最新医学58巻6月増刊号 要旨



医療技術の進歩と将来

*1東京女子医科大学名誉教授 *2早稲田大学客員教授
桜井 靖久*1*2



要  旨
 医療技術は,医療業務の側面のうちの科学技術的側面に関与する重要なもので,国民の健康,QOL と密接している.医療技術の進歩の過程は,そのまま医療の質の向上と結びついている.医療機器を産業として見た場合には,安定した成長過程が見込め,現在大幅な入超の日本は,その研究開発などにマクロ的な戦略が必要である.医療技術の将来についても考えを述べた.

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コンタクトレンズと眼内レンズ

*1神戸海星病院眼科理事長 *2(株)メニコン総合研究所
山 中 昭 夫*1  平 谷 治 之*2



要  旨
 1930 年代に始まったポリメチルメタクリル酸エステル(PMMA)製コンタクトレンズは,その後デザイン,材料,製作法が目覚しい発達を遂げ,酸素透過性の高いソフトコンタクトレンズが主流となっていきつつある.一方,1949 年に始まった PMMA 製眼内レンズは,同じくデザイン,固定法,素材,有害光線のカッ ティング,手術法の改良と手術時の粘弾性物質の利用により,大きな進歩を遂げた.現在は乳化吸引法と粘弾性物質を併用する方法が主流を占めるようになった.また,これらが行えない場合にも,コンタクトレンズであれ眼内レンズであれ,より広い選択ができるまでになった.さらに,両者共,遠近両用のものも作られている.

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人工眼(人工視覚)

株式会社ニデック・ニデック視覚研究所所長
八 木   透

要  旨
 人工眼は失明者の視覚を再建する人工臓器である.視覚情報に対応した電気信号で,電極アレイを通じて視覚系神経を刺激する.刺激する場所や構成要素によって,脳刺激型・視神経刺激型・網膜刺激型・その他に大別される.すでに臨床実験において,神経系への多局所電気刺激で,低次レベルの形態視を再建できることが示されている.今後,装置のシステム化・小型集積化・省電力化が進めば,近い将来に実用化されると思われる.

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人工内耳・人工中耳

*東京医科大学耳鼻咽喉科助教授 **自衛隊中央病院耳鼻咽喉科
河 野   淳*   池 谷   淳

要  旨
 人工中耳は,中等度難聴がある場合が適応となり,補聴器の欠点を排除して音質の改善が期待できるものであり,人工内耳は,高度難聴のため補聴器での聞きとりが不十分な場合に適応となる.人工内耳は,世界で約7万人,本邦でも 1995 年から保健適応となり約 3,000 人の装用者がおり,約 40% に電話が聞きとれるなど良好な聴取が可能となっている.今後完全埋込み型へ向けてますます発展するものと期待できる.

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心臓ペースメーカーと植込み型除細動器

*東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所循環器内科 **同教授
谷 崎 剛 平*  笠 貫   宏**

要  旨
 不整脈は徐脈性と頻脈性に大別される.これまで徐脈に対してはペースメーカー植込みが,頻拍の中でも致死性心室性不整脈に対しては植込み型除細動器(ICD)植込みが行われてきた.多くの技術革新により現在の ICD の有するペースメーカー機能は充実し,ICD を除細動機能も併せ持ったペースメーカーととらえることも可能である.近年臨床の場では慢性重症心不全そのものに対する治療ディバイスとしてペースメーカーや ICD が使用されるようになってきている.本稿ではペースメーカーや ICD の基礎的な概念から最新の臨床での利用法などについて概説する.

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人工弁・ステント,ステントグラフト

埼玉医科大学心臓血管外科教授
許   俊 鋭

要  旨
 循環器領域で日常的に使用される埋込み型医療機器の主なものに人工弁,冠動脈ステントがあり,最近大動脈瘤に対するステントグラフト治療も始まった.人工弁には機械弁と生体弁があるが,最近の生体弁でステントレスブタ生体弁(stentless valve)や同種生体弁(homograft),自己肺動脈弁(autograft)が出現し成績が向上している.冠動脈ステントや,大動脈ステントグラフト遠隔期の成績向上を目指しては,極めて多くのモデルが考案されている.

