最新医学65巻3月増刊号 
慢性腎臓病(CKD)


要  旨


総論
CKD概念導入の背景と意義

井上 達之*   槇野 博史**

*岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学 **同 教授
要  旨
 慢性腎臓病(CKD)の概念は全世界に広まりつつある.我が国でも CKD is common(数が多い),CKD is harmful(健康への脅威となる),CKD is treatable(治療可能である)という背景のもと,総合的な対策に迫られている.膨大な患者数に対し腎臓専門医だけでなく一般医,コメディカルや住民を含めた社会的な取組みが,CKD の予後や QOL 改善に期待されている.

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総論
疫学:改訂をせまられる診断基準

井関 邦敏
琉球大学医学部附属病院血液浄化療法部 准教授

要  旨
 2009 年 10 月,ロンドンにて CKD 分類に関する KDIGO のコントラバシー・カンファレンスが開催された.世界中より 58 のコホート(登録数 115 万人)のメタ解析結果が示され,推算糸球体濾過量(eGFR)別の予後との関連(カットオフ値)およびアルブミン尿(および試験紙法によるタンパク尿)を診断基準に加えるべきか否かについて多くの時間が割かれた.本稿では,その議論を踏まえて CKD 分類の問題点を概説する.

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総論
CKDと心血管疾患との関連

葉山 修陽*   清野 精彦**
*日本医科大学千葉北総病院腎臓内科准教授 **同循環器内科 教授

要  旨
 慢性腎臓病(CKD)の定義が 2002 年に提唱され,CKD が心血管疾患(CVD)や末期腎不全(ESKD)の危険因子であることが示されてから,CKD の早期発見と早期治療の必要性が重要視されている.腎機能が正常でも,その背景に古典的 CVD 危険因子や CKD 関連非古典的 CVD 危険因子の有無を判断することが,CVD,ESKD 進展阻止に重要である.CKD と CVD の関連,さらに我々が提唱している cardio−renal subset(CRS)について概説する..

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総論
CKDと認知機能障害

荒井 啓行*** 古川 勝敏**  富田 尚希*
*東北大学加齢医学研究所脳科学研究部門老年医学分野 **同准教授 ***同教授

要  旨
 慢性腎臓病(CKD)は,中枢神経系から筋・末梢神経系に至るまでさまざまなレベルで神経系合併症を引き起し,CKD 患者における QOL を決定する重要な因子となっている.CKD と認知機能障害との関連については近年注目され始めた段階であるが,CKD に伴ない,典型的には血管性認知症とされる認知機能障害が腎移植によって改善されるという事実は特記すべきで,CKD に伴なう認知機能低下は“治療可能な認知症(treatable dementia)”の1つとして考えられる.認知症を扱う専門医と腎臓内科医との協力体制が求められる.

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病因・病態生理
CKDの病因・成因:どのような疾患,病態からCKDに進展するのか


山縣 邦弘
筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻腎臓病態医学分野 教授

要  旨
 CKD に至る原疾患を CKD 発症リスク,患者データから検討した.腎機能のさらなる悪化や心血管疾患の発症予防には,原疾患の治療が最も効果的であるので,原腎疾患の把握に努めることを忘れてはならない.

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病因・病態生理
アルブミン尿の発症機序と臨床的意義


柏原 直樹*  佐藤  稔**
*川崎医科大学腎臓・高血圧内科教授 **同講師

要  旨
 糖尿病,高血圧,メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を基盤とした CKD では,共通初期所見としてアルブミン尿が出現する.アルブミン尿は心血管疾患(CVD)発症の独立危険因子であり,微量アルブミン尿以下の“超微量”域から CVD リスクが亢進する.アルブミン尿の出現には糸球体内血行動態変化(糸球体高血圧)と血管内皮機能障害が関与する.アルブミン尿は CVD リスクの評価,治療効果の判定に有用な定量的な指標である.

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病因・病態生理
糸球体血行動態の異常

有馬 秀二
近畿大学医学部腎臓・膠原病内科 准教授

要  旨
 CKD では糸球体高血圧や糸球体過剰濾過などの血行動態異常が生じ,病態に深く関与している.これらの血行動態異常は,短期的には機能ネフロン数の減少による腎機能低下を代償するように働くこともあるが,長期的には腎障害の進行を促進する.したがって,CKD の病態を理解し適切な治療を行うためには,糸球体血行動態に異常が生じる機序および異常を改善させる方法を考慮することが重要である.

