最新医学68巻6月増刊号 
自己免疫疾患・アレルギー疾患(後篇)
それぞれの疾患の理解

要  旨

座談会 免疫疾患の理解と治療法の将来展望
大阪大学           熊ノ郷 淳
理化学研究所         高地  雄太
京都大学    
       椛島  健次
東京大学           山本  一彦(司会)

 座談会の内容
 ・マウスの免疫学の果たしてきた役割
 ・ヒトの免疫学
 ・治療法の進歩
 ・理想的な免疫療法 など

 椛島先生   山本先生   熊ノ郷先生   高地先生


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膠原病
関節リウマチ

山中  寿

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 所長

要  旨
 関節リウマチ(RA)はヒト白血球抗原(HLA)やペプチジル・アルギニン・デイミナーゼ-4(PADI4)などの遺伝的素因に喫煙などの環境要因が加わり生じるが,増殖した滑膜組織から放出されるサイトカインが病態の主体を成している.治療学は過去10年で急速に進歩したが,早期治療と疾患活動性の十分な制御が必要であることの認識が広まったことと,メトトレキサート(MTX)や生物学的製剤などの分子標的薬が多くの患者に投与されるようになったことで,患者予後が改善し,関節置換術は減少傾向にある.

キーワード
関節リウマチ、関節炎、遺伝子多型、分類基準、生物学的製剤

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膠原病
全身性エリテマトーデス

髙崎 芳成

順天堂大学医学部膠原病内科 教授

要  旨
 全身性エリテマトーデス(SLE)の原因は不明であるが,その発症には遺伝的素因に加え,環境因子などとの相互作用によって引き起される免疫異常が深く関与している.環境因子としては,感染が重要な役割を演じている可能性が高く,特にToll様受容体(TLR)や neutrophil extracellular traps(NETs)などの研究に基づく自然免疫との関連性が注目されている.一方,T細胞やB細胞の細胞内機能の解析も進歩を遂げ,それによって見いだされた新たな標的分子に対する治療薬の開発も進められている.

キーワード
全身性エリテマトーデス、自己免疫、Toll様受容体、T細胞、B細胞

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膠原病
全身性強皮症

佐藤 伸一

東京大学大学院医学系研究科皮膚科学 教授

要  旨
 全身性強皮症(SSc)は,線維化,血管障害,免疫異常(自己抗体産生)を主徴とする膠原病である.全ゲノム関連解析の結果などから,免疫異常がその中心を成すことが推定されている.本症では,主として自己抗体に基づく病型分類が行われ,各病型における自然経過も明らかになってきた.治療に関しても,肺線維症(PF)に対するシクロホスファミド(CYC),肺高血圧症(PH)に対するエンドセリン受容体拮抗薬やホスホジエステラーゼ5阻害薬など,進歩が見られる.

キーワード
強皮症、膠原病、自己免疫、線維化

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膠原病
多発性筋炎・皮膚筋炎

上阪  等
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科 准教授

要  旨
 多発性筋炎・皮膚筋炎の病態については,古くは,それぞれCD8T細胞病,抗体病とされたが,現代免疫学的な根拠に乏しく,共に筋反応性T細胞による病態と考えるべきである.さらには,筋,皮膚,肺での炎症を持つ疾患複合体とも考えられる.筆者らの開発した動物モデルは,種としての自己反応性T細胞の活性化と土壌としての筋組織の活性化が病態成立に重要であることを示唆している(Seed & Soil モデル).

キーワード
多発性筋炎、皮膚筋炎、間接性肺炎、キラーCD8T細胞

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膠原病
混合性結合組織病

川畑 仁人

東京大学医学部附属病院アレルギー・リウマチ内科 講師

要  旨
 混合性結合組織病(MCTD)は,臨床的に全身性エリテマトーデス(SLE)様,強皮症様,多発性筋炎様の症状が混在し,かつ血清中に抗 U1RNP 抗体が高値で検出される疾患である.日本では研究班が組織され,診断基準,治療指針,疫学的研究など精力的な検討が成されてきた結果,肺高血圧(PAH)合併や神経症状の存在,手指・手背腫脹の持続,などの特徴が明らかにされている.近年,難治性合併症である PAH に対しては,治療選択肢も増えてきており,早期診断,早期治療が望まれる.