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新しい人工心臓と補助循環

東京大学大学院医学系研究科医用生体工学講座教授
井 街   宏

要  旨
 人工心臓と補助循環は重症の心不全には不可欠な治療方法となっている.これらの方式に関しては歴史的に見ても非常に多くの研究開発が行われ,臨床応用が試みられ,今日の治療手段が確立されてきたわけであるが,周辺科学技術の進歩とともになお新しい人工心臓や補助循環が開発され臨床に応用されている.ことに最近では,生体にない連続流での補助心臓が世界の各地で多数開発され,どんどん臨床に用いられている.ここではそれらの動向と臨床応用の現状について概説する.

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人工肺開発の現状と将来

*1国立循環器病センター研究所副所長 *2同人工臓器部
高 野 久 輝*1  巽   英 介*2 武 輪 能 明*2

要  旨
 人工肺は,開心術における人工心肺装置を主な用途として開発され,膜型肺の登場により,ガス交換能の点からはほぼ満足できるレベルに到達した.一方で,近年は呼吸補助や循環補助,経皮的心肺補助など長期使用の分野に応用が広がり,良好な生体適合性を有し,長期間安全に使用できる人工肺が求められている.長期間低下することのないガス交換能と,優れた抗血栓性を兼ね備えた次世代の人工肺を開発することにより,肺移植や心肺移植へのつなぎなどにも応用が広がる可能性がある.

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人工呼吸器の進歩と最新の機能

*北里大学医学部麻酔科学教室講師 **同教授
新 井 正 康*   外  須美夫**

要  旨
 近年人工呼吸器は目覚しい進歩を遂げ,現代の患者管理に必要不可欠な治療手段となってきた.その主要な変貌はマイクロプロセッサーとそれを動かすソフトウエアにより,人工呼吸器が自動制御されたことにある.これにより種々の人工呼吸モードや機能が出現したが,これらの一つひとつがどのように患者予後に役 立っているかの評価はまだこれからである.人工呼吸管理の基本に立ち返り,新しいテクノロジーの進歩を見渡す必要がある.

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血液浄化法の現況と展望

東京女子医科大学腎臓病総合医療センター外科
寺 岡   慧

要  旨
 近年,血液浄化法は飛躍的な進歩を遂げ,各種の疾患,臓器不全の治療法として普及した.血液浄化法の目的として,ある疾患のため生じた体液異常を是正すること,蓄積した有毒物質を除去すること,疾患を惹起する病因物質あるいはその関連物質を除去することなどが挙げられるが,その原則は生体への侵襲を最少にして,効率良く選択的に標的とする物質を除去することである.生体適合性に優れた生体材料特に膜素材の開発,特異的/選択的なリガンドの開発,安全性と信頼性に優れた制御システム,優れた抗凝固薬の開発,疾患の発生機序と病態の分子レベルでの解明などにより,それが可能となったと考えられる.本稿では各種の血液浄化法について概説し,将来の展望についても要約した.

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人工膵島

順天堂大学医学部内科学教授
河 盛 隆 造

要  旨
 人工膵島システムは,血糖値連続計測→インスリン注入率の計算と実践→血糖応答反応の把握による注入インスリンの効果の評価,すなわちセンサ→プロセッサ→エフェクタ,を closed-loop とした人工臓器である.血糖応答とインスリン分泌,インスリン作用の関係を解析することにより作成が可能となった.健常人の血糖制御を代替するには門脈内インスリン注入が必須となろう.植込み型人工膵島開発に期待する理由がここにある.