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病因・病態生理
慢性低酸素と低酸素誘導因子(HIF)

城  愛理*   南学 正臣**

*東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科 **同特任講師

要  旨
 腎尿細管間質の慢性低酸素は,多くの慢性進行性の腎障害に共通した特徴である.低酸素誘導因子(HIF)は細胞レベルにおいて低酸素への適応を制御するマスター転写因子であり,低酸素にさらされた腎臓でも重要な働きをしている.
 慢性低酸素と HIF は,慢性腎臓病(CKD)の発症・進展における重要なメディエーターと考えられており,その分子機構や HIF 標的遺伝子についての研究が盛んに行われている.本稿では,CKD の発症・進展における慢性低酸素と HIF の役割に焦点を当てて解説する.

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病因・病態生理
心腎連関の機序

今井 圓裕
名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学 特任准教授

要  旨
 心臓と腎臓は体液調節に関して密接な関係があり,いずれかの臓器に障害が起るともう1つの臓器に機能低下が起るが,このような悪循環を来す関係を心腎連関(CRS)と呼ぶ.ADQI 分類で CRS は5つに分類されている.この中の慢性心不全が原因となって起る CRS type 2 と慢性腎臓病が原因となって起こる腎心連関(RCS)type 4 について概説する.CRS の原因は生活習慣病に起因する内皮障害による動脈硬化であるが,慢性炎症や貧血は重要な増悪因子である.

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診断
CKDの早期診断,医療連携と保健行政

松尾 清一*1 丸山 彰一**1  安田 宜成*2
*1名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学 教授 **1同講師
*2同CKD 地域連携システム学 准教授

要  旨
 CKD の早期診断にはスクリーニング検査として尿タンパクの有無と血中クレアチニン濃度の測定が重要である.また,推算糸球体濾過量(eGFR)により進行度(ステージ)を確定する.CKD と診断されたら,かかりつけ医,腎臓専門医,コメディカルスタッフの連携により,原因精査,生活習慣是正,原疾患治療などを行うことが必要である.また,今後の課題として特定健診に血清クレアチニンの測定を含めることが重要である.

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診断
検尿の意義

今田 恒夫
山形大学医学部内科学第一(循環・呼吸・腎臓内科学)講座 准教授

要  旨
 検尿は健診の必須項目として各年代に広く行われ,腎臓病の早期発見に貢献してきた.また,日常診療でも,安価で非侵襲的に繰り返し行える検尿は基本的な検査となっている.近年,タンパク尿やアルブミン尿が心血管疾患(CVD)予後にも関連することが明らかになり,検尿の臨床的重要性は増している.適切な検尿を介して,かかりつけ医と専門医が連携して慢性腎臓病(CKD)に取り組むことで,末期腎不全,CVD の抑制が可能となる.

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治療
心−腎同時保護(総論)

木村 玄次郎
名古屋市立大学大学院医学研究科心臓・腎高血圧内科学 教授

要  旨
 アルブミン尿が出現したり,腎機能が低下すると,脳卒中を始めとする心血管事故が増加する.一方,レニン・アンジオテンシン(R−A)系抑制薬はアルブミン尿を呈する集団で腎保護作用を強く発揮し,腎機能が低下した集団でこそ強力な心血管事故抑制効果を発揮する.利尿薬は,単独でも心血管保護作用のみならず腎保護作用も発揮するが,R−A 系抑制薬との併用でさらに心−腎同時保護作用を確実なものにしていると考えられる.

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治療
CKDの食事療法

中尾 俊之**  金澤 良枝*   和田 憲和*
*東京医科大学腎臓内科 **同教授

要  旨
 CKD の食事療法としては,三大栄養素(炭水化物,脂質,タンパク質)に対する配慮のほか,体液・電解質に関連した食塩,水分,カリウム,リンなどに対する配慮が重要である.ステージ1から3の CKD では,原疾患に対する薬物療法が主体となり,食事療法の役割は少ない.食事療法の意義はステージが進むほど大きくなり,ステージ4,5で透析導入の遅延を目指す場合は,低食塩・低タンパク質の食事療法が極めて有効な手段となる.

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治療
運動療法と腎臓リハビリテーション

上月 正博
東北大学病院リハビリテーション部 部長
東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻内部障害学分野 教授・専攻長

要  旨
 運動をしない透析患者や運動耐容能の低い透析患者は生命予後が悪い.腎臓リハは,主に透析患者に対して,運動療法,教育,食事療法,精神的ケアなどを行う新たなリハ領域である.リハの主要な構成要素である運動療法は,炎症複合症候群改善作用,運動耐容能改善,QOL 改善などをもたらすことが明らかにされている.さらに,非透析患者においても,運動療法が腎保護やほかの心血管疾患の予防につながる可能性の検討もなされている.