キーワード
混合性結合組織病、抗RNP抗体、肺高血圧

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膠原病
血管炎症候群:新しいカテゴリー CHCC2012


中野 弘雅*1*2  尾崎  承一**1
*1聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科 **1同教授
*2世田谷リウマチ膠原病センターよしだ内科クリニック

要  旨
 2012年,血管炎症候群の国際会議が米国チャペルヒルで催され,新しい名称/定義(CHCC2012)が発表された.人名を冠した疾患名(eponym)に関して議論され,Wegener 肉芽腫症,Churg-Strauss 症候群はそれぞれ,多発血管炎性肉芽腫症(GPA),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis:EGPA)に改名された.この CHCC2012 に沿って血管炎症候群を概説する.

キーワード
CHCC2012、eponym、血管炎症候群、多発血管炎性肉芽腫症、
抗酸球性多発血管炎性肉芽腫症

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膠原病
シェーグレン症候群

住田 孝之
筑波大学医学医療系内科(膠原病・リウマチ・アレルギー) 教授

要  旨
 シェーグレン症候群(SS)は,ドライアイ,ドライマウス,関節炎を主症状とする全身疾患である.病因として,多彩な自己抗体や自己反応性T細胞の存在から,自己免疫疾患と考えられている.診断は,日本においては旧厚生省改訂基準(1999年)に基づいて成される.治療は,QOLの改善あるいは生命予後の改善を目指した治療となり,前者は対症療法が主体であり,後者はステロイドや免疫抑制薬が中心となる.

キーワード
シェーグレン症候群、ドライアイ、ドライマウス、関節炎、自己免疫疾患

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膠原病
ベーチェット病

廣畑 俊成
北里大学医学部膠原病・感染内科学 教授

要  旨
 ベーチェット病の基本病態は,T細胞の過剰反応性に基づくサイトカインの産生による好中球の機能(活性酸素産生能・遊走能)の亢進である.特徴的な病理所見は,炎症細胞の perivascular cuffing と thrombophilia である.近年,新しい治療として難治性眼病変に対する抗TNFα抗体(インフリキシマブ)が導入され,効果を上げている.また,難治性の慢性進行型神経ベーチェットでは,髄液のIL-6が持続的に上昇するが,これもインフリキシマブで制御できることが明らかになった.

キーワード
インフリキシマブ、TNFα、髄液、IL-6

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臓器特異的自己免疫疾患
腸管の粘膜免疫と炎症性腸疾患

永石 宇司*   藤井 俊光**  渡辺  守***
*東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科消化器病態学分野 部内講師 **同医員 ***同教授

要  旨
 かつて欧米に特有と言われた潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn病(CD)は,本邦でも増加傾向にあり問題となっている.両疾患とも①遺伝的素因を背景としながら②食生活などの生活習慣や腸内細菌といった環境因子が作用して③腸管粘膜における過剰な免疫応答が誘発されているのが主たる病態と考えられている.本稿では,腸管粘膜における免疫調節機構の特殊性と共に,両疾患の臨床的特徴,またこれまで明らかとなっているこれらの病態に関して概説する.

キーワード
粘膜免疫、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、Crohn病

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臓器特異的自己免疫疾患
原発性胆汁性肝硬変

石橋 大海*1  下田 慎治*2  中村  稔*3
*1国際医療福祉大学/福岡山王病院 *2九州大学大学院病態修復内科
*3長崎大学医歯薬学総合研究科肝臓病学講座/国立病院機構長崎医療センター

要  旨
 原発性胆汁性肝硬変(PBC)は,肝臓が標的臓器となる臓器特異的自己免疫疾患であり,慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)の肝病理像に特徴づけられる.なぜミトコンドリアや核膜孔タンパクに対して自己抗体が産生され,胆管特異的な障害が生じるか不思議であるが,アポトーシスに陥った胆管上皮細胞のアポトーシス体に免疫学的に保存された PDC-E2 分子が残存し,トレランスの破綻のもとに生じた,その分子に対する免疫応答による機序が提唱されている.