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バイオハイブリッド型人工肝臓: 肝組織の再構築化とバイオハイブリッド型人工肝臓

*1有限会社セラジックス *2東京工業大学大学院生命理工学研究科教授
石 原 義 久*1  後 藤 光 昭*1 赤 池 敏 宏*2

要  旨
 肝臓移植のドナー不足を解決する手段の一つとして,高機能化されたハイブリッド型人工肝臓の開発が切望されているが,患者の生命維持管理を行うにはいまだ不十分な状況にある.これは肝細胞の生体外培養における分化機能の維持や,複雑多岐にわたる機能を発現させる肝臓組織の再構築の困難さが主な原因であると考えられている.本稿では,ハイブリッド型人工肝臓の開発経緯や現状を述べるとともに,その問題点を明らかにし,今後の方向性を提案する.

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人工関節はここまで進歩している

*1富永病院・大西啓靖記念人工関節研究センター **1同副院長
*2Loma Linda University *3住友大阪セメント(株) *4京セラ(株) *5大阪府立産業総合技術研究所
大 西 啓 靖**1  金   石 哲*1 Ian C. Clarke*2   
大豆生田 好市*3 増 田 真 吾*4   辻   栄 治*5


要  旨
 超低摩耗人工関節として,股関節には“セラミックまたは金 属”/“架橋ポリエチレン”または“アルミナ”/“アルミナ”の組み合せがあり,膝関節には“セラミック”/“ポリエチレン”の組み合せがある.骨粗鬆症発生後も超長期にわたる骨との固着法として,骨セメント/骨間に水酸アパタイト(HA)顆粒を介在させる界面バイオアクティブ骨セメント(IBBC)法以外に ない.  これらにより,30 年以上の長期耐用が期待される.

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超音波と医学

東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター ME 研究室教授
古 幡   博

要  旨
 超音波は医用画像診断法として広く普及してきたが,今日さらに高機能化・高精度化が進み,3次元画像化,あるいは超音波造影剤による微細血管の検出率向上などが実現している.また,微小栓子の連続監視と自動検出の実現など画像診断学における新たなページを開きつつある.一方,超音波による治療技術もここ十数年再研究され,遺伝子導入,ドラッグデリバリーシステム(DDS),血栓溶解加速,収束超音波によるがん治療など実用化技術が胎動しつつある.

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磁気と医学

東京大学大学院医学系研究科医用生体工学講座教授
上 野 照 剛

要  旨
 バイオマグネテイクス(biomagnetics,生体磁気学)は医学・生物学と磁気工学との境界領域の研究分野であり,磁気の生体作用,高感度磁気センサー(SQUID)による生体磁界の計測,および,磁気共鳴画像(MRI)を軸として急速に発展している.ここでは,生体磁気および脳磁気研究の最近の進歩について概観しこれからの展望について述べる.

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放射光・重粒子線と医学

*1放射線医学総合研究所・重粒子医科学センターセンター長 **1同理事長 
*2同センター加速器物理工学部室長
村 田   啓*1  取 越 正 己*2 佐々木 康人**1

要  旨
 放射光は高品質X線として医学分野でも認知されつつあり,冠動脈造影では臨床に利用されている.また,従来の吸収画像にとどまらない高度な診断画像も得られている.これらの研究の現状を紹介する.一方,重粒子線(重イオン線)は,線量分布と生物学的効果共に良く,治療用放射線として最も優れていると考えられる.放射線医学総合研究所の炭素イオン線によるがん治療臨床試験の概要を紹介する.

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定位放射線治療 -ガンマナイフとフォトン放射線治療システム-

東京女子医科大学学長
高 倉 公 朋

要  旨
 脳腫瘍の非手術的治療法として局所定位放射線治療法の有用性が認められ普及してきた.特にガンマナイフは脳腫瘍および脳動静脈奇形の治療法として,全世界では 2001 年末までに 18 万例以上,我が国では4万例以上が治療されて,その有用性が確立している.また,フォトン放射線治療システム(PRS)は軽量で,簡単に運搬できるX線発生装置でアイソトープを必要としない安全な腫瘍内照射法として将来有望な治療機器である.これらの定位放射線治療法の現況を解説した.

