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最新医学 59巻12号(通巻738号)

特集 呼吸器感染症研究の最前線



「最新医学」12月特集は「呼吸器感染症研究の最前線」です。1970年代以降、抗菌薬の開発は目を見張るものがありました。特にセフェム系、フルオロキノロン系抗菌薬は我が国で開発され、その劇的な効果は何人も否定できないものとなっています。ところが肺炎は、国内での死因の第4位に位置づけられており、いまだ減少の兆しは見えてきません。それは、これまでは病原微生物の迅速かつ正確な同定が困難であったことや、病態の多くがいまだブラックボックスの中にあること、更に抗菌薬に大きく依存してきたこれまでの治療方法などに原因があると考えられています。しかしようやく最近になってこれらに対する成果がいくつかもたらされるようになって来ました。  
本特集ではこのコントロールが困難な呼吸器感染症研究に関して多方面から第一線の研究者が解説しています。病因微生物の同定方法については、遺伝子工学的手法(マルチプレックスPCR法、LAMP法、マイクロアレイ)を用いた最新の病因菌同定方法について紹介しています。病態については非定形肺炎の病因微生物としてのマイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ、更に細菌性肺炎の原因菌としての肺炎球菌、緑膿菌について解明された点、未解決の点について述べられています。また、これまで抗菌薬のみに委ねられてきた呼吸器感染症治療に関する新しいアプローチとしてワクチン、遺伝子導入、感染免疫そしてクオラムセンシング阻害の4つの観点から現在の開発状況とその将来性について解説しています。
呼吸器感染症の現状と今後の方向性を知る上で絶好の書です。是非お読み下さい。


論文題名

著者所属

著者名

通巻頁
序論 杏林大学 後藤 元 2499
[アプローチ]
病原微生物の遺伝子情報と宿主の自然免疫 杏林大学 渡辺 英裕ほか 2501
[新しい診断法の現状と展望]
マルチプレックスPCR (株)エスアールエル 田中 稔生 2510
LAMP法 栄研化学株式会社 高野 弘 2516
マイクロアレイ 山口大学 三浦 公志郎 2523
[病体の解明に向けて]
マイコプラズマ感染時の宿主反応 札幌医科大学 田中 裕士ほか 2530
肺炎クラミジア持続感染と病態形成 川崎医科大学 宮下 修行ほか 2537
肺炎球菌の病原因子 長崎大学 大石 和徳 2543
緑膿菌感染症におけるクオラムセンシング 東邦大学 舘田 一博 2547
緑膿菌感染症におけるTwitching motility 大分大学 岸 建志ほか 2553
レジオネラ肺炎の病態形成の分子機構 琉球大学 川上 和義 2558
[新たな治療を目指して]
SARSウイルスのワクチン・治療薬-開発の展望- 国立感染症研究所 水谷 哲也 2565
遺伝子導入による呼吸器感染症治療の可能性 長崎大学 蛹エ 克紀 2577
緑膿菌感染症に対する免疫療法 東北大学 菊地 利明 2583
クオラムセンシング阻害薬の可能性 (財)サントリー生物有機化学研究所 堀川 学 2590
           
エッセー  
解剖学者が見たミケランジェロの彫刻(12)
バッカス 1.甘美な青春
金沢医科大学 篠原 治道 2598
   
対談
細胞生物学・遺伝子生物学から見た医科学の展開(第21回) 京都大学 中西 重忠 2602

(聞き手)

理化学研究所 豊島久真男
       
トピックス
肝糖新生におけるSTAT3の役割 神戸大学 井上 啓ほか 2614
食後高血糖と舟形町研究 山形大学 富永 真琴 2620

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