キーワード
慢性非化膿性破壊性胆管炎、自己反応性T細胞、抗ミトコンドリア抗体、
フルクタルカイン、アポトーシス体

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臓器特異的自己免疫疾患
自己免疫性肝炎

阿部 雅則*1  恩地 森一*2
*1愛媛大学大学院地域医療学 准教授 *2愛媛大学大学院先端病態制御内科 教授

要  旨
 自己免疫性肝炎(AIH)は疾患概念の定着や診断基準の提唱により,典型例に対しては適切な診断と治療が行われるようになった.最近の全国調査では,臨床像の変化が見られ,非定型例が増加している.また,従来報告の少なかった急性肝炎,重症肝炎や肝細胞がんの合併などについても,診療上注意を要する.発症機構は依然不明であるが,遺伝的要因や免疫学的機序に関する研究が進行しており,今後は疾患特異的な治療法の開発が待たれる.

キーワード
自己免疫性肝炎、疫学、発症機構、診断、治療

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臓器特異的自己免疫疾患
多発性硬化症の炎症病態と CCR2CCR5Th1 細胞

山村  隆*  佐藤 和貴郎**
*国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部部長 **同研究員

要  旨
 多発性硬化症(MS)はインターフェロンβ(IFNβ)治療が有効な群と有効でない群に大別できるが,前者では自己反応性 Th1 細胞の強い関与が推測されている.我々は再発時の MS 患者脳脊髄液(CSF)において,ケモカイン受容体 CCR2 と CCR5 を発現するメモリー CD4+Th1 細胞が選択的に増加していることを見いだした.このリンパ球亜集団は,マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)やオステオポンチンを産生するユニークな細胞で,自己抗原ミエリン塩基性タンパク(MBP)に反応し,血液脳関門(BBB)であるグリア限界膜を透過する能力が高い.この細胞集団は MS の新たな治療標的となる可能性がある.

キーワード
多発性硬化症、実験的自己免疫性脳脊髄炎、CCRCCR5T細胞、Th17細胞

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臓器特異的自己免疫疾患
ギラン・バレー症候群

桑原  基*   楠   進**
*近畿大学医学部神経内科 **同教授

要  旨
 ギラン・バレー症候群(GBS)は,急性発症の四肢筋力低下,深部腱反射の消失を主徴とする単相性の末梢神経障害である.約2/3の症例で先行感染を認め,自己免疫機序によって発症する.急性期患者血清中に約60%の頻度で糖脂質に対する抗体が検出され,病態に関与している.急性期治療は免疫グロブリン静注療法(IVIg),および血液浄化療法が有効であるが,経過中に人工呼吸器管理が必要となったり,重篤な自律神経障害を来すケースもあるため,適切な診断と治療が重要である.

キーワード
ギラン・バレー症候群、先行感染、抗ガングリオシド抗体、免疫療法

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臓器特異的自己免疫疾患
免疫性血小板減少症

桑名 正隆
慶應義塾大学医学部リウマチ内科 教授

要  旨
 免疫性血小板減少症(ITP)は血小板膜糖タンパクに対する自己免疫疾患である.抗血小板抗体が結合した血小板が網内系マクロファージに捕捉,貪食される病態に加えて,巨核球障害による血小板産生障害も関与する.網内系マクロファージ,自己反応性CD4+T細胞,B細胞による病的ループが成立すると,抗血小板抗体産生が持続する.さらに,制御性T細胞(Treg)や抑制性Fcγ受容体を介した免疫制御の破綻も病態に深くかかわる.

キーワード
血小板、自己抗体、マクロファージ、制御性T細胞、Fcγ抗体

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臓器特異的自己免疫疾患
自己免疫性溶血性貧血

脇本 直樹*   別所 正美**
*埼玉医科大学血液内科准教授 **同教授

要  旨
 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は,赤血球を傷害する自己抗体により溶血を起し,貧血を来す比較的まれな疾患である.温式抗体によるものと冷式抗体によるものがあるが,多くは前者である.診断は溶血の証明と直接 Coombs 試験陽性によるが,除外診断が重要である.治療の第1選択は副腎皮質ステロイド剤で90%以上の有効率がある.副腎皮質ステロイド剤の効果が不十分の場合は,脾摘術や免疫抑制薬による治療が行われる.