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体外衝撃波砕石術

*せんぽ東京高輪病院泌尿器科院長 **同部長
小 磯 謙 吉*   松 崎   章** 市 東 哲 夫**

要  旨
 尿路結石症の治療として体外より衝撃波を結石に集束させ,それを砕石する方法が開発され,これを体外衝撃波砕石術と言う.尿管下端部結石,妊娠中およびその可能性のある婦人,無機能腎結石などは対象より除かれるが,それ以外の結石はほとんどその対象となる.砕石された結石は尿路より排泄されるが,尿流確保のためステント,腎瘻を設置することもある.排泄困難なときには内視鏡操作で除去する.

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内視鏡手術

埼玉医科大学総合医療センター外科教授
橋 本 大 定

要  旨
 管腔臓器(胃,膀胱,鼻腔など)に挿入された内視鏡を通じて行われる内視鏡的手術と,体腔内に内視鏡とともに長い特殊機能を持つ鉗子類を挿入して行う内視鏡下手術の現状と将来展望を総説した.患者に低侵襲な内視鏡下手術は,実は,高度の技術が必要とされる難易度の高い外科手術であり,外科医にかかるストレスを軽減する研究が今後望まれており,そこでメディカルエンジニアリングの果たす役割は大きい.

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運動麻痺の機能再建のための機能的電気刺激(FES)技術

*1東北大学情報シナジーセンター先端情報技術研究部助教授
*2東北大学大学院工学研究科電子工学専攻教授
渡 邉 高 志*1  星 宮   望*2

要  旨
 上位運動神経系の損傷により麻痺した機能を再建・補助する技術として,機能的電気刺激(FES)がある.これまで,主に運動機能を再建することを目的とする FES システムの開発が進められ,臨床的にも応用されている.FES システムは,近年の工学技術の発展により実用的になりつつあるが,ヒトの複雑な運動を制御するためには,まだ十分ではない.今後,医学と工学とが連携して FES 技術を発展させることが重要である.

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DDS に用いるバイオマテリアル

東京女子医科大学先端生命医科学研究所助教授
横 山 昌 幸

要  旨
 現在の医療で用いられている,あるいは臨床試験段階にあるドラッグデリバリーシステム(DDS)の例を概説する.DDS の三つの柱である,「コントロールドリリース」,「吸収改善」,「ターゲティング」の方法論ごとに,その概念と代表例を述べ,これらの DDS システムに用いられている材料の特性・機能について解説を加える.

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局所脈波速度の非侵襲的1点測定

*1東京女子医科大学基礎循環器科 **1同教授 *2アロカ株式会社研究所
菅原 基晃**1 仁木 清美*1 常  徳華*1  岡田 孝*2 原田 烈光*2 

要  旨
 従来からの脈波速度の測定法は,距離が分かっている2点間を脈波が通過するのに要する時間を測定する方法である.この方法では,測定装置の時間分解能による制限から,頸動脈と大腿動脈のようにある程度以上離れた2点間の平均脈波速度しか測定できない.我々は,発想を全く変えて,超音波法による1点計測により局所脈波速度を得る方法を考案し,オンラインで局所脈波速度を測定できるシステムを開発した.

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生体現象センサー

早稲田大学人間科学部教授
戸 川 達 男

要  旨
 センサー技術の進歩によって,生体現象をより速くより小さな領域で計測できるようになってきている.また,無侵襲的な生体現象の計測の手法により,生体現象の計測可能な条件が著しく拡大した.ここでは,生体現象の無侵襲的な計測法を中心に,循環センサー,呼吸センサー,生体電気現象センサー,身体運動センサー,温熱センサー,体液情報センサーに関する,最近注目されている技術について述べた.

