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最新医学 74巻4号(通巻946号)

特集 高病原性病原体による感染症対策 -BSL4施設により変わる研究-
                       



「最新医学」74巻4号特集は「高病原性病原体による感染症対策 -BSL4施設により変わる研究-」です。


 2002年に中国南部で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)はその後、香港やカナダなど世界中に拡散し774名の人命が失われました。また2014年に西アフリカ(ギニア・シエラレオネ・リベリア)で大流行したエボラ出血熱(エボラウイルス感染症)では3万人近い感染者のうち1万人以上が死亡しました。
 日本ではこれらの感染症は発生していませんが、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染者は西日本を中心としてこれまで約400人と報告されており直接マダニに接触する以外にもネコなどのペットからの感染例も報告されています。また2014年には輸入感染症である蚊媒介性のデング熱が東京都内で発生しており高病原性感染症・輸入感染症のリスクは我が国でももはや対岸の火事ではありません。
 ところがこれらの高病原性の感染症を研究する施設には厳しい設置基準が求められており日本においてはこれらの研究がほとんど行えておらず日本の研究者は海外の施設に赴いて実験しているのが現状です。
 今回の特集ではいわゆるBSL-4やそれに匹敵するレベルの感染症の発生状況や臨床症状、我が国の最新の研究成果について世界の最前線で活躍されている先生に詳しくご解説頂きました。
 さらに巻頭鼎談ではそもそもBSLとはどのようなものなのかといった歴史的経緯から高病原性感染症アウトブレイクの状況や世界に対する日本の貢献などについて専門家の先生に非常に分かり易くお話し頂いております。
 特に海外からの旅行者が急増している現状では高病原性感染症の発生を前提とした対応が求められます。また世界中で様々な感染症で多くの命が失われている中で日本がなにをできるのか本誌をご覧頂いて考えるきっかけにしていただければと思います。

論文題名

著者所属

著者名

通巻頁
序論 長崎大学 平山 謙二 451
[鼎談]
BSL–4施設の重要性と世界への貢献 国立感染症研究所 西條 政幸 453
長崎大学 安田 二朗
(司会) 長崎大学 平山 謙二
【基礎病態】
人獣共通感染症とBSL–4(総論) 国立感染症研究所 森川 茂 464
ラッサ熱 長崎大学 安田 二朗 471
ニパウイルス感染症 東京大学 内田 翔太郎ほか 476
SFTS,クリミア・コンゴ出血熱 国立感染症研究所 西條 政幸 483
ハンタウイルス感染症 北海道大学 津田 祥美ほか 490
エボラ出血熱について―エボラウイルス感染者の宿主応答解析から得られた知見― 東京大学 渡辺 登喜子ほか 497
狂犬病の未解決課題に挑む 大分大学 山田 健太郎ほか 504
ジカ熱 長崎大学 モイ メン リン 510
【医薬品開発】
エボラ実験治療薬 ―現状と課題― 長崎大学 鈴木 基 517
霊長類モデルによる医科学研究 医薬基盤・健康・栄養研究所 浦野 恵美子ほか 523
エボラワクチン 米国国立英英研究所 古山 若呼ほか 530
抗アレナウイルスおよび抗フィロウイルス薬シーズの開発と現状 長崎大学 浦田 秀造 539
エボラ診断薬と現場での役割 長崎大学 黒崎 陽平 548
感染症を対象とした分子イメージング研究の展望 長崎大学 早坂 大輔 555
トピックス
免疫チェックポイント阻害薬とバイオマーカー 埼玉医科大学 各務 博 562
SGLT2阻害薬による腎保護作用 滋賀医科大学 久米 真司 565
離乳期早期の鶏卵摂取による鶏卵アレルギーの発症予防 成育医療研究センター 大矢 幸弘 571
総説
長期臥床の古典型筋萎縮性側索硬化症において痛覚過敏が認められない理由
―交感神経系とタウリンやグリシン受容体との関係およびメチオニン合成酵素活性の関与を通して―
稲城市民病院 若林 行雄ほか 578