キーワード
溶血性貧血、直接Coombs試験、温式抗体、冷式抗体

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臓器特異的自己免疫疾患
自己免疫性甲状腺疾患:ゲノム解析の進展および転写関連因子ZFATの免疫系機能解明

白澤 専二*1  中林 一彦*2
*1福岡大学医学部細胞生物学 教授 *2国立成育医療研究センター研究所周産期病態研究部

要  旨
 自己免疫性甲状腺疾患(AITD)は最も頻度の高い自己免疫疾患の1つで,遺伝要因と環境要因が相互作用し発症に至る多因子疾患である.既知の AITD 関連遺伝子群は,①ヒト主要組織適合遺伝子複合体(MHC)領域のHLA遺伝子,②MHC領域外の免疫関連遺伝子,③甲状腺特異的遺伝子,の3群に大別される.本稿では,AITDゲノム解析の現状とAITD関連転写因子 ZFAT の免疫系機能について概説する.

キーワード
バセドウ病、橋本病、ゲノム関連解析、HLA、ZFAT

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臓器特異的自己免疫疾患
1型糖尿病

長谷田 文孝*   寺前 純吾**  花房 俊昭***
*大阪医科大学内科学Ⅰ **同講師 ***同教授

要  旨
 1型糖尿病は,膵β細胞の破壊に伴う絶対的なインスリン欠乏状態に起因する糖尿病と定義される.1型糖尿病では膵β細胞破壊の成因による分類がなされており,膵島関連自己抗体(抗GAD抗体や抗IA-2抗体など)を認め,自己免疫機序が成因と考えられるものを1A型(自己免疫性),また,自己免疫の関与が不明なものを1B型(特発性)としている.本稿では,自己免疫性1型糖尿病について概説する.

キーワード
遺伝因子、環境因子、HLA、自己免疫、Treg

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臓器特異的自己免疫疾患
天疱瘡と表皮特異的T細胞による皮膚炎

高橋 勇人*   天谷 雅行**
*慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 **同教授

要  旨
 T細胞が病態に関与すると考えられている炎症性皮膚疾患は多岐にわたるが,その病態がT細胞による自己免疫機序によるものであるかどうかは,十分に検討されていない.我々は抗デスモグレイン3(Dsg3)自己抗体により誘導される尋常性天疱瘡の病態解明を目指して,自己抗体産生に重要なDsg3反応性T細胞の解析をマウスで行ってきた.その結果,Dsg3特異的CD4+T細胞が抗 Dsg3 抗体産生を促進し,天疱瘡の表現型を誘導するだけでなく,直接皮膚に浸潤し interface dermatitis と呼ばれる病理組織像を示す皮膚炎を起すことを見いだした.本稿では,皮膚科領域における自己免疫疾患をテーマに,最近の知見を中心に概説する.

キーワード
天疱瘡、interface dermatitis、デスモグレイン、T細胞

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アレルギー疾患
気管支喘息

中島 裕史
千葉大学大学院医学研究院アレルギー・臨床免疫学 教授

要  旨
 気管支喘息は人口の約4%が罹患する重要なアレルギー疾患である.吸入ステロイド剤の普及により軽・中等症例に対する治療成績は格段に向上し,ヒト化抗 IgE 抗体の臨床応用などにより,重症例に対する治療法も充実しつつある.クラスター解析により喘息が幾つかの病型に分類されることが示され,それぞれの病型を対象とした治療法の開発も進んでいる.本稿では,喘息の病態とそれに基づく治療法開発の展望について概説したい.

キーワード
気管支喘息、フェノタイプ、Th2細胞、気道上皮細胞、生物学的製剤

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アレルギー疾患
アトピー性皮膚炎

秋山 真志
名古屋大学大学院医学系研究科皮膚病態学 教授

要  旨
 皮膚表面の角層のバリア機能に重要なタンパクであるフィラグリンの遺伝子変異とアトピー性皮膚炎(AD)が強く相関することが示されてきたが,我々は,日本人 AD 患者の 27% 以上がフィラグリン遺伝子(FLG)変異を有しており,日本人においても,FLG 変異が AD,アトピー性喘息の重要な発症因子であることを示した.角層バリア機能障害があると,アレルゲンに対する経皮感作が成立しやすくなり,アトピー性疾患の発症につながると考えられる.