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在宅医療用機器・システム

金沢大学大学院自然科学研究科 教授
山 越 憲 一

要  旨
 在宅医療は比較的新しい概念であり,現在は居宅での介護,看護,保健,福祉,療養などを包括している.本稿では特に,従来型の在宅医療における療養法とそれに用いる機器の現状と課題について概述し,さらに予防・健康管理を目指した在宅計測機器・システムの最近の話題も取り上げてみた.社会の高齢化と長寿化が進み,国民医療費が増え続けている現在,医療施設中心の体制から,予防・健康管理を前面に置いた医療提供体制の変換が求められている.

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福祉工学

東京電機大学理工学部電子情報工学科助教授
舟久保 昭夫

要  旨
 高齢社会において福祉工学の果たすべき役割を,今後期待される幾つかの分野に分けて期待される技術,すでに開発が進んでいる技術を例に挙げ解説を行う.現在の福祉工学分野では単なる工学技術の応用や展開だけでなく,環境作りや教育体制までも考慮することが要求されている.さらに今後の福祉工学の発展のためには,ヒトの特性や気持ちを理解したうえで「高度な工学技術を人に優しい技術につなげる橋渡し」を行うことのできる技術の開発とその体系作りが求められる.

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21世紀の医学と低侵襲手術支援ロボット

早稲田大学理工学部教授
藤 江 正 克

要  旨
 急速な少子高齢社会を迎え,先進各国では“健康”が社会から求められるキーワードとなっている.このような背景から多くの国々で低侵襲手術支援ロボットの研究開発が積極的に行われ,欧米で認可された製品も日本にも導入されている.これに対してロボット王国と言われる日本での製品化はほとんど見られない.このような状況を打破するために進められている取り組みの例を簡単に紹介し,21 世紀を展望した.

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バーチャルリアリティ(VR)と医学

東京大学大学院情報理工学系研究科教授
舘 ワ

要  旨
 センサーから得てコンピュータで処理し生成した情報世界を,実世界に重畳的に加えることで,実世界を増強するいわゆるオーグメンティド・リアリティ(AR)は,例えば,CT や MRI,超音波エコーなどの映像を人体に直接重ねて立体化し,病気の診断や手術などの治療に役立てることができる.近年,再帰性投影技術(RPT)という新しい AR のディスプレイ技術が開発されてきている.本解説では,AR を中心として VR を紹介し,最新医学への応用の可能性を探る.

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遠隔医療

(財)京都高度技術研究所科学技術コーディネーター ・京都大学名誉教授
高橋  隆

要  旨
 遠隔医療は医療過疎地域に対して患者直接診療の代替手段として始まったが,IT の発達とともにテレラジオロジー,テレパソロジー,テレコンサルテーションなど応用分野を展開.規制緩和策に支えられ,増大する在宅医療需要をカバーする役割を担うまでになった.今後,電子カルテ,高速ネットワーク,VR 技術の導入により,遠隔ロボット手術や医療の point of need 化に向けたネットワーク型の医療供給が出現,遠隔医療の守備範囲は一層増大するだろう.

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より高精度な細胞シミュレーションの実現に向けて

*1慶應義塾大学先端生命科学研究所講師 *2同環境情報学部 **1同所長 **2同教授
内藤 泰宏*1*2  冨田  勝**1**2

要  旨
 システムバイオロジーは,生物あるいは細胞を要素の集合であるシステムとして把握することを目指す新しい方法論である.そこでは,システムの記述=モデル化が行われ,その実効性の検証にはシミュレーションが欠かせない.我々はより高精度な細胞シミュレーションの実現に向けて,そのためのソフトウェア環境 E-CELL を開発し,これを用いてさまざまなモデル化を行っている.今回は,細胞シミュレーションを取り巻く状況と研究の実例について紹介する.

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