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最新医学 70巻5号(通巻894号)

特集 胎生期プログラミングと先制医療
                       



「最新医学」70巻 5月特集は「胎生期プログラミングと先制医療」です。


 戦争や飢饉のため食糧難に陥っていたオランダや中国の妊婦から出生した子どもは成人期に生活習慣病や精神疾患の発症率が高いことから胎児を取り巻く環境の影響によって成人病の体質が獲得されてしまうことを成人病胎生期発症(DOHaD:Developmental origins of health and disease)とよんでいます。そしてそのメカニズムの一端がDNA上のメチル化修飾変化にあることが動物実験やオランダの飢餓出生世代の解析などからわかってきました。
 一方でダイエット志向の若い女性が多いわが国では妊娠後も妊婦がダイエットを継続すると胎児が低栄養に曝されるために飢餓時代に生まれた子どもたちのような生活習慣病体質が胎児に獲得されます。このような低栄養妊婦や低出生体重児は近年増加の一途をたどっており、このままではわが国は生活習慣病大国になるとの警鐘を鳴らす研究者も出てきています。
 DOHaDに根ざした医療ができれば、理論的には胎生期の生活習慣病体質の獲得は阻止できますが栄養指導を含めて現実的には容易ではありません。
 本特集では、[胎生期プログラミング]、[栄養]、[先制医療]の3つの領域について国内屈指の研究者の先生方にその最新の知見を詳しく解説して頂きました。さらに巻頭座談会では泰斗の先生方をお招きしてDOHaDから学校教育、先制医療実現までご討論頂きました。
 DOHaDに根ざした先制医療の実現はわが国で重要な課題の1つです。基礎研究のみならず是非多くの臨床家の先生方にもご覧いただきたい内容となっています。

論文題名

著者所属

著者名

通巻頁
序論 山梨大学 久保田 健夫 841
[座談会]
先制医療を見据えた胎児期プログラミング(DOHaD)研究のあり方 先端医療振興財団 井村 裕夫 843
浜松医科大学 伊東 宏晃
(司会) 山梨大学 久保田 健夫
[総論]
胎生期プログラミングと疾患発症(DOHaD) 早稲田大学 福岡 秀興 857
[胎生期プログラミング]
胎生期プログラミングとエピジェネティクス 山梨大学 望月 和樹 867
胎生期プログラミングと脳の形成 滋賀医科大学 宇田川 潤 875
自閉症スペクトラム症の環境的危険因子の研究
-胎生期プログラミング研究への橋渡し的知見を概観する-
浜松医科大学 土屋 賢治 883
胎生期プログラミングと糖尿病 東京医科歯科大学 橋本 貢士ほか 892
胎生期プログラミングと心疾患 国立循環器病研究センター 宮本 恵宏 899
生殖補助医療がインプリンティング機構に与える影響 国立成育医療研究センター 右田 王介ほか 903
[栄養]
授乳期におけるタンパク質及びカロリー制限が乳汁成分と子供の成長に与える影響 味の素株隙会社 西谷しのぶほか 910
幼少期栄養環境とバイオマーカー 静岡県立大学 合田 敏尚 918
[先制医療]
先制医療実現のための疫学研究
-DOHaD学説に基づくライフコース疫学-
東京医科歯科大学 佐田 文宏 924
胎生期プログラミングと先制医療
-周産期医療の立場から-
浜松医科大学 伊東 宏晃 933
胎生期プログラミングと小児期からの先制医療 昭和大学 板橋 家頭夫 941
科学技術イノベーション政策のあるべき姿
-ヒトの一生涯を通した健康維持戦略-
科学技術振興機構 辻 真博 954
肉眼解剖学者がみたヒト大脳の立体構造 2
(大脳の回と溝:前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉 金沢医科大学 篠原 治道 962
トップランナーに聞く 51
下垂体炎の新規自己抗体の同定と臨床応用への挑戦 名古屋大学 岩間 信太郎 967
ノーベル賞と医学の進歩・発展 29
プリオン病と2人のノーベル賞学者 ―カールトン・ガイデュシェックとスタンレー・プルシナー― 慶應義塾大学 石村 巽 971
トピックス
iPS細胞を用いた神経疾患の研究 京都大学 石川 泰三ほか 977
エボラウイルス感染のバイオイメージング 北海道大学 南保 明日香 982
特報 
平成26年度 井村臨床研究奨励賞受賞記念論文
心筋直接リプログラミングによる新しい心臓再生法の開発/a>
慶應義塾大学 家田 真樹 988

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