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治療
CKD患者のPCI

井上 直人
仙台厚生病院循環器内科 主任部長

要  旨
 CKD 患者に対する血行再建術にはさまざまな困難を伴う.経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う際には造影剤を使用する必要があるが,CKD 患者においては造影剤腎症の発症頻度が高くなる.また,透析患者においては石灰化病変,屈曲病変,びまん性病変などが多く治療を難しくしている.また,長期成績においても CKD 患者では一般患者に比して,PCI 後の予後が不良であることが示されている.これらの限界を十分に把握したうえで PCI の適応を決定することが重要である.

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治療
CKDを合併した心不全の治療方針

筒井 裕之**  絹川 真太郎*   濱口 早苗*
*北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学 **同教授

要  旨
 心不全における慢性腎臓病(CKD)の合併頻度はこれまで考えられていた以上に多く,両者はお互いの病態を増悪させ,予後を悪化させるため心腎連関としてとらえられている.心不全における心腎連関の病態は複雑かつ多様であり,血行動態の異常ばかりでなく,レニン・アンジオテンシン系を始めとする神経体液性因子の活性化が重要な役割を果たしていると考えられるが,個々の症例で血行動態を十分に把握し,腎機能の推移に留意しながら治療にあたる必要がある.

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病態に果たす危険因子の役割と管理
高血圧

木村 健二郎
聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 教授

要  旨
 CKD は末期腎不全(ESKD)に至る危険を負っているのみならず,心血管疾患(CVD)の発症進展の危険も大きい.高血圧は ESKD と CVD の独立した危険因子である.したがって,CKD と高血圧は併存してはならない.CKD における高血圧の治療目標は 130/80mmHg 未満である.尿タンパクが陽性のときにはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬/アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)が第1選択薬となるが,尿タンパクが陰性のときにはほかの降圧薬でも第1選択薬と成りうる.

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病態に果たす危険因子の役割と管理
耐糖能異常

羽田 勝計
旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野 教授

要  旨
 糖尿病は CKD のリスクであり,糖尿病性腎症が CKD の最も重要な原疾患であることは事実である.しかし,現時点で,糖尿病発症前の耐糖能異常が CKD のリスクである根拠は乏しい.したがって,CKD を考えた際重要なことは,糖尿病性腎症を的確に診断し,治療することであると考えられる.そのためには,尿アルブミン値の定期的な測定が最も重要であり,微量アルブミン尿を呈する糖尿病症例を集約的に管理することにより,その remission(寛解)も期待できる.

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病態に果たす危険因子の役割と管理
脂質異常

森  雄作*   平野  勉**
*昭和大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌部門 **同教授

要  旨
 CKD で高率に合併する脂質異常は,心血管疾患(CVD)のみならず,CKD 進行の危険因子となる.治療において明確なエビデンスがあるのは,スタチンによる低比重リポタンパクコレステロール(LDL−C)の管理である.本邦のガイドラインでは LDL−C 100mg/dl 以下が推奨されているが,より低い管理目標による好影響が報告されている.治療開始は早いほど効果的であり,透析患者では厳格な管理を行っても CVD は抑制されない.

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病態に果たす危険因子の役割と管理
肥満

河原崎和歌子*1  長瀬 美樹**2
*1東京大学大学院医学系研究科腎臓・内分泌内科慢性腎臓病学講座 **2同准教授

要  旨
 肥満は CKD の危険因子であり,寿命の予後規定因子である.肥満ではレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系や交感神経系の亢進,内臓脂肪から産生されるアディポカインの異常,酸化ストレスの増大が認められるが,これらはメタボリックシンドローム合併により増強され,腎障害発症の原因となっている.肥満が末期腎不全(ESKD)や寿命にかかわる疾患であるという認識が必要であり,予防や治療介入への鍵となる.

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病態に果たす危険因子の役割と管理
貧血

椿原 美治
大阪府立急性期・総合医療センター腎臓・高血圧内科 主任部長

要  旨
 保存期 CKD 患者では比較的早期から腎性貧血が発症し,その頻度は高い.一般に無症状で経過するが,赤血球造血刺激因子製剤(ESA)療法により,QOL や ADL が改善するばかりでなく,腎不全の進行阻止効果や心機能保持効果も期待しうる.さらに,透析導入時期を遅らせるとともに,透析導入後の生命予後をも改善するため,早期から積極的な治療が求められる.

