

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医療経済:生活習慣病の医療経済


川 渕 孝 一**  山 田 里 奈*
* 東京医科歯科大学大学院医療経済学分野 ** 同教授

要旨
 生活習慣病に関連する医療費は,一般診療医療費の約4分の1を占める.医療経済学では,医療資源の効率的配分の観点から個々の医療サービスに対する評価を行うが,その際,「費用」と「効果」をいかに正確に測定するかが論点となる.社会的損失をも考慮に入れた場合,生活習慣病が膨大な費用を生んでいることが国内外の研究結果から示されている.今後は,予防医療の経済的効果についてより詳細な分析が求められる.

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