キーワード
角層、バリア、経皮感作、フィラグリン、食物アレルギー

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アレルギー疾患
アレルギー性鼻炎・花粉症

竹中  洋
大阪医科大学 学長

要  旨
「アレルギー性鼻炎・花粉症の理解のために」を目的とすると,①実地臨床で医療面接や症状からこれら疾患の診断に至るプロセスを論じる方法がある.また,②アレルギー性鼻炎や花粉症に特有の病態を理解されやすく説明することを目的とする方法もある.地域によっては50%を超えるスギ花粉症などは極めて有病者が多く,プライマリケア上も重要な疾患と考えられる.①と②が混在するが,可能な限り,アレルギー性鼻炎と花粉症の免疫学的側面を論じた.

キーワード
アレルギー性鼻炎、花粉症、アレルゲン、環境因子、治療

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アレルギー疾患
薬物アレルギー

山口 正雄
帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学 教授

要  旨
 異常薬物反応(ADR)のうち,体内に入った薬物またはその代謝産物を抗原とし,特異的抗体または感作リンパ球により引き起された反応を薬物アレルギー(drug allergy)と言う.薬理作用とは別の機序で生ずる.近年,薬物の種類の多様化に伴い,生じるアレルギー症状も多彩となってきている.特に重症で注意すべき反応として,アナフィラキシー,重症薬疹,重症肝障害などがある.これらをあらかじめ予知することは一部の例外的薬物を除くと困難であるが,近年重症薬疹とヒト白血球抗原(HLA)との関連の解析が進み,注目されている.

キーワード
薬物アレルギー、異常薬物反応、B型、アナフィラキシー、重症薬疹

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アレルギー疾患
食物アレルギーの理解と治療法の将来展望

中尾 篤人
山梨大学医学部免疫学講座 教授

要  旨
 食物アレルギーは,現在のところ,原因食物の除去や誤食時の対応が医療側の提供する情報のほぼすべてであり,食物アレルギーを“治療する”という概念自体がいまだ存在しない希有なアレルギー疾患である(“遅れてきたアレルギー疾患”とも呼ばれている).我が国では,食物アレルギーの患者数は近年増加しており,最近も調布市の小学生が給食時の誤食によってアナフィラキシーショックを起して亡くなるなどの痛ましい事故が起っている.このような現状から,食物アレルギーの発症機構や病態生理の詳細を解明し,食物アレルギーを“治す”ことは,現代医学の重要なチャレンジの1つである.本稿では,食物アレルギー研究の現状を俯瞰し,今後の展望について私見を交えて概説する.

キーワード
食物アレルギー、腸管バリア機能、経口免疫寛容

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新しい疾患概念
IgG4 関連疾患

高橋 裕樹**  山本 元久*
*札幌医科大学医学部消化器・免疫・リウマチ内科学講座 **同准教授

要  旨
 IgG4 関連疾患(IgG4-RD)とは血清 IgG4 高値と IgG4 陽性形質細胞の浸潤,線維化を主体とした腫瘤性病変を呈する慢性疾患である.自己免疫性膵炎(AIP)と涙腺・唾液腺炎を2大病変として,多彩な臓器病変から構成される全身性疾患である.原因不明の腫瘤性病変や高γ-グロブリン血症を見た場合には念頭に置き,診断には血清 IgG4 測定が有用である.ただし,高 IgG4 血症は特異的ではなく,特に悪性腫瘍との鑑別のため,病理組織学的検索が勧められる.グルココルチコイド(GC)が奏効するが,減量・中止後の再燃も多く,維持療法として長期投与を要することから,副作用への注意が必要である.

キーワード
IgG4関連疾患、自己免疫性膵炎、Mikulicz病、IgG4、Sjögren症候群

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新しい疾患概念
自己炎症性疾患

西小森 隆太**  中川 権史*   井澤 和司* 平家 俊男***
*京都大学大学院医学研究科発達小児科学 **同准教授 ***同教授

要  旨
 自己炎症性疾患は,炎症を主病態とする遺伝性疾患である.類似の病態を示しながら,遺伝子異常が同定されない疾患群を広義の自己炎症性疾患と言い,前者を狭義の自己炎症性疾患としている.同疾患は,主として自然免疫系の異常症で,自己免疫疾患で認められる自己抗体,自己反応性T細胞は通常認められない.臨床的には,発疹,発熱,関節所見などを認め,リウマチ膠原病疾患との鑑別が重要である.

キーワード
自己炎症性疾患、自己炎症疾患、自己炎症症候群、インフラマソーム、炎症

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