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病態に果たす危険因子の役割と管理
骨ミネラル代謝異常

猪阪 善隆**  濱野 高行*   楽木 宏実***
*大阪大学大学院医学系研究科老年・腎臓内科学 **同准教授 ***同教授


要  旨
 慢性腎臓病(CKD)は,心筋梗塞や脳卒中などの心血管病と関連が深いだけでなく,全身性のミネラル・骨代謝異常を来しており,“CKD−mineral and bone disorder(CKD−MBD)”という新しい概念が提唱されている.骨ミネラル代謝調節系にかかわる主要な臓器は,腎臓,副甲状腺,骨,腸管であり,副甲状腺ホルモン(PTH),線維芽細胞増殖因子(FGF)23 および活性化ビタミンD:1,25(OH)2VitD が代謝調節系に深く関与するとともに,血管石灰化や生命予後にも関与している.

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病態に果たす危険因子の役割と管理
免疫異常

川村 和子*1  西  慎一*2
*1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎膠原病内科 
*2同医歯学総合病院血液浄化部

要  旨
 慢性腎臓病(CKD)において,免疫異常はさまざまな面で関係している.CKD の原因疾患である糸球体腎炎は糸球体内の免疫異常によって発症し,血尿,タンパク尿などを呈してくる.また,腎機能が低下すると免疫能が低下し,感染症,悪性腫瘍の危険性が増してくる.ほかに,CKD ステージ進行に伴う貧血,骨代謝異常などにも,免疫異常が複雑に関連していることが明らかになってきた.

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トピックス
小児の CKD

上村  治
あいち小児保健医療総合センター腎臓科(内科部長)

要  旨
 日本の過去の小児慢性腎臓病(CKD)対策は,1974 年から行われている腎臓病学校検診でスタートされ,2002 年以降の世界的なキャンペーンに呼応して 2006 年小児 CKD 対策小委員会(日本小児腎臓病学会)が設立された.小児の stage の進んだ CKD の原因の多くは先天性のもので,尿路系の異常を伴っていることが多いのが成人との大きな違いである.現在小委員会では,小児の CKD の診断や治療の標準化を目指して活動している.

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トピックス
CKDと二次性高血圧(特に原発性アルドステロン症)

佐藤 文俊*   岩倉 芳倫*   森本  玲* 工藤 正孝*   伊藤 貞嘉**
*東北大学病院腎・高血圧・内分泌科 **同教授

要  旨
 難治性高血圧・治療抵抗性高血圧を来す二次性高血圧の診断が遅れ,罹患年数が長くなれば CKD のリスクは非常高くなる.本稿では,特に最近発見頻度が高くなっている,最も頻度の高い二次性高血圧である原発性アルドステロン症(PA)が,早期診断されずに難治性高血圧が続いて CKD となり,腎実質性高血圧を合併して,さらに高血圧が重症化することが少なくないこと,アルドステロン(A)の暴露とミネラルコルチコイド受容体(MR)の活性化による腎障害,PA の診断法について述べる.

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トピックス
ADMA

上田 誠二**  中山 陽介*   奥田 誠也***
*久留米大学大学院医学系研究科内科学講座腎臓内科部門 **同講師 ***同教授

要  旨
 近年,CKD は末期腎不全(ESKD)ばかりでなく,たとえ軽度の腎機能低下やアルブミン尿であっても心血管疾患(CVD)発症の強力な危険因子であることが明らかとなり,“心腎連関”といった概念が注目されている.日本腎臓学会『CKD 診療ガイド』では,CKD と CVD の共通する危険因子を体液調節障害と内皮障害を来す因子から分類し,これらの危険因子が相加・相乗的に作用し心腎連関といった特殊な病態を形成していることを説明している1).本稿では,この連関を介在する重要な因子である内皮障害の病態へのかかわり,特に内皮障害の重要な原因分子である非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)に焦点を絞り,最近の知見も含め紹介したい.

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トピックス
メチルグリオキサール ―慢性腎臓病と生活習慣病の接点―

中山 昌明*1  小泉 賢治*2  中山 恵輔*2
*1東北大学病院血液浄化療法部 准教授
*2東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座腎・高血圧・内分泌学分野

要  旨
 CKD で認められる過剰な心血管疾患(CVD)罹患の基本的な病態には,生活習慣病による血管障害を基礎に,尿毒症特有の要因が障害増幅因子としてかかわっていると考えられる.我々はその候補物質としてメチルグリオキサール(MGO)に注目している.MGO は糖尿病血管障害の原因物質の1つであるが,CKD 進展に伴い,糖尿病の有無にかかわりなく MGO の血中濃度は上昇する.また,MGO は血管内皮や平滑筋細胞に作用して,尿毒症の中心的な病態である微小炎症や酸化ストレス亢進に関与している可能性が示されている.今後,CVD に対する本物質の役割についての一層の解明が期待される.

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